勉强しているかと思えば、ぼーっとしていたり。10分たっても20分たっても、漢字ドリルの半分も終わっていなかったり。結果、「他のことを考えていないで集中しなさいよ!」なんて怒鳴ってしまうこともありますよね。
今回の教育トピックでは「集中して勉强できる方法」をご紹介します。実際にいくつかの方法を試した保護者の体験談も併せて掲載しましたので、ぜひ参考にしてください。
子どもの集中力は何分?
子どもの集中力は、周期としては「15分」、おおむね40分程度しか持続しないそうです。集中力は90分が限界というものの、集中力の波は15分周期と言われている。特に小学校低学年の段階では、この周期がはっきりしていて、15分で飽きがくる。
人は普通どのくらい集中できるのか、医学的見地から考察すると、40分程度と言われている。出典:人間の集中力はどれくらいか/京都工芸繊維大学情報科学センター
また、株式会社ベネッセコーポレーションによる調査では、15分ごとに休憩をはさんでいる学習グループと60分の学習グループを比較し、集中力が40分程度しか持続しない可能性があるとしています。
こちらのデータでは15分ごとに休憩をすると、集中力が再びアップしますが、60分では40分を過ぎたあたりから下降線をたどっていますね。
大人でも、まるまる1時間集中して仕事をするのはなかなか大変です。
ましてや落ち着きがなく、他のことが気になってしまう子どもにとっては、どうやら「15分」が集中できる周期、時間と言えそうです。こうした事実を踏まえた上で、子どもが集中して勉强できる方法を探っていきましょう。
子どもの集中力を高める勉強方法3つ
子どもの集中力を高める勉强方法3つ- 15分ごとに区切る
- 45分を目安にする
- タイムアタックの効果
①子どもの集中力を高める「15分ごとに区切って勉強する」
特に低学年のお子さまや、勉强が苦手というお子さまにおすすめなのが「15分」で区切る勉強法です。15分で何ができるの?と思うかもしれませんが、低学年の宿題では音読や、簡単なドリル1ページ分はこなせるのではないでしょうか。
小学校1年生なら15分を2回で、30分で宿題が終わるペースなら万々歳です(もちろん宿題の量にもよります)。低学年なら1日30分、これを毎日続けられたら立派なものです。
実践したママ・パパたちが感じたメリット・デメリット
常におとなが見守らないとならない
15分で区切って学習させると良いと雑誌で見かけて、わが子がなんとか勉强に集中できるようにと試してみました。確かに15分ごとに声をかけて、少し休んで別のことをやらせると、結果的にダラダラとダイニングテーブルの上に教科書やドリルだけ開いているよりも、進んでいるようでした。とはいえ、小学校低学年の子どもでは大人がそばについて時計をみながら「あと5分だよ、頑張って」とか「休憩タイムはじまり!」みたいに、モチベーションがアップするような声がけも必要ですね。それが毎日となると、一番いそがしい夕方に、下の子のお世話もしながらでは、なかなか続かず……。
集中力というより、親の忍耐力が足りずに挫折しました(Kさん/子ども・4歳と小1)
15分+5分休憩を2セットでうまくいった
学童から帰ると疲れているのか、放っておくと終わっていない宿題を広げたまま、テーブルに顔をのせてボケーっとしているんです。小1ですが、だいたい音読と算数ドリルが残っているので、それぞれ15分としてキッチンから「はい、勉强タイムスタート!」と掛け声をかけています。それでハッとするのかひとまずドリルには集中している様子。5分休憩には夕飯前なので、軽くグミとか普段は麦茶だけどおやつ的にジュースをあげて気分転換をさせて、残りの15分で音読だったり、終わっていない宿題をやる感じです。
それでも宿題が終わらなければいったんやめて、翌日の朝にさせていますが、私も(35分間だけは子どもに集中)と考え、なるべく側で見守るようにしています。
今のところ、うまくいっているので、2年生になったら、さらに15分増やして、45分間は勉强をさせたいなと思っています(Hさん/子ども・小1)
②子どもの集中力を高める「45分を目安にする」
45分は小学校での基本的な授業時間と一緒です。小学校3~4年生あたりからは、毎日、放課後に45分の勉強時間は確保したいところですね。中学受験をめざす子どもたちはこの頃から1日2時間程度の学習(塾も含めてですが)をこなし始めます。よく言われる小学生の勉强時間の目安「学年✕15分」「学年✕10分+10分」でいくと、4年生ならば約1時間が基本となります。45分方式でいくと、45分にあと15分の1回をプラスすれば1時間です。もっとできる子もいるでしょうが、この辺りをめざして頑張っていきましょう!
「勉强する時間」をきちんと継続できる習慣をつけたら高学年から中学へと進む進路でも必ず役に立ちます。45分はとてもわかりやすい目安なので、1時間が難しいようなら、まず1日45分、続けて勉强する(つまりは学校の授業でも集中できる力がつく)習慣をつけましょう。
実践したママ・パパたちが感じたメリット・デメリット
スケジュールを組んでタイムマネジメントする力がついた
前は時間を決めていなかったのですが、そうするといつまでも始めなかったり、始めても途中で下の子と遊び始めたり、夕飯までに何も終わらないことも多くて、こちらもイライラしっぱなし。上のお子さんを中学受験させたママから「子どもの集中力は15分周期だから、✕3セットで45分という学校の授業は理にかなっている」「だから家でも、45分で区切って2コマみたいに考えてやらせている」と聞いて、試してみました。
大きな時計を置き「6時15分までだよ」と言って、今日やるべきものをすべてテーブルに並べさせてからスタートします。それを続けてきて、今、小4なのですが、学童は終了したものの、とにかく帰宅したら自分で時計を置いて勉强しているようです。
友だちと遊びに行く約束をする時も「45分の学習時間をいつやるか」を考えているようで、集中するだけでなく時間を意識するようになったのも良かったと思います(Tさん/子ども・2歳と小4)
うまく時間内におさまらずにやりづらかった
夫が何で知ったのか「45分が集中力の限界らしい」みたいに言うので、やらせてみました。でも、毎日出る宿題の量が違うので、必ずしも45分では終わらないし、いったん休憩するともう夕飯だお風呂だという時間になってしまいます。うちでは時間で区切るより、今日やるものを「音読・漢字ノート・計算ドリルの直し」みたいに書き出して、ひとつ終わるごとに消していき、全部終わったら「ゲームもOK」という方法が合っているみたいです(Sさん/子ども・小3)
③子どもの集中力を高める「タイムアタックの効果」
タイムアタックは、15分とか45分といった「時間の区切り」で勉强する考え方にプラスして、タイマーをかけることで、より一層「時間」を意識させて集中させる方法です。タイマーは時間になるとベルが鳴り響くわけで、親の声がけより「時間内に終わらせようと集中できる」場合もあるようです。塾などでも多く使用されている方法であり、とてもわかりやすい効果があります。
一方で、タイムアタックによってプレッシャーを感じたり、最初はよくても次第に追い詰められている感じがして逆に集中力に欠けるケースもないわけではありません。しかし、一度は試してみる価値はあります。
実践したママ・パパたちが感じたメリット・デメリット
ゲーム感覚で楽しんでいた
スマホを15分にセットして、宿題やドリルをやらせています。特にドリル関係は時間より早く終わらせようと集中するのでいいかなと思います(Mさん/子ども・小3)
きーっ!となりやすいわが子には向いていなかった
テレビで見て良さそうと思ったのですが、決まりごとを守るのに神経質なところがある次女は、タイマーが鳴るまでに終わらないとカッカして不機嫌になります。本人に任せた方が落ち着いて勉强ができるみたい。子どもの性格により「合う・合わない」があると思う(Iさん/子ども・小1と中1)
集中力を高めるには「リフレッシュタイムも必要」
集中力の継続には限界がある以上、タイミングをみはからって適度に休憩をとるのは大事です。
15分ごとに休憩を入れるなら、飲み物をいただくとかラジオ体操をさせるとちょうどいいようです。「TikTokのダンスが好きで休憩の5分で流して一緒に踊っている」なんていう声もありました。いいアイデアですね。
ただし休憩タイムにスマホやタブレットを渡してしまうと、そちらに集中してしまうから逆効果という声もあります。
45分の場合には、15分程度の休憩を入れて「おやつを食べる」「気分転換のため、近くのコンビニに好きな飲物を買いに行く」のほか、「洗濯物を畳んでもらったりトイレ掃除をしてもったりしている」とお手伝いタイムにしているツワモノのママもいました!
なんでも、勉强とお手伝いは必ずやる約束なので、「セットで終わらせて自分が好きなことができる時間を増やすために」子ども自ら考えついたそう。
いずれにしても下降していく集中力を取り戻すため、リセットする時間は大切です。
集中して勉强するためには準備も大事!
- 勉強する場所を片付ける
- やるべきことを優先順位をつけて明確にする
- ルーティンを決める
もうひとつ重要なのが「これから何をやるか」子どもがわかっていることです。
これは小学校1年生のママが毎回「なぐり書き」している、勉强表なのだとか。終わると蛍光ペンで消していきます。
何をやるのかわかっていてこそ、時間を有効に使えます。ほんの1〜2分あればできる「今日やること表」は低学年のうちは親がやってあげるといいですね。
勉强を始める前に周囲を片付ける、麦茶を飲んで「チョコを1粒食べて」、今日やることを書き出したらタイマーをセットする。こうした一連の流れ、つまりはルーティンを決めておくとすんなりと勉强タイムに入りやすくなります。
誰でもみんな「飽きっぽい」!
「うちの子は飽きっぽいから」「集中力がないから」
「ゲームならずっとやれるのに教科書開いたら5分も持たない!」
そう話す保護者は本当にたくさんいます。わたしもしょっちゅう「なんで集中して一気にやらないのかな〜」なんてブツブツ言っていました。
時間で区切る方法はひとつの手段に過ぎません。体験談にもあったように、合う・合わないもあります。ただ「なんで集中してやらないのッ!」と言うだけでは解決しません。まずは、今回ご紹介した方法を試してみてはいかがでしょうか?
小学校1年生がきっちり30分(15分×2)集中して勉强できたら、いっぱい褒めてあげてくださいね!