プログラミング教育がわかる、プログラミング・ロボット教室がみつかる

プログラミングで活躍して東大、京大へ!?特色・AO入試などで入学の決め手になることもあるってホント?

時代のニーズとともに教育の方法が変われば、当然のことながら大学入試も変わります。最近は学業の成績だけではなく、高校時代に行っていた活動の成果を合格の要件として認める大学が増えています。

対象となる活動として、学校の授業やクラブに関わるものはもちろんのこと、学外で行っている活動も含まれることがあります。

今回は、中学高校時代にロボットプログラミング大会で優秀な成績を納めて、この春、特色入試で京都大学に入学された坂本京也さんをご紹介します。

特色入試、AO入試ってなに?


少子化に加え、社会が求める人物像が多様化する現在、今まで通りの入試制度ではとらえきれない能力をもった学生を発掘することを目的に、多くの大学で推薦入試やAO入試が取りいれられています。

調査書の内容や学力検査、面接・小論文などによって合否を判定する一般入試と異なり、推薦入試では、出身学校長の推薦にもとづいて、調査書、面接・小論文などを活用して合否の判定を行います。

これとは別に最近よく耳にするのが『アドミッション・オフィス入試(AO入試)』です。大学によっては『特色入試』と呼んでいるところもあります。

学力試験の結果にかたよることなく、詳細な書類による審査や丁寧な面接などを組み合わせて、受験生の能力や適性、学習に対する意欲や目的などを総合的に判定する方法です。


これらの入試制度を導入する大学は年々増えており、文部科学省の発表によれば、平成30年度にAO入試を実施した国公立大学は85大学で、これは全体の5割に当たります 。私立だけでみれば8割以上の大学が実施しています。

大学入学者数でいうと、全体の約1割がAO入試、約3割が推薦入試によって入学しています。

(参考)文部科学省
     「平成30年度国公立大学入学者選抜について
     「平成29年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要

AO入試や推薦入試は、受験生にとっては一発勝負の試験に合否を左右されにくく、また学力には表れにくい自分の能力をアピールできるというメリットがあります。

大学としてもこのような選抜を行うことで、その大学が求めている『アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)』を満たす学生を見いだしやすくなります。

推薦入試やAO入試などでは、高校時代に行っていた活動の成果を、入試選考の条件に加えている大学があります。一例として、東京大学の推薦入試についてご紹介しましょう。


以下に示したのは工学部ですが、推薦要件として『基礎学力に加えて、特色ある活動を経験していること』としています。具体的な活動としては、数学オリンピックや生物オリンピックなどが挙げられています。

■推薦要件
高等学校等の学習内容について十分な基礎学力を有しており,以下に示す資質を有することを示す、あるいはこのような資質の涵養に資する特色ある活動※を経験している者とします。
(引用)「平成30年度 東京大学 推薦入試学生募集要項

■活動の例
在学中に志願者が主導的な役割を果たしたことにより顕著な成果を挙げた活動 (社会問題解決に取り組んだ社会貢献活動・国際的活動,部活動等)、全国レベルの大会・コンクールでの入賞につながった活動、特色ある高度な研究活動・創造 活動,顕著な成績をあげた数学・物理・化学・生物オリンピックなどでの活動等
(引用)「平成30年度 東京大学 推薦入試学生募集要項

どのような活動の成果を認めるかは大学によって様々でしょうが、参考になるのが文部科学省所轄の『科学技術振興機構(JST)』のサイトです。

ここではおもに理数系のコンテストや大会が挙げられており、これらの大会で得た優秀な成果は、特に理数系の学部の入試では有効なアピールになると期待できます。


 どのような大会、コンテストがあるかは科学技術振興機構のサイトでチェックできる。

『ロボカップジュニア』で世界一に!ロボットコンテストで得た経験や成果を受験でもアピール


実際の例として、上記のサイトでも名前の挙がっている国際的ロボットコンテスト『ロボカップジュニア』での活動をアピールして、今春、京都大学工学部に入学した坂本京也(けいや)さんをご紹介しましょう。

坂本さんは現在、京都大学工学部電気電子工学科の1年生です。北海道のご出身で、小学生のときに『子どもの理科離れをなくす会 』でロボットを作り始め、ロボカップジュニア2014年ブラジル大会(開催地:ジョアンペソア)のダンス部門で、みごと優勝を果たしました。

その後、坂本さんはロボットに関する英語論文を執筆。その成果が認められて、2016年ドイツ大会では学会発表する機会を得たそうです。坂本さんに詳しいお話しをうかがいました。

 京都大学工学部1年の坂本京也さん。現在はロボット教室『子どもの理科離れをなくす会』の先生としても活躍中。

――ロボットを始めたきっかけについて教えてください。

小学校5年生の時に体験教室に参加したことが始まりです。小さい頃からコンピュータに興味があったので、母が勧めてくれたんですね。

――ロボット教室では、どんなことを習っていたのですか?

『e-Gadget』という教育用のキットを使って、プログラムの簡単な文法や論理的思考力を鍛えました。最初はビジュアル言語で基礎を学んで、その後、Pythonなどの言語を覚えました。

教室では、考えるだけでは分からない『与えられる知識』と、考えなくてはいつまでも分からない『鍛えられる知識』のバランスを維持しながら、基礎的な理解を深められたと思います。

――お家でもプログラミングに取り組んでいたのですか?

ある程度の基礎が身についてくると、自宅でインターネットなどを使って調べたり、掲示板で質問したりしながらプログラミングを覚えました。

また、ロボット作りでは母親の協力が大きかったですね。母はそのようなことについて詳しいわけではないのですが、たとえばプログラムについて説明した時などに、真剣に聞いてくれた覚えがあります。

――中学校、高校でもロボットの制作を続けられたのですね?

私が在籍していた中学、高校にはロボットを作る環境がありませんでした。それで学校に働きかけて、ロボット部を新たに設立したんですよ。

最初のうち、学校はロボット活動への理解が乏しくあまり協力的ではありませんでしたが、世界大会で優勝してからは積極的にサポートしてくれるようになりました(笑)。

そんな感じですから、学校よりもロボット教室の影響のほうがよほど大きかったですね。私は『子どもの理科離れをなくす会(理科会) 』に通っていたのですが、そこでは単にプログラミングや電子工作の技術だけではなく、広い意味で科学へ取り組む姿勢を学びましたね。

理科会代表の北原先生からはいつも、「サイエンスを通して学んだことを生かして、どうやったら社会に貢献できるかを考えなさい」と言われていました。

高校生になってすぐに、自動で環境測定するロボットを開発して、『日本学生科学賞』へ論文を投稿するように勧めてくれたのも北原先生です。英語で書いた論文が認められてロボカップの学会に招待されたのは、このときの経験が大きかったですね。

――ロボカップジュニアのチームメートとも『理科会』で知り合ったのですね。

そうなんです。私のチームメートは伊賀さんという女性で、札幌の同じロボット教室に通っていたのが縁でチームを組みました。男女ペアは珍しいのですが不思議と気が合いましたね。

伊賀さんとは学校が違いましたから、自宅でそれぞれができることに取り組んでいました。そのほうが集中して行えますし、限られた時間で協力したからこそ互いの良い面を生かすことができたと思います。

スペースロボットコンテスト (2013年)で 優勝したときの坂本さん(左)。
チームメートの伊賀理心(としみ)さん(右斜め後ろ)は、AO入試を経て今年から慶応大学で学んでいる。

――ロボットプログラミングは、学校の勉強にも生かされると思いますか?

ある程度複雑なプログラムを書くようになると、どうしても数学の知識が必要になってきます。学校で数学の定理や定義などを学んでいても、「そういうものかな」とあまり深く考えることもなく、受け身になりがちです。

しかし、思い通りのプログラムを書くためには、定理や定義をより深いレベルで理解していなければなりません。そういった意味で、目的意識をもって学校の勉強にも取り組めたと思いますね。

他にも、ロボットやプログラミングのことなど知りたい情報が英語のサイトに書かれていることは多いですし、国際大会では英語が公用語ですから、英語力は自然と身につきますね。

学校の勉強が、ロボット制作やプログラミング習得の助けになったことはもちろんですが、逆にロボットやプログラミングで得た知識が学校の勉強に役立ったことも多かったですね。

――坂本さんは京都大学に出願される際に、ロボット活動をアピールしたそうですが、受験ではどのように評価されたのですか?

評価については公開されていないので、よく分かりません。私の想像ですが、ロボットの制作には基礎的な知識を応用する力や、具体化する
力が必要です。

ロボット活動を行っていたということで、大学側はそういった力を評価してくれたのかなと思います。出願書類としては、調査書と推薦書、さらに『学びの設計書』という、入学後に行いたい研究の計画書と、『活動実績の概要』について提出しました。

センター試験の合計得点が80%以上であることが必要ですが、面接などはありませんでした。

――これからやってみたいことや目標などを教えてください。

大学出願時の志望動機には、『AIを用いた総合完全機械医療システムの構築』と書いたのですが、入学してから2ヶ月が経ち、すでに他のことにまで興味の幅が広がりつつあります。

特にいま興味があるのは、プログラミング教育です。Pythonなど、子ども向けの教室がまだ少ない高級言語を、自分なりの方法で教えてみたいですね。


――これからプログラミングやロボットをやってみようと思っているお子さんや、今、まさに取り組んでいるお子さんたちにメッセージをお願いします。

学校の勉強というのは極端に言えば、与えられたことを理解せずに、ひたすら飲み込んでいるだけでも、やり過ごすことができてしまうと思います。

でも、習った公式や法則の意味が理解できず、実際にはどのように使われているのかも知らないまま、ただ練習問題を解くだけでは決して楽しくないですよね。

たとえば、学校で三角関数の公式をたくさん覚えると思いますが、実社会ではなんの役にも立たないと思っている人は多いのではないでしょうか?その点、ロボットやプログラミングをやっていると、その公式や法則の本当の意味を理解して使わなければ、思い通りに動かすことができません。

プログラミングで必要な考え方は、勉強など他の場面でも必ず役に立ちます。また近ごろの大学入試は、パターン化された受験勉強だけでは得られないような能力を評価しようとすることも多いですから、その点でもロボットやプログラミングの経験は生きると思います。おもしろそうだなと感じたら、ぜひ体験教室などで実際に触れてみてください。

編集部から

ロボット熱が高じて自ら学校に働きかけて、『ロボット部』まで創立してしまった坂本さん。その熱意こそが、ロボットの世界大会で優勝を成し遂げ、さらに高校生でありながら英語の論文を書いてしまうという、すばらしい業績を生み出したのだと思います。

学業以外の活動が評価されるとはいえ、AO入試でも基礎的な学力は必須です。センター試験で合計得点8割以上という学力を身につけるための努力も、ロボットに対する情熱があってこそではないでしょうか。

また印象に残ったのは、ロボット作りにお母様がたいへん協力的であったというお話です。学校の勉強でも習い事でも、親御さんが応援する姿勢こそが子どもさんが安心して取り組める環境につながるのだと感じました。

通われていたロボット教室で指導された『サイエンスを通した社会貢献』の姿勢を貫き、より大きな舞台での活躍を目指す坂本さん。これからも持ち前の熱意と行動力で、すばらしい未来を生み出してくれることと期待しています。

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この記事を書いた人


工樂真澄

国立研究機関での研究生活を経て、現在は小中高生の理科に関するお仕事と、サイエンスライターとして活躍中。『最新の科学を誰にでもわかりやすく!』をモットーに、日々研鑽しております。博士(理学)。

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