でも、こんなことはありませんか?
「てっきり夫は子どもを中学受験させたいのだと思っていた」
「小1から英語や塾に入れるというので驚いた。のびのび育てようと言ってたのに!」
家庭内で互いの「子育て論」を勘違いしていることは少なくありません。
今回の教育トピックでは、先輩ママ・パパたちの体験談を中心に「夫婦で育て方の考えが合わない時」「教育方針の違うママ友との付き合い方」など、教育方針について取り上げます。
なぜ教育方針をたてるのが大切なのか
① 育て方や進路など子育ての思いを共通事項にすることで子どもが混乱しない
② 意見の食い違いによる余計な喧嘩をしないですむ
③ 教育方針について話すことで教育費を具体的に考えられる
母親は「幼児教室とピアノをやらせたい」と思い、父親は「団体スポーツで仲間作りをしてほしい」と思い、意見が食い違うことは珍しくありません。
家庭での子育てに対する考えは、なるべく同じ方向で合わせておきたいですね。
なぜなら、まず第一に子どものことで親が喧嘩するのが子どもにとってもっとも嫌なことだからです。
育て方はやがて教育方面にもわたり、受験を含めた進路にも関わってきます。すると、ライフプラン、要するに教育費など家計にも大きく影響します。教育費は子育て世帯にとっては大きな割合を占めるので、子どもの将来を長い目で見て計画的に貯めていかなくてはなりません。
教育方針というと硬いイメージですね。でも「ウチの子にはこんなことをやらせたい」「こういう風に育てたい」と日頃から、それぞれの思いを家庭で確認し合うことが大切です。
教育方針の3本柱とは
- 育て方
- 学習
- 進路
学習は、小さいうちは好奇心を大切にする、いろいろなところに家族ででかけて刺激を与える、あるいは教育玩具を利用したり、幼児向け通信教育をやってみる、といったこともあるでしょう。小学生になれば、塾に通わせるのか、家庭学習をしっかり身につけさせるのか、といったこともあります。
進路はもちろん本来は子どもが希望し求めていくものです。しかし、幼児期から中学生くらいまでは親が進路の道筋を提案していくことになります。公立なのか私立なのかは、親の意見が対立しやすいテーマでもあります。
あなたの家の教育方針は?先輩ママ・パパたちに聞いてみた
夫婦で教育方針が合わない!
育った環境が同じでも子どもの進路で意見がぶつかることも
まさか夫が子どもに中学受験を考えているとは思ってもいませんでした。小1の秋頃、テストで70点をとってきたら夫が「今からこんな点数じゃダメだ」と子どもを叱るのでびっくり。その後、夫と話したら受験の話が出てきたのです。「お前だって附属育ちじゃないか、当然子どもにも受験と考えていると思ってた」と言われ、ああ、思い込みって怖いなと思いました。
私は受験が大きなストレスだったので、子どもはのびのび、公立で様々な子と混じり合い、力強く育ってほしいと思っていました。そのため、最初は夫と全く意見が合わず。もっと小さい時から漠然とでもいいので子どもの将来や教育方針について話し合っておけばよかったと思います。
今、長男は小4ですが本人から受験を言い出したので、希望するならと私の意見はひっこめました。正直、この年齢なら親が説得すれば考えも変わるかもしれず、モヤモヤは残っていますが(Iさん/女性/子ども・小5)
夫婦で公立vs私立で離婚寸前に!?
私はずっと公立育ち、夫は小学校受験組なのでまるきり育った環境が違います。夫が「子育てで当然と思っていること」が、私にはちんぷんかんぷんのこともよくあります。しかも姑も口を出してくるので、よけいに面倒くさい。とにかく小学校受験は断固反対し、一時期、夫婦仲さえ危なくなりました。公立育ちを馬鹿にするような言動を聞いた時は本当に離婚の二文字が頭をよぎりました。
今は「子どもが小3になったら塾に入れて、あとは本人がどう思うか」と子どもの意思を尊重することで話は決着。
でも頻繁に「公立中は大変だぞ」「私立の中学はいいぞ、図書館や食堂もすごいぞ」と夫が子どもに良いことばかり吹き込むのがイラッとします(Eさん/女性/子ども・小1)
価値観の違いで話し合いも平行線
子どもの意思に任せることは共通しているが、妻はとにかく学校から落ちこぼれたら大変と、そればかり気にしている。私は子どもは友だちと公園で遊んだり地域の行事に参加したりするのが大事と思っている。妻は「学校の成績が最優先」「英語も小学校のうちからやらせないと」と習い事ばかり探してくるので、その辺りで意見が合わない。
また家計のことも「教育費最優先」だが、私は家族旅行が楽しめる今のうちに日本中をめぐりたい、キャンプなども経験させたいと思っている。ボーナスの使いみちでも結局、貯蓄する妻と家族レジャーを楽しみたい私とで揉めることになる。
価値観の問題だから話し合っても平行線になりがちだが、理詰めだけでなく、男親の気持ちとして何度も訴えたら、次第に妻の気持ちも変化してきた。夫婦といえどもすべてわかりあえるわけではない。子どものことは普段からよく話し合うのが大事だなと思った(Wさん/男性/子ども小3と4歳)
「ママ友と教育方針が違う」はトラブルの種?
あまりに考え方が違うママとはつきあえない
教育方針というか、育児の方針があまりに違うママとはつきあいづらいというのが実感です。私は子どもが悪いことをしたらその場で自分の子以外にも(わが子ほどにはきつくは言いませんが)「それはよくないよ」と声をかけます。うちの子も、お友達の家や外で悪いことをしていたら他のママに叱ってほしいとも思っています。
あるママに「うちの子に何か言ったみたいだけど、自分ちの子だけ叱ればいいでしょ」と言われました。こういう人とはお付き合いできないなと思ったことがあります。
多少の違いがあるのは当然ですが、根本的に育て方に違いがあると親しいお付き合いは無理だと思います(Eさん/女性/子ども小2と2歳)
自分の家の教育論を押し付けないで
ママ友のAさんは上のお子さんがいわゆる難関校に通っています。とにかく「こうすれば頭の良い子が育つ論」が強すぎてAさんにはウンザリぎみです。「うちは小学校の間は勉強は宿題をちゃんとやればいいと思ってるの、たくさんお友達と遊んで、喧嘩したり仲直りしたりしながらコミュニケーション能力を育ててほしいと思っているから」
だから、Aさんのやり方はAさんのおうちでだけでどうぞ、わが家に押し付けないでねと暗に伝えたつもりなのですが。
それがカチンときたのか、「そのままだと落ちこぼれて、地元の中学から最低ランクの高校、そしてFラン(三流大学と言いたいらしい)大学行きだけど、大丈夫なのぉ?」と彼女に言われました。
ちょっとこの人とは無理だなと思い、最近はなるべく距離をとるようにしています(Mさん/女性/子ども小1)
あまりに自然派は不自然すぎてつきあえない
小学校に入ってから子供同士が仲良くなり、保護者会などでママとも話すようになりました。LINEの交換もしたけど、少しつきあってわかったのが「超ナチュラリスト」であること。その家庭で行うのはいいけど、たとえばうちの娘が少し湿疹ができると、着せている服がよくないとか洗剤はコレにしろとか言う。玄米とか無農薬野菜とかも、頼んでもいないのに持ってきて、しっかり明細書を渡してくるのも驚愕。つまり払えってことだろうけど、うち頼んでいませんから!
しかも、うちに遊びに来て子どもが勝手に冷蔵庫をあけたり、寝室に入ったりしても叱りもせず「のびのび自然体が大事」「それがうちの教育方針よ」「あなたも同じでしょ」と決めつけてくるのには驚いた。
「まるで考え方が違う人とは深入りしないほうがいい」と夫にも言われ、子どもは外では一緒に遊んでいますが親子で我が家にあそびに来るのはやんわり断り続けています(Rさん/女性/子ども小1と3歳)
教育方針は夫婦や家庭ごとに違っていて当然だけど
教育方針は夫婦で方向性さえ一致していればいい
夫婦で教育方針が違ってもおかしくないと思う。ただ、明らかに正反対の考えだと、子どもも振り回されるので、大きく方向性が一致していればいいのでは?
たとえば、小学校や中学校受験をするのか、とか、幼児期から本気でスポーツや芸術に打ち込ませるようなことは、片方の親だけで突っ走るとまずいと思う。それ以外は、ひとりが細かいことで叱り、ひとりは「それくらいいいじゃないか」というのはよくあること(Nさん/男性/子ども・小4)
周囲の育て方や教育方針はスルー「わが家はわが家」で
子どもを生んでからわかったのは、とにかく外野がうるさいってこと!先輩ママや身内だとか近所の顔見知り程度の人まで、アレコレ言われます。確かに役立つことや励みになることもあるけど、教育方針まで口出されてもね。私は自分の考えと違うなと思ったら、はいはいそうですねでスルーしています。
ちなみにシングルマザーです。そのため夫との意見の違いはありませんが、母子家庭だから~から始めるご意見等々も「ああそうですか」です。
私はとにかく小さいうちから子どもに「自分のことは自分でやる」、経済的な余裕はさほどないので「他の誰かと比べない」「高校まで公立で、大学の費用は全部は用意できないよ」と常に言い聞かせています。
実家の親が「可愛そう、習い事や塾代なら払ってあげるから行かせなさい」と言うのですが、暮らしの身の丈に合った育て方が私が思う「わが家の教育方針」なんです(Tさん/女性/子ども・中2と小4)
何度も話し合って「子ども中心で」を大切にした
幼児期はあまり感じなかったが受験がからんでくると夫婦で意見が食い違った。夫は経済的な理由から高卒で、仕事をしながら資格をとり独立。その後は比較的余裕のある暮らしで、40歳すぎて私と結婚し娘が誕生。苦労してきた人だけに子どもの自立心を大切にすると思ったら、その逆で「子どもには良い環境の学校でお嬢様に育てたい」とか言うので正直ビックリした。
女性も働くのが当然の今、やりたいことを見つけ、手に職をつけたり、専門職についてほしいと思う私とまったく意見が合わなかった。
でもたくさん話すうちに、夫の娘に対する愛情も理解できたし、夫も私の考えにも納得してくれた。そして子どもにはいろいろなことをチャレンジさせる、本人が行きたい学校があったり受験したかったら全面的に協力するが、親から提案はしないということに。
夫婦の意見が完全に一致することはなかったけど、親ではなく子どもを中心に物事を見て、教育方針や進路を考えるほうがいいのかなと思います(Oさん/女性/子ども・20歳)
教育方針は日頃から家庭で気軽に話し合っておこう
ちなみに幼稚園や小学校の入園入学時に提出することが多い「生活調査票」「家庭調査書」などには、家庭の教育方針について書く欄があります。日頃から話し合っておけば、迷わずに書けますね。
とはいえ「教育方針」という言葉は意識していないかもしれませんが、家庭で子どもの育て方について話をしているおうちは実際には多いのではないでしょうか。
まずは自分が子どもの育て方や進路についてどう思うか、一度じっくり考えてみてはどうでしょう。
それから家庭で話し合ってみる。「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」と、意見を戦わせるのではなく、教育方針についていろいろな思いを語り合いましょう。そして互いの気持ちを確認しながら方向を一緒にするための微調整をしていくのが良さそうですね。