未来のエンジニアを育てる!Little Hopper で始まる、創造力とデジタル技術の融合
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今回お話を伺った方
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Little HOPPER センター北 代表
任 遠 氏大学卒業後、三菱重工でフォークリフトの設計に携わるなど、長年ものづくりの現場で経験を積んできた。「ものづくりの楽しさを多くの人に知ってほしい」という強い思いから、退職を機に「Little HOPPER」を立ち上げた。小学校でのプログラミング教育導入の動きに合わせ、デジタルとものづくりを融合させた独自のプログラムを展開している。
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監修者
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GMOインターネットグループ デベロッパーエキスパート(プロダクトマネージャー)
沼田 直之GMOメディア株式会社に2009年に入社。大規模BtoCサービスの開発・運用を担当した後、2017年よりプログラミング教育ポータル「コエテコ」の編集長として教育全般に関する幅広い知識と実績を蓄積。プログラミングやIT教育、キャリア支援、教育の現場取材を通じて、教育分野の課題解決に貢献している。 現在は、教育事業におけるPdMとして、プロダクト設計からマーケティング、広報活動まで幅広く対応。教育に携わる家庭人として、子どもの学びにも力を注ぐ。
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先生が「教え込もう」としなくても、子どもたちは自分からのめり込み、失敗も試行錯誤も楽しみながら、“自分だけの作品”を生み出していく。その姿はまるで、自由な創造に挑む小さなクリエイターたち。

今回は、遊び心いっぱいの空間で、子どもたちが自然にプログラミングとものづくりの楽しさを体感できるユニークな教室“Litte Hopper(リトルホッパー)”をご紹介します。
デジタルモノづくり教室「Little HOPPER」とは?

横浜市都筑区・センター北にある、子ども向けのデジタルモノづくり教室「Little HOPPER」。
リトルホッパーに一歩足を踏み入れた瞬間、コエテコ取材班は教室の世界観に一気に引き込まれました。
あちこちに3Dプリンターやレーザーカッターが並び、カタカタ、ギコギコと心地よい音を立てながら、「モノ」が生まれつつある。その時点では、まだ子どもたちはいません。それでも、すでに教室は“何かが始まっている”雰囲気に包まれていました。

レーザーカッター:木材やアクリル板などにカットや彫刻をする機械

3Dプリンターは子どもにも大人にも人気!

別タイプの3Dプリンター

3Dプリンターがカタカタと動作中!
レーザーカッター、スマホケースやプラスチックなどにフルカラープリントできるUVプリンター、布に印刷できるガーメントプリンターにカッティングプロッター(ステッカーやフィルムなど精密な形にカットする機械)が、教室をぐるりと囲むように設置されています。

ずらりと表情豊かな車型ロボット
パンチングボードにはキャップがかけられ、子どもたちの荷物置き場にはアニマルモチーフが描かれたデザイン棚。細部にまで、遊び心とやさしさがあふれています。
視線を移すと、カラフルな車型ロボット。壁にはデジタルサイネージ*で、ゆらゆら泳ぐ魚が流れています。透明なガラス瓶に活けられた花束かと思いきや、それも3Dプリンターで作られた作品だと、Ren先生が教えてくれました。

Ren先生
子ども一人ひとりに合わせたオーダーメイド型レッスン

そうこうしているうちに、生徒たちが集まってきました。
「お、早かったな」
「こんにちは〜!」
「ここでいいの?」
「いいよ、今日は何をやるんだっけ?」
先生と生徒──でも、その距離感はまるで“頼れるお兄さん”と“わくわくを分かち合う仲間”のよう。

テキストを一緒に見ながら「今日やること」を話し合う。

手前の男の子は、「汚れを落とす窓拭き競争」ゲーム制作を進行中。

「え?コレ?」「そうだよ」大きいお兄さんと弟みたいに楽しそうに話す光景が微笑ましい。

にこやかでリラックスした男の子の表情がとても自然。優しい光景だ。
モニターの前で「わかりませーん!」と両手を上げる子に、代表は背後からそっと声をかけます。「あ〜、ここじゃないか?」「そうかな」「よく見てごらんよ」と、まるでお父さんが息子に寄り添うようなやりとりが続きます。
と、思うと、手が止まってしまった男の子に、「何回繰り返す」と「~まで繰り返す」の違いについてや、グローバル変数とローカル変数について、丁寧に先生が説明している姿も印象的でした。
データベースで「見える化」と「自宅連動型のPDCAサイクル」を可能に

ロボットの顔を作っているところ!
教室は、大きく2つのコースにわかれています。
- ロボット/ゲームプログラミング
- デジタルファブリケーション
アルミボディーの本格ロボットをプログラミングでコントロールしたり、オリジナルのゲーム制作にチャレンジしたりするのが『ロボット/ゲームプログラミング』コース。
3Dプリンターやレーザーカッターなどを駆使してアイデアを自由にデザインするのが『デジタルファブリケーション』コースです。

マウスの扱いも慣れたもの!
もちろん、テキストもあります。
でも「いつまでに」「これをやる」といった決まりはありません。「個別指導」のスタイル。

「何やってんの?」「コレ?これはさ」と楽しそうに話すふたり。
そのうちに、より高度な挑戦がしたくなって、Python(プログラミング言語)でコードを書きたい!となれば、どんどん進めてもいけます。小学生から高校生まで、果ては教室を卒業してからも、ひょいと顔を出して「モノづくり談義」で先生と楽しく時間を過ごすなんてこともあるそうですよ!
自由で楽しいのはわかったけれど、保護者の立場からは「それで?結局、教室で何をやって、どんなことができるようになるの?」という疑問もちょっと湧いてきますよね。
保護者の方と直接お話することもよくありますよ。
でも、たとえ教室に来られなくても、ご家庭でもお子さまの成長をきちんと見えるようにしています。
生徒さんが作ったプログラムや3Dモデリングに対する、Ren先生のフィードバックもアップしてくれるので、保護者はいつでも教室の内容を手に取るように知ることができます。
自宅にインターネット環境とPCがあれば、教室でのレッスンの続きも可能。自宅連動型のPDCAサイクルが、しっかりと確立されている教室です。
作るだけじゃない!ビジネスを体験し自分のやりたいことを見つけていく

3Dプリンターやデジタル機器を駆使して製作された「がちゃぽん」
Little Hopperでは、とても楽しい恒例イベントも行っています。
教室はショッピングモールの中にあり、月に一度、マルシェでブースを出店。そこでは、生徒さん達が自分で作ったモノに、自分で値段をつけて販売するのです。
お金の管理はもちろん先生がサポートしますが、実際に売れた代金(100円や200円といった小さな額です)は、生徒本人に渡されます。
アイデアを出し、プランを立て、モノを作る。そして、適正な価格を考え、魅力をどう伝えるか工夫し、実際にお客さんに買ってもらう。
なかなか売れなければ、子どもたちは「値段を下げたほうがいいのかな」「もっと目立つようにするにはどうしたらいいかな」とアレコレ考え、試行錯誤しながら、いわばマーケティングの源流を知るわけですね。

こちらも先生の作品。

こんなモノも作れちゃうらしい!
この一連のプロセスは、まさにプロダクトの企画・製作から販売、収益化まで、世の中のしくみをリアルに体験できるビジネス学習そのものです。
「ものづくり」が、「社会」とつながる。子どもたちは楽しみながら、そんな“実感を伴う学び”に触れているのです。
Ren先生に、印象に残っている生徒さんについて伺ってみました。
これまでも、たくさんの子どもたちがここで楽しくデジタルなモノづくりを体験してきました。
特に印象深いのは、Web3の世界にハマった子です。
現在はオーストラリアの大学でコンピューターサイエンスを学んでいるそう。
彼が「リトルホッパーに通わなかったら、こういう世界とも出会えなかった」と言ってくれた時、Ren先生はとても嬉しかったと語ってくれました。
2018年の立ち上げ時から通い続けている生徒もおり、受験などで一時休会しても、ふたたび戻って来る生徒さんも多いようです。
1日だけのワークショップもあるよ!

- マイクラで!プログラミング体験会
- 3Dプリンターで「世界にひとつ」をデザインしよう
- デザイン自由自在!刀をつくろう
Little Hopperでは、毎月ワークショップも開催中。
実際に作ったものは持ち帰れるそう。3Dプリンターやレーザーカッターの機能を使う体験ができるなんて、楽しそうです。
夏休みの自由研究にも良さそうですね!
「Little HOPPER」は秘密基地だ!

一点を見つめて集中する。子どもの「力」を感じる。
「失敗しても大丈夫」「思いついたら、まずやってみよう」──そんな空気の中で、子どもたちは遊ぶように学び、いつの間にか“つくる力”を育んでいます。今日、集まった子どもたち一人ひとりの表情を見ていたら、わかります。
じゃれ合ったり、先生と冗談を交わしたりしながらも、モニターを前にした途端に、彼らの表情はグッと締まります。

テキストを頭に叩き込み、キーボードを打つ。きりりと引き締まった表情が印象的。

にぎやかで明るくて元気いっぱいの女の子が、次の瞬間に見せた集中力に驚愕する。
女の子に「教室はどう?」と聞いてみると──
「楽しい!」と、迷いなく即答してくれました。
先生について尋ねると、こちらも即答で、「楽しい先生!」と笑顔。
さらに続けて、「先生がどうかってこと? うーん、嫌いとか、ここがどうかな〜ってことは何もないです!」と、これまたきっぱり断言。

いつ声をかけようか虎視眈々と先生を見つめております!
子どもたちはみんな、先生のことが大好き。この空間が大好き。そして、「ここにいること」が楽しくて仕方がない様子が、ひしひしと伝わってきました。
機械とパソコンが主役の教室なのに、そこにはちっとも無機質な空気はありません。むしろ、子どもたちの息づかい、先生のあたたかさ、ものづくりの手ざわりに満ちているのです。
プログラミング。パソコン。デジタル。人工的な空間のはずなのに、なぜか“肌感”がある。教室全体が、生きもののように活き活きとしているのです。
ここは、秘密基地。
ここは、挑戦と創造の森。
ここは、デジタルと心のぬくもりが交わる場所。そんな教室でした。
「とことん楽しもう!」代表のメッセージ

私がこのスクールを立ち上げたのは、自分に子どもが生まれたことがきっかけでした。以前はフォークリフトの設計に携わり、モノづくりの現場で働いていました。そんな中で、「モノをつくる楽しさを、わが子と一緒に体験できたら」と思ったのです。
実際に子どもと遊んでいるうちに、「これは面白い!」と強く感じるようになりました。当時はまだ今ほど広まっていなかったプログラミングと3Dプリンター。これらを組み合わせたら、もっと楽しくて、もっと自由なモノづくりの場がつくれるんじゃないかと思い、このスクールを始めました。
私自身、製造業での経験があるからこそ、プログラムだけではなく、実際の「形あるもの」を作る力の大切さを実感しています。
たとえば、ただ動かすだけでなく、その“体”となるケースや筐体も自分で作れる力を身につければ、子どもたちにとって今後大きな武器になります。だからこそ、プログラミングだけでなく、デジタルファブリケーションも学べるようにしました。

Little Hopperでは「自分の“好き”を見つけられる場所」であることを大切にしています。
決まったカリキュラムはなく、まずはいろいろなことに触れてもらい、その子の反応を見ながら、興味のある分野を深掘りしていきます。指導も少人数制で、チケット予約制。セミオーダーメイドのスタイルです。

もしこういう学びのスタイルが、お子さまに合っていそうだと感じられたら、ぜひ一度、遊びに来てみてください。
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