今回は子どもの知的好奇心を高めるメリットや効果的な方法を詳しく解説します。子どもの学習能力を向上させたい人や家庭での働きかけが知りたい人はぜひ最後までご覧ください。
知的好奇心の特徴とは
知的好奇心は興味関心を抱いた物事に対して「もっと知りたい」「知識を深めたい」と感じる動機です。日本では1970年頃の波多野氏・稲垣氏による研究以降、教育現場における知的好奇心の役割が注目されています。もちろん海外でも知的好奇心にまつわる研究や実践報告が継続して行われています。子どもにとっては毎日が発見の連続のため、大人が気にしないような小さな事象に対しても多様な角度から興味をもちます。子どもの心が動いたときに「なぜそうなるの?」とさらなる情報を求める姿は、その後の学習意欲や主体性、探求心に大きく影響するでしょう。
知的好奇心と好奇心は混同されがちですが、実は少し意味が違います。好奇心は全ての分野が対象であることに対して、知的好奇心は学問などの知的分野に特化した好奇心を指します。また心理学研究によって知的好奇心には2つのタイプがあると主張されており「拡散的好奇心」「特殊的好奇心」と名付けられています。それぞれ定義が異なります。
拡散的好奇心の特徴
拡散的好奇心は「なんでもいいから幅広く知りたい」という種類の知的好奇心です。たとえば退屈しているときにそばにある本を読もうとしたり、スマホでネットサーフィンを始めたりする行動は拡散的好奇心にあたるでしょう。拡散的好奇心の特性が強い場合は多様な目新しい情報や刺激を求める傾向があるため、特に方向性は定めずに探索を行うことが多いといわれています。
特殊的好奇心の特徴
特殊的好奇心は「知識のズレや矛盾を解消するために、本当に知りたい情報を探りたい」要求で、特定の目標を定めて探索を行います。たとえば読んでいた小説のストーリーに疑問を感じて経緯を調べたり、スマホで見つけた情報の真偽を確かめたりする行動は特殊的好奇心にあたります。特殊的好奇心の特性が強い場合は、矛盾点を解消するために知識の獲得に継続して取り組もうとするでしょう。
参考:西川一二 雨宮俊彦『知的好奇心尺度の作成 拡散的好奇心と特殊的好奇心』
知的好奇心を高めるメリット
知的好奇心を高めることで学習に対して主体的に取り組むことができ、学習能力が向上します。自ら疑問を持って課題に挑戦する姿は教育現場でも子どもに求める資質の一つで「もっと勉強したい」という内発的動機づけに繋がります。ご褒美をもらうために勉強をする外発的動機付けとは異なり、勉強する行為そのものを楽しむことができるので学習へのモチベーション維持が簡単です。特に整合性を求めるタイプの特殊的好奇心が高まることで、持続的に課題を解消しようとするでしょう。知的好奇心によって学習意欲が高い子どもは親や先生に強制的に学習させられることがなく、授業で退屈することもありません。他の子どもよりも学習に対するストレスを感じにくい傾向があるでしょう。もちろん学習以外にも社会生活におけるあらゆる場面において子どもの自発的な行動の動機となります。
知的好奇心を高める方法
ここでは家庭でも真似できる知的好奇心を高める方法をご紹介します。図鑑や新聞、旅行ガイドブックなどで情報をインプットしておく
東北大学加齢医学研究所の医学博士の瀧 靖之氏によると、世の中にはいろいろな事象があるということを図鑑などを通してインプットしておくことで興味関心を広げることができるようです。写真が多く掲載されている本であれば子どもが視覚的に興味を持ちやすいでしょう。年長~小学生になると字が読めるようになるので子ども向け新聞もおすすめです。子どもの興味のある内容だけでなく幅広いトピックを扱っているので新たな知識との出会いが期待できます。また旅行ガイドブックは写真つきで各地の魅力がわかりやすく紹介されているので、子どもにもわかりやすい内容です。各家庭に投函されるスーパーの広告や地域施設のチラシなど、破棄する前に子どもに手渡してみるのも面白そうです。
さまざまな場所に出かける
図鑑や新聞で情報をインプットしたあとに動物園や博物館、水族館や美術館へ出掛けて本物を見ることで脳内の情報とリンクし、子どもの知的好奇心をさらに強く刺激します。子どもにとって「既に知っている情報だ」と感じることはとても特別な経験で、リアルの世界と知識が繋がることで印象深い経験になることもあります。また「図鑑で見たときと実物とでは違いがある」のような細かい疑問にも敏感になり、積極的に矛盾を解明したくなる特殊的好奇心の育成にも繋がりやすいでしょう。
親が楽しんで学んでいる様子を見せる
大人がワクワクしながら情報を集めたりしていると子どもの興味をかき立てます。たとえば無理に子どもに本を読ませるよりも、親が「これは私の本だから触らないでね」とひとりでに読書を楽しんでいる姿を見たほうが、子どもも読書をしたくなるのではないでしょうか。さらに考え事に対して親が真剣に向き合って考えるようにしていると、子どもも同じように真面目に考えようとします。なにか疑問が生まれたときにはその場で調べたり図書館に行ったりする姿勢を見せておくのも良いでしょう。
まずは親子で充実した時間を過ごしたり疑問に真っ直ぐ向き合うようにする日常が、子どもの豊かな経験値の土台となります。
子どもに考えさせる
5、6歳前後になって子どもが自分で物事を考えられるようになったら、自ら考える機会を意図的に与えてみましょう。たとえば子どもに「なぜ?どうして?」と聞かれたときには親が正しい答えを教えるのではなく「どうしてかな?」と疑問を投げかけてみます。子どもが自分なりの答えを導き出すようになると、つい真偽を確かめてみたくなって自分で答えを探そうとするでしょう。どうしても子どもが親に答えを求める場合、段階的に答えてみたり曖昧な反応をしたりしながら子どもが考えられるように間をあけるのも良いでしょう。大人が答えを知らないとわかると張り切って調べて親に教えようとする子どももいます。調べ方がわからない様子であれば図鑑の読み方や図書館の使い方から教えるようにしましょう。
子どもの知的好奇心を高めるコツ
子どもの知的好奇心は、以下のような状況で高まりやすくなります。- 知識と体験が結びついた時
- 自分が喜んでいる時に、共感してもらえた時
ただし、子どもによって知的好奇心を感じるポイントはそれぞれ異なるので、子どもが行動している時は親はよく観察して、実際に子どもの知的好奇心が刺激されるのはどのような瞬間なのかを確認しておくと良いでしょう。
子どもの知的好奇心を刺激する通信教育教材
ここでは、子どもの知的好奇心を刺激する小学生向け通信教育教材を紹介します。すらら
すららは、自分のペースに合わせて学習に取り組める「無学年式オンライン教材」です。
塾や学校、フリースクールなど多くの教育機関に導入された実績を持つだけあり、教材への信頼性は随一のタブレット学習。
またすららは、子どもの“学びたい欲”を刺激する、トークンエコノミー方式を採用した教材。
目標を達成するごとにポイントが付与され、自身のタブレット内のページをグレードアップさせることができます。
「頑張るとよいことがある」という体験を積み重ねることで、目標を達成するプロセスを習慣化し、学び続ける姿勢を定着させます。
また無学年式を採用しているため、学年を遡って基礎から丁寧に学び直すことも可能です。こども自身が「わかった」「できた」に気付けることで、子どもの知的好奇心がより刺激されるでしょう。
スマイルゼミ
スマイルゼミは、AIを活用した日本国内初のタブレット型通信教育。
タブレット教材ながら「書く学び」にこだわり、紙と鉛筆での学習と同等レベルの質の高い学習効果を得られると評判です。
またスマイルゼミでは、知的好奇心を刺激し、学びを冒険に変えるユニークなアプローチが特徴です。
ただ単に問題を解き進めるのではなく、思考力・多角的視野が必要になるクリエイティブな問題にも取り組めるため、楽しみながら学力の向上を図ることができるでしょう。
さらにスマイルゼミでは、2023年12月から『コーチング機能』のサービスを開始しました。
コーチング機能とは、1回あたりの学習時間や時間帯、曜日、頻度を基に、最も効果的な学習時間や教材数・内容を提案するというもの。
進級やクラブ活動、習い事などによる学習習慣や生活リズムの変化に合わせて「コーチング」も変化していくため、適切な学習ペースのもと無理なく学習に取り組むことができるでしょう。
進研ゼミ小学講座
進研ゼミ小学講座のチャレンジタッチは、ベネッセグループが提供する通信教材。
タブレットには、国語・算数・理科・社会・英語の他、プログラミング・実力診断テスト・赤ペン先生の指導・約1000冊の児童書が集約されています。豊富なコンテンツが子どもの知的好奇心をくすぐるため、自発的に学び始める姿が見られることでしょう。
またチャレンジタッチでは、学習の成果がポイント化されます。貯まったポイントは、キャラクターグッズや文房具といった『努力賞プレゼント』に交換できるため、子ども自ら目標を掲げ学習に取り組むようになるでしょう。
まとめ
知的好奇心には「拡散的好奇心」と「特殊的好奇心」の2種類があり、それぞれ特定の目的があるか無いかという点で異なります。どちらも教育分野で重要視されている動機付けのきっかけで、自ら学ぼうとする姿が学習意欲の向上に深く結びついています。また主体的な姿を引き出す働きかけとしては本や新聞、施設や自然といったさまざまな環境や物を利用する方法があります。情報をインプットしたり照らし合わせたりする豊かな経験が大切です。さらに大人が一緒に考えたりワクワクしている様子を見せることで子どもが自ら学んでみたくなるでしょう。心が動くような体験をしていると知的好奇心をかき立てることができるので、さまざまな場所に出かける経験も効果的です。