国際バカロレアとは?インターナショナルバカロレア教育を解説

国際バカロレアとは?インターナショナルバカロレア教育を解説
世界の未来を担う人材を育成する国際バカロレアプログラムを知っていますか?なかでも特に注目されているディプロマ資格試験は、スコアによって国内外の大学入学で有利になるハイレベルな資格です。2022年には国内高校の新科目として「総合的な探究の時間」が導入されたこともあり、国際バカロレアの探求的な学習プログラムが話題を呼んでいます。

今回は国際バカロレア・インターナショナルバカロレア教育の概要や注目される理由、注意点などをご紹介します。子どもの海外留学や質の高いグローバル教育を視野に入れている人は最後までご覧ください。

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国際バカロレアとは?

まずは国際バカロレアの概要や学習者像について解説します。

国際バカロレアのカリキュラム

国際バカロレアは国際バカロレア機構による世界的な学習プログラムです。もともとは親の転勤などでインターナショナルスクールに通う子どもたちに世界共通の大学入学資格を与える目的で開始しました。通称「IB(International Baccalaureate)」と呼ばれる教育カリキュラムは年齢ごとに区分され、現在では159か国・約5400校に通う学生達が国際バカロレアのカリキュラムを受けています。教育区分は以下のとおりです。
  • 3~12歳:PYP(Primary Years Programme)
  • 11~16歳:MYP(Middle Years Programme)
  • 16~19歳:DP(Diploma Programme)、CP(Career-related Programme)
16~19歳を対象としたディプロマプログラム(DP)はIB教育の代名詞でもあり、2年間のカリキュラム履修や最終試験のスコアによって国際バカロレア資格を取得できるプログラムです。国際バカロレアのディプロマ資格によって世界中の大学入学資格を得られます

ディプロマを取得するためには進路や開講科目に合わせて6教科を履修します。各科目はレベル別にHigher LevelとStandard Levelが開講されますが、ディプロマの場合はHigher Level(上級レベル)を最低3つ取得することが条件です。さらに課外活動や論文の提出も求められるため全世界の高校でもトップクラスの難易度ともいわれているようです。また日本語対象科目を除いて英語・フランス語・スペイン語で授業が実施されるので、日常会話以上の専門的な語学力も必要でしょう。

国際バカロレア(IB教育)の学習者像

国際バカロレアの教育プログラムでは10の学習者像として学習の価値観を表しており、地域社会や国におけるグローバル化に対応する人材育成を目指しています。
  • 探求する人
  • 知識のある人
  • 考える人
  • コミュニケーションができる人
  • 信念を持つ人
  • 心を開く人
  • 思いやりのある人
  • 挑戦する人
  • バランスのとれた人
  • 振り返りができる人
引用:国際バカロレア機構 Resources for schools in Japan

国際バカロレア教育の学習者に重視されるのは知性や思いやり、正義感、好奇心、決断力といった豊かな資質です。知識の獲得はもちろん、他の生徒とのディスカッションで自分と異なる意見や文化に耳を傾けたり、校外でボランティアや研究に専念したりといった姿勢も評価対象となります。国際バカロレアプログラムは教科や国家を越えて生きる力を身に着けるという深い目的に沿った教育といえます。

日本における国際バカロレアの取り組み

文部科学省が探求学習の重要性に着目

日本では社会の流れに順応するための探求的思考の育成に着目しており、小学校のうちから教科を越えた総合的な学習支援を強化しています。2022年春からは高校新科目として「総合的な探究の時間」が導入され、社会で生き抜く力を養うための主体的かつ対話的で深い学びが重視されていく流れです。
総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。
引用:文部科学省 総合的な学習(探究)の時間

まさに国際バカロレアの探求学習はこれからの教育のキーワードで、日本や世界を支える人材を育成するプログラムだと考えられています。

国際バカロレア教育が日本の高校教育の質を高める

政府は令和3年6月の閣議決定で国際バカロレア認定校を2022年度までに200校以上に引き上げる取り組みを発表しており、日本でのIB教育を積極的に推進する方針です。また日本で国際バカロレアプログラムを受けるためには認定校への入学が必須です。

2022年3月時点の国内認定校は175校で、主体的に学ぶ優秀な生徒の増加や資格取得者の難関大学入学などの事例によって国際バカロレアの国内高校教育における存在感が高まっているといえます。さらに日本では対象科目を日本語で実施するデュアルランゲージ・ディプロマが採用されており、国内の生徒が学習しやすい環境づくりも行われています。

高校教育の質が転換している現代だからこそ「グローバル教育に興味があるので受験させたい」「近所に国際バカロレア認定校があれば入学を検討したい」という家庭も増えていくのではないでしょうか。

国際バカロレア資格取得者の国内大学受け入れが拡大

「国際バカロレア資格を取得」「18歳に達している」という条件をクリアすると国内の大学入学において有利に働きます。各大学の対応によりますが、国際バカロレア資格のスコアや英語資格の提出、英語での面接や小論文といった大学ごとの試験に合格することで入学できる例が多いようです。

日本で国際バカロレア資格取得者の大学入試を行っている大学は約70校あり、東京大学東京外国語大学、お茶の水女子大学や国際基督教大学、国際教養大学、慶応義塾大学など国際化に熱心な大学で積極的に受け入れています。今後も国際バカロレア資格のスコアを使った入試が拡大するでしょう。

国際バカロレアが注目されている理由

国際バカロレアプログラムの受験を検討している場合は、国内の私立・公立高校で国際バカロレアの教育が拡大している理由や資格取得のメリットについても知っておきましょう。

世界2500以上の大学入学が有利になる

国際バカロレアのディプロマ資格が特に着目されている理由は、世界中の難関大学への入学が有利になる点です。ハーバード大学やニューヨーク大学、メルボルン大学など圧倒的な認知度を誇る有名大学への入学まで視野に入ることで子どもの学習意欲も刺激されることでしょう。さらに大学入学後の単位が免除されて在学期間が短くなるといった例もあり、入学後の選択肢の幅も広がります。「海外で学習したいけれど、どの大学を目指せば良いのかわからない」「将来的な可能性を広げておきたい」などさまざまなモチベーションの生徒に向いています。

国際バカロレア教育プログラムならではの授業が面白い

国際バカロレアのディプロマプログラムでは、教科ごとに調査・研究を行って論文を書いたり、一つのテーマに沿って長所と短所を掘り下げて複雑的に考えたりします。さらに教室の外に出て奉仕活動を行うCASという科目は最低150時間の履修が必要です。日本では知識を暗記することで最短距離での成績取得が可能な授業も多いですが、国際バカロレアではリサーチや議論、体験の時間を大切にします。

授業・課題の例としては文学や数学、芸術やテクノロジーなどの一般教養の他に環境問題やトランスジェンダーといった世界情勢にまつわる討論、タイムマネジメント、プレゼンテーション、ボランティア活動などがあります。自分のテーマについて自由研究を行い、コンテストで成果を発表している高校もあるようです。

参考:文部科学省 国際バカロレア・ディプロマ・プログラムと学習指導要領との
対応関係について

国際バカロレア教育にあたって親が注意しておきたいこと

日本教育の単元とは異なり、さまざまな科目を全てバランス良く取り組む必要があります。国際バカロレア教育の本質への理解はもちろん試験や論文、家庭学習といった学習量の多さへの理解も重要でしょう。子どもの学習環境を家庭でサポートすることが大切です。

また、国際バカロレアプログラムを受けるまでに英語・フランス・スペイン語のいずれかの語学力を養っておきましょう。たとえばディプロマプログラムで求められる論文は日本語では8,000字、英語では4,000wordの量です。日常会話だけでなく、外国語を使って議論したり意見を述べたりできる語学力を準備しておきましょう

日本国内の国際バカロレア認定校

日本ではまだ国際バカロレアプ教育についての認知度は低めですが、日本国内には国際バカロレア認定校も少なからず存在しています。国際バカロレア認定校とは、国際バカロレアの教育プログラムを導入している学校を意味します。本項目では、日本国内の国際バカロレア認定校について紹介します。

 つくばインターナショナルスクール 茨城県

茨城県にあるつくばインターナショナルスクールは、茨城県つくば市にある幼小中高一貫の国際バカロレア認定校です。 国際バカロレアの初等教育課程(Primary Years Programme=PYP)、中等教育課程(Middle Years Programme=MYP)、高校教育課程(Diploma Programme=DP)認定校であり、現在では3歳から18歳までの生徒が学習しています。

スクールではCIS(Council of International Schools=インターナショナルスクール協議会)の認定も取得しているため、卒業生は日本の大学や世界各国の大学に進学が可能です。

関連記事: つくばインターナショナルスクール

アオバジャパン・インターナショナルスクール

アオバジャパン・インターナショナルスクールは、東京の練馬区光が丘と目黒区にキャンパスを持つ世界標準の教育を受けられるIBワールドスクールであり、国際バカロレア認定校となります。同スクールは、幼稚園から小学校、中学校、高校までの一貫校となり、幼稚園から高校までの国際バカロレアプログラムのすべての認定を受けています。

東京都で3つのグレード認定を受けているのは、アオバジャパンインターナショナルスクールを含めて2校のみとなります。アオバジャパン・インターナショナルスクールは、 幼稚園から国際バカロレアカリキュラムを一貫して学びたいと考えている子どもにおすすめのスクールです。

関連記事:アオバジャパン・インターナショナルスクール

国際バカロレアまとめ

国際バカロレア教育はこれからの日本教育で大切な探求学習を追求したカリキュラムです。ただ知識を覚えるだけでなく、他者を尊重しながら議論して知識の本質を捉えるハイレベルな学習を受けることができます。海外で活躍したい子どもや質の高い高校教育を受けさせるためには、国際バカロレアのハードな学習量をこなすモチベーションやサポートも重要です。

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