「まずは企画書を書かせるんです。パソコンに向かうのは、その後。」教育専門会社が手掛けるプログラミング教育とは!スタープログラミングスクール

百貨店やショッピングモールを中心にオープンし、アクセスの良さと充実したコンテンツで人気を集めるスタープログラミングスクール。

子どもが学んでいる時間は、忙しい保護者のちょっとしたリフレッシュタイムにもなっていることでしょう。

運営会社は、長年「チアリー児童英語教室」「パソコン市民講座」を手がけてきた株式会社チアリー。

幼児からシニアまで教育専門会社として培ったノウハウは、どのように子ども向けのプログラミング教育に生かされているのでしょうか。

講師に対して「キッズメンタルコーチング研修」を行うなど、徹底して子どもたちと向き合う本校にお邪魔し、株式会社チアリー プログラミング教育事業部長の福原立士さんにお話をお伺いしました。


オープンから3年、「ごくごく普通のお子さんが増えてきた」

—本日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、スタープログラミングスクールさんの来歴についてお伺いできますか。

弊社(株式会社チアリー) は、昭和48年に児童英語からスタートし、現在は全国におよそ100教室の「パソコン市民講座」というパソコン教室を運営、2015年10月からお子様向けのプログラミング教室「スタープログラミングスクール」をスタートしました。

特長としては、この教室(中野マルイ教室)と同じように、百貨店やショッピングモールにスクールを構えることで、受講生の方に通いやすい環境をご提供しています。


2020年の小学校でのプログラミング教育の必修化を前に、子ども達にプログラミング教育を広めていきたいという理念のもと、総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業に2期連続で選定されるなど、実績面でもご評価いただいています。

はじめは4教室からスタートし、3年が経過した現在では直営教室が32教室、来年春には50教室が開校予定です。直営教室以外にも、パートナー校が現在19教室ございまして今後も国内外に展開予定です。

フランチャイズ募集を積極的に行っているわけではないのですが、ありがたいことに問い合わせをいただくことが増えてきました。

その中でも、教育理念を共有する事業者様にコンテンツを提供させていただき、実践でのフィードバックをいただきながら教育開発を一緒に進めているといった形です。

—通われているお子さんには、どのような方が多いのでしょうか。

そうですね、初期の頃は、保護者の方がSEだったり、お子さまもとにかくパソコンが大好きでプログラマになりたいといった、いわゆるアーリーアダプター(新たなサービスを、比較的早くに受容する層)のお客様が多かったのですけれども、現在はごくごく普通のご家庭の方が多いです。


つまり、プログラマになりたくてプログラミング教室を比較するというよりは、サッカーなのかピアノなのか、英語なのかプログラミングなのか、という「習い事」の軸で検討されている方が多いように思います。

ですので、教室の差別化として、高度なプログラミングスキルの習得よりも、そもそもプログラミング教育がお子さまにとってどのような必要性があるのかについて、保護者の方にご説明することが多いですね。

「ひきこもりになるんじゃないか」心配を打ち消す「学び合い」


—プログラミング教育の必要性について、詳しくお伺いできますか。

どの教室さんも意識されていることかとは思いますが、子どもの創造性、論理的思考力などいわゆる「生きるチカラ」を育成するという点に尽きますね。

保護者の方にも、いわゆるプログラマであるとか、高度なIT人材を育成するだけがプログラミング教育の目的ではないですよ、ということをご説明しています。

よくある誤解ではありますが、「プログラミング」と聞くと、パソコンに向かって黙々と作業をすることをイメージされる方がまだ多いです。一人でずっと部屋にこもってカチャカチャ……とキーボードを叩いている、というイメージをお持ちのようなんですね。

引きこもりになってしまうんじゃないか、人とコニュニケーションを取らなくなるのでは、といったことをご心配される。
でも、本当はそうではなくて。

プログラミングというのは、自分のイメージを他者に表現する行為であるとお伝えしています。


—「イメージを表現する行為」。なるほど、分かりやすいですね。

はい。教室では毎回、新しいスキルも学んでいただくのですが、そのとき講師が「これを作ってね」とテーマを与えるのではなく、「今日習ったことを使って、どういうものを作りたい?」と問いかけ、これをまず、紙に書かせる。

いきなりパソコンに向かうのではなくて、まずは「企画書」を書かせるんです。パソコンに向かうのは、その後です。

正直なところScratchなら、適当にブロックを繋げただけでも、それなりに面白い動きにはなるんです。子どもたちはそれで楽しかったりはするのですが、それで完成した作品は偶然の産物であり、論理的思考力が育つ教育とは言えませんよね。

こうしたい、と自分が思い描いた結果になるようにプログラムを組む。それが論理的思考なのです。そして頭の中のイメージを表現する「企画書を書く」という行為も、論理的思考力を育む「プログラミング」です。



コミュニケーション面についても、それぞれがオリジナルの作品を作りつつも、企画書を書く上でのアイディア出しや、途中経過の共有など、作業自体は共同で行い、相互的に進めます。人の作品をみたり、意見を聞いてときには自分の意見をぶつけて、それを作品に反映させるという行為も、やはり「プログラミング」なのです。

プログラミングを学ぶにあたって、自宅で、オンラインで学ぶ形もありますけれども、わざわざ教室に来ていただくことの意義として、こういった友だち同士の「学び合い」があるのかなと。



保護者の方には、企画書や発表の様子も見ていただいています。習得、制作、発表の3つをまとめてプログラミング教育であるという形を取っているんです。

「インプット」は映像で。講師はメンタリングに注力


—プログラミング必修化にあたり、「教えられる先生が足りないのではないか」「自分自身も、教える自信がない」といった声もよく聞きます。講師の育成については、どう進められているのでしょうか。

教室をご覧いただければ分かると思うのですが、受講生の方が操作するパソコンと、もう1台、モニターがありますよね。

本校のScratchプログラミングコース、ロボットプログラミングコースではプログラミングスキルを、このモニターに流れる映像を視聴して学ぶという仕組みをとっています。


スキル学習を映像化することで、講師はいわばメンターとして、子どもたちのモチベーション、メンタリングにより注力することが可能です。

通われているお子さんには低学年の方も多く、プログラミング自体は簡単な操作なのですが、些細なことでやる気をなくしたり、他のことに注意がそれたりして、気がついたら手がとまっていることもあります。

そこにいち早く気づくことを講師には求めています。

—低学年の生徒さんが多いと、確かに、メンタリングの方が重要になるかもしれませんね。

ええ。メンタリングについては専門の外部の講師の方を招いて、定期的に講師の研修をお願いしています。

子どもがつまずくポイントは様々なんです。たとえば入力はローマ字ですから、ローマ字が入力できなくていやになっちゃう子もいます。

自分の絵を描いてオリジナルキャラクターを作ってもらうのですが、そのイラストが上手に書けなくていやになっちゃう子もいます。

意外な「つまずきポイント」も共有。オリジナルの学習指導要綱でレッスンのクオリティを維持


一見、プログラミングとは関係のないところでつまずいてしまうんですね。でも、分かるような気がします。

はい、講師に関しても、教室が増え、それぞれの講師の経歴も多種に及ぶ中で、必ずしもSEやプログラマとして専門的なプログラミングスキルをもっている講師ばかりではありません。

それを踏まえた上で、レッスンのクオリティには差がつかないように、レッスンごとの「学習指導要綱」をすべての講師で共有しています。

その中では、子どもたちがつまずきやすいポイントも共有しています。タイピングやイラスト以外ですと、「学年によっては算数で習っていない単元がある」などですね。

たとえば「角度」の単元は小学3年生で学ぶのですが、通っていただいている生徒さんには幼稚園の年長さんもいらっしゃる。

そうなると、角度をまだ知らないので、当たり前のように「ロボットを30度の方向に向けましょう」と言ったところで、理解してもらえない。

イラストや図などを使って、目で見て角度を理解してもらうなどの工夫が必要になります。教室の側で、そういった経験を共有していける教材を用意しているんです。

—タイピングやイラストでつまずくというのは、これまでになかった視点です。でも、必修化となると、パソコンに慣れていないお子さんもいらっしゃいますよね。

ええ、おっしゃる通りです。ただ、タイピングに関しては、弊社はもともとパソコンスクールも運営していますから、別途、子どもタイピング講座などもご用意しています。これが最近、保護者の方からご好評をいただいていますね。

夏休みなどの長期休暇を利用していただいて、タッチタイピング(画面を見ずにキーボードを打つこと)を習得していただけるカリキュラムも提供しています。

名前も言えなかった子どもが、東大の講堂でプレゼン


—プログラミング教育に関しては、講師不足と同じく「成績の見えにくさ」が指摘されることがあります。その点、スタープログラミングスクールさんではどのような取り組みをされているのでしょうか。

保護者の方が一番成長を実感されるのは、やはり発表会ですね。はじめは上手に喋れないのが当たり前で、自分の名前すら恥ずかしがって言えない子もいます。

そういう子に対しては、まずは講師のインタビューに答えるだけ、という形で話してもらうのですが、数ヶ月経つと、どんどん発表できるようになっていって。

今年は東京大学の講堂をお借りできたんですが、そういった場で、500人を前にプレゼンテーションができるようになるんです。

論理的思考力、プレゼンテーション能力は測りにくいものですが、そういう姿を見られると安心されるようです。

そしてもちろん、プログラミングスキルに関しても、外部のプログラミング検定をカリキュラムに取り入れることで、ひとつの学びの成果としています。

「すぐに教えてあげなければ」という認識を改めた


—全体を通して、講師の育成や子ども達のモチベーション維持が手厚いなという印象を受けました。

私はもともと、コンピュータの専門学校で20歳前後の学生に国家資格を取らせるための授業をしていたんです。

大人向けの授業の場合、資格取得が大きな目標の一つになりますから、「プログラムの基本構造」といった理論的なレベルから説明していたんですね。

そしてそれは「いかに効率的に」「いかに無駄なことをしない」ということが大前提のプログラミング教育でした。

でも、相手がはじめてプログラミングを学ぶ子どもたちの場合、そういったことは、極論を言えば今はどうでもいいと思うんです。

子どもたちは、好きなようにゴールにたどり着ければいい。効率的なやり方でなくてもいいと思います。

初めからいきなり無駄のない、効率的なやり方を教えるのではなくて、何度も何度も経験をする。それを通して、「どうやらこのやり方のほうが効率がいい」と気づいてくれるかもしれない。

もしくは、中学生・高校生になってから本格的にプログラミング言語を覚えて、「実はあの面倒なプログラムは、ほんの1、2行で済んだんだな」と知るかもしれない。

その方がむしろ、いきなり方法の説明をして「ほら、楽でしょ」と言われるより、絶対に身につくと思っています。


—なるほど。大人と子どもでは、教え方が違うんですね。

私自身、当時の意識でいうと、学生に聞かれたらすぐ正解を答えなければいけない、プログラムにバグがあったらすぐに直してあげなければいけないという意識がありました。

今ではその認識を改めていて、極端な言い方をすれば「正解は教えないでくれ」と講師にお願いしています。

我々が教えてあげるのは、あくまでもツールの使い方と「考え方」。「一緒に考えてあげる」のはいいけれども、すぐに正解を与えるのはよくない、と。

ですから講師についても、すぐにプログラムのバグに気づいてそれを教えてあげなければいけないといった気持ちはなくしてほしい、むしろ、“テクニカルな専門家”でない方がいい、くらいだと思うんです。

一緒に考えてあげればいい、というスタンスなので、結果的に講師側の負担も少なくなっているのかなと。

実際に教えてみると、講師が悩むのも、スキル面というよりは子どもとの接し方であるほうが多いですしね。

小学生の間は、楽しくいろいろな組み方をしてみて、とにかくたくさんのプログラムを作ってみる。そして友だち同士で作品を見せ合って、刺激し合いながら、さらに新しいプログラムを作っていく。そういう時期なのかなと思っています。

—ありがとうございました!
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