短期記憶を鍛えるための方法は?記憶力を底上げするコツも紹介
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本記事では、短期記憶の概要や長期記憶との違い・短期記憶を鍛えるための具体的なアプローチ方法をまとめました。記憶力全般を底上げするためのポイントも紹介しているので、短期記憶を鍛えたい人・記憶力を底上げしたい人はぜひチェックしてみてください。
そもそも短期記憶とは
短期記憶という用語を定義したのは、アメリカの心理学者・アトキンソンとシフリンです。1968年に発表された「記憶の多重貯蔵モデル」の中で、「短期記憶」という言葉が使われました。記憶の多重貯蔵モデルとは、人間の記憶は単一のシステムではなく、複数の貯蔵庫で構成されているとする理論です。記憶の主要な貯蔵庫には感覚記憶、短期記憶、長期記憶があり、それぞれが異なる役割を持っています。
アトキンソンとシフリンは短期記憶について、「感覚記憶よりも長く保存されるが、長期記憶ほど長く保存できない記憶」と紹介しました。
短期記憶の役割や限界・長期記憶との違いについて詳しく見ていきましょう。
短期記憶の役割
短期記憶には、重要な情報を保持し、必要なときすぐに取り出せるようにする役割があります。例えば「必要なものを買う」「誰かと会話する」などの場合、「買うべきものを覚えておくこと」「相手が話した内容を覚えておくこと」が必要です。
短期記憶で複数の情報を一時的に保持することで、重要な情報を整理したり次に取るべきアクションを判断したりがスムーズになります。
また取得した情報を忘れずに定着させたいとき、ベースとなるのは短期記憶で保存された情報です。
脳は短期記憶で保存された情報の中から、「重要である」と判断した情報のみを長期記憶に移行させます。すなわち「新しいスキルを学ぶ」「新しい言語を覚える」などの場面では、短期記憶が記憶定着のための重要な入口です。
短期記憶の容量と限界
短期記憶の容量を最初に定義したのは、アメリカの心理学者ジョージ・ミラーです。彼は1956年に論文を発表し、人間の短期記憶の容量は7±2チャンク(情報のまとまり)であると主張。この理論は「マジカルナンバー7±2」または「ミラーの法則」とよばれ、情報処理や認知心理学研究の基盤として広く認知されました。
しかし脳科学や心理学の研究手法が高度に進化した現代では、人間の短期記憶の容量は7±2より少ないことが分かっています。
現在では、短期記憶の容量は「4±1チャンク」とするのが一般的です。この説は、心理学者のネルソン・コーワンによって2001年に提唱されました。ミラーの理論に倣い、「マジカルナンバー4±1」と呼ばれることもあります。
一方、短期記憶を維持できる時間は、約20秒から1分程度が限界といわれています。脳は常に新しい情報を処理する必要があり、古い情報を全て保持するのは不可能です。限られた脳の容量を有効活用するため、不要な情報は短時間で消去されてしまいます。
長期記憶との違い
短期記憶は、短期間のみ情報を維持できる一時的な記憶システム。一方長期記憶は、長期間にわたり膨大な情報を保持することができる持続的な記憶システムです。「記憶保持時間」「容量」「機能」の面で、両者は大きく異なります。
短期記憶 | 長期記憶 | |
記憶保持時間 | 約20秒から1分程度 | 数日から数十年または一生 |
容量 | 4±1チャンク(情報のまとまり) | 無限 |
機能 | 日常生活に必要な情報を一時的に保持する | 学習や経験を通じて得た知識やスキルを保持する |
短期記憶として保存された情報は、注意が散漫になったり新しい情報が入ったりすると、すぐに消去されてしまいます。一方で長期記憶として定着した情報は脳の神経回路に強く結びついており、簡単に失われることはありません。
「学んだ知識を定着させたい」「記憶力を高めて勉強の効率を上げたい」などというときは、短期記憶で得た情報をスムーズに長期記憶に移行させることが必要です。
短期記憶を鍛える方法
短期記憶を鍛えることで集中力が高まり、情報処理能力が向上します。複雑な作業や学習に取り組む場合は、短期記憶を鍛えることが有益です。短期記憶を鍛えるための方法を詳しく見ていきましょう。
短期記憶とワーキングメモリの違いを理解する
短期記憶の役割は、感覚記憶の中から「必要」と判断された情報を一時的に保存することです。一方ワーキングメモリは「作業記憶」と呼ばれ、情報の記憶から整理・処理・削除までの役割を持ちます。短期記憶はパソコンの「RAM(ランダムアクセスメモリ)」、ワーキングメモリはCPU内部の「キャッシュメモリ」のようなものと考えると分かりやすいかも知れません。
ワーキングメモリは、脳の情報処理中枢の要請に応じて必要な情報を出し入れします。人間の思考力や分析力にはワーキングメモリが大きく関係しており、記憶の活用には欠かせません。
記憶力を総合的に底上げするためには、短期記憶とワーキングメモリの両方にアプローチすることが重要です。
日常的なトレーニングで短期記憶を鍛える
短期記憶を鍛えるためのトレーニング方法には、以下の方法があります。情報を分割(チャンキング)する
大量の情報も、小さなかたまりに分けて処理すると記憶しやすくなります。何度も反復する
同じ情報を何度も繰り返して学習すると、神経回路が強化されます。情報に対する抵抗力が付き、定着を促しやすくなるでしょう。視覚効果を活用する
短期記憶は、図形の形状情報を比較的正確に保持できるといわれています。重要な情報は、視覚化することで忘れにくくなるはずです。メモに頼らず日常生活を送る
短期記憶を鍛えるには、継続的な訓練が必要です。日常生活のさまざまなタスクで「覚えること」を実践しましょう。覚えきれずに忘れてしまっても、辞めないことが大切です。ワーキングメモリを活用して短期記憶を向上させる
短期記憶で保存した情報は、「使うこと」で定着を促しやすくなります。記憶の整理・処理を担うワーキングメモリを活用し、短期記憶を向上させましょう。短期記憶を鍛える具体的なアプローチ
短期記憶を鍛える具体的なアプローチ方法には、イメージング、デュアルタスク、暗算・パズルなどがあります。短期記憶の向上に有益な、アプローチ方法をご紹介します。方法1:イメージングで情報を視覚化する
イメージングとは、情報を視覚的な映像として記憶することです。抽象的な情報は視覚的な情報に変換すると記憶に残りやすく、定着や思い返しが容易になります。方法2:デュアルタスクで脳を刺激する
デュアルタスクとは、2つの異なるタスクを同時にこなすことです。複数のタスクを同時進行することで、情報処理の役割を担うワーキングメモリが活性化します。脳全体の働きも活発になり、短期記憶の向上を促しやすくなるはずです。なおデュアルタスク中は周囲への注意が散漫になる恐れがあり、安全への配慮が必要です。意識が集中し過ぎないよう、難易度の低い取り組みからスタートしましょう。
方法3:暗算やパズルで集中力を高める
暗算やパズルは、短期記憶で蓄えた情報を処理・活用する上で有益です。日常で繰り返すうちに脳が活性化され、新しい情報への対応力が向上します。生活習慣の改善による短期記憶強化
短期記憶が適切に動作するためには、脳そのものがスムーズに活動することが必要です。生活習慣を見直して、脳の健康を維持しましょう。短期記憶を鍛えたい人がチェックすべき、生活習慣のポイントをご紹介します。
睡眠時間と質の確保がもたらす効果
人間の脳は、睡眠中に日中に得た情報を整理し、記憶として定着させるプロセスを実行します。十分な睡眠時間と睡眠の質を確保することは、短期記憶を鍛える上で有益です。また十分かつ質の高い睡眠は、脳の疲労回復にもつながります。脳が疲れた状態では、記憶を司る「海馬」が正常に動作しません。記憶の定着が妨げられ、短期記憶に蓄積された情報を思い出すことが難しくなります。
質の高い睡眠とは、「よく寝た」という実感を得られる、充足感の高い睡眠です。2024年11月に厚生労働省が発表したリーフレットでは、「働く世代にとって必要な睡眠時間は最低6時間」と提案されています。
短期記憶を鍛えたい人は、6時間の睡眠を確保することを意識してみてください。
参考:良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと|厚生労働省
脳に良い食事と栄養素の取り入れ方
脳の働きを活性化させたいときは、「ブレインフード」を積極的に取り入れましょう。ブレインフードとは、脳機能の改善に役立つ栄養素を含む食材です。積極的に摂取することで脳の血流改善や抗酸化、神経伝達物質の増加が促され、記憶力の向上を期待できます。
以下は、集中力や記憶力を高めたいときに有効とされるブレインフードです。
ブレインフードは脳の健康に有益ですが、偏食は健康に悪影響を与える可能性があります。ブレインフードばかりを集中して食べるのではなく、魚、肉、野菜、果物、穀物を上手に組み合わせてください。
日常的にバランスの良い食事を摂取することが、脳の健康維持につながります。
適度な運動が脳に与えるポジティブな影響
「運動が脳によい」といわれるのは、脳内で脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質の分泌が活性化するためです。BDNFは「脳の肥料」ともいわれる物質で、記憶を司る海馬に存在しています。アルツハイマー型の認知症やうつ病にはBDNFの減少が関係しているともいわれており、運動でBDNFを増やすことは記憶力や学習能力の向上に有益です。
どのような運動でもBDNFは生成されますが、「心拍数を適度に上げる運動」はより高い効果を期待できます。軽めの運動に、ときどき「ちょっとキツいな」という運動を取り入れるのがおすすめです。
例えば以下のような運動を組み合わせると、脳にポジティブな影響を与えやすくなります。 参考:運動で脳も鍛える|一般財団法人 京浜保健衛生協会
ストレス管理と短期記憶の関係性
ストレスは、短期記憶の形成や取り出しを阻害するといわれています。脳の働きを活性化させるには、ストレスをため込まないことが大切です。ストレスと短期記憶の関係についてご紹介します。
ストレスが短期記憶に及ぼす影響
ストレスによって短期記憶が低下するのは、「コルチゾール」というストレスホルモンが多量に分泌されるためです。コルチゾールの過剰分泌は、記憶を司る海馬や前頭前野の機能低下につながります。常にストレスを抱えている人は、「新しいことを覚えられない」「必要な情報を思い出せない」などが頻発するかもしれません。
また慢性的なストレスは、脳の構造そのものに悪影響を及ぼします。神経細胞のつながりが弱体化してしまうと、新しい記憶の形成や想起は困難です。
リラクゼーション法で脳疲労を軽減する方法
ストレスによって脳が疲労すると、脳の機能が低下します。日常のあらゆる場面にストレスの原因が潜む現在、リラクゼーション法を取り入れて脳をリフレッシュさせることは大切です。呼吸法
腹式呼吸は心拍数を下げ、リラックスした状態を作りやすいといわれています。ストレッチ
軽いストレッチは筋肉の緊張をほぐし、血行を促進する効果を期待できます。毎日数分でも実行することで、身体のリフレッシュと脳疲労の軽減を実感しやすくなるはずです。ちょっとしたすき間時間に、ぜひ実行してみてください。アロマ
心地よいアロマは、ストレスホルモンの分泌を抑制します。体や精神の疲れを感じたら、好きな音楽を流しながらアロマの香りを楽しみましょう。 上記以外にも、ぬるめのお湯に浸かってくつろいだり、自然の中をのんびりと散歩したりするのも、有益なリラクゼーション方法です。マインドフルネス瞑想による集中力アップ
マインドフルネス瞑想とは、「今この瞬間」に集中することで心の状態を安定させる瞑想法です。ストレスにつながる思考や感情を手放せば、脳が抑圧から解放されます。感情が安定しやすくなり、ストレス耐性の向上や集中力の向上を実現することが可能です。
マインドフルネス瞑想の基本的な流れは、以下を参考にしてください。
初めて瞑想を行う場合は、5分程度からスタートしましょう。毎日決まった時間に実践し、慣れてきたら徐々に時間を延ばしてみてください。
記憶力全般を向上させるためのポイント
記憶力そのものを底上げするためには、短期記憶で保存された情報を長期記憶に移行させることが必要です。短期記憶を消失させないためのポイントをご紹介します。短期記憶から長期記憶への変換テクニック
短期記憶の情報は長期記憶に移行することで、いつでも思い出したり活用したりが可能となります。短期記憶から長期記憶への移行テクニックを積極的に活用しましょう。これらのテクニックは、組み合わせることでより高い効果を期待できます。いろいろ試して、最善の方法を見つけてください。
新しいことへの挑戦が脳に与える刺激効果
脳には、経験や学習に応じてその構造や機能を変化させる能力(可塑性)があります。新しいことに挑戦すると脳内の神経回路が再編成され、より効率的な情報処理を実現することが可能です。また脳は複数の領域から構成されており、それぞれが異なる機能を担っています。これまでと違う新しい挑戦をすることは、脳の異なる領域を活性化させる上で有益です。記憶力はもちろん、集中力、問題解決能力など、認知機能を強化できます。
楽しく学ぶことでドーパミン分泌を促進する
達成感や楽しみを感じながら学習するメリットは、ドーパミンの分泌を促しやすくなることです。ドーパミンは、特定の行動を繰り返すよう動機付けを行う「脳の報酬系」の働きを強化する効果があります。ドーパミンの分泌で「もっと学習しよう」という意欲が強まることは、記憶の定着に必要な「学習の継続」「反復」において非常に重要です。
またドーパミンが分泌されると、感情がポジティブに向きやすくなります。学習中のイライラや不安が起こりにくく、メンタル面が安定するのもメリットです。
短期記憶を理解し、効果的に鍛える方法を学ぼう
短期記憶は、必要な情報を一時的に保存する機能です。効果的に鍛える方法として、イメージング、デュアルタスク、暗算・パズルなどの方法があります。また、記憶力を向上させるには、良質な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動も欠かせません。ストレス管理やリラクゼーション法で脳疲労を軽減したり、新しいことへ挑戦したりなども積極的に行いましょう。
脳の負担を軽減しつつ効率的に活性化させることで、短期記憶の情報をスムーズに長期記憶に移行できるようになります。
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