※ 本コンテンツにはプロモーション(PR)が含まれています。また、詳しい最新情報については公式サイトをご確認ください。
これからの時代を生きる子ども達にとって「多様性を理解し、認め合い、受け入れる」ことはとても大切なことです。今回の教育トピックは、多様性や差別の問題について、子どもに話したり教えたりする前に「知っておきたいこと」をまとめました。
クレヨンに肌色がない
クレヨンや色鉛筆から肌色がなくなっていることを皆さんはご存知でしょうか?実は10年以上も前からクレヨンから「肌色」はなくなっていました。ところが私、知らなかったんですよ。もちろん、子ども達は色鉛筆やらクレヨンやら使っていたのですが、気づきませんでした。というより、気にしていませんでした。肌色は肌色だと思っていましたから。
2000年9月の生産から「はだいろ(肌色)」の呼称を「うすだいだい」に変更しました。「はだいろ」の呼称は、人の肌の色へ固定観念を与える可能性があると指摘されていたことから、市場の混乱を避けるため、株式会社トンボ鉛筆、株式会社サクラクレパス、当社の3社で協調し、一般的でわかりやすく、語感がよく、色を連想しやすく、日本人に馴染みやすく、他の業種にも混乱を来たさない、などという点から、和名「うすだいだい」、英名「Light Orange」への変更を決定しました。最初に知った瞬間は「そこまで敏感にならなくても」とちらと思ったのは事実です。いっぽうで、子どもだからこそ「肌の色はこの色」と意識づけされないようにする配慮は確かに大事なことかもしれないと感じました。
出典:三菱鉛筆株式会社
そこで調べてみると、こうした変化は確実に進んでいることがわかりました。
ディズニーのよびかけ「ボーイズ&ガールズ」も変わる
2021年3月、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは、従来のアナウンス「Ladies&Jentleman Boys&girls」を廃止し、Hello everyoneといった表現に変えています。LadyかGentlemanか、ではなく、みなさん、という呼びかけになるわけですね。
ジェンダーについて子どもに説明するのはとても難しいことです。でも、こうした身近な話題から「なぜボーイズアンドガールズって言わなくなったのかな」と親子で話すことが、多様性について学ぶチャンスです。
参考:東京ディズニー園内アナウンス一部変更/日本経済新聞
絵文字もジェンダーニュートラルへ
スマホで利用している絵文字も、変化していることに気づいていましたか? 2019年にはAppleがiPhoneのバージョンでジェンダーニュートラルな絵文字を追加しています。引用:Emojipedia
2020年リリースされたUnicodeの絵文字では、トランスジェンダーのシンボル旗の他、男女区別のない人、ヴェールをかぶった男性、タキシードを着用した女性、性別がわからないサンタクロースの絵文字もあります。また、赤ちゃんと親という絵柄では、母乳だけでなく哺乳瓶でミルクを飲ませる絵もあります。
このように、私たちを取り巻く世界で少しずつ、多様性について、より多くの人が当たり前と受け止められる環境が広がりつつあります。
そもそも多様性とは?
多様性とは、いろいろな種類や傾向のものがあること。変化に富むこと。(出典:Digital大辞泉/小学館)近頃はメディアや大企業がそろって「多様性」「ダイバーシティ」という言葉を使っています。でも実はきちんとその意味を知っている人は少ないのではないでしょうか。
しかも、多様性について調べていけばいくほど、たくさんの横文字が出てくるのですが単純に翻訳してもわからないのです。
で、ダイバーシティって? ジェンダーニュートラルって???
ダイバーシティとは
多様性。相違点。企業で人種・国籍・性・年齢を問わずに人材を活用することでビジネス環境の変化に柔軟、迅速に対応できると考えられている。(出典:Digital大辞泉/小学館)多様性とダイバーシティは同じように使われていますが、ダイバーシティは、現在では企業のビジネス用語として定着しています。
ビジネス面でのダイバーシティは、さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まっている状態を指し、それぞれの個性や違った能力が企業の大きな力になるとされています。
ジェンダーニュートラルとは
男女の性差のいずれにも偏らない考え方。もしくは、伝統的な性別による役割認識にとらわれない思考、行動、制度などを支持する考え方。英語の性別を意味するジェンダーgenderと、中立を意味するニュートラルneutralを組み合わせた表現である。ジェンダー自体が非常によく聞かれる単語ですが、ジェンダーそのものは性別を意味します。最近ではファッションでも、男性・女性用とわけないジェンダーニュートラルな動きが活発です。
出典:小学館 日本大百科全書
インクルージョンとは
包括、包含。包括とは、全体をひとつにまとめること。上記のほか、インクルージョンは女性や外国人、LGBTなど「さまざまな人が違いや個性を認め合い、協働する」といった意味でも頻繁に使用されています。
インクルージョン教育・インクルーシブ教育は、包括的教育。具体的には障がい者も他の子ども達と同じ教室で学ぶことを指す。
参考:goo国語辞書 Weblio英語辞書
インクルージョンとダイバーシティの違い
上記の図がとてもわかりやすいので引用させていただきました。ダイバーシティは、いろいろな人がいること、そしてインクルージョンは「いろいろな人たちが、理解し合い、共に力を発揮して協働すること」ですね。
これからは単なるダイバーシティ、グローバル化ではなく、もう一歩進んだインクルージョンがより重要とされていくことでしょう。
LGBTとSOGIとは
LGBTとは、L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダーを意味する言葉で女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、生まれたときに法律的/社会的に割り当てられた性別とは異なる性別を生きる人のことを言います。LGBTは皆さんもよく耳にしているでしょうが、SOGIは知らない人も多いかもしれません。性的指向と性自認が混同しているため、最近ではSOGIという言葉が使われています。
SOGIのSOとはセクシュアルオリエンテーション(性的指向)のことで、好きになる相手の性を指します。GIとはジェンダーアイデンティティで、自分自身を男性と認識するのか女性と認識するのか、あるいはどちらとはっきり決められない、どちらでもないなども含みます。
引用/抜粋:ハートネット福祉情報総合サイト/NHK
文部科学省による教職員に向けたパンフレット「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」では、以下の通り記載されています。
「 性自認」と「 性的指向 」は異なるものであり 、対応に当たって混同しないことが必要です 。
ノンバイナリーとは
イギリスで多様なジェンダーの人たちのための活動をするジェイ・スチュワートさん(ジェンダード・インテリジェンス代表)によると、ノンバイナリーは「因習的な意味での男性または女性だと自身を捉えていない人すべて」を指す包括的な概念だ。自己認識が男でも女でもない人、男でもあり女でもある人、男女の区別を超えている人、ジェンダーはないと感じる人、因習的な「男性/女性」の区別とは異なるジェンダーを持つ人が含まれる。ジェンダー「男女」という性別の、どちらかにあてはめるのではなく、第三の性、Xジェンダーや、ジェンダー・オーサム(Gender awesome)という意味でも使用されています。ちなみにトランスジェンダーは、たとえば男として生まれたけど女性性を強く認識している場合、ノンバイナリージェンダーは自分の性別をどちらと定めていない場合に使われます。
引用:性別という壁を越えたノンバイナリーが叶える自分らしい生き方/VOGUE
要するに、男か女かという二者択一ではない、ってことですね。
ニュースやテレビでこんな言葉が出てきたら、サクッと説明してあげましょう♪
小学校における多様性の教育
ダイバーシティ教育を「人種、年齢、性別、障害の有無、身体的条件、宗教、価値観、社会経済的状況などの多様な背景を有する他者と共に学ぶことによって、その多様性を理解し、敬意を育む教育」と再定義している。日本ではインクルージョン(インクルーシブ)教育として、障がいがある・なしに関わらず、共に学ぶという教育を推進してきました。また多様性の教育も行っています。しかし諸外国と比べると遅れていることは否めません。
引用:日本の小学校における「ダイバーシティ教育」に関する調査/畿央大学教育学部現代教育学科
高校の教科書では、同性婚を取り上げるなどLGBTの記述も増えていますが、基本的に小学校では「異性への関心の芽生え」を保健体育で触れる程度です。しかし、ともかく教科書によってはウェディングドレスを着た女性ふたりのポスターを掲載していたり、性別に関係なく制服を選べる学校もあることを紹介していたり、父親がふたり・母親がふたりいる家庭もあるとの記述があったり、授業での取り組みができるような変化はあります。
多様性の教育では、単に「性別の意識」だけでなく、肌色に代表されるような人種や国籍、あるいは年齢、育ってきた環境、自分が当たり前と受け止めてきたこととは違う「背景」を持っている相手に対しても、それを「違う」からといって排除したり、非難したり、いじめたりしてはいけないことを教えます。
ひとりひとりの個性を認める教育はもとよりビジネスにおいても〝多様性〟は、日本ではこれまであまり浸透してきませんでした。今も「ダイバーシティ? そりゃ大手企業だけでしょ」という声も聞こえてきます。
でも、これからの未来を生きる子ども達にとって、私たち親世代とは世界観自体が大きく変化しているのですから、やはり家庭だけでなく教育現場でも、多様性についてさまざまな方向から、より具体的な学びをしてくれたらと思います。
参考:LGBT、公共や家庭でパートナーシップ制度も―教科書検定/時事通信社
親として大人として考えたいこと
性の自認についての知識も、少しずつ浸透しています。30年前まで時代を巻き戻してみれば、ランドセルひとつをとっても、男の子なら黒、女の子なら赤、であって、女の子が茶色や黒のランドセルを持つと、からかわれたり、「ヘンなの」なんて言われたりしたものです。今はカラフルなランドセルが並び、女の子がシックな焦げ茶のランドセルを選んでいます。
しかし、今でも、男の子がもしピンクのランドセルを選ぶと、親としては一瞬「ん?」となります。「黒じゃなくてもいいけど、青とか茶色はどう?」と無意識に声をかけてしまいます。頭の中では「男のだから、女の子だからと区別しない」とわかっていても、やはりそこで親としては戸惑いますよね。
うちの子はもしかしたら、男の子だけど女の子の性があるのだろうと考え、それなら、その子が生きやすいように育てていこうとすぐに考えられる親は正直なところ、あまりいないでしょう。多様性もLGBTも頭で理解しているのと、親としてわが子がそうであると認め受け止めるのは、また別の問題です。
それでも、大切なわが子だからこそ、男らしく、女らしくではなく「自分らしく」を大切にしてほしい、子どもが自分らしく生きていけるように、親は葛藤しながらも、寄り添う努力をしていけたらと思います。
親が持っている「これが当たり前」「常識」という概念も、すさまじいスピードで変化する時代の中で、時には「この考えが当たり前と思っていたけど、今は違うのかも」と立ち止まって自分に問い直すことも必要かもしれません。偏見は、偏見とわからず、無意識に行ってしまうことが多く、その偏見を子どもの価値観に押し付けてしまわないように、大人も考える時間を持ちたいですね。
肌色鉛筆セットが教えてくれること
冒頭で、色鉛筆から肌色がなくなったという話を書きました。その後、話題になったのがGIOTTO社やリラ社が出している肌色セットです。こちらはスキンカラーとなっていますが、世界中の「肌色」を集めています。日本に住んでいると、欧米諸国のように日常的にさまざまな肌の色をした友人を持つことはそう多くありません。この色鉛筆のセットから、肌色といっても「いろいろある」ことがわかります。いろいろある、それが多様性の基本です。
とはいえ、30年前と今では、だいぶ環境も変化しています。
たとえば、今の子ども達はテニスの大坂なおみ選手や野球のダルビッシュ有選手、バスケットボールの八村累選手を憧れとして熱い視線を送っています。彼らがハーフであることを認識していても、ハーフだからという特別な意識は薄れつつあります。30年前ならどうだったでしょうか。クラスに肌の色が違う子がいると、いじめまではいかなくても「何か違う人」と区別する空気があったのは事実です。
スキントーンの色鉛筆セットをきっかけにして、子どもと「国籍や人種差別について」やわらかく話すこともできます。多様性やジェンダーについての絵本や本も出ています。特別なことではなく、日常的に、差別や偏見について家庭でも話し合えるといいですね。
多様性を受け入れる「理解・敬意・寛容」のこころ
多様性について学ぶのは学校の教育だけでは充分ではなく、家庭でも話題にあげたいことです。この時、ぜひ意識したいのが次の3つです。- 理解
- 敬意
- 寛容
日本語では「よそもの」という言葉もありますが、どうも自分たちが慣れ親しんでいる環境とは全く違うバックグラウンドを持つ相手や、それまで理解したことのない違いがあると、どうしても抵抗感を覚え、仲間内にいれないという感覚があるんですね。
違うことを認め、理解し、受け入れるというのは簡単そうで、難しい面もあります。
私たち親は多様性について自分なりに学び、子どもと一緒に考えてみることが大事なのではないでしょうか。話し合ってみる、共に考えてみるは、お互いを理解することにもつながります。多様性は親子の間にある「違い」をも含めて、互いに認め合い、敬意をもって受け止める、受け入れる、そんな家族を自然体でできたらいいな、と思います。
昭和なワタシは「ぼくたち男の子 イェイイェイー! キミたち女の子 イェイイェイー!」なんて歌詞が浮かんできて、うを、これも、ひっかかるのかなと思い悩んでます……。