私立と公立の違いは?格差は本当か、コロナの影響と中学受験を考える【教育トピック】

私立と公立の違いは?格差は本当か、コロナの影響と中学受験を考える【教育トピック】

※ 本コンテンツにはプロモーション(PR)が含まれています。また、詳しい最新情報については公式サイトをご確認ください。

新型コロナウイルスの影響をうけて中学受験や高校受験の動向が変わるのではないかといったニュースを見かけるようになりました。比較的多いのが「経済状況が悪化する中、公立人気が高まる」という推測です。いっぽうで「休校期間にいち早く家庭学習の対応をした私立」への関心が高まっているという記事も見ます。いったい、どちらが本当なのでしょうか?

都心部を中心とした傾向ではありますが、小学生の子を持つ親の一定数が「公立と私立、どちらがいいのか」とふと考えることもあるでしょう。中学受験を視野に入れていなくても「進学予定の学区にある中学の評判が気になる」人は多いのではないでしょうか。

今回の記事では「公立と私立」その違いやコロナ禍の影響などを踏まえて、中学進学について考えていきたいと思います。

コエテコが選ぶ!おすすめのオンライン家庭教師・塾 [PR]

  • 家庭教師の銀河 手元カメラ&手厚いチャットサポートでオンライン指導でも安心!「自立」にこだわる学習法で定期テスト&受験対策も可能。

  • トライのオンライン個別指導塾 【無料体験授業受付中!】授業満足度No.1のトライのオンライン塾なら全国33万人からピッタリな先生が選べる!

  • そら塾 オンライン個別指導塾 【1ヵ月授業料無料】≪東証上場企業が運営≫​生徒数No.1​のオンライン個別指導で通塾生の89.1%が成績アップ!

  • オンライン家庭教師GIPS(ギプス) 月々1万円〜のオンライン家庭教師。365日の自習サポート24時間のLINE質問も無料で対応

公立と私立の違いとは

そもそも公立中学校と私立中学校ではどんな違いがあるのでしょうか。すべての学校にあてはまるわけではありませんが、大きくわけると次のような違いがあります。


公立中学校 私立中学校
学費 かからない 高い
学費以外の出費 あまりかからない お金がかかる
年間の授業時間数 1015時間 1100〜1400時間
先生の異動 数年ごとに異動 あまり異動がない
子どもの多様性 さまざまな子がいる 似た環境で育った子が多い
* 授業時間数は公立中は文部科学省中学校学習指導要領より、私立中学校は学校資料等より平均値を概算

授業時間数は、公立学校でも上記の標準より多いケースもよくあり、一概には比べられません。確実に違うのは学費です。

公立中学と私立中学「年間の学費(学習総合費用)」

学習費総額平均
公立中学校 538,799円
私立中学校 1,436,353円
参考:令和3年度子供の学習費調査の結果について/文部科学省

学習費とは、授業料の他に給食費、塾や習い事など校外活動費も含めた「子どもの学習にかかった費用」です。年間の学費でこれだけ違いがあるのですから、3年間で考えると大きな差になることは念頭に置いておきましょう。

では、公立と私立で具体的にどんなメリット・デメリットがあるのか、次でより詳細に解説していきます。
参考:中学受験塾選び

公立中学校のメリット・デメリット

公立中学校は、国や地方公共団体が運営する中学校です。運営・管理は教育庁や地方公共団体の教育委員会がおこない、授業は無償で提供されます。

中学校までは義務教育であるため、特に申立をしなければ、小学校を卒業する子どもは自動的に管轄区の中学校に上がる仕組みです。

公立中学校にスライドするメリット・デメリットについて見ていきましょう。

公立中学校のメリット


経済的負担が少ない

日本国憲法第4条 (義務教育)では、中学までを義務教育とし授業料を徴収しないことを明記しています。公立中学校で3年間学んでも、授業料は一切発生しません。

また公立中学校は、自宅から近い学校に割り振られるのが一般的です。徒歩や自転車で通学できるため、交通費を用意する必要もありません。県をまたいでの通学もあり得る私立中学校と比較して、学費による経済的負担が少ないのは大きな魅力です。

前項で提示したとおり、公立中学校の1年間にかかる学習費負担の平均総額は、53万8,799円となります。「費用負担は私立中学校の約1/3」と考えれば、公立中学校に通う経済的なメリットはかなり大きいといえるでしょう。

参考:第4条 (義務教育):文部科学省

知り合いが多い

公立小学校に通っている場合、同じメンバーがそのまま公立中学校に入学するケースがほとんどです。仲のよい友だちはもちろん、「話したことはなくても、何となく知っている」同級生・先輩が多いのは公立中学校の魅力といえます。

中学校は子ども主体の課外活動・学校行事が増え、友だち関係の重要度が増す傾向です。同じ小学校の先輩や同級生がいれば会話も弾みやすく、新しい環境にもスムーズに溶け込みやすくなります。

また保護者としても、同じ小学校からの保護者がいるのは心強く感じるものです。参観日などには情報交換もしやすく、「知り合いが多いこと」のメリットを享受できます。

地域と関係が強い

公立中学校に通うと、地域と連携したさまざまな活動・イベントがあります。自分の暮らす地域との関わりが密接になる分、子どもの地元への愛着や興味が強くなる傾向です。

地元に密着した人間関係は、大人になってからも長く続く傾向があります。子どもが高校・大学へと進んでも、「小・中学校の友だちは特別」というケースが少なくありません。成人式や帰省時に盛り上がれる友だちがいるのは、公立中学校に通うからこそのメリットです。

自主性や多様性が尊重されている

「主体的に動ける人材」の育成が急務とされている日本では、義務教育過程にも「探求型学習」が多く導入されるようになりました。

探求型学習とは、他者と協力したり自らが主体的に動いたりして「自ら学び・自ら考える力」を養う学習です。公立中学校でも多くの探求型学習が導入されるようになっており、子どもの自主性を養う上で有益です。

また公立中学校には、指定校区内に住む全ての子どもが通います。家庭環境・価値観・学力が異なる子ども同士で学ぶことにより、社会の多様性を学べるのもメリットです。

人間が社会に適応して生きていくためには、複雑な人間関係に対応できるスキルを身に付けなければなりません。公立中学校でさまざまなタイプの子どもと触れあうことは、子どものコミュニケーションスキルを鍛えること・他者への寛容性を養うこと・多様性を受け入れることにつながるはずです。

公立中学校のデメリット

 

高校受験は必須

公立中学校は高校選択の自由があるものの、受験は必須です。「受験に向けて備えなければならない」ということを大きなデメリットに感じる人も多いでしょう。

レベルの高い高校・大学へと進みたいと考えているご家庭は、中学校に入った時点から学力の維持や内申点を気にしながら中学校生活を送ることとなります。中1から通塾を始める子どもも多く、経済的な負担も大きくなる傾向です。

また受験によるストレスやプレッシャーは、子どもだけのものではありません。子どものメンタルサポートや体調ケアをおこなう保護者も、受験ストレスを共有することとなります。子どもの成績に一喜一憂する生活は、想像以上に苦痛です。

教員が変わるので教育の質が一定では無い

公立中学校の教育の質は、「どのような教員が配属されるか」に大きく左右されがちです。年によって良い・悪いの振り幅が大きくなることもあり、教育の質が担保されにくいのはデメリットといえます。

公立中学校の教員は、「教育公務員」に分類される地方公務員です。一定期間がくれば人事異動があり、長期間同じ学校に勤めることはできません。学校のトップである校長も頻繁に異動することから、年によって学校の雰囲気や子どもへのサポート体制が大きく変化するケースもあります。

信頼を置いていた教員が異動したり、経験の浅い教員が担任になったりした場合、保護者の不満や不安は大きくなりがちです。

学力差が激しい

公立中学校には、受験がありません。学力で生徒を選り分ける私立中学校と比較すると、生徒間の学力差は大きくなります。授業の進度・学習レベルについて、不満や不安を持つ子どもが出てくることが少なくありません。

学力の高い子どもは、公立中学校の授業では物足りない・進度が遅いなどと感じやすい傾向です。中でも難関校を目指す子どもは、中学校の授業だけでは受験に必要な学力を身に付けられません。志望校合格を目指すなら、塾に通うことが必須となります。

一方学力の低い子どもは、学習が遅れても適切なフォローを受けるのが困難です。授業について行けずにモチベーションが下がってしまい、勉強をあきらめてしまう子どももいます。

学力の高い子ども・低い子どもが同じクラスで授業を受けるのは、双方にとって負担となることがあるでしょう。

私立中学校のメリット・デメリット

私立中学校は、学校法人によって運営される中学校です。学校教育については独自のルールが適用され、公立中学校にはない特色・個性を持つ学校も少なくありません。

ここからは、私立中学校のメリット・デメリットを見ていきましょう。
参考:中学受験におすすめの塾

私立中学校のメリット

大学進学の準備ができる

多くの私立中学校では、大学受験を見据えたカリキュラムが組まれています。

特に中高一貫校の場合は、入学当初から大学進学に焦点を当てている学校がほとんど。中・高で学ぶべき内容は、高校2年までに終わるようカリキュラムが組まれています。高校3年生の1年間は、丸々大学受験のための準備期間です。

公立中学校の子どもが高校受験に焦点を合わせているときも、私立中学校の子どもは「高校の先」を見ています。「早い段階で大学受験準備に入れる」ことは、大学進学を目指す子どもにとって、非常に大きなアドバンテージです。

子どもに合った校風や受けさせたい教育を選べる

私立中学校の運営母体は、各学校法人です。公立中学校と比較して学校運営の自由度が高く、校風や特色・学力レベルは学校によって大きく異なります。「画一的な教育を避けたい」「子どもの学力に合った学校を選びたい」と考えるご家庭も、最適な1校を見つけやすいでしょう。

例えば私立中学校なら、「芸術に力を入れている」「スポーツに力を入れている」など、学習以外の面に強みを持つ学校がさまざまあります。このほか「超進学校」「のんびりした校風の中学校」「国外の学校と提携している中学校」などもあり、中学校選びにおける選択肢は豊富です。

設備や教育の質が良い

一般に、私立中学校の方が公立中学校よりも設備の充実度・教育の質が高い傾向です。

公立中学校の設備は税金でまかなわれているため、あまりにも高額なもの・ハイグレードなものは導入されません。導入のタイミングも遅くなる傾向があり、教育環境の面で不自由を感じることが多々あるのが現状です。

一方で私立中学校には、予算の上限がありません。運営資金が潤沢な中学校なら、最新設備・高額な設備も速やかに導入されます。

資金を自由に使えるメリットは教育面でも大きなアドバンテージとなっており、私立中学校には公立中学校にはないカリキュラム・授業がさまざまあります。

「子どもには充実した教育環境で、高度な教育を受けさせたい」と考えるご家庭なら、私立中学校の方が目的にかなう学校を見つけやすいでしょう。

中高一貫なら高校受験がない

私立の中高一貫校は、大学受験を想定したカリキュラムが組まれています。いわゆる「エスカレーター式」がほとんどで、中学校から高校に上がる際に高校受験の必要はありません。

高校受験は子どもにとって、人生を大きく左右する選択となることがあります。子ども・保護者ともに感じるプレッシャーは大きく、「子どもが中学3年生になると、子どもも保護者もつらい」と嘆くご家庭は少なくありません。受験のプレッシャー・ストレスとは無縁であることは、中高一貫校だからこそのメリットです。

ただし進学校などでは、高校進学時に学力の低い生徒が足切りされるケースもあります。足切りにあってしまった場合は、私立の中高一貫校でも受験が必要です。

教員の異動が無いため、教育の水準が変わりづらい

私立中学校の教師は、学校法人に雇用されている「労働者」です。教育公務員に該当する公立教師とは異なり、基本的に転勤や異動がありません。年によって教育の質・水準が変化しにくく、常に安定した教育を受けられるのがメリットです。

ただし私立中学校でも、系列校が複数あるケース・兄弟校での交流が盛んなケースなどでは、教員の異動があります。また近年は、教員のキャリアアップ・スキルアップを目的とした異動を推奨する学校も多いようです。

とはいえ教員の顔ぶれが変わる場合でも、教員の質は適切に担保されています。私立中学校であれば、
「新しい教員になったから、子どもの学力が下がった」などの心配はまずないでしょう。

中学受験対策塾おすすめ6選!選び方や成功ポイントも解説

中学受験に向けては、中学受験指導に精通した塾による指導がほぼ不可欠です。 中学受験を検討している家庭では、「いつから通い始めたら良いか」「どのように塾を選べば良いのか」と、悩みを持つケースも多いのではないでしょうか。 今回は気になる中学受験塾について、通い始めの時期や塾選びのポイントを解説すると共に、中学受験におすすめの塾を紹介します。

中学受験対策塾おすすめ6選!選び方や成功ポイントも解説
コエテコ byGMO 編集部
コエテコ byGMO 編集部

2025/02/05 19:15

コエテコ ロゴ

私立中学校のデメリット

受験が厳しい場合がある

私立中学校に入学するためには、入試を突破しなければなりません。学力の底上げは必須であり、中学受験の負担が大きくなります。

特に「難関校」とよばれる私立中学校は、問題にひねりがあったりクセがあったりと一筋縄ではいきません。小学校でトップクラスの子どもでも合格は難しく、塾に通って受験対策をするのが一般的です。子どもも保護者も、中学受験を決めた日から受験のストレスを感じながら過すこととなります。

中学受験の倍率は、学校・地域によって異なります。

例えば子どもの4人に1人が私立に通うといわれる東京都の場合、私立中学校の募集生徒数2万5,601人に対し、16万1,554人の応募がありました(2022年度)。倍率は6.5倍となっており、私立中学校への入学難易度がかなり高いことが分かります。

参考:令和5年度 都内私立中学校入学者選抜実施要項|東京都

経済的負担が大きい

私立中学校に通うと、授業料が必要となります。月々の家計にかかる負担が大きくなることは覚悟しておきましょう。

注意したいのは、「中学校の学費さえ工面できればOK」ではないことです。

私立中学校が遠方の場合は、交通費も確保する必要があります。授業についていけないとなれば、通塾も検討しなければなりません。授業料以外にも発生する費用はさまざまあり、「私立中学校進学後、子どもの学習関連費用を適切に捻出できるか」は受験前に考えておくべきです。

先述の通り、私立中学校に通った場合の1年間の学習費の総額は143万6,353円と発表されています。通う中学校にもよりますが、毎月10万円以上は子どもの学習費で出ていく計算です。

新しい人間関係を築かなくてはならない

私立中学校に入ると、小学校のメンバーとはお別れになることがほとんどです。人間関係はいったんリセットされるため、一から友だち作りを始めなければなりません。内気な子ども・人見知りが強い子どもにとっては、大きな負担になる可能性があります。

中学生になると自意識が強くなり、人に話し掛けることを恥ずかしがったり人前で話せなくなったりする子どもも少なくありません。子どもが人間関係をうまく築けない場合、「小学校のメンバーの方が良かった」などと言い出す可能性があります。

休校中の対応で見えてきた「公立と私立の違い」

公立と私立の違いは「お金がかかるかどうかってことくらい、わかってるわ」と思ったかもしれません。しかし2020年の新型コロナウイルスの影響で現場からは違った声もあがってきています。

今現在、公立の中学校に通っているお子さんを持つ保護者に聞くと「これまであまり考えたことはなかった公立と私立の違いをコロナ禍で実感した」と答える人が増えています。どんな違いを実感したのか、保護者の声を紹介します。
公立中に通っているが、休校が始まってしばらくは学校から一斉メールの連絡が入るだけ。梅雨時期に入ってからようやくプリントの宿題が出たが勉強の遅れが非常に気になった(Nさん/子ども・中2)
周囲で私立中に通学しているママから、オンライン授業がスタートしたとか、教科書やワークブックが郵送され動画で解説があって解くといったことを聞き驚きました。子どもの通う公立中では教科書も配布されないまま4月がスタートし、テレビ放送の一覧表と無料でダウンロードできるプリントのサイト紹介があって、個人個人で学習しておくようにと連絡があっただけ、受験もあることですし学習の後れが心配です(Kさん/子ども・中2)
受験があるのに学習がどんどん先送りになり、購入したドリルや参考書をもとに勉強させた。上の子は私立高校に通っているが、附属の中学も含めて学校独自のネット上でホームルームもあり、先生が毎日子どもの学習状況をチェックしていた。その分お金を払っているからとも言えるけど、オンライン授業なども専門家を招いてすぐに環境を整えた私立の動きの速さは、公立とは比べものにならない(Iさん/子ども・中3)
あるお母さんは「私立と設備などで差があるのはしかたない。それに公立には公立の良さがある。でも、コロナ休校中の対応の差はあまりに大きい」とため息をつきました。

公立と私立「オンライン授業」の差は本当にあったのか

親が感じている「休校中の対応、オンライン授業や配信動画の実施に差がある」のは本当なのでしょうか?

双方向型オンライン授業の実施
公立中学校 10%
私立中学校 72%
* 参考:新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた公立学校における学習指導等に関する状況について(文科省)
首都圏模試模試センター「3月~6月の私立中のオンライン活用状況」についてのアンケート調査結果

オンライン授業でも、双方向(先生と生徒がやり取りできる)型授業に対する期待が大きい中、実施した学校を比べると上記のようにかなり「差」があります。動画配信などを加えたオンライン学習となると、私立中では90%以上が実施していると言われています。

公立中学校でも秋から本格的にICT環境(情報通信技術)を整えてスタートしているところもあります。また、首都圏模試センターの調査は、都市部でアンケートに協力した私立校が対象なので、数字の差だけを見ることはできませんが、いずれにしてもオンライン学習については、公立と私立で大きな開きがあるのは事実と言えそうです。

コロナのような状況だけに限らず、今後はプログラミング教育が中学・高校と本格的になり将来においても必要不可欠なスキルと言われています。実際に小学校でのプログラミング教育も必修化となりました。「私立のオンライン授業・プログラミング学習の充実」に関心を寄せる保護者が増えているのも当然と言えるかもしれません。
参考:中学受験対策が可能な家庭教師

私立中学の特色と公立中学の多様性

違いといえば、私立中学はそれぞれ特色を出しているところが多いですね。たとえば中学から英語に力をいれ、第三外国語も学ぶなどグローバル教育に強い学校があります。あるいはサッカーや野球、吹奏楽などいわゆる「強豪校」として有名なところもあります。サイエンスやプログラミングを積極的に学べるよう、かなりの設備が整った学校もあります。

私立中学の特色と、子どもが希望することが一致した場合には進学先として良い選択と言えそうです。好きなことを存分に学び、伸ばしてもらえるからです。

いっぽうで公立中学はよく言われるようにさまざまなタイプの子がいます。金銭感覚にしても、ある子はたくさんのお小遣いをもらい、ある子は苦しい家計を見て育っていることもあるでしょう。社会の縮図として見れば、私立中学よりも「当たり前の環境」であり、世の中が不公平であることや、理不尽なことを実感するのは決して悪いことではなく、それが子どもの心を育てることもあるでしょう。

経済状況の変化による私立人気・中学受験への影響

結論から言うと、コロナ禍による経済的な打撃は実際にあるとはいえ、一定レベルの私立中学あるいは公立でも中間一貫校の人気は保たれるのではないかと感じます。

そもそも中学受験で六大学附属や難関校といわれる中高一貫校を志望する家庭は、幼児期から親が準備をしています。もともと経済的に余裕があって中学受験を視野に入れているので、コロナ渦の影響を受けても受験に対するスタンスはあまり変わりありません。

あるいは小さいうちから「私立にいれたい」希望があり、私立中~大学まで進めるよう、早いうちから学費を貯めている家庭もあります。さらに少子化で祖父母が孫の学費ならと援助するケースも少なくありません。つまり、もともと私立校受験志向の家庭は今回のコロナ渦でもさほど計画を変えていないということです。

塾の動向からわかる「上位クラスの私立志望は変化なし」

これは塾の動向を見てもわかります。個人経営の塾は学習の補助が中心で、受験をするにしても偏差値がさほど高くない層を志望している子どもが中心と言われています。コロナ渦の後、こうした個人経営の塾はやめる子が続いたり、新たに入塾する子もへり、苦しい状況のところも増えているようです。



上記の表では具体的な塾はわかりませんが、小規模の塾は在籍者数の減少が目立ち、いっぽうで100人以上が在籍する中~大規模塾になると在籍者数の減少は小さく、それどころか増えているところもあります。

いわゆる大手進学塾であるサピックスや日能研などに子どもが通塾している保護者に聞いてみると「やめた子はいないと思う」「低学年向けのクラスはわからないけど、難関クラスの子たちで塾をやめた子はいない」といった回答がほとんどです。

この手の進学塾は、中堅以上、難関校をめざす子ども達が通っているわけで、この層にはあまり影響がないことがわかります。

* 引用/参考:2020年4-7月学習塾の行状調査結果について/公益社団法人全国学習塾協会
学習塾大手7者全体の最終損益4~6月期/日本経済新聞

「小学4年・5年生」2021年以降の中学受験は変化する!?

経済面でいうとコロナ禍とリーマンショックがよく比べられます。印象ではコロナによる経済的な影響がより大きいと感じますが、リーマンショック時の進学状況をふりかえってみると今後の動向は少し見えてきそうです。

中学受験数
* 引用:森上教育研究所

上記の表を見ると、リーマンショックがあった2008年には影響はありませんが、翌年以降の中学受験は減っています。リーマンショックだけが理由ではないにせよ、社会情勢が受験に影響を及ぼすのは翌年以降です。つまり現在の小学校3年、4年、5年生の保護者は多少の差こそあれ、コロナ禍の影響を受ける可能性が高くなります。

漠然と中学受験を考えていた家庭が経済的な打撃を受けたとすれば、あえて私立校を選ぶことはしなくなります。3年〜5年生ならば「いったん受験はやめて」高校受験でがんばろうとハンドルを切り直しやすい面もあるでしょう。ボーナスが減少した、妻のパート勤めが減った、貯金を切り崩した、といった影響は半年、1年後のほうが厳しく迫ってくるのも事実です。
参考:中学受験対策可能なオンライン塾

私立中学と公立中学を選んだ理由をそれぞれ聞いてみた


では、なぜ私立中学受験をさせたのか、あるいは公立中学校に進学させたのか、保護者の意見を見ていきましょう。

私立中学を選んだ理由

  • 大学受験のため
中高一貫教育だがカリキュラムがしっかりしていて大学受験にかなり有利に思えたから。
  • 両親夫婦が私立であるため
公立が悪いとは思わないが、子どもも同じような学校生活を送って貰いたいと思い、わりと早いうちから中学からは私立と決めていたので。
  • 消去法
近隣の公立中を見たらけっこう荒れていて、通学する生徒の振る舞いを見ても不安だらけ。それならあまり遠くないところの私立のほうがいいと思った。
  • 高校受験を避けたかったため
思春期の6年間こそ、部活でもなんでも好きなことに没頭したり、仲間と過ごす楽しさを味わってほしいと思い夫婦で話し合い、本人に私立の良さを伝えてその気にさせた。
  • 小学校でイジメを受けていたため
加害者の子たちが揃って進む区域の中学は絶対にイヤだというのでどうせ越境させるなら、中学からみんな新しい顔ぶれになる私立がよいのではと思い、いくつか見学をした。子どもも気に入ったところがあり、受験をさせ私立校に進ませた。
  • クラブ活動のため
公立中には娘のやりたがっていた本格的なマーチングバンドがなかった。強豪校を探すと公立もあるのだがどこも遠く、一番近いところが私立だった。思春期は夢中になれるものがあったほうが絶対にいいと思うから、受験をさせてでも行かせてよかった。
  • 本人が強く希望したため
小5のはじめに制服図鑑とか見て興味を持ち、塾に行ってる友達の話も聞いて、その子たちの学校見学にも一緒についていくうちに「どうしても行きたい」と希望が強く、塾に入れてみると本当に必死に勉強して成績をあげたので決めた。教育費に多少の不安があったが、細かくマネープランをたてて「大学まで出せる」と夫を説得した。義父母、特に義母が教育熱心でわたしや娘に賛成し、その後も制服購入や寄付金などで何かと助けてくれて本当にありがたい。まさか受験がきっかけで義母との距離感が縮むとは思ってもいないことだった。
小学生オンライン塾おすすめ31選【2024年最新版】中学受験対策も!

オンライン学習塾を検討するときに「本当に子どもは授業に集中できるのか?」「オンライン学習塾に通って学力は上がるのか?」と不安になることもあるでしょう。 この記事では、オンライン学習塾の種類やメリット・デメリットを分かりやすく解説します。おすすめのオンライン学習塾もご紹介しますので、ぜひ塾選びの参考にしてみてください。

小学生オンライン塾おすすめ31選【2024年最新版】中学受験対策も!
コエテコ byGMO 編集部
コエテコ byGMO 編集部

2025/02/05 15:20

コエテコ ロゴ

公立中学を選んだ理由

  • 経済的な負担が少ないため
3人の子ども達がいるわが家では私立は問題外。
  • 私立中学に通わせる意義を見い出せないため
ものすごいデキる子で御三家とかに行くならわかるが、どうでもいいレベルの私立にいれても……。義務教育なんだからあえて低いレベルの学校にお金かけて行かせなくてもと思う。
  • 通学時の不安が少ないため
コロナになってから電車を乗り継ぎ通学する高校生の長男が心配だった。災害時のことなどを考えても、やはり徒歩圏内の学校が安心。
  • 地域との関わりを持たせたいため
中学くらいまでは、地域になじみ、さまざまな家庭を見たほうが子どものためと思う。
  • 子どもの意思を尊重したいため
勉強が嫌いな子に無理矢理、親の希望を押し付けるのはどうかと思う。小学生のうちなら親の言うことを聞くかもしれないが、それで私立に入って嫌なことでもあったら「別に自分が行きたいわけでもなかったのに」となる(私自身がそうだった)。親のエゴで受験させると子どもも辛いので、本人の意思がはっきりする高校受験の時点で進路を真剣に考えればよいと思っている。
  • メリットがないため
私立の学費ならなんとかなると思ったが、私立に行かせてる知り合いから、普段の交際費なんかもかかるし、部活の道具なんかでも高いものを持たせている家庭が多く、見えない出費はかなりものと聞いて考え直した。できないことはないが、かなりきつい思いをしてまで私立中学に行かせるメリットもない。本人がどうしてもと言えば考えただろうが、友達が行くから程度の気持ちだったので、理由を話したら、あっさりあきらめた。

東京では4人に1人が私立中学へ

東京 私立中学進学率
* 引用:一般財団法人東京私立中学高等学校協会

東京都は私立中学校の数も群を抜いて多いため、私立中学への進学率も高くなっています。4人に1人は私立中へ進学していると聞けば「え、そんなにいるんだ」というのが正直な感想です。しかし逆に考えると75%の子どもは公立中に進んでいます。私立か公立か、悩む保護者が多いのも当然かもしれません。

公立・私立中学の「ウソ・ホント」

公立か私立かといった話題が親の間にのぼると、かならずといっていいほど「まことしやかなお話」が出てきます。4つの「ウソかホントか」公立中・私立中の〝あるあるネタ〟を深掘りしてみましょう!

私立は塾に行かせなくていいはウソ・ホント?

ライター・大橋
ライター・大橋

私立でも塾に行かせている子はけっこういますよ〜

「うちで全面的に大学受験まで面倒を見ますよ」と公言している学校でさえ、実際には子どもを塾に通わせている家は少なくありません。これは学校がウソをついているのではなく、「補習を受けていてもついていけない」「苦手教科だけはマンツーマンで見てもらう」「学校の成績をあげて大学進学を有利にしたい」といった理由で保護者が「やっぱり塾かな」という結論に至る場合が多いからです。

どんなに面倒見が良い学校でも、在籍する子どもに成績がつく以上は「後ろのほう」になる子がいるわけで、そうなるとやはり塾に行かせようかなとちらつくわけです。

受験勉強をいくら頑張っても、それで家庭学習の習慣がつく子と、そこで「終わった!」と羽を伸ばしてしまい、そこそこの成績なら問題なしとあぐらをかいてしまう子がいますしね。ちなみにわが家の次男は後者のほう。ええ、つまり、塾に通っていますとも(涙)
参考:小学生の家庭学習

公立中ならたくましく育つはウソ・ホント?

ライター・大橋
ライター・大橋

一部あたってるかな

さまざまな環境で育った子どもがいる公立中は、一般的に似た環境・バックグラウンドを持つ子が集まる私立中よりも「たくましく育つ」と言われます。公立中のメリットとして多様性があげられます。ちょっと乱暴な子も面倒なタイプも含め、いろいろな子と関わりを持つことで、どう対処していくかを学ぶ良い機会であると捉えるわけですね。

社会に出たら、本当にいろいろな人と関わり合っていくわけですから、家庭環境が似たり寄ったりの子が集まる私立中よりも、公立中で「もまれる」ことで処世術を学ぶほうが将来のためというのも、あながちウソではないと思います。

しかし、だから「たくましく育つ」かどうかは、やはり個人の個人の問題ではないでしょうか。

私立中は面倒見がよいはウソ・ホント?

ライター・大橋
ライター・大橋

その分お金払ってるんですからね……

私立中は確かに教員数も公立中学より多かったり、学習サポートも優れている部分はあるでしょう。そりゃそうです、ハッキリ言えばその分お金を払っているのですから。

もともとひとりでもしっかり学習できる子は公立であってもトップクラスの成績をとるでしょう。どこへいってもデキる子はデキるのです! でも、そうでない子の方が多いし、デキがいまいちだからこそ「お金を払ってでも面倒見のよい私立へ」と思うのもまた、親心ってもんです……。

公立中の評判は毎年変わるのはウソ・ホント?

ライター・大橋
ライター・大橋

コレはホントだと思う!

公立中は校長先生をはじめ、先生方は一定の年数(3~7年が多い)で異動します。校長先生はいわば「社長」のような立ち位置ですから、校長先生が替わるとガラリと学校の雰囲気が変わることは実際によくあります。

そのため、「隣の○○中はすごくいいらしい」という話も今年から違う可能性はあります。実際に校長先生が替わったらイジメが増えたとか、ベテランの主任クラスがいなくなったとたんに問題が増えるといったことはあります。またその逆で「悪いと聞いていたけど、新しい校長先生が熱心で雰囲気が変わった」なんてこともよくあります。

公立中学校では先生の異動は毎年当たり前にあることで、それによって学校全体の雰囲気が変わることは充分にあり得ます。

私立?公立?学校の選びのポイントを解説


最適な学びの環境は、ひとりひとり違います。公立か私立か、という大枠ではなく、もう少し絞りこんで「わが子が実際に通う区域の公立中学」がどうなのか、行きたいと思える私立中学校はどうなのか、もっと個別に考える必要があるのではないでしょうか。

そのため、まだ小学生なので親や学校の判断も必要ですが、わが子本人の感覚も含めた下記ポイントから、学校を選んでみてください。

  • 校風や教育内容
  • 家からの通いやすさ
  • 進学を考えていなら進学実績
  • 学校説明会や見学会を子供と参加

校風や教育内容

校風とは、その学校で培われてきた文化や伝統・醸成されてきた雰囲気のこと。私立中学校を検討する上で、「校風が子どもの性格に合っているか」「家庭の教育方針と合っているか」の確認は非常に重要といえます。

一口に私立中学校といっても、「生徒の自主性を重視するところ」「規律やルールの遵守を重視するところ」「生徒の体験を重視するところ」などとさまざまです。生徒管理の厳しさ・学校主導による体験教育の頻度には大きな差があり、選択する学校によって中学校生活は大きく変わります。

気になる中学校が見つかったら、まずはその学校の校訓や1年間の活動内容・教育理念などをチェックしてみてください。学校が何を重視しているか・どのような教育に力を入れているかを知ることで、校風を感じやすくなるはずです。

また私立中学校はカリキュラムの縛りがなく、教育のポイントも異なります。「グローバルに活躍してほしい」と考えるご家庭なら、英語重視・国際色豊かな中学校を探しましょう。

一方理系に興味がある・モノ作りに興味があるなら、設備の充実した工科系の私立中学校をチェックしてみてはいかがでしょうか。

家からの通いやすさ

私立に区域指定がないとはいえ、あまりにも遠方の中学校は通学・帰宅の負担が大きくなります。中学校を選択するときは、通いやすさもチェックしておきましょう。

通いやすさを測るポイントは、交通費と通学時間です。

公共交通機関を乗り継いで通う場合、交通費が高額になります。交通費の月額負担・年額負担を試算してください。

また交通機関のアクセスが悪いと、通学にかかる時間が長くなります。「始業時間に間に合わせるには、何時に家を出なければならないか」も重要なポイントです。途中乗り換えがある場合は、乗り換えの時間・移動距離まで調べることをおすすめします。

中学校でクラブに入るつもりなら、通学時間が早くなったり帰宅時間が遅くなったりすることもしばしばです。通学の負担が大き過ぎると日常生活に支障が出やすい上、中学校へ行くモチベーションも下がるかもしれません。

進学を考えているなら進学実績

大学受験を見据えて私立中学校を選択する場合、大学への進学実績を確認することも必要です。

私立中学校によっては、特定の私立大学への推薦枠を多く持っていたり、特別条件で入学できたりするケースがあります。特定の私大への進学を希望している場合、つながりのある中高一貫校を選択すると有利です。
参考:中高一貫校塾

また難関大学への進学実績が豊富な私立中高一貫校は、レベルの高い受験指導がおこなわれているということです。受験ノウハウも豊富であると予想できるため、その学校で一定レベルの成績を維持できれば、難関大学にも進学しやすくなります。

学校説明会や見学会に子どもと参加

学校説明会・学校見学には、子どもを連れて積極的に参加してください。

「百聞は一見にしかず」ということわざの通り、現地を見て初めて分かること・感じることはたくさんあります。訪れた学校がすばらしければ、学校体験そのものが子どもの受験勉強のモチベーションとなるでしょう。

学校説明会・学校見学でチェックしたいのは、以下のポイントです。

  • 教師の雰囲気
  • 生徒の様子
  • 施設・設備

学校説明会では、複数の教師が壇上でさまざまな説明をおこないます。教師の話しぶりや表情・熱心さなどを見ると、授業の様子も想像しやすくなるはずです。

また学校内を見学できる場合は、生徒の様子もチェックしましょう。あいさつをきちんとしてくれる生徒が多い・楽しそうな様子の生徒が多いなどがあれば、保護者も安心して子どもを通わせられます。

なお近年は「きれいな温水プール」「おしゃれなカフェテリア」「最新のパソコンルーム」「広い図書館」などを完備している私立学校が少なくありません。設備に惹かれて受験を考えるご家庭も少なくありませんが、中学生の使用が制限される学校もあるようです。

施設の良さで受験を検討する場合は、「その施設を中学生が自由に使えるか」まで確認しておくことをおすすめします。

私立と公立の違いを理解し、わが子にとって「何が最適か」を考えるしかない

学校選びは一種の「賭け」でもあります。ただ、明らかに向いていない、子どもが辛いだろうと思う進路ははずし、その上でベターな進路を考えていくしかありません。

塾や学校の先生の意見だけを鵜呑みにせず、周囲の情報に流されず、常に「わが子」に視線を置いてわが子中心に考えるべきなのが進路です。

コエテコが選ぶ!おすすめのオンライン家庭教師・塾 [PR]

  • 家庭教師の銀河 手元カメラ&手厚いチャットサポートでオンライン指導でも安心!「自立」にこだわる学習法で定期テスト&受験対策も可能。

  • トライのオンライン個別指導塾 【無料体験授業受付中!】授業満足度No.1のトライのオンライン塾なら全国33万人からピッタリな先生が選べる!

  • そら塾 オンライン個別指導塾 【1ヵ月授業料無料】≪東証上場企業が運営≫​生徒数No.1​のオンライン個別指導で通塾生の89.1%が成績アップ!

  • オンライン家庭教師GIPS(ギプス) 月々1万円〜のオンライン家庭教師。365日の自習サポート24時間のLINE質問も無料で対応

今から対策しませんか?新・大学入試
お近くの教室を探す
コエテコ経由で体験申し込みされた方全員にAmazonギフトカードプレゼント中!
体験レッスン+口コミ投稿された方全員に
Amazonギフトカードプレゼント中!

あわせて読みたいガイド

プログラミング教育がスッキリわかる!
よく分かるプログラミング教室ガイドを読む

RECOMMENDこの記事を読んだ方へおすすめ