「チーム学校」とは?教員の長時間労働が問題に!小学校という現場
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「チームとしての学校のあり方と今後の改善方策について」は2015年に中央教育審議会が答申しています。それからだいぶたっていますが、学校現場は実際に変化・改善しているのでしょうか?チーム学校とはどういったことなのでしょう?
わが子が通う学校だからこそ、接点のある先生だけでなく「学校」としての機能や現場の改革を親として学んでおきましょう!
チーム学校とは

中央教育審議会の答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」では、チーム学校を実現する3つの視点を次のように記しています。
① 専門性に基づくチーム体制の構築
② 学校のマネジメント機能の強化
③ 教職員ひとりひとりが力を発揮できる環境の整備
ちょっとわかりづらいですね。では次に「親が知っておきたいこと」にフォーカスして簡単に解説します。
① 専門性に基づくチーム体制の構築
- 教職員の指導体制の充実
- 教員以外の専門スタッフの参画
- 地域との連携体制の整備
親が知っておきたいポイントはココ!
指導体制を充実させるために、たとえば児童心理や福祉などの専門家を配置し、先生はなるべく学習指導や生徒指導に専念できるようにしようという改善策。スクールカウンセラーやソーシャルワーカーは保護者にも実は身近な存在でもあるので知っておきたい。また地域との連携は、子どもを大勢の「目」で見守ることにもつながり、親もまた「地域の一員」である意識は持っていたいところ。
② 学校のマネジメント機能の強化
- 管理職の適材確保
- 主幹教諭制度の充実
- 事務体制の強化
親が知っておきたいポイントはココ!
校長先生や教頭先生は「学校を経営」している。しかし、一般企業における経営全体を担う「執行役員」や「管理職」のポジションとなるべき先生が減っている。校長先生は「学校という組織のトップ」であり、主幹教諭とよばれる中間管理職的な立場の先生がいて、会社の経理や総務にあたる事務職の人材が充実することで、学校という組織運営がスムーズにいくことは認識しておきたい。
③ 教職員ひとりひとりが力を発揮できる環境の整備
- 人材育成の推進
- 業務環境の改善
- 教育委員会等による学校への支援の充実
親が知っておきたいポイントはココ!
教職員が力を発揮できるよう、業務改善や人材育成の必要がある。先生方が長時間勤務していることや、そのために「ブラック」な印象が強く、教職員をめざす人が減っていること。先生方にとって働きやすい環境づくり=良い人材が集まる=子どもたちにとって良い環境が整うと考えると、学校現場の働き方改革は必須。参考:チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について/中央教育審議会
チーム学校のイメージ図から読み解く「なぜチーム学校なのか?」

「チーム学校」という考え方が生まれた背景にはさまざまな理由があります。
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先生の負担が増大
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「チーム学校」として社会と共有・連携 |
チーム学校を保護者視点で考えてみよう!

スクールカウンセラー実際に相談したことある?
① 専門性に基づくチーム体制の構築 |
学校では、子どもの心と身体の健康を守るために、養護の先生をはじめ、いろいろな人材が存在しています。保健室の先生にお世話になったお子さんは多いでしょう。しかし、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーが「学校にいる」ことは知っていても、実はその活動についてあまり知られていないようです。
学校によって多少の違いはあるかもしれませんが、たとえば「学校内の問題」だけでなく、「朝なかなか起きない」といったことでも、保護者はスクールカウンセラーに相談ができます。
子どもがスクールカウンセラーに相談(話を聞いてもらう)するケースもよくあります。スクールカウンセラーが子どもの変化に気づいたり、先生から報告を受けたりして、見守りつつ声がけをしていくこともあります。
ちなみにスクールカウンセラーは「各学校に所属」しているのではなく、自治体・教育委員会によって配置されています。ですから学校の職員という立ち位置ではないので、相談しやすい面がありますね。
ソーシャルワーカーとの違いはわかりづらいのですが、スクールカウンセラーは「相談事を聞き、心理面でのケアをする」、ソーシャルワーカーは「問題の解決に向けて、学校や医療機関などと連携し環境を整える」とされています。たとえば食事を与えられていないような問題がある場合、自治体や関連する団体等とつなげて子どもの環境改善を図るのがソーシャルワーカーが担う役割のひとつです。
小学校の現場から見ると、授業を行うのが主となる教師ではカバーしきれない、こころのサポートを専門家が行うことで、負担が減るという面があります。何かあった時にまず担任の先生に相談するのは、やはり普通だと思いますが、もし学校にスクールカウンセラーなどがいるのなら、選択肢が他にもあることは親も知っておきたいですね。
学校もひとつの組織「運営する管理職」が減っている現実とは
② 学校のマネジメント機能の強化 |
学校は公的な教育機関ですから、会社ではありません。しかし、一方で新卒の先生もいればベテランの先生もいて、管理職という執行部があり、給食費などを管理する会計や事務職もあり、一般企業と同じではなくても、学校は「社長がいて、各部署があって業務を担当している」のと同じようなひとつの組織ではあります。
学校では校長先生や教頭先生(副校長)、主幹教諭といった管理職がマネジメントを行います。
ところが……最近は、管理職になりたくない先生が増えているそうです。あるいは管理職になったものの「現場の先生に戻る」ケースも少なからずあります。
小学校で委員をしていた時、教頭先生とやり取りすることがよくありました。見ていると、教頭先生は、山ほどの事務処理、山ほどの会議参加と会議資料作成、山ほどの保護者対応と地域への対応に追われて本当に大変そうでした。
そもそも「子どもが好きで子どもの成長に携わりたい」から教師をめざす人がほとんどですから、こうした「処理ばかりの日々」に嫌気がさすこともあるでしょう。同じ大変なら、子どもと接しながら毎日奮闘するほうが「やりがいがある」と思うのではないでしょうか。
しかし、学校を組織として見た時、トップでまとめ、引っ張っていく有能な人材がいなかったらどうなってしまうのでしょう?
(あんな大変な立場はごめんだ)と思われる傾向が増えているとしたら、それはボディブローみたいに効いてきて、将来、公立小学校の屋台骨が傾きかねない……?といった不安要素は親も知っておきたいことのひとつです。
小学校の先生はどれくらい残業しているの?
③ 教職員ひとりひとりが力を発揮できる環境の整備 |
こちらのグラフは、公立小学校の先生が「時間外労働」をどれくらいしているかの調査結果です。

上記を見ると、月にして時間外労働が45時間以下は60%。一般的に残業時間は月20~25時間程度で、30時間をすぎると「残業が多い」とされます。教職員の約30%は45時間~80時間の時間外勤務をしています。
学校における時間外勤務と、一般的な企業の「残業」とは意味合いが違う点もあるのでしょうが、それにしてもやはり「先生は大変」という印象を受けます。

青色は勤務時間が短め、オレンジ色は長時間勤務(時間外労働が多い)です。
もちろん、どの職業に就いても「みんなが定時で帰宅し、幸せで楽しく働いている」わけではありません。
- 勤務時間の長い教員は、短い教員に比べて、ストレスが高い傾向にあります。
- 現在の働き方に満足している教員は、勤務時間が長い群においては約 19%であるのに対し、勤務時間が短い群では、約54%と大きな差があります。
学校を「チーム」で支え、先生の労働環境が少しでも改善されることによって、結果として「子どもを取り巻く環境」が良くなるということを忘れずにいたいですね。
私たち親も「チーム学校」を支えるメンバーです!

たとえば子どもたちの貧困や、ネグレクト(育児放棄など)といった問題は、とてもひとりの先生が対応できることではありません。タブレット端末が配布されたものの、これらをどう活用するか、先生は新たな授業スタイルにも対応しなくてはなりません。
行事の準備、資料の作成、休んだ子への連絡、保護者への対応……山積みの仕事をきちんと整理し、分担できるものは専門職に任せ、なるべく先生が「子どもの学習指導・生活指導」に集中できるようになるといいですね。
そのためにも「先生」だけでなく、学校が専門の人材や地域とも連携しワンチームで対応していきましょうというのが「チーム学校」がめざすところです。
何より、学校がより良く改善されていくことは、結果として「子どもたちがより良い環境で学び、遊び、育つ」ことにつながります。
私たち親も「みんなで子どもを見守り、導き、教え、育んでいこうね!」という気持ちを、改めて意識することが必要ではないでしょうか。チームはひとりではできません。いろいろな人が交わり、支え合ってチーム力は強大になります。親もその一員であることを忘れずにいたいですね。
参考:学校組織マネジメント研修/文部科学省
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