「社会で求められる人材を育てたい」子ども向けロボットプログラミング教室「ProgLab」取材レポート
ロボットプログラミングの「楽しい!」が詰まった90分間の授業に密着しました!
【教室の様子】 使用する教材は全て教室が貸し出し
教室があるのは、東京メトロ『葛西駅』の目の前。『地下鉄博物館』の正面に建つビルの5階です。教室のすぐ目の前を東京メトロ東西線が走っており、窓から電車の発着が見え、電車好きにはたまらない環境です。
内装は明るくポップな印象。ベビースペースがあり、小さなお子さま連れでも安心して見学できます。

教室の奥には、使用教材の『教育版レゴ® マインドストーム®EV3』がズラリ。
ロボットもPCも教室で用意しているので、教材の買い取りやPCを新しく購入する必要はありません。入会金・教材費は無し、月謝以外の出費がないのは嬉しいところ。

ライントレースによる自律走行ロボット
今回取材した『スタンダードⅡコース』は、小学3年生~中学生を対象とした90分の授業を月に3回行うコース。取材当日の課題は、白いフィールドの上に描かれた黒い線にそってロボットを走らせる『ライントレース』でした。

まず、ライントレースの動画を見て完成イメージを明確にしたら、自分のロボットを持ってフィールドへ。
センサーで黒ライン上の反射光の数値(LEDの光がどれだけ反射して返ってくるか)を読み取ります。ロボットが線にそって走る『トレース』時に黒ラインを判断するための重要な数値です。
走行のためのプログラム作成は、レゴ®マインドストーム®用の『ビジュアルプログラミング』で行います。
画面上のブロックをマウスで動かし、組み立てて命令をつくります。キーボードの操作は、ほぼ数字入力のみなので、タイピングをやったことのないお子さんでも心配無用とのこと。

プログラムを組み終えたら、さっそく試走!上手に最後まで走れるロボットもいれば、途中でコースから脱線してしまうロボットもいる様子です。
講師の遠藤さんが「スピードが速すぎると、ロボットの動きが線からズレてしまうよ」とアドバイスすると、途中でコースを外れてしまっていたロボットも、プログラムを修正して最後まで走れるようになりました。
しかし、「正確に、でも、どこまで速くできるか試したい」とスピード調整を続けるお子さんも。挑戦も失敗も、すべてが『ロボット制御』を体験する貴重な機会です。

火星に電車(火星ライナー号)を走らせよう!
ライントレースの基本が分かったら、本日のメインミッションである『火星ライナー号』のプログラミングに挑戦!
火星の基地に見立てたフィールドを、ラインを読み取りながら進んでゴールを目指します。
ルールは色のある『駅』についたら、数秒停止してから走行を再開するというもの。ルートは途中で分岐しており、好きな道を選んで走らせてよい、とのこと。
「さあ、考えて!」の一言で、お子さんたちは一斉に開発に取り掛かります。

子どもたちの様子を見てみると、じっくり作り込んでいるお子さんもいれば、途中までプログラムを組んで動かしてみるお子さんなどさまざま。アプローチの方法はそれぞれですが、全員が試行錯誤を楽しんでいる様子です。
失敗しても笑顔なのが印象的。修正と挑戦を繰り返しながら、全員が没頭していくのが分かります。お子さんが集中しているときには、講師は声をかけません。

プログラミングを続けていくと、どのお子さんも、『駅』で一時停止したあとに走り出してから黒ラインに戻ることができずに苦心している様子。
ただまっすぐに走らせると、駅で停止したときの角度によっては黒ラインを見失ってしまいます。『ロボットが確実に黒ラインを見つけられるような走り出しかた』とは、どんなものでしょう?
お子さんたちは失敗を繰り返しながら、ロボットの挙動をじっくり観察してよりよい方法を考え、それをプログラムに落とし込んでいました。

試行錯誤が始まってから40分ほどが過ぎ、全員がじわじわとゴールに近づいてきました。ロボットの挙動もだんだん洗練されてきて、見ている側もドキドキ。そして、授業の終了間際。ついに一台のロボットがゴールを決め、拍手がわき起こりました。
授業の終わりには、次回の課題説明です。
次回の課題は、駅に置かれたブロックを回収するためのアームを作成するミッションを行うそう。説明をうけたお子さんたちは、すでに構想をめぐらせはじめている様子。全員がすっかりエンジニアの顔になっていました。

最後は「ありがとうございました!」の挨拶で授業が終わりました。ここから残って作業を続けるお子さんもいるそうで、生徒の熱量を感じました。
プログラボ葛西教室の室長、北山さんにインタビュー

自分で課題を探究、解決し、やり抜く力を育てる
-- 小学生に90分という時間は長いかなと思ったのですが、あっという間でしたね
授業時間の長さを気にされる親御さんもやはりいらっしゃいますね。それが気がかりで、まずビギナーコース(50分、年長~小学2年生対象)を体験される方もいらっしゃるのですが、その後にスタンダードコースⅡ(90分、小学3年生~中学生対象)を試してみて、「うちの子、こんなに集中が続くんだ!」と驚かれていました。お子さんたちは試行錯誤を楽しんで、飽きずに取り組んでいるようです。
-- 皆さん意欲的で、楽しそうに試行錯誤しているのが印象に残りました
お子さんが自分で課題を解決できるように、接し方には気をつけています。プログラボの理念は『探求心と自分でやり抜く』こと。講師は『どういう理由でその失敗がおきたのか』を体系的に紐解いてあげることに注力しています。正解だけすぐに教えられると、失敗した理由を考えなくなってしまいますから。
大変なときもありますが、そのぶん課題を自力で解決した瞬間の笑顔がとてもよくて、こっちも嬉しくなっちゃいます(笑)。思いもよらない方法が出てくることもあって、驚きますよ。
教室全体がひとつのプロジェクトチーム
-- 教室に通う生徒さんたちの様子について聞かせてください
体験会のときに「引っ込み思案な子なのかな?」と思っていたお子さんが、次第にいちはやく教室に来るようになり、分からないことはすぐ質問するなど、どんどん意欲的になったりしています。
住んでいる場所も年齢も離れた生徒さんが数回の授業で仲良くなって「今日は一緒に帰ろうよ!」なんて話している姿を見ると、子どもってすごいなあと思います。この教室が人と人の、それも共通の興味を持つ仲間との出会いの場になれたというのは、鉄道会社として嬉しいですね。
--鉄道会社さんが運営していることは、教室づくりにどんな影響があるでしょうか?
今回のテーマ『火星ライナー』やICカードの仕組みなど、課題のなかに鉄道や交通に関するモチーフを入れています。出張授業やイベントでは走行コースを都内の名所にするなど、地域にからめて、ワクワクする工夫をしていきたいと思っています。
-- もともと塾や学校ではない法人がプログラミング教室を運営するのは珍しいですよね
そこが、他社さんとの大きな違いだと思います。もとが民間企業なので、教室全体がひとつのプロジェクトチームのようです。ベテラン(講師)がいて、新人の部下(生徒)がいて……。将来、一緒に働く仲間を育てているような気持ちになります。
初めてロボットに触れる子も
-- 教材の『教育版レゴ® マインドストーム®EV3』について聞かせてください。
とてもよい教材だと思います。『プログラミング』と聞くとガリガリとコードを書くイメージを持たれるかもしれませんが、この教材はコードを書くというよりも『プログラミングの考え方』を育むことを重視しています。
この力は、開発ツールが違っても変わらずに使えるもの。この先ずっと応用が利くはずです。
-- 生徒さんは、もともとロボット教育に興味を持っていたご家庭が多いのでしょうか?
この教室で初めてロボットに触れる方もいますし、もとからプログラミングに興味を持っていたお子さんも、レゴが好きなお子さんもいます。本当にさまざまですね。
「もともと自宅に同じ教材を持っていたけれどイマイチ使いこなせない」という悩みがきっかけで、教室に通いはじめたお子さんもいらっしゃいますよ。「レゴで作ったロボットが動いた!」なんて喜んでくれると、「次は何を提案してあげようかな」とこちらもワクワクします。
お子さんと保護者さんが一緒に取り組めるような機会もつくってみたいですね。
身構えずに、まず来てみてほしい
-- プログラミング教育に敷居の高さを感じている保護者さんへ、メッセージをお願いします
本校の教材では、英語などのタイピングがいらない『ビジュアルプログラミング』を採用しています。
パソコンの操作で複雑なものはありません。ハードルは高くありませんので、身構えず、体験会を一度ご覧になっていただければ嬉しいです。
編集部コメント
今回の取材では、生徒さんたちがとても楽しそうだったのが何よりも印象的でした。この教室で習うような組み込み・制御系のプログラミングは、日常生活に深く根付いているのに普段の生活ではなかなか意識する機会がありません。そうした部分にもお子さんがちゃんと向き合い、課題を解決できるよう導く北山さんは、生徒さんにとって『理想の上司』になるのではないかと考えさせられました。
<ProgLabo〈プログラボ〉>
http://www.proglab.education/
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