今回は数ある英語教育の中でも高い語学習得効果を期待できる『イマージョン教育』についてお伝えします。
イマージョン教育とは?
イマージョン教育の「イマージョン」とは英語の「immerse」が由来となり、 「浸す」「漬ける」という意味を持ちます。イマージョン教育とはバイリンガル教育のひとつで、その名前の通り英語(もしくはその他外国語)が飛び交う環境にどっぷり身を置きその言語を身につけさせる語学学習法です。一般的な語学学習法とは異なり、日々の生活を通してシーンや状況に応じた適切な言語表現法を自然に身につけられるのが特徴。従来の「英語を学ぶ」という学習法ではなく、「英語で学ぶ」特性を持つ教育法です。
イマージョン教育の発祥と歴史
イマージョン教育は、1960年代にカナダで始まりました。発祥の基となったのは、フランス語が公用語であるカナダのケベック州。英語とフランス語双方の文化や伝統を理解できるための教育プログラムを作ってほしいという親たちの要望から生まれました。その後、高い教育・言語習得効果が認められカナダ全土に広がりました。同様に多言語文化であるアメリカでも広く導入されるようになり、世界中で普及しているバイリンガル教育です。
日本では1992年に静岡の加藤学園暁秀初等学校が日本初の英語イマージョン・プログラムを導入。加藤学園暁秀初等学校の導入を皮切りに、私立学校を中心に全国で広がりをみせています。
イマージョン教育の種類
イマージョン教育には、取り入れる時期や教育方法によりいくつかの種類に大別されます。導入時期による種別
イマージョン教育は、教育を受ける時期で種類が分類されます。- 早期イマージョン(幼児・児童)
- 中期イマージョン (小2~4以降)
- 後期イマージョン (中学・高校生以降)
イマージョン教育はその恩恵を充分に受けるまでに通常2~3年はかかると言われています。導入時期は早ければ早いほど良いと言われており、日本では主に小学校1年生前後から開始する学校が多いようです。
参考:小学生向け英語塾
使用割合による種別
団体・教育施設によっては、外国語の使用割合による分類もあります。- 完全イマージョン教育
- 部分イマージョン教育
部分イマージョン教育は全ての学年において、外国語での指導を50%前後に維持する教育法です。体育や美術などの芸術要素の強い科目で英語が学習を実施するケースが多いのが特徴です。
手法による種別
多国籍クラスの場合、手法によるイマージョン教育が実施されるケースもあります。- 一方向イマージョン教育
- 双方向イマージョン教育
双方向イマージョン教育は、 母国語と第二言語を交えた授業を展開する教育方法です。
例えば、英語を母国語とする生徒と英語を母国語ではなく、第二言語とする生徒との割合が同等になるようクラスを構成します。授業は、それぞれの生徒たちの母国語を使用し進められます。
イマージョン教育のメリット
イマージョン教育のメリットはどのようなものがあるでしょうか。本項目では、イマージョン教育で得られるメリットを英語学習を例にご紹介します。
高い語学力を身につけられる
イマージョン教育では、ネイティブ教師から授業を受けるため、ネイティブスピーカーに近いヒアリング能力と共に、自ら考え発言できるスピーキング力も身に付けられます。知的能力向上が期待できる
2つ以上の言語の習熟度が一定レベルに達すると、総合的な思考力・理解力が増し、知的能力が向上すると言われています。カナダの学術調査でも明らかになっており、お子さまの基礎的知能の向上が期待できるかもしれません。多様性(ダイバーシティ)への適応力が身に付く
グローバル社会で活躍するために必要な、異なる人種や文化に対する高い理解力が得られることも大きなメリットです。幼少期からグローバル環境に身を置くことで、外国人や異文化に抵抗なく、順応できるでしょう。イマージョン教育のデメリット
語学習得において大きな効果を期待できるイマージョン教育ですが、デメリットに感じる面も持ち合わせています。イマージョン教育の取り入れを検討している方は、デメリットも理解した上で導入を検討しましょう。学費が高額
イマージョン教育を実施している日本の施設・団体はほぼ私立学校です。場合によっては、通常の授業料に加え月数万円のイマージョン教育のためのオプション料金がかかることもあります。しかもイマージョン教育には継続的な学習が必要です。一時的ではなく長い期間にわたり高額な費用がかかる可能性を視野に入れなければなりません。
保護者のサポートが必要
イマージョン教育を始めたばかりの子どもは、急に異なる言語環境下に置かれ自分の伝えたいことが言葉にできないなど、相当なストレスを抱えることがあります。こうしたストレスを緩和し、子供が前向きに学校に通えるようにするためには、保護者の手厚いサポートが欠かせません。場合によってはイマージョン教育を受けるために、事前に習い事などで一定レベルの語学スキルの習得を目指さなければならないこともあるでしょう。
中途半端イマージョン教育を受けると逆効果になることもある
イマージョン教育を中途半端に取り入れてしまうことで、英語はもちろん日本語能力まで低下してしまう懸念があります。通常の学校に通う同年代の子供に比べ、日本語に接する時間が極端に少なくなるため、それを補うために家庭での会話や自主学習が大切になってくるでしょう。イマージョン教育を受けられる学校
現在、日本でイマージョン教育を受けられる団体・施設の数は増加傾向にあります。本項目では実際にイマージョン教育を取り入れている学校を紹介します。
加藤学園暁星初等学校
加藤学園暁星初等学校は静岡県沼津市にある、1992年に日本で初めてイマージョン教育を導入した学校です。算数、生活科、理科などの教科を英語で指導しており、英語50〜60%、日本語40〜50%ほどの割合で授業を行っています。
同じ科目で英語と日本語を両方使うのではなく、英語で教える科目と日本語で教える科目に分かれており、日本語での教育や日本文化理解にも力を入れていることが特徴です。
ぐんま国際アカデミー初等部
群馬県太田市にあるぐんま国際アカデミー初等部は、日本人教師と英語を母国語とするネイティブ教師が2人で担任を務めています。算数・理科・社会・芸術等、教科の70パーセントを英語で指導し、6年生時には自分の考えを持ち英語でディベートできるようになることを目標に掲げています。豊橋市立八町小学校
八町小学校は、2020年度より国語と道徳以外の教科は主に英語を使って学ぶ「イマージョン教育コース」が開設され 、日本で初めてイマージョン教育を取り入れた公立小学校として注目を集めた小学校です。外国籍の児童が14.5%在籍している一方で、国際理解教育や国際共通言語である英語教育が浸透していないという大きな課題を抱いていた背景があり、イマージョン教育が導入されたそうです。
イマージョン教育のまとめ
2020年度にはコミュニケーション能力に重点を置いた抜本的な英語教育改革が行われるなど、より実践的な英語の強化に力を入れている日本。今後はさらに英語教育の必要性が叫ばれ、英語教育制度の改革も進むことでしょう。その中で注目されるイマージョン教育。導入時期や種類、メリット・デメリットなどを踏まえた上で、お子さんに合った教育方法を選択できると良いですね。
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