偏食にはさまざまな原因が考えられますが、偏食の原因や適切な対応方法を知ることで保護者のみなさんの悩みが減ったり食育の方法が変わったりするでしょう。
この記事では、代表的な偏食の原因やお子さんへの影響、発達段階別の対応方法などについて詳しくご紹介します。
子どもの偏食とは?
偏食は「特定の食品を嫌ったり、反対に極端に好むために食事が偏ること」「好きなものしか食べないこと」と考えられています。しかしはっきりした定義はなく、好きな時間にだけ食べることなどを含める場合もあるようです。「子どもの偏食は年齢が上がるにつれて自然に解消されていくだろう」という考えもあり、各ご家庭によって対応方法はさまざまです。
乳幼児期は食習慣の土台となる時期でもあるので、偏食がちなお子さんの食育に悩んでいる保護者の方も多いでしょう。
参考:幼児の偏食と生活環境との関連
子どもの偏食の原因
偏食の原因はさまざまですが、食べ物に対する不快な経験があると口を付けなくなることがあります。食材を食べた際に気持ち悪くなったり、虫歯によって不快感を感じたりといった経験が偏食のきっかけになるでしょう。また、子どもの咀嚼力に合わない大きさや硬さで提供してしまうと、食べづらいために特定の食品を避けることもあります。特に離乳期のお子さんや「自分で食べたい」という気持ちが強いお子さんは、食べにくい形状の食品を嫌がることが多いでしょう。
他にも、実は口内でアレルギー反応を起こしていたという事例や「イヤイヤ期」とも呼ばれる2~3歳頃に食品を選り好みするようになる事例などもあり、さまざまなきっかけが予測されます。
参考:プチダノン
子どもの偏食による影響
極端に小食の場合、成長に必要なビタミンやミネラルをはじめとする栄養素が足りなくなって発育不足になることもあります。身長・体重が伸び悩んだり慢性的な便秘を引き起こすこともあるでしょう。便秘になると、お腹が減らなくなって偏食を助長してしまう可能性もあります。また、お菓子や高カロリー食品ばかり食べている場合は小児肥満や生活習慣病といった病気も懸念されます。他に何も食べられないというお子さんに食事を摂ってもらうために甘い物をあげてしまうこともありますが、少しずつ他の食材にも関われるように協力してあげるのが大切です。
身体的な影響だけでなく、食事の時間を心地よく過ごせるかどうかがお子さんの心の発達に影響する場合もあります。個人差はありますが、身体と心のどちらにも偏食が影響すると考えられるでしょう。
参考:千葉県栄養士会
子どもの偏食は年齢によってさまざまな対応がある
離乳期の対応
離乳食は薄味の食品を提供し、食事の時間が楽しいことを伝えるのが大切です。無理に食べさせるのではなく、大人が美味しそうに食べたりお子さんの反応を受け止めたりしながら心地よい食卓の雰囲気づくりを心がけましょう。食品の固さや形状によって食べられるようになることもあります。手づかみ食べしやすい細長い形に切ったり、噛み取ることができる硬さを探ったりと調理法を変えて試すのがおすすめです。
幼児期の対応
心の発達段階として自己主張がはっきりしてくる幼児期には、さまざまな体験を通して食と関わることが大切です。友達や大人と一緒に食べる楽しさを知ったり、栽培や調理に挑戦してみたりといった経験を通して「嫌いな物でも一口食べてみよう」という気持ちが芽生えるかもしれません。また、食材や料理の栄養面について一緒に学ぶのもおすすめです。無理に食べさせようとするのではなく、苦手な食材にさまざまな角度から関わってみることでお子さんの気持ちが主体的に動く瞬間を待ってみるのもいいでしょう。
学童期~思春期の対応
偏食が固着してくる学童期や思春期には、家庭の食事のリズムや食卓の雰囲気づくりなどによって、お子さんの「自分らしい食生活」をサポートすることができます。自分の体調の変化に気づいたり一緒に食べる人を気遣ったりすることも楽しめるようになり、毎日の食事の課題を見つけたり改善したりできるようになるでしょう。
参考:厚生労働省「食を通じた子どもの健全育成(-いわゆる「食育」の視点から-)のあり方に関する検討会」報告書について
子どもの偏食まとめ
お子さんの偏食は、食への不快感や心の発達、アレルギー反応などさまざまな原因で引き起こされます。偏食が極端になってしまうと成長に必要な栄養素が足りなくなり、身体的・情緒的な成長が不安定になってしまうといった影響も考えられています。しかし嫌いな食材を無理強いすることは逆効果なので、発達に応じたさまざまな対応方法で食に関わる経験を積んでいくのがおすすめです。