部活動の地域移行で広がる?中学生の習い事の新しい選択肢
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実際に多くの中学生がそれぞれ部活動に励んでいますよね。部活によっては、毎日のように学校で、あるいは土日も、何時間も練習ということもあるでしょう。
しかし、民間クラブや団体へ移行していくことで、活動内容が大きく変わる可能性もあります。
政府広報によると、2025年度末までに休日の部活動の約54%が地域に移行される予定だそうです。
今回の教育トピックでは、部活動の地域移行についてメリット・デメリットなどをわかりやすく解説。変化する中学生の「放課後活動」にも注目し、新たな可能性についてもお伝えします。
部活動の地域移行とは

部活動の地域移行とは、学校の先生が担ってきた中学校の部活動を、地域のスポーツクラブや団体が運営・指導する仕組みに段階的に切り替えることです。
この改革は教員の負担軽減と、生徒の多様な活動機会の確保を目的に、主に休日から進められています。
民間クラブだけでなく、東京都板橋区のように自治体が主導して地域クラブを創設し運営するケース、渋谷区における部活動改革プロジェクト(一般社団法人渋谷区スポーツ協会)のようなケースも広がっています。
なお、「部活動の地域移行」という表現では、学校と地域が切り離されるような誤解を招く恐れがあったため、学校・家庭・地域が連携して共に活動を推進していくという意味を込めて「地域展開」という用語に改められています。
※この記事では現時点で浸透している「地域移行」とします。
なぜ部活動の地域移行が進められているのか
- 少子化の影響
- 先生の負担
- 指導における専門性
部活動の地域移行が注目される背景には、避けて通れない現実的な課題があります。
まず、少子化の影響で学校単位での部活動維持が困難になりつつあること。
「サッカー部はあるけれど部員が7人しかいない」
「吹奏楽部があっても楽器のパートが揃わない」
こんな状況は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
また、先生の働き方も深刻な問題です。文部科学省の調査によると、教員の約8割が部活動の顧問を担当しており、担当している部活動の約8割が週4日以上活動しています。
それに加えて、専門性の問題もあります。各学校に必ずしも「野球経験のある先生」がいるとは限りません。
生徒たちが部活を続けられるように、競技の経験や専門知識がないものの、顧問をされている先生方も多いのが現実です。そんな先生方には感謝しかありません。
が、同時に、文化活動にせよスポーツにせよ、できれば専門性のある指導者にお願いしたいと思うところもありますね……。
どのように移行されるのか
部活動の地域移行は段階的に進められます。まず休日(土日)の部活動から地域に移行し、平日は従来通り学校で実施される予定です。2025年度までに休日の部活動を地域移行または地域連携する割合

文部科学省の調査によると、2025年度末までに23,308部活動(54%)が地域連携または地域移行を予定しているそうです。移行先は地域のスポーツクラブ、民間企業、競技団体など、いろいろです。
今後の部活動地域移行(次期改革期間)は?

2025年度に「改革推進期間」を経て、2026年度から「改革実行期間」に移ります。
改革実行期間は2026年度から6年間で、前期(2026〜2028年度)と後期(2029〜2031年度)にわかれています。
基本的にすべての学校で土日の部活動を地域のクラブ活動に変えることをめざすそう。まだ始めていない自治体も、前期の3年間で土日の地域移行をスタートする予定です。まさに「実行」の段階にきているのですね。
平日の部活動については、うまくいっている地域の例を参考にしながら、少しずつ進めていきます。
部活動地域移行のメリットとデメリット

部活動地域移行のメリット
地域移行の主なメリットはこちらです。-
専門的な指導が受けられる
元プロ選手や専門家、経験豊富な指導者から直接指導 -
多様な交流機会
複数の学校から集まることで新しい友達作り -
教員の負担軽減
先生方が本来の教育活動に集中できる
部活地域移行のデメリット・課題
一方で、課題も少なくありません。-
費用負担の増加
月謝や交通費などの新たな出費 -
送迎の負担
学校外での活動では送迎が必要な場面が増える -
地域差
受け皿となる団体や施設の不足

上記で公開されている自治体調査では「指導者の量の確保(72.0%)」「持続可能な収支構造の構築(59.3%)」「保護者・生徒の普及啓発・理解(49.8%)」が主な課題として挙げられています。
地域によっては、自治体が部活動を支援したり、地域クラブやさまざまなジャンルの合同部活動など、アイデアと工夫で活発な動きをしているところもあります。
部活動の地域移行について親の意見は?
保護者の意見もいろいろです。中学生がいる親の何人かに聞いたところ、まだ本格的な部活動の地域移行が進んでいない状況が多かったのですが、すでに移行について説明は受けている方が複数いました。
もともとサッカーのクラブチームに入っている。でも中学では基本的に部活入るように勧められるから、仕方なく平日しか活動のないコンピューター部に入部。民間クラブチームの入部も、部活動として認められるようになるなら、選択肢が増えていいと思う。
娘がバレーボールやっているけど、顧問はまったくバレーの経験なし。OGがコーチとしてたまに来ているだけで、誰もいないこともあるみたい。
地域のバレー部は元実業団の選手が教えているらしいから、そっちのほうが良さそうだよねって子どもと話してる。
先生も平日どころか、土日も試合に帯同するとか大変そうだし、負担が減るのも良いことだと思う。
一方でこうした声もありました。
うちは演劇部だけど、中学生を中心にした演劇の活動している民間クラブなんてない。部活だからできるのに。
ダンス部で、もし近くのスクールが請け負うなら、たぶん月謝がかかるんじゃないかな。部活動だとそこまで費用はかからないけど、スクールになると発表会とかもすごくお金がかかりそう。それぞれの意見もうなずけます。なかなか難しいところがありますね……。
部活の地域移行で変わる?中学生の放課後の過ごし方

「部活で放課後が埋まる」時代からの変化
これまでの中学生といえば、平日の放課後から夕方6時頃まで、休日も朝から夕方まで部活というケースも少なからずありました。夢中になって部活に励む中高生は、青春真っ只中とも言えますし、仲間との深い絆で結ばれる大切な時間を過ごしてもいます。学生時代の部活動で学んだことは多いという方も多いでしょう。
一方で、「部活に入っていないと高校受験で不利と言われたから仕方なく」「連日の部活、朝練もあって時間の余裕がない」という状況もあります。
NHKの調査(中学生・高校生の生活と意識調査2022)は、学校の決まりで何らかの部活動に所属しなくてはならない中学校も1割程度あると報告しています。
強制的ではないけれど、部活への参加を強く推奨されるケースも実際にはあるようです。やりたくない・興味のない部活への参加が苦痛だったという人もいるかもしれません。
地域移行により、まず休日の時間の使い方が変わります。地域クラブは学校部活動より短時間設定が多く、活動頻度も調整可能なケースもあります。
時間に余裕が生まれそうですし、より幅広い選択肢から「やりたこと」を見つけて活動できる可能性も高まりそうです。
空いた時間をどう使う?
休日の部活動が地域に移行されることで、中学生の自由な時間が増える可能性があります。たとえば、従来は土曜日の朝9時から夕方まで部活動だったものが、地域クラブでは午後2時から5時まで。そうなると午前中の3時間が自由時間になるわけです。
また、地域クラブの多くは「選択制」を採用しています。「今月はサッカー、来月はプログラミング」といった多様な体験も可能になるかもしれません。
中学生の習い事の現状

部活動と習い事の境界線がゆるやかになる中で、改めて「中学生・高校生の習い事」が注目されています。
小学生と比較した習い事の差

現在の中学生の習い事事情を見ると、小学生との違いは歴然。小学生では8割が学習塾を除く何らかの習い事をしているのに対して、中学生は5割だそうです。
なぜ中学生は習い事が少ないのか
中学生の習い事が少ない理由については、皆さんも想像がつくのではないでしょうか。-
部活動の存在
週4日以上の活動で時間がない -
受験への意識
習い事より学習塾を優先 -
経済的な理由
中学生向けは月謝が高い傾向

実際に中学生の通塾率は中学1年生35.1%→中学2年生45.2%→中学3年生60.4%と上昇しており、習い事よりも学習塾重視の傾向がはっきりと表れています。
中1から中3引退まで部活動をガッツリ、その後は受験体制へ。部活と塾があれば、なかなか他の習い事をする余裕はないというのが実際のところでしょう。
地域移行で広がる「中高生の習い事」の可能性

部活動の地域移行で、これまで通りに「平日も休日もガッツリ、サッカーがんばる!」という生徒もいれば、これからは「平日2日だけフットサルで楽しく活動したい、土曜は前からやりたかった動画編集を習う」こんな生徒さんも増えてくるかもしれません。
スポーツ系習い事
地域移行により、学校では開設できなかった競技への参加機会が増えそうです。学校にバドミントン部がなくても、地域のクラブに参加できるかもしれません。また、従来の競技スポーツに加えて「多様な種目を体験する活動」「レクリエーション的な活動」といった新しいスポーツも。
「勝負より楽しく体を動かしたい」お子さんには魅力的な選択肢になりそうですね。
文化系・芸術系習い事
文化系も多様化が期待されます。学校の吹奏楽部だけでなく、ジャズバンドやポピュラーミュージック、ウクレレとか三味線とか、ジャンルもさまざまに広がりそうです。
地域の事例では「保護猫クラブ」「アロマリラクゼーション」なんてユニークなプログラムも登場。将来の職業選択や社会貢献への関心を育む貴重な機会になるかもしれませんね。
新しいタイプの習い事
デジタル時代に対応した新しい習い事も注目です。小学生では「プログラミング」がやってみたい習い事として人気を集めており、中学生でも関心は続きそう。中高生では本格的なプログラミングやゲーム制作、生成AI活用など、より高度で実用的なエンジニア・ITスキルを学べる場の人気が高くなるでしょう。
オンライン学習の普及で、地域を超えた専門指導も可能になっています。地方に住んでいても都市部の優秀な講師から語学や芸術を学んだり、海外の同年代と交流したり、時代の変化を感じますね。
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部活の地域移動で保護者ができる準備と視点

▶子どもの関心と適正
→本人が興味を持っているか、適正はあるか
▶送迎の負担
→送迎が必要か、必要なら家族の大きな負担なくできるか
▶費用の検討
→部活動よりも民間等のクラブや習い事は月謝が高いケースが多い。他にも道具代や遠征費、発表会費などの負担も確認
▶活動場所と時間
→活動場所が遠すぎると続けづらい、兄弟姉妹がいる場合には家族間のスケジュールに無理が生じないよう留意する
▶柔軟性の確保
→習い事にもよるが振替が可能か。また民間クラブはスポーツ系など他クラブへの移動が難しいケースもあるので要確認。
▶体験会の活用
→自治体系のクラブ、民間の活動、習い事、いずれであっても見学や体験会を通じて、かならず実際に子どもが様子を見てから決める
子どもの関心に合わせた選択
選択肢が広がる中で最も重要なのは、お子さん自身の関心や適性を見極めること。「親としては野球を続けてほしいけれど、本人はギターに興味がある」
そんな時は、まずお子さんの気持ちを聞いてみましょう。
中学生はまだ興味がはっきりしない場合も多いもの。短期間でいろいろな活動を体験できる機会を活用するのも手ですね。
「とりあえず1か月やってみて、合わなかったら別のことを試す」こんな柔軟なアプローチが有効かもしれません。
送迎・費用・やる気のバランス
現実的な問題として避けて通れないのが、送迎と費用の負担です。- 活動場所と時間の確認
- 家計への影響の検討
- 家族スケジュールとの調整
「子どもがやりたがっているから」と無理をして家計を圧迫したり、送迎で保護者が疲弊したりしては本末転倒。家族全体のバランスを考えた選択が大切ですね。
「塾以外の習い事」も大切に
高校受験を控えた中学生の場合、どうしても学習塾重視になりがちです。でも、多様な体験も同じくらい価値があります。習い事や地域の活動を通じて、他の学校の子達との交流が生まれ、新たな仲間ができる。あるいは今の状況に関する不満があっても「もうひとつのコミュニティ」が心休まる場所となる可能性もあります。
プログラミングや芸術、ボランティア活動の経験は、将来の進路や人間性の形成に影響を与えるかもしれません。
高校や大学の入試制度も変化しており、学力以外のさまざまな能力が評価される傾向です。大学入試では推薦が非常に増えていますが、がんばってきたことや興味関心を深めて成果を出したことは大きな強みになります。
「勉強だけでは測れない力」を育む機会として、習い事を捉え直してみるのも良いではないでしょうか。
まとめ
部活動の地域移行は確かに新たな課題をもたらしますが、同時に子どもの可能性を広げる大きなチャンスでもあります。賛否両論かとは思いますが、国の政策として決定している以上は、新しい選択肢の中からお子さんにとって最適なものを見つけることが大切です。お子さんの関心を大切にしながら、家族の事情も考慮したバランスの取れた選択を心がけたいですね。
さまざまな体験を通じて、お子さんが自分らしい道を見つけていけるよう、温かく見守っていきましょう。
変化の時代だからこそ、親が率先して、新しい可能性に心を開いてくださいね!
習い事をするときに必要なのは目標を考えた選択でしょう。大学入試にも情報科目が追加されているところもあるため、中学生のうちにプログラミング学習はおすすめです。 この記事では、プログラミング教室中学生向けを解説し、メリット・デメリットも紹介しています。
2025/08/31
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