ゼロワングランドスラム(ゼログラ)2026決勝レポート|小学生12名がロボットとゲーム開発で日本一を競う
この記事では、白熱した大会の様子をたっぷりお届けします!
ゼロワングランドスラム2026(通称:ゼログラ)とは

ゼロワングランドスラム、通称「ゼログラ」は、プログラミングの知識やスキルを競い、日本一の小学生プログラマーを決める全国規模の大会です。小学生なら誰でも参加でき、参加費も無料です。
主催は一般社団法人ジュニアプログラミング推進機構。2026年で第5回を迎え、これまでに約6,000名の小学生が参加してきました。
ゴールドスポンサーのヤマハ発動機、シルバースポンサーのCygamesをはじめ多くの企業が協賛し、文部科学省・経済産業省・デジタル庁、各地の教育委員会が後援しています。
ゼログラ大会概要
| 大会名 | 全国小学生プログラミング大会 ゼロワングランドスラム2026 |
| 決勝日 | 2026年9月27日(日) |
| 会場 | 東京ビッグサイト 西3ホール(GOOD LIFE フェア 2026会場内) |
| 決勝の種目 | ロボット競技「ボールキャノンバトル」 ゲーム開発競技「ゼログラハッカソン」 |
家族連れでにぎわうGOOD LIFE フェアに特設ステージ

今年の決勝の舞台は、朝日新聞社が主催する「GOOD LIFE フェア」の会場内。ワークショップやSDGsをテーマにしたショップ、自治体による地域創生の展示などが並び、子ども向けのイベントも多く、会場は家族連れでにぎわっていました。
その一角に設けられたゼログラの特設ステージには、多数のカメラとスタッフ、ずらりと並んだゲーミングチェア、大型モニター。開始直前には大勢の観客が集まり、スタッフが急きょ椅子を運び入れて客席を増やすほどの盛況ぶりでした。

揃ってガッツポーズ、気合入ってます!
選手入場では、各チームがガッツポーズや両腕をクロスするポーズを決めて登場。緊張した面持ちのなかにも笑顔が見られ、会場からは大きな拍手が送られました。
予選を勝ち抜いた12名、4チームが決勝へ

決勝に進んだのは、東日本ブロックの「プログラ探偵団」「スリーギア」、西日本ブロックの「チームAST(アスト)」「PixelCode(ピクセルコード)」の4チームです。
チームは学校も学年も異なる選手同士で組まれ、チーム名も選手たちが相談して決めました。チームASTは、3人の名前の頭文字を組み合わせた名前だそうです。
ゼログラ・ファイナリスト
| チーム | ブロック |
| プログラ探偵団 | 東日本 |
| スリーギア | |
| チームAST | 西日本 |
| PixelCode |
順位は、2種目それぞれの「競技ポイント」と「順位ポイント」を合計したチームポイントによって決まります。ロボットだけ、プログラミングだけでは勝てない点が、ゼログラならではの特徴です。
第1種目・ロボット競技「ボールキャノンバトル」

競技が始まる前、緊張の一瞬
ロボット競技は今年、内容が完全にリニューアル。競技を開発したe-Craftの額田一利さんが解説を担当しました。「毎回、競技を考える側と参加者との試合」と額田さんが表現するように、選手たちは、ルールを読み解き、どう攻略するかを考えながら、競技を開発した側との知恵比べに挑みました。
さて、競技ですが、自作ロボットでオレンジ色のボールを相手フィールドへ送り込み、競技終了時に相手陣地にあるボールが多いほうが勝ちです。
- 競技時間:1試合5分、持ち球は各チーム30個
- フィールド:中央が頂点となる傾斜5度の山型。頂点には杭が等間隔に並ぶ
- ロボット:アーテックロボ、KOOV、SPIKEプライムの3種から選択
- サイズ:開始時は50cm四方の箱に収まること(動き出してからの変形はOK)
- 操作:ラジコンではなく、事前に組んだプログラムで自動で動く
- 停止申請:手でボールをロボットに補給したい場合は、旗をあげて審判に知らせ、ロボットの動きを停止させる
- 配置:ロボットは黒いエリアに一部が触れていなければならない
一見シンプルな競技ですが、思わぬ難所となったのが傾斜5度の坂でした。

わかりやすい解説と楽しいお話で会場が沸いた、ロボット競技担当の額田さん
打ち出す力が弱いと、ボールは坂を登り切れず、自陣へ戻ってきます。頂点にある杭に当たって跳ね返ることも多く、額田さんも「数字で聞くと低く見えるけど、まあまあ急な坂」と話していました。
いやいや、この5度の坂、見た目以上に「険しい上り坂」になっていたようです!

一方にボールが集まったかと思うと入れ替わりに相手フィールドにどんどんボールが入っていく!
ロボットをどこに置くか、散らばったボールをいかに早く集めて補給するか、終盤にどれだけ相手陣地へ送り込めるか。戦略面での駆け引きも多く、見応えがあります。
ボールが次々と相手フィールドへ入ると、思わずこぶしを突き上げて喜ぶ。散らばったボールを必死にかき集め、ロボットが動き出すと肩を寄せ合って何やら小声で作戦会議。ときには、まるでロボットを応援しているかのように、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら動き回る選手もいます。
緊張感のある競技のなかでも、小学生らしい素直な喜びや焦りが、そのまま表情や動きにあふれていました。選手たちの熱気も加わって、競技はますますエキサイティングな展開になっていきます。
振り子、ベルトコンベア、高速ショット……打ち出し方にチームの個性

PixelCode

チームAST

プログラ探偵団

スリーギア
ロボットの形は、チームごとにまったく違っていて、これも非常に興味深いところでした。
ベルトコンベアのように積み上げたボールを送り出したり、振り子でボールを打ち返したり、プロペラのような部品でボールを叩いて打ち出すロボットもあり……。とにかく個性豊かで高性能!

よく見るとわかるのですが、この斜めの坂が勝負の鍵を握りました!
額田さんは「大人が本気でやっても、あそこまでのものを考えついて作れるか」と驚きを隠しませんでした。スリーギアのボール投入口は「ビッグサイトのような形」に、打ち出しのアイデアはゴルフのイーグルショットから着想を得たそうです。
競技が始まると、ボールが一斉に相手フィールドへなだれ込むたびに観客から「わぁっ!」と歓声が上がり、坂を登り切れずにボールがどんどん戻ってくると「あ〜……」とため息が漏れます。
合間には実況の田口尚平さんが選手の本音を引き出すインタビューも入り、会場は「ボールキャノンバトル」の名にふさわしい盛り上がりを見せました。
3位決定戦では、プログラ探偵団が相手の打ったボールを受け止められる位置へロボットを移動。チームASTも対抗してロボットの位置を変え、会場の笑いを誘う「ロボットのお見合い合戦」に。一度に大量に打ち出すASTに対し、動き続けて少しずつ送り込むプログラ探偵団が勝利。次はいよいよ優勝決定戦です。
1点差で決着したロボット競技

優勝決定戦は、PixelCodeとスリーギアの対戦となりました。どちらも大量のボールをため込むタイプのロボットで、ボールが激しく行き交うラリーに。額田さんが「F1のピットクルーの動き」と例えたように、補給のタイミングまでが勝負を左右しました。
終盤にはスリーギアのロボットで玉詰まりが起きる場面もあり、競技終了の時点では会場の誰もどちらが勝ったのかわからないほどの接戦。結果はスリーギアの勝利でした。
2試合の平均点と、順位ポイントを合計したチームポイントはスリーギアが49ポイント、PixelCodeが48ポイント。わずか1点差で、勝負はゲーム開発競技に持ち越されました。
第2種目・ゲーム開発競技「ゼログラハッカソン」

第2種目は、Scratchを使ったゲーム開発競技です。小学生向けの大会では珍しいハッカソン形式で、チームの3人がリレー形式でゲームを開発します。解説は、競技を開発したCA Tech Kidsの松倉健悟さんが務めました。
- 作戦タイム:5分
- 開発時間:35分(1人10分×3人のリレー+最後の5分は3人全員で)
- 素材:当日抽選で決まる「キャラクター」と「アイテム」の2つのスプライトを必ず使う
- 評価:テクノロジー(4項目×8点)とゲームデザイン(4項目×6点)の計56点満点

大きなモニターはリアルタイムで開発プロセスが表示される
最大のポイントは、ゲームに使うスプライト* が当日まで明かされないことです。
昨年は指定のスプライトが1つでしたが、今年はキャラクターとアイテムの2つに増えました。松倉さんは「想定外の作品を見たくて」と狙いを明かし、アイテムには「ちょっと意地の悪いスプライトも用意した」とのこと。
当日いきなりキャラクターとアイテムが指定され、そこから限られた時間の中でゲーム内容を定め、実際にプレイできる状態まで開発しなくてはならないのですから大変です。
勝負のポイントとなるスプライトですが……。

むむむ、選手が引いたカードは「X」と「おばけ」。難しそうだけど頑張って!
抽選の結果、魚とコップの水、おばけとアルファベットの「X」、ロボットとパン、ライオンと鍵という組み合わせが決まりました。おばけと「X」とか、ロボットとパン……どう組み合わせるか、なかなか頭を悩ませそうなものもあります。選手たちは、ここからどんな作品を生み出すのでしょうか!?
わずか5分の作戦タイム。3人が額を寄せ合い、真剣な表情で話し合います。
少し離れているので細かなところまでは見えませんが、紙にゲーム画面のイラストを描いているのでしょうか。メモをじっと凝視しているチームもあれば、まさに口角泡を飛ばす勢いで相談しているチームもあります。
同じ5分でも、チームによって作戦の立て方はさまざま。競技だけでなく、こうした作戦タイムも見ていると本当に興味深く、面白いのです。
ここからは、各チームのメンバーが順番に開発を進めていきました。
小学生とは思えない技術と、リレーをつなぐ工夫

松倉さんの解説からは、選手たちの技術の高さが次々と伝わってきました。
- 中学1年生の数学で習う「座標」を当たり前に使いこなす
- 円運動に必要な「sin(サイン)」を使い、曲線的な動きを表現する
- 黒い背景に合わせてスタートの文字を白にするなど、遊ぶ人の見やすさまで配慮する
- Scratchのメモ機能に「タイマーお願いします」と書き残し、次の選手に作業を引き継ぐ
最後の5分間には3人がそろい、画面を指さしながらバグをつぶして仕上げていきました。

3人で力を合わせて開発に挑む

デザインも評価される、ボタンの動きなど細かいところも審査員は見ていました
4チームのプレゼンテーションが終わると、会場は集計を待つ時間に。実況の田口尚平さんが選手一人ひとりに手応えを聞いて回ると、「納得がいくゲームが作れた」「やり切れた感と、やり切れなかった感が両方ある」と、選手たちは率直な言葉で振り返っていました。
やがてモニターに映し出されたゲーム開発競技の結果は、プログラ探偵団とスリーギアが同点で1位。「同点ってことがあるんですね」と田口さんも驚く展開です。松倉さんも「どのチームもベースのクオリティが高く、接戦になりそうな感覚はあった」と振り返るほどの僅差でした。
【ゼログラ】ゼロワングランドスラム2026の結果と企業賞

おめでとう、スリーギア!ロボット・ゲーム開発ともにトップに

惜しくも準優勝、でも頑張りました!
総合順位は、ロボット競技とゲーム開発競技のチームポイントの合計で決まります。ゲーム開発で並んだ2チームの明暗を分けたのは、前半のロボット競技でした。
ロボット競技のチームポイントは、スリーギアの49ポイントに対してプログラ探偵団は34ポイント。また、ロボット競技で1点差に迫っていたPixelCodeは、ゲーム開発でスリーギアに届かず、逆転はなりませんでした。
そして発表された総合結果は、次のとおりです。

優勝:スリーギア
準優勝:PixelCode
3位:プログラ探偵団
4位:チームAST
ロボット競技で1位、ゲーム開発競技でも同点1位。両種目でトップに立ったスリーギアが、日本一の栄冠を手にしました。優勝インタビューでは「ロボット競技とハッカソン、どっちも1位を取れたのはみんなのおかげ」と、チームメイトへの感謝を口にしていました。
優勝チームには金の楯とプログラミング学習用ノートパソコンが、準優勝チームには銀の楯とゲーミングチェアが贈られています。
Cygames賞はプログラ探偵団、ヤマハ発動機賞はスリーギアのロボット担当選手

Cygames賞を獲得した3人、ピースがいいですね

ヤマハ発動機賞は、壮大なロボットを製作したロボット担当選手が受賞
表彰式では、協賛企業による企業賞も発表されました。
- Cygames賞:プログラ探偵団。タイトル画面やマウスオーバーで反応するスタートボタンなど、初めて遊ぶ人でも迷わず遊べる作りが評価された。
- ヤマハ発動機賞:スリーギアのロボット担当選手。高速でボールを打ち出す発想に加え、補給の自動化に挑んだ挑戦的な試みが評価された。
ヤマハ発動機の江頭さんは「開発は常に挑戦。チャレンジスピリットを忘れずに続けてほしい」とエールを送りました。
Cygamesの星野健一さんは、チームASTのゲーム開発を「難しい組み合わせを生かした世界観」と高く評価。「とても面白いゲームだったので、遊ぶ人にどういうゲームなのかをわかってもらうことも、ぜひ意識してこれからも面白い作品を作ってください」と次への期待をこめた激励の言葉をかけました。
【ゼロワングランドスラム2026】審査員・解説者の講評

西村啓二さん(ヤマハ発動機)の総評
大会の最後には、解説者と審査員から選手たちへ言葉が贈られました。
e-Craftの額田一利さんは、趣味のロボット作りが仕事になった経験を振り返り、「ロボットに関わる仕事についてくれたらうれしい」とエール。CA Tech Kidsの松倉健悟さんも、バグがなく細部までこだわった作品を「どのチームもクオリティが高かった」と評価しました。
千代田まどかさんは、ハードもソフトもこなす12名を「日本のトップ」と称賛。Cygamesの星野健一さんは、積み重ねや悩んだ経験が「引き出し」となり、新しいものを生む力になると語りました。
ヤマハ発動機の西村啓二さんからは、うまくいかないことも楽しむ姿勢や、悔しさも宝物になるという言葉が。最後に同社の江頭綾子さんが、学校も学年も違う3人が支え合い、ひとつの目標に向かう力は大人になっても大切だと結びました。
ゼログラの決勝は、ロボット製作だけ、プログラミングだけの大会ではありません。チームで相談し、役割を分担し、ハードウェアとソフトウェアの両方の力を総合的に発揮する。大人顔負けの技術力とチームワークが、ゼログラならではの見どころといえます。
GOOD LIFE フェアの会場ではマイクラを使ったプログラミング体験も

GOOD LIFE フェアの会場には、プログラミングスクール「エドモンド」のブースも出展していました。マインクラフトを使ったプログラミング体験には、1日で約130名の子どもたちが参加。マイクラというテーマに子どもたちの関心が高かったようです。

初めての子どもでも楽しめるよう「初心者」「中級者」「テキストコード」の3コースを用意し、短時間でも楽しめる工夫が多くの親子を引きつけていました。
▶エドモンドについて詳しい情報はこちら
大人の想定を超えたゼロワングランドスラム2026の小学生プログラマーたち!
ロボット競技の間、何度も話題にのぼった傾斜5度の坂。額田さんは競技を開発しながら「どのチームも越えられなかったらどうしよう」と不安を抱えていたそうです。ふたを開けてみれば、4チームとも自分たちのやり方で坂を越え、なかには額田さん自身が想定していなかった振り子式のロボットまで登場しました。競技後、額田さんは「傾斜はつけてよかった」と笑顔で語っています。
大人が用意した壁を、大人の予想を超える方法で子どもたちが越えていく。ゼログラの決勝は、その瞬間を何度も目の当たりにできる舞台でした。
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