反転授業とは?メリットとデメリットを徹底解説

反転授業とは?メリットとデメリットを徹底解説
感染症が流行したことにより、スクールだけではなく多くの学校でもオンライン授業が進められるようになりました。オンライン授業を導入する際に、反転授業を採用するケールが増えています。

反転授業が導入されるのは、先生や生徒にとって多くのメリットがあるためです。しかし、反転授業にはデメリットや注意点もあるため、あらかじめ理解したうえで授業に臨みたいですね。この記事では、反転授業のメリットやデメリット、注意点についてわかりやすく説明します。

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反転授業とは?

反転授業は、事前に生徒が学習したうえで授業に臨むスタイルを指します。従来の授業では、授業を行ってから生徒が宿題を行っていました。しかし、あらかじめ生徒が学習をしておくことで、疑問点を授業中に質問することが可能になります。

反転授業の始まりは、2007年頃にアメリカの公立学校で行われたとされています。その後、反転授業が世界に広まり、日本では2013年頃から導入されるようになりました。

日本では、反転授業の効果が注目され企業の新人研修に導入されるケースもあります。事前に学習を行うことで、研修時間の短縮や理解度のアップにもつながるとされています。

反転授業を行うために必要なもの

反転授業を行うためには、タブレット端末やデジタル教材を生徒に配布し、自宅学習してもらう必要があります。文部科学省では、GIGAスクール構想によって生徒1人に1台の端末が行き渡るよう推進しています。
1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たち一人一人に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する。これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図り、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す。
引用:GIGAスクール構想による 1人1台端末環境の実現等について
GIGAスクール構想によって生徒がタブレット端末を利用できることから、反転授業はどのスクールや学校でも行いやすいといえるでしょう。

反転授業が注目されている理由

ここでは、反転授業が注目されている理由を2つ紹介します。

日本やアメリカでもより深い学びが促進される効果が実証されている

反転授業はアメリカでもその効果が実証されており、学習意欲を向上させると認められています。
さらに理解と暗記中心だった授業から新しく先進的な内容に変化させる効果も期待できる、と結論づけられています

また日本の研究論文においても反転授業は従来方式の講義と比較し、予習の精度を高め記憶の定着に貢献する可能性が示されたと発表されています。特に学生にとって馴染みのある動画視聴を用いることは、有効な方法であることが認められたそうです。

引用:J-STAGE『基礎科目に対する反転授業の効果』

オンライン教育の普及で学校や家庭にPCやタブレットが備えられるようになった 

また反転授業が注目されている理由として、学校や各家庭にパソコンやタブレットが普及した点が挙げられます。

従来のテキストを読む・解くだけの予習から、動画や音声を視聴できるデジタル教材を用いた予習が可能になりました。
それだけではなく、視聴の有無や学習理解度をAIやツールなどでチェックできるようになりました。
オンライン配信やアプリ・独自ツールを用いて授業の前に予習動画を簡単に配信できるようになった点も要因の1つでしょう。

AIやオンラインといったテクノロジー技術と授業を紐づけられるようになり、反転授業はより注目を集めるようになりました

反転授業のメリットとデメリット

反転授業を初めて導入するときには、「どのように授業を進めたら良いのかわからない」「学習がついていけるか不安」など、先生も生徒もとまどうこともあるでしょう。

スムーズに反転授業が進められるよう、メリットとデメリットについて理解しておきましょう。

反転授業のメリット

反転授業には、以下のようなメリットがあります。

学習効率を高める

反転授業には、e-learningや動画などのツール・システムを用いるケースが一般的です。
これらは何度でも再生ができるため、分からないところは視聴を繰り返し理解を深めることができます

また授業に向けた内容をしっかりと理解した上で授業に臨むため、学習効率をグッと高められるでしょう。

問題解決能力を育成できる

反転授業では、問題解決能力を育成できると期待されています。

授業のインプットを行う中で、まずは自分で考える・調べるなど問題解決に向けたアクションを起こせるようになります。
また授業では、クラスメイトとグループワーク・演習課題などの協動的な学習を通じて、より深い議論に取り組みます。

このようにアウトプットに至るまでに必要とされる能力を高められるため、問題解決能力も必然的に高まっていくと言えるでしょう。

知識をアウトプットする練習になる

反転授業は、学習の順序を反転させることで、事前に得た知識をアウトプットできる場を確保できるようになります。
そのため実際の授業では、ロールプレイ・ディスカッション・プレゼンテーションなどを通じてアウトプットを行うカリキュラムが組まれています。

事前学習で得た知識を自分の言葉と考えでアウトプットに取り組むため、「誰に伝えたいのか」「どのように伝えるのか」「何を伝えたいのか」などのアウトプットスキルが自然と向上するでしょう。

生徒同士で教え合いをすることが可能になる

反転授業は、生徒が自ら学び進めることで学習に対して意欲的な姿勢になりやすいと言われています。また、学習効果については、欧米の大学で以下のように実証されています。
欧米で実証された学習効果
the Atlantic「The Post-Lecture Classroom: How Will Students Fare?」によると、ノースカロライナ大学のRussell Mumper副学部長が基礎薬学の課程で反転授業を2012年と2013年に導入し、年度末試験において
  • 2012年は前年度+2.5%
  • 2013年は前年度+2.6%
結果が向上しました。つまり、2年間で計5.1%向上しています。

反転授業が検証されたノースカロライナ大学では学習効果が向上しただけではなく、多くの生徒が反転授業を好むという傾向もわかりました。

生徒の学習状況を先生が把握しやすい

反転授業における授業の場は、事前にアウトプットした知識を披露する時間となります。
そのため、先生は生徒の理解度・学習状況をリアルに把握することができるでしょう。

このように反転授業は、学びの工程の最後に授業が位置する学習法です。
生徒の学習成果が授業で可視化されるため、理解の乏しい生徒にはフォローしやすくなるでしょう。

反転授業のデメリット

反転授業には、以下のようなデメリットがあります。

自習時間を確保するのが難しい場合がある

反転授業は、事前予習に取り組むことを前提に行われる授業形式です。

しかし他の習い事や家庭環境によっては、事前の自習時間を確保できないケースもあるでしょう。
万が一予習しなかった場合、期待する効果を得られないばかりか、授業内容を全く理解できない懸念も考えられます。

予習期間を長めに確保する、授業の最後に次回分の予習時間を組み込むなど、生徒が予習に取り組める工夫をしていく必要があるでしょう。

生徒の学習意欲が必要になる

反転授業の導入が難しいのは、主に小学校低学年の生徒です。自身で自習時間を確保し学習を進めることが難しいケースが多く、生徒の自主学習を支え保護者の負担になることも。また、学習意欲が低い生徒が多いクラスの場合は、反転授業を導入してもほとんど学習効果が得られないこともあるでしょう。

つまり、反転授業を導入するかは、生徒が積極的に自主学習を進められるクラスであるかを先生が見極める必要があります。さらに、反転授業を進めていくことが決定しているなら、生徒の学習意欲を引き出す声掛けや自主学習用の教材制作を行う必要があります。

タブレット端末を使うことによる視力低下

反転授業では、予習に向けてオンライン動画や教材が配信されます。
必然的にタブレットやパソコンに触れる機会が増えるため、視力低下や肩こり・腰痛などの健康被害が発生する可能性も考えられるでしょう。

タブレット等のデジタルツールは、30cm以上離れて使用することが推奨されています。
またタブレットやパソコンの位置は、目より下の位置にならないように固定しましょう。

動画視聴時間を短縮できない場合は、視聴姿勢を意識してみましょう。

講義動画制作などの先生側の負担が大きい

反転授業を開始する際、もしくは軌道に乗るまでは先生側の負担も大きくなります。

予習のための講義動画制作はもちろん、講義内容によっては授業の進め方も大きな変更を余儀なくされるケースもあるでしょう。
さらに生徒の予習取り組み有無を確認する“学習状況の管理”という新たな仕事も生まれてくることも想定されます。
また反転授業の内容をブラッシュアップさせるため、講義動画の作り直しや授業カリキュラムの見直しも必要になるでしょう。

反転授業を取り入れる際は、システム・ツールを活用する他、外部サービスの利用も検討していかなければならないでしょう。

反動授業とMOOCとの違い

タブレット端末やデジタル教材を用いて学習する反動授業と似ているものに、インターネット上で無料で公開されている大規模な開かれた講義を意味するMOOC(Massive Open Online Courses) があります。MOOC とはオンラインを通じて、海外や遠方の教育機関の講義を視聴して学びます。MOOCは運営者側が大学などの教育機関と提携を結び、さらに提供用のプラットフォームを開発後に講師の講義動画を公開します。

MOOCがインターネット上の授業のみであるのに対し、反動授業は動画授業と学校での授業2つを受ける必要があります。

反転授業に関するよくある質問

ここでは、反転授業に関するよくある質問を紹介します。

アクティブラーニングと反転授業の違いは何ですか?

アクティブラーニングも反転授業同様、注目を集めている学習法です。
両者の特徴は、それぞれ次の通りです。

  • 反転授業
反転授業は、授業⇒復習を「反転」させ、予習⇒授業の流れで実施する授業のことを言います。
反転授業では、授業前に予習動画・教材等を用いて理論や知識取得を行い、授業では理解度の確認や課題解決型の演習を行います。

アクティブラーニングは、グループワーク・ディスカッション等、生徒が自主的・能動的に取り組む学習形態のことを指します。
反転授業の中でアクティブラーニングが用いられるケースもあります。

大学で反転授業とは何ですか?

大学では反転授業を用いることにより、授業中に知識の応用を対話型で学べるようになりました

従来の授業は、講義で基礎的な知識の説明を行い、応用は生徒が自宅で取り組む方法が一般的でした。
しかし反転授業では、基礎的な知識の習得を講義映像やオンラインテストを活用して自宅で取り組みます。その結果、授業ではより難易度の高い応用課題を教員や他の生徒を交え取り組めるようになりました。

反転授業を導入した多くの教育現場では、落第者や授業の離脱率の減少、学習意欲・成績の向上が見られるようになりました。

反転授業を見越した勉強スタイルを確立しよう

今後、日本の多くの学校で反転授業が導入されていくでしょう。そのためにも、普段の学習から予習を習慣づけることが大切です。予習をすることで、勉強の得意不得意なところも明確になります。予習をして自信を持つことで、授業にも積極的に臨みやすくなるでしょう。

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