(取材)「Tech Kids Grand Prix 2023」決勝大会!日本最大級の小学生限定プログラミングコンテスト
そんな舞台で繰り広げられたのが、「Tech Kids Grand Prix 2023」です。
7,391件の応募からエリア予選を勝ち抜いたファイナリスト達によるプレゼンテーションは、まさに日本最大級の小学生プログラミングコンテストにふさわしく、圧巻の内容でした。

Tech Kids Grand Prix 2023が掲げるテーマは『21世紀を創るのは、君たちだ。』です。
『君たち』は、無限大の可能性を秘めている、すべての子どもたちに向けられた言葉です。「プログラミングを小学生から学ぶメリットって何?」と思っている保護者の皆さん、今大会の模様をぜひご覧ください。そしてお子さまがプログラミングを始める、最初の一歩を踏み出すために応援してあげてください。
次の大会で、あるいは次の次の大会で、グンと成長したわが子の姿を見られるかもしれませんから!
「Tech Kids Grand Prix 2023」とは
対象 | すべての小学生 |
募集内容 | プログラミングを用いて開発されたアプリ・ゲーム先品 |
プログラミング言語 | 指定なし |
選抜方法 | エリア予選(北海道・東北、関東、中部、近畿、中四国、九州・沖縄)から ファイナリスト10名を選出 |
賞金 | 総額100万円 |
主催 | 小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」 |

Tech Kids Grand Prix 2023は、自治体など28団体とも連携し、全国各地で大会を開催。2018年度の1,019件から、今年度は約7倍の7,391応募件数となり、まさに「日本最大級」小学生のためのプログラミングコンテストになりました。
「Tech Kids Grand Prix 2023」審査のポイント
- VISION 掲げる夢や実現したい世界観
- PRODUCT 夢を実現するクリエイティブなアイデアとそれを体現した作品
- PRESENTATION 自身のビジョンやプロダクトを社会に発信していく姿勢
7,391件から勝ち進んだファイナリスト10人が集結!

テックキッズグランプリ開幕が告げられ、大会の概要が紹介されると、ファイナリストたちにメダルが授与されました。ここまで7,391件の応募から4次にわたる予選を勝ち抜いた10名のファイナリストです。
その後、10名のファイナリストたちはそれぞれの作品を大勢の観客と審査員の前でプレゼンテーション。大舞台でも緊張した様子はほんの一瞬で、スクリーンにプログラミング作品が映し出されると、どの子も個性豊かにアピール!
プレゼンテーションが終わると、審査員から講評と質問が飛び交い、堂々と答える姿が印象的でした。
それでは、今年度の受賞者とその作品を紹介しましょう。
「Tech Kids Grand Prix 2023」(テックキッズグランプリ)総合3位から優勝まで一挙紹介!
総合優勝“いえPAY” Tech Kids Grand Prix 2023(テックキッズグランプリ)
キャッシュレス決済で小銭がなくなり、お小遣いが後回しに!? 小学生の危機を救うオリジナル決済システム

小川智也さん(大阪府、小学6年生)
キャッシュレス決済が普及し、親のお財布から小銭が消えたために「お小遣い?あら、いま小銭がないから明日ね」なんて後回しにされがち……。
夏休みにお手伝いをしてお小遣いをもらっていたという小川君は、家庭内の支払い(お小遣い)をキャッシュレスに統一するアプリを開発し「小学生のお小遣いもらえなくなるかも危機」を解決!

【いえPAYのポイント】
- 古いスマートフォン(親のお下がりスマートフォンを使う小学生が多いため)でも使えるようにWebアプリにした
- 子どもでもわかりやすく簡単に使えるよう工夫
- プログラミングのバージョン管理にGit(ソースコードの変更履歴などを管理するシステム)を使用
審査員からは「お風呂掃除で50円もらえないかも?ということからキャッシュレスにたどりつき、ペイメントを作った創造力が素晴らしい」と絶賛されました。また「お金の概念と信用というところまで考えている。ぜひ経済学も学んでほしい」という激励もありました。
「なかなか名前が呼ばれなくて、心臓がバクバクしました」と語った小川君。今春には中学生になるため最初で最後の大会となりましたが「努力すれば何かしら賞がとれると思うのでがんばってほしい」と、これから挑戦する後輩たちへのエールも送ってくれました。
総合2位“SHIBANY” Tech Kids Grand Prix 2023(テックキッズグランプリ)
共働き家庭も安心!家庭に合わせてシステムをセットできる防犯みまもりシステム「SHIBANY」を開発

谷口花穂さん(静岡県、小学6年生)
学校からひとりで家に帰ってくる時、不審者が一緒に侵入する事件を防ぐために、家族で作る防犯システム「SHIBANY」を開発した谷口さん。
子どもが帰宅すると、「おかえり」「給食は何だったの?」と家族の声が流れ、家に「大人がいる」と周知させることが可能です。この音声は、秘密のキーを入れることで解除が可能ですが、もし5秒以内にキーが押されなかった場合にはアラート音がなります。さらには、登録番号に連絡をすると、緊急事態であることが映し出される仕組みだそう。
不審者があわてて解除ボタンを押そうとしても、解除ボタンを押すとさらに大きな警報音が鳴り響き、システム解除ができなくなるようになっています。
【SHIBANYのポイント】
- 録音された「おかえり」という家族の声によって家に「大人がいる」ことを知らせる
- 家族の声がけはランダムで多種類あり、曜日ごとの予定にあわせた声がけも可能
- 犯人の心理をふまえ「システム解除ボタン」をわざと設置し、ボタンを押すと警報音がより大きくなる
「犯人の深層心理まで考えていることや小さな子でもわかりやすいUI(機器・アプリ等の操作画面)など、とても工夫されている」点が審査員から高評価を得ました。
「事件は他人事のように思っていたけれど、このアプリを開発する中で、『自分には起きないだろう』と油断するのは危険だと気づきました。防犯の大切さについて、考えを改めることができました」と、しっかりした口調で語ってくれた谷口さん。総合2位と併せて、サイバーエージェント賞も受賞しました。
総合3位“Be Free” Tech Kids Grand Prix 2023(テックキッズグランプリ)
困難をテクノロジーで解決する!声のない生活をする人たちを支援する生成AIを活用した画期的な「BeFree」

上田蒼大さん(宮崎県、小学5年生)
状況により声をだすことが難しい症状を抱える上田くんは、コンピュータの合成音声を用いてプレゼンテーションを行いました。日常生活では、友達同士で話す時、レストランでオーダーをする時、さまざまな場面で「話し方」が変わる点に注目した上田君は、生成AIを活用し、簡単に、しかもその場に合った「会話」ができるアプリを開発しました。
【BeFreeのポイント】
- 生成AIがシーンやプロフィールにあわせて「言葉遣いや口調」を変えてくれる
- 相手の声を認識したAIが返答のキーワードを提示、ユーザーが選んだキーワードにマッチする文章を生成
- その場にふさわしいセリフが出てくるのでボタンひとつで合成音声によって相手とコミュニケーションがとれる
たとえば海外旅行に行けば、言葉が通じず「話せない状態」に陥ります。上田くんが直面した困難は、誰にでもあり得ること。審査員からは「自分が抱えている困難をテクノロジーで解決する。それをさらに拡張しユニバーサルなものにしていくのはとても意義深いこと」「AIとどう寄り添っていくかという大事なテーマをずばり体現したサービス」と称賛されました。
上田くんは「声のない生活を送る人たちのためのサービスのヒントになったらいいなと思っています。そして、話せないことで困っている人のいない、みんなが楽しくコミュニケーションがとれる社会にしたい」と伝え、最後に「声を出す練習を続け、いつか自分の声で発表できるようになりたい」という思いも伝えてくれました。
「Tech Kids Grand Prix 2023」(テックキッズグランプリ)その他の受賞はこちら!
VISION AWARD

- VISION 掲げる夢や実現したい世界観
「Be Free」
課題解決だけでなく、「こうなりたい」「こんな社会になったらいいな」という思いをこめた実用的な音声アプリを開発した上田くん。総合3位と併せての受賞となりました。
PRODUCT AWARD


- Product Award 夢を実現するクリエイティブなアイデアをとそれを体現した作品
「Next me」
ゴミ問題やリサイクルを取り上げた壮大なエンタメ・ゲームを製作。「軸は面白いゲームを作ること」と、蓬田くんはメッセージ性についてはあえて言及せず、楽しいのがゲームだときっぱりと断言!
振り切った考え方が新鮮で、同時にCygames賞も受賞しました。動画制作での受賞歴もあり、キャラクターのデザインからモデリングも素晴らしく、「クリエイターという肩書がふさわしい」と称賛されました。
PRESENTATION AWARD


- Presentation Award 自身のビジョンやプロダクトを社会に発信していく姿勢
「あなたのかんがえをつたえよう」
日本における最大の問題は少子化、子どものことは子どもに聞いてほしいが「学校のアンケートはテストみたいでつまらない」と蒲田さん。楽しく回答できるよう、アンケートをゲーミフィケーションアプリとして開発。子ども政治家として国に訴えるような力強く印象に残るプレゼンテーションが高く評価されました。
Cygames賞
蓬田悠太さん(宮城県、小学6年生)「Next me」
ProductAwardと併せて受賞
Facebook Japan 賞

伊藤紬記さん(岐阜県、小学3年生)
「ステ☆みら」
伊藤さんは「ドラえもんとのび太くんみたいに、AIと人間が仲良くなれるように」と、AIキャラクターぷくちゃんとおしゃべりをしたり、交換日記をしたり、スケジュール管理もできたりする楽しいアプリを開発しました。
ぷくちゃんは意地悪なことを言わず、常に励ます言葉を発してくれます。あえて音声にせず鳴き声と共にテキストが出る形にしたことで、よりキュートで愛らしいAIキャラクターになりました。
審査員からは、AIのバイアス(偏見)など問題点を把握した上での開発、プロフィールの入力画面で性別選択の理念が反映されているなどダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンといった観点からも高い評価を得ました。
マイクロソフト賞

伊藤修一さん(東京都、小学5年生)
「Food loss breaker」
ホームパーティーで持ち寄った食べ物が多すぎて廃棄した体験から、日本のフードロス問題をリサーチ。無駄なく食べ物を持ち寄れるよう、パーティーに参加する人たちの食べられる量や、持ち寄る料理がかぶってしまわないよう共有できるアプリを開発しました。
審査員からは「アプリの有効性を検証してブラッシュアップしていくサイクルを試されているのに感心した」という声と共に「さらに改善していけば飲食業界でのビジネスにもつなげられる」といった感想も寄せられました。
東急賞

三浦彩乃さん(北海道、小学4年生)
「はこだて救命・AED ナビ」
命を救うのに大切なAEDですが、いざ使用するとなると心理的なハードルが高いことに着目した三浦さん。AEDの検索、救命措置のサポート、救命活動の事前学習などをわかりやすい機能としてまとめました。
「消防士さんをはじめ、いろいろな人の意見を取り入れて、より使いやすく、わかりやすい機能にしている」点が評価されました。自治体連携の北海道大会でも最優秀賞を受賞しています。
サイバーエージェント賞
谷口花穂さん(静岡県、小学6年生)「SHIBANY」
総合2位と併せて受賞
特別賞も力作ぞろい
今大会の審査中には、プログラミング学習ツールや開発環境を提供する企業賞も発表されました。「プログラミングゼミ」賞/株式会社ディー・エヌ・エー

最優秀 賞沓名 薫さん(神奈川県 / 小学5年生)
「カラーマッチ」
完成度の高いパズルゲーム、音や演出のエフェクトが印象的な作品でした。
「Unity」賞/ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社

最優秀賞 綿貫 颯人さん(神奈川県 / 小学6年生)
「Out of imagine」
ノードとよばれるブロックのシミュレーションゲーム。作品の根幹となるゲームの仕組みがしっかりしている点が評価されました。
「QUREO」賞/株式会社キュレオ

最優秀賞 宮地 昴さん(岐阜県 / 小学6年生)
「2人で対戦もできるよ!金魚すくい」
すくえそうですくえない“金魚すくい”の醍醐味が再現されているゲーム。得点も競えて楽しさ満載の作品でした。
誰でもめざせる!最初の一歩を踏み出そう!

参加したファイナリストたちに共通していたのは「何度も試して、何度もやり直して、何度でも挑戦し続けたこと」です。そして、ファイナルの舞台でもまだまだこれから、もっと改善したい、次にはこんな機能をつけたいと語っていました。
プログラミング大会の内容だけ見ていると、遠い世界のように感じるかもしれません。
来年度の大会の各地方大会は、今年の夏からスタートします。今、ここから挑戦を始めたら、子どもたちはどんどん進んでいきます。その先には、テックキッズグランプリのような大きな大会が待っています。
まずはワークショップや体験会から始めてみませんか? お子さまの踏み出す一歩を応援しましょう!
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