柔らかい感性を持つ10代のうちから異文化をはじめとする多様な価値観に触れたり、違う言語を話す国の人とのコミュニケーション方法を学ぶ機会を得ることができれば、ぐっと視野を広げられる他、自然に国際感覚を身に付けられるでしょう。
そんな社会情勢の変化と若い世代への期待から、高校生の留学は年々増加の一途を辿っています。既に高校生留学を検討している保護者様・お子さまも多いのではないでしょうか。
しかし高校生単身での留学に不安を感じることも少なくないでしょう。
そこで本記事では、高校生留学についての現状や人気の留学先などを紹介します。
高校生留学を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
高校生で海外留学する目的
海外留学支援事業を展開するディーサイド留学情報センターが実施した『高校留学に関するアンケート調査』によると、高校生で留学しようと思った目的は、次の通りの結果となりました。- 語学勉強:49.4%
- 異文化交流:24.8%
- 進学や就職のため:14.1%
- 親からの勧め:7.4%
- 海外旅行:3.2%
参考:ディーサイド留学情報センター
約半数が語学勉強を目的に留学に挑戦しているようです。
続いて異文化交流や、進学や進路のためと続き、「世界の様子を知りたい」「将来を見据えて留学したい」と考える高校生も少なくありません。
親からの進めが僅か7%に留まることから、子どもがグローバル社会に対して強く関心を抱いており、子ども自ら能動的に留学に挑戦している様子が伺えます。
高校生が海外留学に挑戦するデメリット
ここでは、 高校生が海外留学に挑戦するデメリットを紹介します。留学費用の負担がある
留学は、短期間でも渡航先やカリキュラムによっては費用負担が高額になるケースも珍しくありません。また留学期間が長くなればなるほど、費用が高額になります。高校生のうちから多額な費用がかかることに対し、費用対効果を疑う保護者も少なくないでしょう。少しでも費用を抑えたいと考えるのであれば、国が運営する留学支援サービスや手数料無料のエージェントを利用するのも1つです。
また留学は、語学力向上だけが目的ではありません。
若いうちから異文化を経験できる高校生留学は、金銭に代えがたい経験も得られるでしょう。
ホームシックや言語の壁によるメンタル面の不安
留学先での生活は日本での生活とは全くの別ものです。そのため、まだ家族に頼りたくなる年齢である高校生は、ホームシックになる可能性も大いにあるでしょう。また言語の違いによってコミュニケーションが円滑にとれず、ストレスから塞ぎ込んでしまう懸念もゼロではありません。せっかく多額の費用を掛けたにも関わらず、ホームシックや言語の壁によってメンタルが弱ってしまい、期待する経験や学習を得られないこともあります。
特に初めての留学は、ホームシックや語学の壁にぶつかる懸念もあるため、短期留学から挑戦していきましょう。
大学入試対策が遅れてしまう
日本と海外では、新学期の時期がずれているため、留学する時期によっては大学入試の対策が十分に行えない可能性があります。高校生のうちに留学するのであれば、1年生・2年生の時期に渡航できるよう調整しましょう。また大学入試対策に懸念を感じるのであれば、海外大学への進学を視野に入れるのも1つです。
留学経験がそのまま大学進学の足掛かりとなるため、留学経験をより一歩先へと昇華させることができるでしょう。
トラブル対応
日本は、世界的に治安が良い国と言われています。一方留学は、不慣れな海外生活を送ることに加え、活動地域によっては、軽犯罪などのトラブルに巻き込まれる可能性も少なくありません。特に高校生の留学は、犯罪に巻き込まれないよう、世界的にも治安の良い国を選ぶことはもちろん、地域にも気を配りましょう。
また良くあるトラブルに関して、地域に合った対処法を保護者と一緒に確認しておくことも大切です。
いざという時の対処法を知っているだけでも、有事の事態に対して適切に対処できるでしょう。
高校生が留学に挑戦するメリット
続いて、高校生が留学に挑戦するメリットを紹介します。将来に向けた選択肢が広がる
高校生という柔軟な思考・豊かな感受性を持つ年代のうちに、日本から飛び出し現地の人々と交流し異文化に触れることで、劇的に視野が広がるでしょう。また親元から離れ1人で高校生活を送らなければならない留学では、日本での常識や甘えは一切通用しません。実際に3割ほどの高校生がリタイアを考えると言われるほど。
しかし、自分の頭で考え行動し続けることで、人間的な成長を促してくれるでしょう。また自分で考える力が養われ、自然と将来のキャリアについても深く・具体的に考えられるようになります。
そのため、将来の選択肢を自分から広げ多様な選択肢の中から、自分の思い描くキャリアへの道や興味・関心を強く持つ道へと進むことができるでしょう。
大学入試の際に有利に働くこともある
高校時に2年以上留学を継続した生徒は、大学指定の条件を満たしていれば帰国生入試を利用することもできます。また近年はAO入試を導入する大学も増えつつあります。AO入試とは、生徒の意欲や素質、構成、能力、そして大学との適合性・親和性などをもとに合否を判断する入試方法。AO入試で海外での留学経験をアピールすることもできるでしょう。
また海外の大学に進学する高校生も少なくありません。中には日本の大学と海外の大学を併願する子どももいます。
海外大学への進学を選択できる点は、高校生留学ならではの魅力と言えるでしょう。
留学を検討する際には留学エージェントに相談することがおすすめです。
チャレンジマインドが醸成される
文部科学省が運営する『トビタテ!留学JAPAN』を通じて海外留学をした高校生に対して行われた調査では、「留学で得たもの」を問う設問において83%もの高校生が「何事にたいしても挑戦するチャレンジ精神」を得たと回答しています。参考:文部科学省『トビタテ!留学JAPAN』
多くの高校生が自発的な行動や思考が求められる環境の中で、日々試行錯誤しながら自発的に挑戦を繰り返し、生活スキルや問題解決力などを磨いている様子が伺えます。
短期間で語学力が伸びる
高校生は、大人に比べて言語の吸収が早いため、短期間で簡単な日常会話ができるようになる可能性もあります。中には、週1回の英会話スクールに通うよりも飛躍的に英語力が高まる高校生もいます。このように留学の効果を最大限得られる点は、高校生が留学する大きなメリットと言えるでしょう。
また子ども自身も英語力の向上を実感できるため、英語学習が楽しくなるといった好循環が生まれるでしょう。
高校生に選ばれている留学先
続いて、高校生に選ばれている留学先を紹介します。文部科学省が公表した『高等学校等における国際交流等の状況』によると、高校生に選ばれている留学先は、次の通りです。
参考:留学先おすすめ
●短期留学(3か月以内)
一昔前、高校留学と言えばアメリカでした。近年はオーストラリアの人気も高まり、アメリカと同等に人気の留学先となっています。またカナダやイギリスなども高校生に選ばれている留学先です。
参考:文部科学省『高等学校等における国際交流等の状況』
●長期留学(3か月以内)
長期留学に臨む場合、アメリカを選ぶ高校生が圧倒数を占めています。続いてカナダ・ニュージーランドと続きます。
参考:文部科学省『高等学校等における国際交流等の状況』
アメリカ
アメリカは、スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学など世界を代表する大学が立地しています。またアメリカは、世界中からの留学生が集まる国。アメリカの文化に触れられるだけではなく、世界中の国の人々と交流を図ることができるでしょう。
中には現地の大学進学を考えている生徒や全く違う価値観を持った生徒もおり、お互いに良い刺激を得られるでしょう。
カナダ
大学生と違い、高校生の留学先として選ばれることの多いカナダ。多くの高校生から留学先として選ばれる理由としては、教育水準の高さが挙げられます。
また治安の良さも選ばれる理由と言えるでしょう。イギリスの経済誌「エコノミスト」が毎年発表している世界の住みやすい街ランキングでは、カナダの3つの都市がランクインしています。さらに世界の都市安全指数ランキングでは、留学先として人気のトロントが2位にランクインしています。
留学する子ども自身はもちろん、見送る保護者にとっても安心できる国と言えるでしょう。
オーストラリア
自然が豊富なオーストラリアも高校生の留学先として人気の国。気候の良いこと、日本から近くの距離にあること、時差が少ないことなど、留学しやすい環境が揃っています。
フレンドリーで温かな国民性も選ばれる理由の1つと言えるでしょう。
そのため短期留学や初めての留学に選ばれることの多い国です。
さらに教育水準が高く、留学生を受け入れる体制が整っているため、保護者も安心して送り出すことができるでしょう。
高校生留学の費用を抑えるなら交換留学を検討してみよう
高校生の留学費用を抑えたいと考えるのであれば、交換留学を検討してみるのもおすすめです。交換留学は、自治体や学校で留学費用を負担してくれる制度です。安全に留学費用を押さえられる制度のため、高校生留学を検討しているご家庭は、ぜひ交換留学についても知識を深めておきましょう。
交換留学制度
交換留学制度とは、国や自治体、高校が主体で実施する留学支援制度を指します。多くの場合グローバル人材育成を目的としており、制度利用に応募した高校生の中で試験に合格た学生に対し、費用の一部を助成するというもの。茨城県が実施する『いばらき海外留学支援事業』を例に挙げると、移動日も含めて12日以上30日以内での海外留学をする生徒を対象には、留学支援金として、一人上限10万円を交付してくれるとのことです。また原則1年間、外国の正規の後期中等教育機関に通う生徒には、留学支援金として、一人上限100万円の交付を受けられます。
留学費用の負担を大幅に軽減できるため、住まいの自治体や通う高校の留学制度を調べてみるのも良いでしょう。
引用:茨城県教育委員会『いばらき海外留学支援事業』
私費留学
私費留学は、全て自分で留学手配する方法と留学エージェントを利用方法があります。
留学エージェントを利用すると、現地にサポートしてくれるスタッフが駐在しているため、英語力に問わず挑戦できる点が魅力です。交換留学に挑戦できるほど語学力に自信がない高校生でも留学に挑戦できるため、まずは私費留学で語学力を磨いたり、留学に対する耐性を養ったりするのも良いでしょう。
海外に興味があれば高校生でも積極的に留学チャレンジしてみよう!
高校生で留学にチャレンジする子どもは年々増加傾向にあります。しかし初めての留学は、保護者・子どもにとって不安がつきもの。ただ思い切ってチャレンジした留学から帰国したお子さまは、一回りも二回りも成長していることでしょう。
また最近では、短期留学のコースも充実しており、異文化体験を目的にしたり海外旅行の代わりに留学する高校生も増えてきました。このように気軽に留学に挑戦できる環境も用意されています。
「海外文化を体験したい」「視野を広げるチャレンジをしてみたい」と少しでも思うのであれば、ぜひ高校生でも海外留学にチャレンジしてみてください。お子さまにとって貴重な経験になることでしょう。