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総合的な学習は、これまでの中学・高校でも授業として実施されてきました。そして2022年度より高校では新たな科目として「総合的な探求の時間」が実施され、中学では名称こそ変わりませんが、高校と同様の内容変更が行われています。ちなみに、小学校でも以前から総合的な学習で「探求学習」を取り入れています。
保護者世代には馴染みのない「総合的な学習」ですが、実は親にとっても子どもにとっても大きな意味のある授業なのです。今回の教育トピックでは「総合的な学習」を深堀りしていきます。
総合的な学習とは
総合的な(探求)学習とは、ひと言であらわすと「生きる力を育む」教育です。
総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。
引用:総合的な学習(探求)の時間/文部科学省
しかし、総合的な学習はとても奥深く、子どもの未来に向けた大きな役割を担っています。
「生きる力を学ぶ」とはいったい、どういう意味でしょうか? 探究的な授業とは何をしているのでしょう?
さぁ、一緒に学んでいきましょう!
総合的な(探求)学習が生まれた背景
平成28年中央教育審議会の答申では、「予測困難な時代に、ひとりひとりが未来の創り手となる」ことが示されています。
予測困難な時代のことを「VUCA(ブーカ)の時代」って言うんですって。でも、よくわかりません!
たとえば、今回のような感染症がまさか2年、3年とつづき、私たちの生活がこれほどまで変わるとは誰が予想したでしょう。
それだけでなく、「どこかの出来事」と捉えがちであった紛争や戦争も実際に起こり、輸出入や輸送が滞るなどして生活に直接打撃を与えています。
春の終わりから台風がきたり、信じられないような大雨が降ったり、異常気象だって、少し前までは考えられなかったことです。
そうなれば、自然と教育に求められるものも変わります。やれGIGAスクール構想だ、子どもひとり1台端末配布だと言われ、タブレットを入れたランドセルを背負った姿を見送りながら(で、タブレットなんか使って、学校で何をやってるのかしら???)と首をひねっている親は少なくありませんが、これだって時代に適応した結果。
今や、インターネットを使わない人はほとんどいません。スマホは生活の一部であり、気づけばさまざまな手続きがデジタル化されています。私たちの子どもが大きくなった時には、当たり前にあった仕事がなくなり、職業の選択肢がどうなっているのか想像もつきません。
前置きが長くなりましたが、まとめると、私たちの住む世界は今や、「おそろしいほどのスピードで想定できない変化や事象がおきる世界」になっているのです。だからこそ未来を担う子どもたちは、知恵と勇気と知識と技で、力強く生き抜いていかなくてはなりません。
日本の学校教育はかなり前から、「教科書を開き、先生の板書をうつして学ぶ」スタイルを変更すべく、さまざまな施策を行なってきました。そうした中で、総合的な学習は生まれ、今は探求の時間としてさらにもう一歩進んだ「新しい教育」となりつつあります。
では、その新しい教育を支える「3つの観点」を見ていきましょう。
総合的な(探求)学習の3つの柱~授業を通して育てたい力とは~
資質能力の3つの柱
① 知識及び技能
② 思考力・判断力・表現力等
③ 学びに向かう力・人間性等
総合的な学習では、上記の3つの力を育む意図があります。
① 知識及び技能
『何を理解しているか・何ができるか』探究的な学習のプロセスで、課題を解決するために必要な知識や技能を身につける。
いわゆる「教科書で学ぶこと」が知識。技能というと技術的なことを思い浮かべるけど、スキルや、スキルを使いこなす能力みたいな感じ?
概念とは何かと言えば「言葉で説明でき、つながっている知識」
引用:新学習指導要領と授業改革/久野弘幸/学校とICT
② 思考力・判断力・表現力等
『理解していること・できることをどう使うか』①の知識や技能を使って考える、情報を取捨選択し分析し、だからどうするかを判断して、わかりやすく人に伝える。
知識やスキルを学んでも、それを使うための「考え」や、分析する力、判断する力がなくては、知識やスキルを活かせません。
さらに「自分の意図を間違いなく相手に伝える力」「周囲に理解してもらえるよう伝える力」も必要です。
③ 学びに向かう力・人間性
『どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか』学んだ知識や技能を活用し、自ら積極的に取り組む。周囲と協働して取り組み、より良い生活や社会を実現する。
具体的には主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する力、よりよい生活や人間関係を自主的に形成する態度等があり、自分の思考や行動を客観的に把握し認識する、いわゆる「メタ認知」に関わる力を含むものです。また、多様性を尊重する態度や互いのよさを生かして協働する力、持続可能な社会づくりに向けた態度、リーダーシップやチームワーク、感性、優しさや思いやりなどの人間性等に関するものも幅広く含まれます。広範囲にわたりますが、①と②を上手に使う応用力とでもいうのでしょうか。ちなみに「メタ認知」とは、「何を認知しているか」を認知することだそうです。
引用:教育課程の実施と学習評価/文部科学省
探求学習って、不思議な言葉がいっぱいある……「何を認知しているか」を認知する、って???
要するに①・②の「知識や思考力・判断力」といった力を総合的に活用する力とも言えます。
そして、人は「ひとりではなく」、誰かと共に物事を解決していくことができることを体験を通じて学んでいきましょうということですね。
3つの観点によって「成績のつけかた・通知表」が変わった!
少し前から「なんか通知表(成績表)の評価が厳しくなってない?」なんて話題が親の間でのぼるようになりました。通知表を見て「あれ?前と違う」と思ったことはありませんか?
10年前の通知表と比べると項目が変化していることがわかります。
数年前まで学習の評価観点は4つありましたが、現在は次の3つになっています。
- 知識・技能
- 思考・判断・表現
- 主体的に学習に取り組む態度
なんか「総合的な学習の時間」3つの柱(①知識及び技能②思考力/判断力/表現力等③学びに向かう力/人間性)に似ていませんか?
前述した「総合的な学習の時間」3つの柱のひとつ学びに向かう力・人間性等は幅広く、感性や思いやりといったことも含まれています。しかし、文部科学省によると、通知表で「思いやり」「感性」は学習状況の評価対象とはならないため、「主体的に学習に取り組む態度」と設定したとなっています。
下記は、小学校通知表の一例です。
各科目が、それぞれ3つの観点で評価されていますね。
そっくり同じではありませんが、要するに総合的な学習の時間における3つの観点は、各科目の評価でも「ここを見て評価しなさいよ」というポイントでもあるわけです。
知識・技能 |
ペーパーテストでのいわゆる知識問題の他に、記述式(文章による)での回答や、観察や実験、式やグラフでの表現など、知識や技能を使って答える問題に対する回答 |
思考・判断・表現 |
ペーパーテストだけでなく、レポートや論文、グループでのワーク、作品の制作など。これらを集めたポートフォリオを評価するなど |
主体的に学習に取り組む |
単純に「よく手を挙げて答える」「きちんとしたノートをつけている」といったことだけでなく、試行錯誤しながら学ぼうとする意欲なども評価の対象になる |
実際には、成績表の評価の仕方はもっと複雑ですよ。ただ、こうした評価方法へと変化していることは知っておいたほうがいいですよね。
もしかしたら、たとえば発表やグループみんなで協働する中で、先生からすると「もっとがんばってほしい」面があった可能性もあります。特に主体的に学ぶというのは、あいまいですし評価の仕方もある程度は先生によって違いがあるはず。
いずれにしても、通知表の評価ポイント(見るべき点)が、以前よりさらに整理され発展した「3つの観点」であることは、知っておきましょう!
なぜ探求学習(総合的な学習)が必要なのか
予測不可能な時代に「生き抜く力」
AI(人工知能)が当たり前になり、これからは親世代の想像を越えた社会になると言われます。予測できない未来を生き抜く力を育むには、これまでのように「国語・算数・理科・社会」と教科ごとに知識を得るだけでは難しくなるでしょう。答えのない時代に、「正解や正解への解き方を教える授業」だけでは、将来子どもたちに必要な力が身につかない。だから、正解を教えるのではなく、まず課題を見つけることや、考えることや、たくさんの情報から取捨選択ができるような力を育てようということです。
実社会に即した「体験・経験」を積む
旧来の授業では、とにかく丸暗記してテストで良い点をとることが重要でした。高学歴で大企業に入るというのが、わかりやすい「親からすると安心な子どもの将来」だったわけです。しかし、今、重視されているのは「どのように社会や世界と関わり、より良い人生を送るか」であり、それに関わる資質や実践的な能力を伸ばそうというのが最近の考え方です。たとえば、小学校の総合的な学習の時間では、よく地域に根ざしたテーマが取り上げられます。
「わたしたちの町をもっと有名にしよう」というテーマから、子どもたちは地域の名産や農作物、あるいは観光資源を調べます。さらに街の人にインタビューをし、何が課題なのかを見つけ、それをどう解決していけば「町おこし」ができるのかをまとめます。
総合的な学習の時間では、情報を収集することや分析することを実際に行います。
インタビューをするためには、事前にお願いをし日程調整をすることや、終わったあとにお礼状を送るといったことも経験するでしょう。グループで話し合いながら担当を決めたり、誰かが困っていたら助け合うことも経験します。
発表のための資料作りや、わかりやすくするためにグラフやイラストを使うといったことも、みんなに納得してもらえるような根拠となるデータが必要だということも学んでいきます。
このような体験を通じた学びこそ、実社会や実生活に必要な知識・スキル・経験値となりえます。
「何を知っているか」から「知っていることを使って何ができるようになるか」を重視しているのです。そのために必要な能力として3つの柱があるわけですね。
探究的な見方・考え方のプロセスとは
引用:小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説/文部科学省探求のプロセス
①課題の設定 体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ
②情報の収集 必要な情報を収集する
③整理・分析 収集した情報を、整理し、分析して考える
④まとめ・表現 気づきや発見、自分の考えをまとめ、判断し、表現する
①〜④の流れは、社会人になってチームでプロジェクトにあたる時や、何か困ったときにそれを解決するための基本的なプロセスです。
総合的な(探求)学習では、いろいろな授業や体験学習を通じて、上記を試行錯誤しつつ繰り返し学んでいきます。
おすすめの探究学習教材
すらら
- ひとりひとりの合った学習内容(個別最適化)
- 小学生〜高校生まで対応のデジタル教材
- 学年にこだわらず学習が可能
「すらら」はアダプティブな対話式ICT教材です。アダプティブとは、適応するという意味、ひとりひとりの学習レベルや環境に合わせた(適応した)学びが可能です。
理科では、身近な減少に対する疑問を拾い上げ、実験を中心としたカリキュラム、また社会では情報を読み取る能力を育むなど、探究型学習を自宅で実践できます。
すらら教材は、国内では約2,171校の塾、学校等に提供されており、その実績からも多くの教育者に信頼されていることがわかります。
天神
- 教科書準拠で学びやすい
- インターネット不要で使用できるデジタル教材
- 一問一答で子どもが集中しやすい
天神のデジタル教材はインターネットが不要で使用できます。カリキュラムはレクチャー・ウォーミングアップ・問題回答と3つのスモールステップで進みます。
スモールステップで学びながら、「課題の設定・情報収集・整理・まとめ」といった探究のプロセスを自然と体験できるようになっています。
「探求の学習=生きる力を育てる」は家庭でも教えていきたいこと
深堀りすればするほど、あまりに範囲が広くてわかりづらい面がある「総合的な学習と探求学習」。しかし、私たち親は、教師以上に切実に感じているものがありませんか?
それは、「この子が大きくなった時、今とは違う世の中になるだろう。そこで、子どもはちゃんとやっていけるだろうか」という不安です。
成績はむろん悪いよりは良いほうがいいに決まっています。しかし、それ以上に今、子どもたちの未来を考えたら、
「どんどん変化する世の中の流れに溺れることなく、波を乗り越え、ゆうゆうと泳いでほしい。自分の価値を見出し、さまざまな出来事に遭遇しても『生き抜いていく力』を身につけてほしい」
と親の考えも揺れ動きます。
とはいえ、考えてみると、実はいちいち意識していないだけで、親は自然と「子どもの将来のためにも」と、文部科学省が言うところの「思考力」だの「判断力」だの「技能」だのを、教えているんですよね。
夏休みをはじめとした長期休暇に、子どもと身近な問題を取り上げ、自由研究のテーマにするのはどうでしょう?
親子で料理をするのでも、スーパーで家族の健康を考え献立をたてて予算の中で買い物することも、「節電するためにはどうしたらいいか?」と話し合いながら、電力について調べたり、実際にできる節電方法を書き出してみることだって、立派な探求学習なのかな、と思うのです。
今回ご紹介した「総合的な(探求)学習の3観点」を、親も少し意識してみませんか?
親が想像もしていないような世界になったとしても、子どもたちが知恵と勇気と技で、自ら立ち上がり、周囲と手をつないで、力強く進んでいけるように。
参考資料
文部科学省の記述は、保護者からすると抽象的で難しい単語が並んでわかりづらい~