小中学生が挑む国際ロボット競技「VEX Robotics Japan Cup 2026」を現地取材
世界6か国・60チーム・約700名が一堂に集結した「VEX Robotics Japan Cup 2026」は、今年もスリリングな戦いと国際交流が融け合う特別な1日となりました。
熱気あふれる会場の様子とともに、大会の魅力やVEX Roboticsの世界をご紹介します。
VEX Robotics Japan Cup 2026とは

VEX Robotics Japan Cup 2026は、一般社団法人青少年STEM教育振興会が主催するロボティクス競技大会です。今回が第5回目の開催となり、香港・台湾・アメリカ・タイ・トルコ・日本の6か国から60チームが参加しました。
最初に、VEXのジャパンカップにおける2つの大きな特徴を見ていきましょう。
世界大会と同じ環境で戦う

VEX Robotics Japan Cup大会の最大の特徴は、世界大会(VEX Robotics World Championship)と完全に同じルール・環境で実施される点です。大会進行(MC・ロボット車検など)はすべて英語で行われ、「国際舞台に立つ」という実体験を積む場になっています。
日本の大会でありながら英語で交渉し、英語でルールを確認しながら試合に臨む。しかも海外チームも多く、まさにグローバルな環境。歓声や拍手もひときわ大きく、とってもエキサイティング!
会場では、歓声をあげて抱き合ったり、飛び上がって喜んだりと、国際色豊かな大会ならではのエネルギーが絶え間なく渦巻いています。臨場感あふれる国際的な環境も、本大会の大きな特徴のひとつです。
アライアンス制度「その場で出会ったチームと力をあわせる」

Tournament Championsを受賞したBrainchild・香港とBig Dippers!
VEX大会ならではの仕組みのひとつに「アライアンス制度」があります。
予選を経たのちに行われる「アライアンスセレクション」では、当日その場でパートナーを選び、チームを組んで戦います。国籍や年齢に関係なく、初めて会った外国のチームと力をあわせるシーンが随所で生まれます。
ジャパンカップでも、もちろんアライアンスセレクションが行われました。身振り手振りを交えながら必死に思いを伝え合う子どもたち。その表情は生き生きとしていて、とても印象的です。こうした実際の交流の積み重ねが、子どもたちを大きく成長させます。
ワクワク!ドキドキ!VEX Robotics Japan Cup 2026レポート

彼らはロボットをまるで分身のように扱う。真剣なまなざしが印象的
さぁ、では大会の様子を見ていきましょう。なんとこの日は、60チームが出場、総参加人数は約700名! そのうち約100名がボランティアで、大会は多くのボランティアの力で支えられています。

見ているだけでも楽しい「チームの基地」通りかかると気軽に挨拶をしてくれ、自然と会話が生まれる
子どもたちはそれぞれのブースで、ロボットを調整したり、みんなで作戦を練ったり、隣にいるチームと交流したりします。自分たちの基地を、手作りのポスターや装飾で彩っているのも、とっても素敵です。
ゲーム開始と同時に、「ズズズン!」と重低音が鳴り響き、MCの軽快な実況が場内を駆け巡ります。

ゲームは戦いでもあるし、真剣だからこその熱い交流が生まれる
大きな声で指示を飛ばす子どもたち。ロボットの動きに一瞬頭を抱え、次の瞬間には額を突き合わせて作戦を練る。観客も背伸びをしながら見守り、家族や仲間が拳を突き上げて声援を送ります。
会場は一体となって熱狂に包まれ、手に汗握る展開が途切れることなく続いていきます。

ゲーム進行はボランティアのスタッフが大活躍

それぞれのロボットに独自の工夫があり、まるで生きているかのようにクルクルと動く!

抜群の団結力を見せてくれた香港のチーム
こちらはTournament Championsを獲得した、香港のチーム。「何か月も練習して大変だった。今は本当に嬉しい!」とインタビューに答えてくれました。
「え?これ取材なの?ちょっと待って、仲間をみんな呼ぶから!」そう言って、手分けしてメンバーを集めてくれた。明るくて元気で、結束力の高いチームでした!

喜びが爆発!

嬉しさがダイレクトに伝わってきました!
ゲームの行方を見守る中、ふと目を向けた先で、抱き合って喜ぶ子どもたちの姿もありました。長い時間をかけた準備と、幾度もの試行錯誤が実を結んだ瞬間です。喜びの大きさが、まっすぐに伝わってきますね!
一方で、悔しさをにじませながらも相手を称え、すぐに改善点を真剣に話し合うチームの姿もありました。
全力でぶつかり合ったからこそ生まれる敬意とつながり。その確かな力を感じさせる、忘れがたいひとときでした。
最優秀賞のBig Dippersは世界大会へ!

今大会、PUSH BACK MS/HS Blendedで最優秀賞を受賞したBig Dippersは、東京都世田谷区二子玉川にあるロボティクス・スクール「FIVE by DOHSCHOOL」に所属する中高生チームです。
チームミッションは「挑戦し続け、世界への道を切り拓く」。ロボットの設計・製作・プログラミングから戦略立案・広報・チーム運営まで、すべてを生徒主体で取り組んでいます。
今シーズンの歩み
Big Dippersの今シーズン(2025〜2026)は、まさに快進撃でした。2026年1月に行われたJapan V5RC HS National Regional Championshipでは、三冠を達成。この結果により、2年連続で日本代表として世界大会出場権を獲得しました。そして今回のJapan Cup 2026では、Excellence Award(高校部門)とTournament Championsをダブル受賞。
世界大会への勢いをそのまま大会結果として示す形となりました。
受賞後インタビュー

受賞後、メンバーは「昨年、日本代表となって以来、プレッシャーを感じながら1年間改善し続けてきた。チームもよりまとまってきた感覚がある。とにかく嬉しい」と振り返りました。ロボットの技術的な改良だけでなく、チームとしての成長もしっかりと刻まれていることが伝わってきます。
次なる舞台、世界大会へ

Big Dippersが次に挑む舞台は、2026年4月21〜24日にアメリカ・ミズーリ州セントルイスで開催される「VEX Robotics World Championship 2026」です。V5RC高校部門には世界中から約800チームが参加する、まさに世界最高峰の舞台です。
STEM教育プログラム「VEX Robotics」とは

ここから、少しVEX Roboticsについて紹介します。
VEX Roboticsは、1996年設立のアメリカの企業・Innovation First International, Inc.が運営するロボット教育プログラムです。
「今の子どもたちを明日の問題解決者として育成する」という理念のもと、世界70か国以上で展開されており、世界中で150万人以上の子どもたちが学んでいます。世界最大のロボティクス競技会として、ギネス世界記録にも認定されています。
VEXの競技参加者のうち95%が、STEM科目(科学・技術・工学・数学)への関心やSTEM関連キャリアを追い求める意欲が高まったと報告*されており、その教育的効果は国際的に認められています。
VEXの教材とは

VEX IQのキット例
「VEX」には、多彩な部品が揃っているので、思い描いたロボットを形にできるのが魅力です。
プログラミングも段階に応じて学べます。カードで動かすシンプルな方法から、パズル感覚のビジュアル言語、本格的なテキスト言語まで用意されており、誰でも自分のロボットを自在に動かせます。
幼児向けのVEX123から、学生向けのVEX V5まで、成長に合わせてステップアップできるのも特長です。
VEX大会の特徴

VEX大会は単なるロボットの性能比較ではなく、「チームとして問題を解決する力」を総合的に評価する場です。試合の結果だけでなく、エンジニアリングノートブック(設計記録)・ジャッジインタビュー・チーム運営の姿勢なども審査対象となります。
アライアンス制度によって生まれる国際交流、英語でのコミュニケーション、毎年テーマが変わる競技への適応力。これらすべてが子どもたちの「生きる力」を育てます。
コンピューターサイエンス・エンジニアリング・デザイン・コミュニケーション・比較文化など、複数の領域を横断して学べる点も大きな特徴です。
競技内容(2025-2026年度)

競技内容は毎年、新しい課題が出されます。ジャパンカップでも行われた、2025-2026年の競技について、解説します。
VEX IQ(Mix & Match)

VEX IQは、主に小学4年生〜中学2年生を対象とした部門です。「Mix & Match」は、PinsとBeamsと呼ばれるパーツを積み重ねて「Stack(タワー)」をつくり、フィールド上のゴールに置いてスコアを競うゲームです。
2チームがアライアンスを組み、60秒間で協力しながらスコアを最大化します。ロボットはプラスチックパーツを使うため組み立てやすく、プログラミングも「ビジュアル型・Python・C++」から選べるなど、ロボット入門として取り組みやすい設計になっています。
VEX V5(Push Back)

VEX V5は、主に中学1年生〜高校3年生を対象とした部門。「Push Back」は、フィールド上に散らばった88個のBlocksをゴールへ運んでスコアを競うゲームです。
15秒の自律走行+1分45秒の手動操作という2段階構成で、赤と青の2アライアンス(各2チーム)が対戦します。パーツはすべて金属製で、プログラミングもテキスト型言語が中心。戦略性・ロボット性能ともにハイレベルな競技です。
「VEX Robotics Japan Cup 2026」取材を終えて
VEX Robotics Japan Cup 2026は、ロボット競技の枠を超えた「学びの場」でした。英語でのコミュニケーション、初対面のチームとの戦略交渉、設計から改良までを繰り返す試行錯誤。子どもたちはそのすべてを通じて、かけがえのない経験を積み重ねていきます。
Big Dippersの姿が示していたのは、単なる技術力の向上ではなく、「チームとして成長する」プロセスの価値でした。これこそが、VEXの本質といえるでしょう。
「うちの子にもやらせてみたい」と感じた方は、ぜひ体験会をのぞいてみてください。最初の一歩は、思っているよりもずっと身近です。
そして、熱狂と感動が渦巻くVEX大会へ。すべては、そこにつながっています。
VEX Robotics Japan Cup 2026 受賞結果一覧
VEX Robotics Japan Cup 2026の受賞結果は以下の通りです。VEX V5 Robotics Competition(PUSH BACK)MS/HS Blended
Excellence Award(高校部門)・Big Dippers・日本Excellence Award(中学部門)・IMAI Robotics・日本
Tournament Champions・Big Dippers・日本
Tournament Champions・Brainchild・香港
Tournament Finalists・Brainchild・香港
Tournament Finalists・Brain Not Found.GC・台湾
Design Award・Pandora's Box・日本
Judges Award・Shimonoseki Nishi・日本
Innovate Award・Torque・台湾
Think Award・Brainchild・香港
Amaze Award・Brain Not Found.GC・台湾
Build Award・Brainchild・香港
Create Award・Symbatronics・日本
Energy Award・Symbas Robotics・日本
VEX IQ Robotics Competition(MIX & MATCH)ES/MS Blended
Excellence Award(中学部門)・Blue Bamboo・日本Excellence Award(小学部門)・MIRAGE・タイ
Teamwork Champion Award・Super Saiyan・アメリカ
Teamwork Champion Award・Fire kakapo・日本
Teamwork 2nd Place Award・Blue Bamboo・日本
Teamwork 2nd Place Award・CLUTCH CREW・タイ
Design Award・Cypher・タイ
Robot Skills Champion・CLUTCH CREW・タイ
Robot Skills 2nd Place・Super Saiyan・アメリカ
Judges Award・SK-2・日本
Think Award・Super Saiyan・アメリカ
Amaze Award・JoMaker・台湾
Build Award・Blue Fire・タイ
Create Award・Black Thunder・日本
Energy Award・The Lion Rulers・アメリカ
Inspire Award・DnA・日本
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