今回は音読によって子どもにどのような効果があるのかをまとめました。さらに音読効果をアップする方法や注意点についても記載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
音読と朗読で効果は違う?
音読と朗読では目的が異なります。どちらも文章を声に出して読む動作は同じですが朗読は聴いている相手のために読む活動である一方で、音読は自分のために読むことが目的です。朗読は相手に物語を伝えることを重要視しており、抑揚をつけたり感情を込めたりします。多少読み間違いがあっても豊かな表現で物語の本質が伝わっていることの方が大切なのです。しかし音読は基本的に正しく読みあげているかという点のみに着目するため表現力や難しい発音技術などは必要ありません。
子どもが音読をすることで得られる学習効果
音読は子どもの国語教育だけでなく、他の教科の学習や生活面においてさまざまな効果が得られます。読解力が身に付く
音読を通して新たな単語や文章と出会い、読解力が身に付きます。文章や単語の切れ目や文字の読み方、話の流れをしっかり理解しているとスムーズに音読ができるようになるでしょう。黙読では文章の内容が理解できないという子どもの場合も、声に出して読んでみることで内容がイメージできるという効果もあります。読解力は英語や数学、社会などあらゆる教科で求められる力です。また視覚と聴覚を使って言葉をインプットすることで語彙力が飛躍的に向上し、語学や文学を好きになるきっかけになります。
参考:子どもの読解力を鍛える方法!読解力をつけるには何が必要?
暗記力・記憶力が向上する
音読はたくさんの感覚を同時に働かせるため前頭前野が活性化し、記憶力や暗記力をアップさせる効果があるといわれています。脳は刺激のある状態の方が神経回路網が発達する器官で、声を出したり文章を理解したりといった適度な刺激が脳全体の働きにアプローチします。前頭前野の外側部はワーキングメモリーを司る重要な部分なので、音読で定期的に刺激することが子どもの記憶力や暗記力アップに効果的です。
参考:小学生におすすめの速読教室
集中力が高まる
音読をしている間は雑念に捉われることがなく、声に出して読む行為に集中することができます。音読をスムーズに行っているときは言語中枢をフル回転させているので、別のことを考えながら行う余裕はありません。音読を継続して少しずつ集中力を養い、徐々に周囲の誘惑をシャットアウトできる力が身につくでしょう。子どもが勉強に集中できないときには簡単な音読から始めてみるのがおすすめです。計算などの学習に比べて難易度が低く、自然と勉強机に向かうことができたという効果もあるようです。
コミュニケーション能力が向上する
音読によって適度な刺激を受ける前頭前野は感情を制御する部位でもあるため、子どものコミュニケーション能力を高める効果があります。たとえば前頭前野の発達が未熟な子どもは自分の気持ちに折り合いをつけるのが難しく、怒りっぽくなったり自分の気持ちを言葉で伝えられなくなったりします。コミュニケーションを円滑に進めるために必要な自制心や自主性の向上といった効果も期待されます。
ストレス解消になる
音読による脳への刺激や腹式呼吸の安定によってセロトニンが分泌されてストレスが軽減します。セロトニンは自律神経のバランスを整える効果があり、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。セロトニンが分泌されることで子どもの気持ちがおだやかになり、日々の暮らしや心身の発達のサポートになるでしょう。また音読が上手になっていく様子を実感したり、大人が子どもの音読をする様子を見守ってくれたりすることで気持ちが安定します。子どもの音読の時間を継続することは心身の長はもちろん親子関係の構築にも繋がります。
子どもの音読効果をアップするおすすめの方法
音読をする時間帯は朝がおすすめ
音読は朝行うのが効果的といわれています。脳科学者の茂木健一郎氏によると朝目覚めてから3時間は脳にとって生産性が高く、ゴールデンタイムといわれる時間帯とのこと。情報処理力や五感が研ぎ澄まされた朝に音読を行うことで文章理解がはかどり、スッキリと一日を始められるでしょう。朝学習の習慣をつけたいという家庭にもおすすめです。参考:『脳を最高に活かせる人の朝時間』茂木健一郎 著
音読は短時間から始めよう
音読は1、2分から15分程を目安に無理のない範囲で続けましょう。たとえば読解力が未発達な子どもに長時間の音読をさせると文字を読むことが苦痛になってしまいます。音読の目的は文章への興味を促すことでもあるため、子どもの様子を優先しながら音読のボリュームを決めましょう。まずは1分程の音読を続ける習慣から始めてみるのも効果的です。音読をルーティーン化すると継続しやすい
音読を続けることで読解力や理解力が向上し、子どもが自信をもって継続することができるようになります。毎日にように文字を読んだり声に出したりすると、普段から本や看板など日常で出会う文字への抵抗も無くなっていくでしょう。文章の読み方がたどたどしい未就学児や小学生の場合、毎日同じ本や文章を読むのもおすすめです。しばらく続けるうちに内容がわかり、自然と単語のまとまりが判断できるようになります。
速読に挑戦して学習効果を高めよう
音読の際になるべく速く読むことを意識することで学習効果が高まります。速読は注意の視野を広げ、ワーキングメモリや決断力の速度といった高次脳機能を高める効果があります。動体視力や瞬間視といったスキルが向上すれば、学習はもちろんスポーツ面でも活躍できるようになるでしょう。参考:日本速脳速読協会
大人が気をつけることは?音読を行う際の注意点
ここでは子どもが音読を行う際に大人が留意しておきたいことを解説します。大人は手をとめて音読を聴こう
子どもが音読をしている間はなるべく大人が手をとめて音読を聴く姿勢を意識しましょう。特に未就学児や小学生の場合、大人が聞いてくれていることがモチベーションアップになります。さらに読み終わった後に「上手になったね」「いい声で読めたね」など一言褒めてあげると自信がつき、思わず次の日も音読を続けたくなるでしょう。小説や新聞などの場合、文章の感想を聞いてみるのもおすすめです。
上手に読めなくても叱らない
音読で声が小さかったり文章が上手に読めなかったりしても叱らずに見守りましょう。毎日継続しているうちに上手に読めたポイントが見つかったら褒めてあげます。また初めのうちは読むことに精一杯で内容が頭に入っていないこともありますが、読解力や思考力が身に付けば文章を理解するスピードも上がります。子ども一人ひとりのペースを大事にしながら、楽しく文章と関わる土台を作ることが重要なポイントです。
まとめ|音読で効果的に学習力アップ!
毎日音読をすることで子どもの語彙力や思考力、コミュニケーション能力やストレス解消などさまざまな効果があります。子どものレベルに合わせて1日1分の短い音読から始めるのもおすすめです。慣れてきたら時間を伸ばしたり速読に挑戦したりすると学習効果がアップします。また、子どもが音読をしている間はなるべく手をとめて暖かく見守ってあげましょう。大人に聴いてもらったり褒めてもらったりした経験が子どもの学習意欲を向上させるでしょう。