今回は、「MEIKO CODELAB」を運営する株式会社明光ネットワークジャパンの松村隆史さん、「Ozobot」の日本唯一の公式販売パートナーとして、販売および「Ozobot」を用いたプログラミング教育事業のコンサルティングを行っているキャスタリア株式会社 代表取締役 山脇智志さん、そして明光義塾 新座教室の教室長 荒木翔さん、副教室長 菅井智美さんにお話をうかがいました。
個別指導のノウハウを活かしたプログラミング教室
――なぜ明光義塾がプログラミング教室をはじめたのでしょうか?
松村さん:いま、21世紀社会に向けて自立心のある人材を育てるために、新しい価値観の学びがどんどん出てきています。それに合わせたものを保護者の方、そして実際に習う生徒さんにきちんと伝えていきたいということで、プログラミング教室をはじめることにしました。
――「MEIKO CODELAB」では、明光義塾の個別指導のノウハウはどのように活かされているのでしょうか?
――振り返りノートは写真に撮って保護者の方に送っていると伺いましたが、どういう反応がありますか?
荒木さん:プログラミングではない、国語や算数の授業でも同じやり方をさせてもらってるんですが、プログラミング教室に通う生徒さんのご家庭からは、ほぼ100%「毎回見ています」という反応をいただいています。他の教科に比べると、授業で何をどうやってやったかというのを、帰宅後に保護者の方に細かく説明してくれる生徒さんが多いんです。ただ、その際に難しいカタカナ(プログラミング用語)が飛びかうので、保護者の方からは「振り返りノートの画像を確認しながら子どもの話を聞いてます」と仰っていただいてます。
松村さん:明光義塾の教室では、スペースがパーテーションで区切られています。プログラミング教室って集団で授業を行うイメージが一般的だと思うんですが、集団だとどうしても生徒間で差が出てしまうんです。
ここではきちんと個別で、講師がそれぞれの生徒さんの進め方に従って、アドバイスや声かけを行っています。きめ細やかな学びを提供できるという点で、明光義塾の個別指導のやり方が活かされています。
プログラミングが教科の学習と異なっているのは、答えが複数あっていい、自分の答えがあっていい、という点です。自分の答えに辿り着くまで、決められたコースや目的は一応あるものの、辿り着くまでのパターンはいくつも想定できます。正解と不正解があるという考え方をあまりしないようにするといいますか、自分でどうやってこの課題を解決して目的を達成するか、という所にフォーカスしてもらいたい。何回失敗しても構わないし、それは失敗じゃないかもしれない。上手くいくためにはどうすればいいのか、というのを自分で考える。わかったことや気付いたことを話して、身についていく、そして次の考え方をまた編み出していく。これが「振り返り授業」を取り入れたプログラミング教室の特徴でもあります。自分の目的を達成するためのプロセスをどれだけたくさん踏めるか、というのをきちっと寄り添ってみてあげたい。その力ってプログラミングだけではなく、他の教科の学びでもきちんと活かせると思うんです。
たこ焼きサイズのかわいいロボット「Ozobot」
――「MEIKO CODELAB」の特徴として、パソコンがなくても学べるということが挙げられています。
松村さん:プログラミングというと、つい身構えてしまいますよね。まず最初に、その障壁を下げてくれる親しみやすさが必要でした。プログラミングの内容をバランスよく丁寧に教えられるものはないかということで、出会ったのが「Ozobot」です。キャスタリアさんとも企画の段階から色々お話しさせていただいて、実際に教室の中で展開することが決定しました。
荒木さん:体験教室に来たお子さんと保護者の方には、最初に「Ozobot」の紹介動画とこちらで作ったパワーポイントの紹介資料をお見せしています。普段から家でパソコンをさわってYoutubeを見ているようなお子さんが圧倒的に多いんですけども、ちょっとやり方を教えるだけで、講師があまりフォローしなくてもさくさく「Ozobot」の使い方を覚えてしまう子ばかりですね。
松村さん:明光義塾の教室内でプログラミングの体験教室を行っていると、他の授業で来ている子たちがじいっと見てるんです。あの形状もそうですし、動いて何かアクションをするだけでも喜んでもらえるので、そういった所からの入りやすさというのはすごくあると思います。「Ozobot」ってすぐ動くんです。最初の5分で動く教材ってなかなかないんですよ。だいたい最初の5分って説明で終わってしまうことが多い。「Ozobot」は、スタートが早く、フィードバックが早くもらえるので、子どもたちもすごく楽しめるんじゃないでしょうか。
――「Ozobot」の魅力についてお聞かせください。
山脇さん:やはりすぐ動かせるということだと思います。最初に子どもたちが何をやっているかというと、「Ozobot」を動かすことです。もっと言うと、それをどういう風に動かすか、ということを学びます。これがいわゆる『制御』ということです。世の中で我々が制御できるものって意外と少ないんですよね。
たとえばリモコンで動かすものがありますが、あれは制御はできていない。どちらかというと制御というよりは、運転です。事前にこういうふうに動くようにしておこう、と設定してそれを動かすものって実は意外となかったりします。まさにそれがプログラムという行為なんです。
もともとプログラムという言葉は「プログランマ」という古代ギリシャ語に由来しています。「プロ」が「事前に」、「グランマ(グラム)」が「計画しておく」という意味です。つまり「事前に何か計画しておいてその通りに動く」のがプログラム。運動会の進行表もプログラムって言いますよね。それとやってることは一緒なんです。
「Ozobot」の場合、ある程度自動化されている部分があり、そのうえでちゃんと制御することができます。まずすぐに物が動くことで楽しみ、面白いと思ってもらえる部分が他とは違うのかなと思います。
また、最大の武器は小さいことです。コンピュータやタブレットを机の上に置きながら制御って、なかなかできないんですよ。ところが「Ozobot」は小さいので、A4の範囲内でもそういったことができる。その面においても、明光義塾さんの個別指導のスペースでやるのもぴったりだと思います。
山脇さん:自動運転の車と「Ozobot」がやってることは一緒ですから。どちらもあらかじめ何らかのプログラムがされてるわけですよね。2Dな世界で行われているのが「Ozobot」であり、立体的な何かに対してやっていくというのが自動運転の車です。もちろん裏にAIがあって、それに対して判断していくんですけども、原則の部分においてやっていること自体はほぼ一緒だったりします。
プログラミングって教育じゃないんですよね、学習なんです。先生が前に立って教えるような従来のスタイルとプログラミングは基本的になじまないと私は思ってます。ですから明光義塾のコースに関しても、自学自習でどこまでできるのかということを我々も考えて設計しています。
プログラミングというのは、基本的には手段ですから。目的じゃない。もちろん段々とプログラミング自体が面白くなっていくんですが、最初の段階ではまだ手段でしかない。ですから「Ozobot」が動くんだよ、もっと言うと動かせるんだよ、というところに段々近付いていけるように設計しています。
普通の習い事のひとつとして、自由に気軽に来てほしい
――プログラミング教育を考えている保護者の方とお子さまに対してメッセージをお願いします。松村さん:明光ネットワークジャパンには、「個別指導による自立学習を通じて、創造力豊かで自立心に富んだ21世紀社会の人材を育成する」という教育理念があります。そのツールとしてのプログラミング教育です。明光義塾は全国に教室がありますので、どんな市区町村の子でも平等にプログラミングの教育を受けさせたい、そしてなるべく世に多くの自立した人材を輩出したいという考えが根底にあります。
また、明光義塾の講師が行うのは「teach(教える)」ではなく、「coach(指導する)」です。それぞれのお子さんやご家庭に寄り添った指導をしていく。それが明光義塾のやり方です。お子さんにより近い存在でいられるというのが、明光義塾の講師の良さだと思います。
これからも、一般のご家庭の方が普通の習い事のひとつとして自由に気軽に来ていただける、けれど学ぶ内容は本質の部分をきちんと捕まえられるものである、というバランスをきちんと考慮して、もっと広めていきたいと思ってます。
山脇さん:もともと私がプログラミング教育をやろうと思ったきっかけは、友人のプログラマーの言葉でした。
「うちの息子がね、プログラムに興味を持ってくれたんだ。プログラミングキャンプに行って、すごく楽しかったって言ってるんだよ。ただ通うとなるとお金の面で続かない。我々のような普通のサラリーマン家庭でも通えるようなプログラミング教室があればいいんだけどね」
これがすべての出発点なんです。今でも忘れません。
今行われているプログラミング教育はどうしても属人的ならざるを得ない。誰でも教えられるわけではなく、プログラミングに関してある程度の教育を受けた人ではないと教えられない。そうすると当然ですがお金は高くなりますし、教えられる数や範囲にも限界があります。私はそれを突破しない限り、安く提供することはできないと思ったんです。そのためには教材自体の力(Power)で自分で学び続けるような教材にする必要がありました。
それともうひとつ。やはり子どもの場合、ちゃんと勉強させるためには、時間と場所をきちんと区切ってあげる必要がある。ちゃんとやらないと動かないのがプログラミングですから。
ちゃんとやるためには、ちゃんとした環境の中で、ちゃんとした人、つまり大人がいてくれる方がいいわけです。ですから、それらが揃っている明光義塾というのは私にとってベストパートナーだったんです。
ですから、私は講師にプログラミング経験がある人というのは基本的に求めませんでした。「ちゃんと」した人がいればいい。「ちゃんと」した環境があればいい。かつ、安く提供できること。それが本当に最初から考えていたことです。
これからの日本の未来を変えるための大きなIT人材の層を創出できるものの一つが、「MEIKO CODELAB」だと思っています。
荒木さん:保護者の方との面談の中で、「ウチの子、家でずっとゲームをやってて勉強もしないでごろごろしてるんだけど、どうしましょう?」「何か役に立つことありませんか?」と相談されることって本当に多いんです。
これからのIT社会がどうとか、ロボットを動かしたいとか、そんな理由で「MEIKO CODELAB」に通わせてる保護者の方ってほとんどいないんですよ。そういう方にもプログラミングを知ってもらって、楽しんでもらってるって本当に素晴らしいことだと思います。引き続き多くの方にプログラミングを、この「MEIKO CODELAB」を知っていただけるようにしていきたいです。そして、子どもたちにはプログラミングを楽しんでやってほしいと思っています。
菅井さん:私は講師の育成に関わらせていただいています。学校で専門的にプログラミングを習っている人をリーダーとして選んだりもしますが、基本的には「生徒をよく見てくれること」というのを講師を選ぶ際に重視しています。
ひとりひとりを平等に見ることができる、というのを重視して選び、講師たちにも子どもたちそれぞれの個性を生かしてあげられるように見てください、という指導をしています。何を教えようとか、何ができることがゴールだ、というようなことは一切言っていません。その子がやりたいと思ったことをやれるように導いてあげてください、としか言ってないんですが、生徒のことをよく見ている講師は、生徒からも非常に人気がありますね。
そういった講師がいることが、「MEIKO CODELAB」の魅力だと思います。
編集部コメント
プログラミングに対して、まだまだ敷居の高さを感じている方が多いのは事実だと思います。教室に通う生徒さんや保護者の方に真摯に寄り添ってくれる「MEIKO CODELAB」の講師、教材、そしてカリキュラムは、難しそう、お金がかかりそう、といったイメージの代わりにプログラムの存在をぐっと身近に感じさせてくれるものでした。「MEIKO CODELAB」でのプログラミング教育との出会いは、これからの社会で求められる人材として成長する入り口となるのではないでしょうか。株式会社明光ネットワークジャパン
http://www.meikonet.co.jp/
Ozobot
https://www.ozobot.jp/
キャスタリア株式会社
https://castalia.co.jp/ja
(取材・文/冨岡美穂 撮影/コエテコ編集部)