そう、今回のお題は「中学受験の費用」です。実際にいくら費用がかかったのか、ふたりの先輩ママによる具体的な内訳と金額もドドーンと開示!参考にしていただければと思います。
中学受験費用のポイントはズバリ3つ!
・中学受験/私立中学進学は毎月10万近くの支出に耐えられるかどうか
・学費は大学卒業までつづく
中学受験はお金がかかる
「中学受験はお金がかかる」と言われるのは、塾に通って受験対策をするのがデフォルトであるためです。私立中学校の入試は一筋縄ではいかない問題も多く、志望校に合わせた対策が必須となります。豊富な受験ノウハウと合格実績を持つ塾でしっかりと準備をしないと、合格を勝ち取るのは難しいかもしれません。
「中学受験をする!」と決めたら、主に以下の費用がかかることを覚悟してください。
- 塾代
- 夏期・冬期・春期講習代
- 教材費
- 交通費
- 飲食費
- 受験料
- 受験準備費用(衣服代・願書用の写真代など)
中学受験/私立中学進学は毎月10万近くの支出に耐えられるかどうか
中学受験を考えるご家庭の多くは、小学3~4年生頃、遅くても小学5年生までには塾通いを始めているようです。すなわち中学受験のための出費は、小学校6年生になる前から増え始めるということ。生活費に加え、月々10万円程度の出費を許容できるくらいの資金が必要です。「月10万円程度」とする理由は、私立中学校で必要な学費の年間総額が、およそ140万円前後であるため。詳しくは次項で述べますが、受験が終わっても学費の負担がなくなるわけではありません。
資金がギリギリの状態で中学受験に臨むと、高校・大学に入学する前に資金が枯渇するリスクがあります。
学費は大学卒業までつづく
「受験のある学校で質の高い教育を受けさせたい」と考えるご家庭のほとんどは、子どもの大学入学までを見据えているのではないでしょうか。すなわち中学受験はスタートに過ぎず、学費の負担は大学を卒業するまでつづきます。文部科学省が発表した「令和3年度子供の学習費調査」によると、公立・私立中学それぞれに必要な学習費用の年間総額は、以下のとおりです。
引用:令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
公立中学校で必要な学費総額が53万8,799円であるのに対し、私立中学校は143万6,353円です。学費の差は歴然であり、「私立中学校に入学できたから安心」というわけではないことが分かります。
なお上記の金額は「補助学習費(塾代など)」 まで含めた金額です。
引用:令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
公立中学校の子どもの補助学習費が30万3,000円であるのに対し、私立中学校の子どもは26万2,000円です。「私立の中高一貫校なら、塾は不要」……とはなりません。
私立中学校は進度が速く、学習についていけなくなる子どももたくさんいます。志望校に入学できても、中・高校と「授業料+塾代」の支出は続くというわけです。
大学に入学しても大学の学費が必要ですから、結局のところ、保護者は子どもが大学を卒業するまでは学費の支払いに追われることとなります。
中学受験いくらかかる?費用の内訳見せてください
さっそくですが、まずは具体的な費用・数字を見てみましょう!下記にはいわゆる試験にかかる費用(願書・試験料・入学金その他)は含まれていません。「塾代+塾に通っていた時期にかかった諸費用」です。
中学受験の費用:Mさん(小4〜小6)で約280万円
小4(週2回)
塾 40万
塾に関連する費用 3万円くらい
交通費 3万円くらい(バス代)
夏期講習 5万くらい
おおよその合計 60万
小5(週3回)
塾 55万
塾に関する費用 5万くらい
交通費 4万円くらい(バス代)
春期講習 4万
夏期講習 8万(通塾型)
夏期特訓 3万(長文読解と理科の暗記)
冬期講習 4万
おおよその合計 85万くらい
小6(週3回)
塾 65万
塾に関する費用 5万くらい
模試や判別試験費用 10万くらい(年間で10回程度)
春期講習 4万
夏期講習 8万(通塾)
夏期合宿 10万
志望校別特訓コース 10万くらい(10月から3ヶ月)
家庭教師 16万くらい(最後の4ヶ月、週1回で塾でできなかったことをカバー)
おおよその合計 130万くらい
小4から小6試験までの合計 275万~280万くらい
*試験の願書や試験料とかはいれてない。
*6年時に私が仕事をやめて塾までの送迎をしたので交通費はゼロにしているけど、ガソリン代とかかかっている。
*ここには入れていないがPASMOをもたせていて、塾の隣にあるコンビニでお腹がすいた時用(帰宅前など)に飲み物やグミなどを買うのを許していた。だいたい月に3,000円くらい入金していた。水筒は持たせていたがゼリー飲料とか、帰りにチョコとか買っていたみたい。
小4〜小6 | 合計:約280万 |
上記は、メールで返信をくれたMさんによる受験までにかかった費用です。
Mさんのご家庭は、スタンダードな中学受験スタイルである「小3の2月スタート」で勉強してきました。居住地は東京都に隣接した千葉県。共働き家庭でしたが、ママはお子さんが小6の時に、受験フォローに徹するため退職。お子さんは希望の中高一貫校に合格しました。
ちなみにママは司法書士。強い資格を持っていたことから、受験が終わり、子どもが学校に慣れた頃には復職するつもりで退職したのだとか。「資格を持っていると40代でも復職しやすい。今さらだけど勉強しておいてよかったと思った。だからこそ、子どもにも勉強に適した環境をと思った」のだそう。
そして「教育費は将来への投資」なのだと話してくれました。
中学受験の費用:Aさんの場合(小5〜小6)で約220万円
もうひとつはAさん。小5〜小6 | 合計:約222万 |
几帳面なAさんらしく、スプレッドシートで回答をくれました。
Aさんのご家庭は小4の3月(小5)から中学受験を本格的にスタートしていますが、2歳違いの弟がおり「この子も受験させるつもりだったから、費用をざっくり計算して、どちらも塾に3年間通わせるとなるとけっこうキツイと思って、2年にした。幼児期はくもん、その後は安い通信教育を利用して私が勉強を見ていた」そうです。
ただし、現在、下のお子さんは小6ですが受験に興味がなく、公立中への進学予定。とはいえ、公立中へ進んでも高校受験を見据えれば「上の子ほどではなくても、やはり高校受験用の塾に通わせなくてはならないだろうし、お金はかかるんだよね」と肩をすくめていました。
彼女は薬剤師のため「時給がわりと高いのがよかった。シフトを自由に組めたので子どもの勉強を見られたし、受験時のサポートもなんとかなった」と言っています。
お父さんの収入のみ、母親は専業主婦というケースで中学受験にチャレンジするご家庭ももちろんあります。でも、それには主たる収入源の人が「けっこう稼いでいます」状態でないと難しいのも事実です。
やはり、年収がよほど高くないと中学受験はできないのでしょうか?
結論から言えば、「年収が高くない場合は、計画性がカギになる」です。実際に「うちは年収それほど高くなかった。だから最初から計画たてて受験費用も学費も準備したよ」というように、しっかり家計と教育費のバランスを考えて計画をたてた人も決して少なくありませんでした。ズバリ、中学受験にはお金が必要。あとは、それをどう準備するかなのです。
そうなんですよ!中学受験というのは「塾の費用」だけでなく、塾に通うことに関連して、さまざまな支出が発生するのです。たとえば、塾に行く時に持たせる小銭。飲み物やお菓子を買う程度でも月額にすれば4,000〜5,000円くらいにはなってしまう。12ヶ月(1年)積み重なれば6万です。
中学受験では、こうした「小さな出費の積み重ね」が次第に家計を圧迫してくるんですよ。
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この記事をcoeteco.jp で読む >中学受験にかかる費用相場
中学受験にはお金がかかりますが、公立の方が負担は少ない傾向です。中学受験にかかる費用相場を見ていきましょう。公立中学
公立中高一貫校の受験で主に必要な費用は、以下のとおりです。- 塾代
- 受験料
塾代は地域や子どもの学力レベルにもよりますが、小学校5・6年生の場合は月額5万円前後が一般的です。(施設代等含む)テキスト代や模試代・長期休暇中の講習代などを含むと、塾代だけで年間100~140万円は必要となるでしょう。
このほか文具代・交通費・食費等も必要と考えれば、年間3~10万円程度はプラスとなります。
また受験料は、公立中高一貫校なら2,000円前後です。ただし滑り止めとして私立中学校を併願する場合、別途受験料を用意しなければなりません。
公立中高一貫校受験のために小学5年生から通塾を始めた場合、塾の費用総額の目安は、220~300万円くらいと考えられます
私立中学
私立中学校の受験も、必要な費用は公立中高一貫校のケースと変わりません。ただし難関校を目指す場合はコマ数を増やしたり、個別指導を入れたりする必要があります。特に6年生は塾代が高額になりやすく、月額負担が10万円を超えるケースも多いようです。長期休暇中の講習代を含めると、年間の塾代は約110~180万円となります。
また私立中学校の受験料は、2万円前後が一般的です。小学5年生から塾に通った場合、トータルでは230~400万円くらいの費用がかかると考えましょう。
わたしの「中学受験の支出メモ」毎月なんとかする迷走状態だった
こちらのなぐり書きは、実は中学受験真っ只中の「わたしのスケジュール帳の一部」です。「きっちり教育費をプランして受験させた」家もある一方で、「ありゃ?これで大丈夫なのか」と見切り発車をしたご家庭(わが家も)だって少なくないでしょう。それがリアル。
几帳面なAさんと正反対のわたしは、もはや計画もへったくれもなく、毎月毎月「あわわわわわ」となっていました。おもむろに発生する費用にあたふたしている様子がわかりますね……。
長文どっかい、とか、れんらくすること!とか、ひらがなだらけでお恥ずかしい限り……
「それで済むと思ってるの!だいたい、月4万しか出せないとしたら、そもそも私立中学の学費はどう捻出するのよ!」
と呆れ顔で聞かれ、(こんな簡単に中学受験を始めてしまったわが家はかなりマズイ状況らしい)と気合いを入れ直しました。
それでも、気合や根性でどうにかならないのが「お金」なんですよ。
中学受験後、2年目以降の学費捻出のため、母が馬車馬のように働くことになったのは言うまでもありません……。
夏期講習・特訓・合宿「上乗せされていく」受験費用
塾のお金は月々30,000円とハッキリしていても、受験に関わる実にさまざまな費用がかかってくることを忘れてはなりません。たとえば設備費・光熱費・施設管理費・テキスト代といった名目は、毎月の引き落としもあれば、年に2回のところもあれば、6月・12月・3月の場合もあれば……と塾によってさまざま。加えて、学習管理費だとか、維持費だとか、よくわからない項目がくっついてきて、「授業料」だけですみません。
さらに高学年になるにつれて、オプション費用がのしかかってきます。苦手な科目があればサポートが必要に感じるもの。志望校別の特訓や、土日の特別コースも、小6にもなるとよほどドカンと構えていない限りは「えーとえーと、じゃ、それもお願いします(最後は小声)」で費用はうなぎのぼり。
かつ、よく言われるように、夏なんてもっと大変です。
夏期講習が50,000円だとして「高いなぁ」と思いつつ申込みをします。
恥ずかしながらワタクシ、夏期講習は夏休みにある授業のことだと思っていて、プラスで費用がかかるとは思っていませんでした。
実際のところ、わが家の場合は以下の通りでした。
- 通常授業 40,000円(夏休みを前半・後半にわけて、どちらかに通常授業の時間帯は確保されるケース)
- 夏期講習 50,000円(通常授業とは別途に行われる)
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この記事をcoeteco.jp で読む >勉強できるチャンス!=お金もかかるよねタイム
夏休みや冬休みは学校がないのですから「勉強量をぐんと増やせるチャンスタイム」と、塾は言います。「夏休みは大きく成績を伸ばすチャンス」
「冬休みこそ集中して学べるチャンス」
確かにチャンスはチャンスかもしれない。しかし、親は現実を見つめなくてはなりません。
チャンスタイム!=ざくざくお金が出ていくタイム!
要するに。
お金がかかります!
しかも、上には上がいるのです!!!
中学受験対策で1時間2万円のカリスマ講師
ある時、知り合いの中受(中学受験)先輩ママがアタフタしている私を見兼ねたのか「あのねぇ、紹介のみで受験勉強を見てくれる特別な家庭教師がいるけど」とこそっと教えてくれました。なんでも、受け持った生徒は軒並み成績をあげ、有名校と呼ばれる学校に合格させているスゴ腕家庭教師なのだそう。飛びつきそうになったわたしは次の瞬間凍りつきましたよ。
「1時間2万で、1回2時間からだから」
ということは、週1回・2時間で月4回だと……1ヶ月で16万円ってこと!?
「じゅ、じゅうろくまん?」
しかも、さらに驚いたのは、
「安いものでしょ。それで合格させてくれるんだったら」
という彼女の言葉。この後も似たような「連絡方法が出回っていない」カリスマ講師の話は何度か耳にしました。わたしはそれ以上興味を示さず(というより、そんな費用は出せず)だったため、実際にどのような指導が行われるのかは知りません。知りませんが、こうした家庭教師がいるのは事実。
これを高いと思うか、必要な教育費用と捉えるかは人それぞれです。
受験真っ只中で、それこそ藁にもすがる思いであれば、「合格請負人」にすがりたくもなる。「えええい、小6の後半4ヶ月ならやったるわ!」と定期預金の解約に走るママがいたって、うん、なんかそれはそれで理解できなくもない……微妙な気持ちです。
中学受験は特別な世界。お金だけで換算しきれない「何か」があるのです。
参考:中学受験対策可能なオンライン家庭教師
今だから言える中学受験「あんなことにもお金使いました」
受験が終わってしばらくした時、親が集まり、受験ってお金がかかるよねという話になりました。それも一段落したところで、「ちょっと待って。まだあった」
と、ひとりのママが口を開きました。
「なによ?」
「御札」
そうです。神頼みですよ。小6のお正月ともなれば親たちも祈るばかりですが、祈るとなれば「いくらかお包みする」(神社へのご祈祷)わけです。普段なら健康祈願でお賽銭を投げるだけのご家庭も合格祈願ともなると「5,000円」「10,000円」包んで立派な御札のひとつも頂きたくなるもの。
「しかも近くの神社だけでなく、3つか4つ回った」
「あ〜、わたしもたまたま雑誌で風水特集見てさ、成績アップにいいとか言うからカーテン変えたり、なんか抽象画みたいの買った」
「今思うとバカみたいだけど、買っちゃうんだよねぇ!」
ひとしきり盛り上がったところで、ひとりのママが真顔でボソリと言ったんですよ。
「医療費」
どこか悪かったの?ストレスたまるけどさ、胃腸系?と畳み掛けるように問いかけた私たちに、そのママは今だから話せるけどと
「円形脱毛症……」
「治療だけでなく、疲れだと思って高いサプリ買って飲んでた」
すると、もうひとりが
「実はわたし、占い師に見てもらった。当たると評判で1回1万くらいしたけど娘は大丈夫かって知りたくて」
思わぬ告白タイムになってしまいました。
「中学受験も佳境に入ると、なぜ?って思うようなことにポンポンお金使ってたところあるよね」
しっかりした強い親もいるけれど、不安にかられる親の方がきっと多いんです。後から思えば首をかしげるようなこともあるけれど、その時は必死なんです。滑稽なほどの必死さ、それを受験生の親は笑えないのです。
中学受験をする家庭の年収は?1,000万円以上?
ではいったい、家庭の年収がどれくらいあれば中学受験ができるのでしょうか?
上記の調査を見ると、私立中学では年収1,000万円以上の家庭が52%と半数を越えていますね。つまり中学受験をした家の半分は、やはり年収1,000万円以上なわけです。よく耳にする「中学受験は年収1,000万がひとつのライン」はどうやら本当な様子。
でも逆に言えば、「半分の家庭は、年収1,000万円に届かなくても受験をし私立に子どもを通わせている」とも言えます。
もっとも年収は目安でしかなく、親から譲られた家に住んでいるとか、教育費に祖父母の援助があるとか、子どもの数でも違います。さらには高校無償化の流れで、一定の年収であれば私立高校でもある程度の補助が受けられるケースもあります。
引用:平成30年度子供の学習費調査の結果について/文部科学省
さて、文部科学省が発表している調査によると、私立中学では年間約107万円の費用がかかっています。
単純に計算すれば、1ヶ月約9万円。これはあくまで学校に関連する費用なので、その他もろもろ含めて月に10万円程度は(学費プラスα)として出せるかどうかになります。
月々にそれだけの支出が厳しいのであれば、早いうちから教育費を計画的に準備していくしかありません。
「ちょっと待って!中学受験の費用について話しているわけで、学費は別の話でしょ?」
と思ったあなた。いえいえいえいえ、ここが大事なポイントなのです。
中学受験だけで終わりじゃないから!
違う言い方をすれば、結局、中学受験をするために塾にいれ、オプションやら講習やら、あるいは個別指導などを受けさせたとして、月々に少なくとも7〜8万の支払いをしている(できる)家庭でなければ、なかなか中学から私立へというのが難しいことがわかります。
中学受験しても「高校入学」でまたお金がかかるんです!
中学受験時にはあまり考えないことのひとつが、高校入学時に必要となるお金です。中高一貫校といっても中学卒業式があり、高校へ進む時は新たに「入学金」を納入するところがほとんどです。
しかも中高一貫校なのに、高校から制服がちょろっとデザイン変わるなんていうのもよくあることで、また制服代(などなど)がかかることも!
一般的に年間の学費は50万〜80万くらいが多いのですが、入学金がプラスされる年は100万〜120万の出費を覚悟しなくてはなりません。中学受験後、たった3年で「もうひと山」まとまった支出がやってくると認識しておくのは大事です。
中学の入学前にかかる費用の内訳
中学の入学前にかかる費用は、主に塾代と入試代。最後にもう一度、くわしく内訳を確認しておきましょう。
塾代
塾代は、「どの塾を選ぶか」「どのコースに入るか」によって大きく異なります。バリバリの大手進学塾・超進学コースに入れば、塾代は高額になること間違いなし。また、長期休暇中の講習や試験前の合宿をどの程度受講するかでも費用は大きく変わるでしょう。例えば中学受験の大手「四谷大塚」の場合、4教科本科コースの受講料は以下のようになります。(料金は全て2023年度)
- 小学5年生:45,100円
- 小学6年生(~8月):57,750円
- 小学6年生(9月~):79,750円
このほか教材費として年間32,000~40,000円、入会金として22,000円が必要です。
また長期休暇中の講習代は、以下のとおりです。
学年 | 5年生 | 6年生 |
夏期講習 | 127,800円 | 172,700円 |
冬期講習 | 45,100円 | 86,350円 |
春期講習(8日間) | 47,850円 | 74,250円 |
正月特訓 | - | 19,800円 |
参考:夏期講習2023|中学受験の四谷大塚
参考:冬期講習2023-2024|中学受験の四谷大塚
参考:春期講習2023|中学受験塾の四谷大塚
すなわち小学5・6年で四谷大塚クラスの大手塾に通った場合、塾代の総額は約210万円前後です。模試を受けたり学校別対策コース(30,800円)を希望したりする場合は、さらに数万円から30万円以上のプラスとなります。
なお塾の費用を考える際は、塾までの交通費や飲食費も含めてください。電車やバスで通塾する場合、往復の運賃も大きな負担となるかもしれません。
オンライン塾であれば上記が0円になるため、おすすめです。
参考:中学受験対策も可能な小学生向けオンライン塾
参考:中学受験対策向けオンライン家庭教師
入試代
入試代は、受験するとき中学校に納めるお金です。自治体によっても異なりますが、東京都の中高一貫校の受験料は「入学考査料」として2,200円が必要です。
一方私立中学校の入試代は、学校によって異なります。こちらも東京都を例にすると、令和5年度の「検定料」の平均は23,897円です。受験生の多くは3~5校併願するといわれているため、私立中学校の入試代の目安は7~11万円くらいとなります。
参考:令和4年度東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定に関する実施要綱
参考:都内私立中学校の学費の状況|東京都
中学の入学時にかかる費用の内訳
中学校に入学する際は、入学金や授業料・制服代などがかかります。どのようなお金を準備しておくべきなのか、費用の内訳を見ていきましょう。入学金
入学金は、私立中学校のみ必要です。文部科学省が発表した「令和3年度子供の学習費調査」によると、私立中学校の入学金の平均は7万2,542円です。「意外に安い」と思った方が多いかもしれませんが、令和5年度の東京都の平均は26万3,020円と公表されています。
どちらかというと、東京都の平均が私立中学受験の現実に近いかもしれません。
このほか私立中学校では、「施設費」も合わせて一括納入が必要です。東京都の施設費の平均は、34,137円となっています。入学金と合わせると、志望校の入学時には、約30万円を準備しておかなければならない計算です。
参考:結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
参考:都内私立中学校の学費の状況|東京都
授業料
前述した文部科学省の調査によると、全国の私立中学校の年間平均授業料は47万6,159円となっています。公立中高一貫校は授業料不要ですから、大きな隔たりがあります。ただし私立中学校でも、授業料は学校による差が顕著な傾向です。受験を検討する前に、志望校ごとの授業料の詳細を確認しておくことをおすすめします。
例えば東京都の場合、授業料が高額なのは、上から玉川学園中学部(IBクラス)の134万1,000円、ドルトン東京学園中等部の93万円、慶應義塾中等部の88万円です。一方授業料が低いのは、下から八王子実践の25万2,000円、愛国の30万円、北豊島、日本体育大学桜華、修徳の36万円となっています。
このほか学校によっては、入学時の寄附も必要です。
参考:結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
参考:都内私立中学校の学費の状況|東京都
制服・運動着関連
制服や運動着関連は、公立・私立ともに必要です。ただし全国平均を見てみると、公立中学校が2万1,253円、私立中学校が5万696円となっています。私立中学校の方が、制服代も高価な傾向です。
参考:結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
定期券
私立中学校の場合、公共交通機関を乗り継いで通学するケースは少なくありません。自宅から離れた牛学校への入学が決まったら、定期券の準備も必要です。通学証明書や学生証を提示すれば学生割引料金が適用されるため、多少は超すとを抑えられます。定期券の購入で悩むのが、「何カ月定期を購入すればよいか」ということ。
1カ月ごとに購入するのは手間がかかりますが、6カ月分を購入すると夏休みが入ってしまいます。
クラブ活動などで学校に行く場合はよいですが、帰宅部になるかも……という場合は、1カ月または3カ月定期を購入して様子を見てはいかがでしょうか。
その他学用品
「中学校に入るのだし、学用品を一新しよう」と考える場合は、筆記具やノートなどの購入費用も必要です。また学校によっては、バッグや靴・靴下の指定があるかもしれません。細々と買い直したり買い足したりすれば、数万円はあっという間に飛んでいきます。
なぜ高いお金を払い勉強をさせ「その学校に行かせたいのか(行きたいのか)」
そもそも義務教育なのですから、学費の捻出が難しければ公立に行けばいいだけのことです。それでも受験を考えるケースは人それぞれです。
「義務教育なんだから、だったら公立行けばいいのに」
と人は言うでしょうし、正しい意見でもあります。ただ、子どもの教育に「絶対」はありません。各家庭ごとに考えが違いますし、子供の性格も違います。中学受験の是非は、その家庭でしか最終的に判断できないのです。
だから少々、苦しいとわかっていても何とか受験させようとする家庭もあるし、結果として中高一貫校、やがては大学と続けば、どこかで支出に無理が生じることだってありますよ。
それを大学の奨学金でカバーするのか、教育ローンを使うのかといったリアルな現状も、実際には少なくないのです。
返済不要の奨学金はまだまだ少なく、一般的な奨学金は親ではなく「子どもが返済するもの」です。
「きちんと先々の学費を計算せず、中学受験はなんとかなると思っていたのが間違いだった。貯めていた学費はどんどん切り崩していき、中高一貫校で高校2年からは家計から学費をすべて捻出せざるを得なくなった。大学は入学金で精一杯、悩んだ末に子どもに返済義務があるのはどうかと思って、最後は教育ローンを利用した」
という体験談もありました。大学附属中に子どもが通っているママは
「子どもが友だちと遊ぶ時にそれなりにお小遣いを持たせることになる。親同士のおつきあいも派手。そうしたお金の使い方に無理して合わせているとかなり厳しい」
と言い、「こういうお金はなかなか夫にも言いづらくて、親(祖父母)に何かと融通してもらっている」と複雑な表情を見せていました。
「受験と中学の学費は何とかなる」ではすまないのが教育費です。
なぜなら、教育費はなんであれ子どもが「卒業して社会人になるまで」かかる費用なんですよ。
中学受験費用から私立高の学費まで、「余裕とまではいかないが、苦しいとまではいわない」家庭も少なくありません。出せるか出せないかで言えば出せるが、少し苦しいときもある……それが中学受験にまつわる家計のリアルなのです。
中学受験を検討しようと思ったら、親は「大学卒業まで」を考えて、教育費のプランをたてることが大切です。もちろん、それだけ頑張って家計を管理し、高い授業料を払い「その学校に行かせる(行かせたい)理由があるのか」も受験を決断する前に親がしっかり考えたいポイントですね。
児童手当をすべて貯蓄する。学資保険で早くから学費を準備する。このあたりは基本です!