誰でもが一度は考えたことのある疑問ではないでしょうか。
その理由を科学的に捉えて、学業や仕事に生かす方法を模索する動きがはじまっています。
「楽しさ」「興味」「目的意識」などを与えることによって熱中度を高め、成果を大きく上げる!
ゲームの仕組みを利用して勉強の効率を上げるのがゲーミフィケーションです。
この記事ではゲーミフィケーションの仕組み、メリット、デメリットについて分かりやすく解説します。
ゲーミフィケーションの歴史とは?
学業や企業の教育研修、モチベーション管理などにゲーム性を持ち込む発想自体は新しいものではありません。企業では20世紀から、営業部門の目標管理などに競争の概念や目標達成のごほうび(例:高級レストランでディナーが食べられる)などゲーム的な運用を行ってきました。
これが脚光を浴びたのは、アメリカの調査会社ガートナー社が2011年に発表したステートメント(宣言)から。
ビジネス界の方向性としてゲーミフィケーションを取り上げ、2015年までに「企業の50%以上が管理型革新プロセスにゲーミフィケーションを採用する」と予測したのです。
それ以来、さまざまな企業が風土の革新、教育、社員のパフォーマンス、健康管理、社会変革、ビジネス、業務計画の立案などにゲーミフィケーションの考え方を導入するようになっています。
効果の出るゲーミフィケーションとは?
目的・課題の提示を明確に提示する
「勇者よ、汝の目的は、王国を魔物から解放することじゃ」 。ゲームが好きな人なら、こんなセリフに聞き覚えがありますよね。
ゲーミフィケーションで大切なのは、作業の最終的なゴールを明らかにすることです。
イソップの寓話にもあるように、レンガを積む行為を楽しくするためには「レンガを積む」と考えるのではなく、
「壁をつくる」とか、「教会を作る」など作業の意味を伝えながら、ゴールが見えるようにするのが大切なのです。
現状を可視化して、つぎの一歩をわかりやすくする
「この地図にしたがって川をさかのぼり、山頂にいたって、大魔王と戦え」。ゲームではこんな指示を受けることがありますよね。
実際の勉強や仕事もこれと同じ。全体の工程をマップやチャートなどでビジュアル化(見える化)して、直感的に把握できるようにします。
ストーリーをつくる
「数百年前から、この町は、勇者が守ってきたのじゃ」。目の前の仕事を単純作業と考えるより「大きなストーリーの一端を担っている!」と捉えた方がやる気が出ますよね。
過去の業績や、それを担ってきた人々の行動をテキストなどの形で残し、自分たちと重ね合わせる意識も大切です。
フィードバックは迅速に行う
「効果はバツグンだ。経験値50を得た。勇者はレベル25になった」。行われたばかりの作業を素早く評価して、よい場合は賞賛し、課題がある場合は改善点を明確にします。
成功すれば、わかりやすい報酬をもらえるように
「魔王を退治した勇者は、次期の王となり金10,000を与えられる」。企業内での昇進や、どこでも使える商品券など、具体的で満足度も大きな報酬を用意することで、モチベーションもより一層高まります。
競争者の情報も見える化する
「西の町の勇者は、魔王まで3ブロックまで迫っているぞ」。自分とともに課題に取り組んでいる競争者との比較データを提供します。全国ランキングなどの手法も使われます。
また、それぞれの戦略を共有できる「旅の仲間」(=助け合う関係)もつくっていけば、さらに効果的だといわれています。
ゲーミフィケーションの成功例とは?
ここまで、ゲーミフィケーションに大切な要素を解説してきました。次は、実際にどのような場所で使われているのかを見てみましょう。
学校や予備校で、生徒のやる気アップ!
ある受験予備校では「55段階の学習システム」を考案しました。「55段階の学習目標すべてをクリアすれば、確実に志望校に合格できる!」
というモチベーションを生徒に与えたのです。
しかも、一つ一つの課題をクリアするたびに先生がシールをくれる。
シールをもらえる瞬間のうれしさのためにがんばる!
こんな好循環を生み出すことで、その予備校はからは毎年、一流校への合格者が輩出されています。
企業では……顧客が継続するマーケティングを
多くの企業で採用しているポイントが、これに当たります。ある清涼飲料水メーカーでは、スマートフォンの万歩計機能と連携したアプリケーションにより
「歩くだけでポイントが貯まる」「自販機で飲み物を買ってもポイントが貯まる」→「ポイントが貯まれば自販機で飲み物プレゼント」
というマーケティングを行いました。
これによって自販機市場が活性化され、自社製品の自販機を利用してくれる顧客が拡大したのです。
企業の研修で、まじめにロールプレイング
あるホテルチェーンでは、新入社員のホールスタッフのためにロールプレイング・ゲームを作成しています。接客、事務処理、同僚との連携など、個々の対応をスコア化し、その後の指導に役立てています。
ゲーミフィケーションのデメリット・リスクは?
「ゲームの手法をいろんな場所に持ち込むことで、モチベーションを高めるなどの好影響をもたらす」ゲーミフィケーション。とはいえ、「すべてのゲームがおもしろい」わけではありません。
スマホゲームやテレビゲームもそうですよね。遊んでいても面白くなく、全然売れないゲームは星の数ほどあります。
「おもしろいゲーム」でなければ、ゲーミフィケーションは失敗するのです。
スマホ向けの教育アプリケーションにも、全然おもしろくないアプリは少なくありません。
ゲーミフィケーションを考案したガートナー社は、ゲーミフィケーションのリスクとして
「すべての関係者にとって魅力的なゲームはない」
を挙げています。
教育や企業研修を例にとれば、意識の高い受講者は、あらかじめ目的意識や仕事や勉強を楽しむコツを知っています。
取ってつけたようなゲーム要素を付け加えても、受講者がわずらわしく感じてしまい、逆効果になる可能性もあるわけです。
それぞれの受講者がおもしろく感じるゲームを用意できるかどうかが重要と言えるでしょう。
イヤイヤよりワクワク。ゲーミフィケーションで効率をアップしよう!
この記事ではゲーミフィケーションが生まれてきた背景とメリット、デメリットについてわかりやすく解説しました。ゲーミフィケーションの背景にある考え方は「仕事でも勉強でも楽しくやれば効率がよくなり、成果も挙がる」です。
イヤイヤ机に向かうより、ゲームをするようにワクワクしながら楽しく知識や技能を向上できれば、断然おトク!
ゲーミフィケーションを理解し、正しく利用しましょう。
受験合格や成績アップなど、自分の大きな目標に向けて歩き出すのはいまですよ!