プログラミング教育がわかる、プログラミング・ロボット教室がみつかる

プログラミングを含む『情報』が大学受験科目に!

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今年6月、政府は新しい成長戦略として『未来投資戦略2018』を決定しました。

その中に盛り込まれたのが、大学入学共通テストに『情報』科目を追加するという項目です。

「ウチの子は小学生だから、大学受験なんてまだ先…」と思っておられる親御さんでも、『情報』が英語や数学と同じ扱いになると聞けば、「え?」と戸惑われるのではないでしょうか。

これから受験を迎えるお子さんのいる方に、知っていただきたい「情報」についてご紹介します。

AI人材育成は世界的に不足!今後の国家戦略の要(かなめ)に


成長戦略の決定に先駆けて5月に行われた『未来投資会議(議長:安倍晋三首相)』の中で、『AI時代の人材育成』という議題が話し合われました。

AI人工知能)を使いこなせる人材の不足は世界的にも深刻で、AI人材の育成は国家戦略として重点的に取り組むべき課題です。

自動運転の車から将棋ソフトまで、AI時代はもうすでに始まっています。

これからはAIに使われるのではなく、AIを使いこなす力を持つ人材、さらにはAIでは代わることのできない能力を備えた人材の育成が必要です。

(参考)第16回未来投資会議より
(参考)AI時代に求められる人材の育成・活用 

AI時代の人材育成、解決策は『大学入試』の見直し

その解決策のひとつとして打ちだされたのが、大学入学試験の見直しです。

会議では、日本の子どもたちの理数系の能力は15歳頃までは世界トップレベルなのに、文系理系に分かれる頃を境に、特に文系でその能力が続かないことが示されました。

しかし、これからのAI時代には、どんな分野であってもコンピューターの知識は必要です。

そのためにも理系文系にかかわらず、小学校から大学まで続くコンピューターサイエンス教育の重要性が、あらためて確認されました。

(参考)未来投資戦略 2018―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革―

『情報』教育が定着しないのはなぜ?


2020年に小学校でプログラミング教育が導入されるのに合わせて、高校では情報科目が再編されます。

1999年に高校で初めて情報に関する科目が必修化されてから20年近くが経っており、新学習指導要領では新たな時代のニーズに応えられるような内容にリニューアルされる予定です。

高校で必修科目になる『情報I』では、問題の発見・解決のために、物事を情報と結びつけ、情報技術を適切、そして効果的に活用する力を『全ての生徒』が身につけることを目的としています。

文系理系に関係なく、全ての高校生がプログラミングやデータベース、ネットワークの基礎などのコンピューターサイエンスを勉強する、というわけです。

これを後押しするのが、今回発表された大学入学共通テストへの『情報』科目の追加です。

これまで、情報に関する科目は大学受験に直接関係しないことから、『必修』とは名ばかりだと指摘されてきました。

2006年、いわゆる進学校を中心に、大学入試に直接関係しない科目の授業が行われていない実態が明らかになり、大きな社会問題になったのです。

必修であるはずの「情報」科目も、実際には多くの学校で教えられていないことが明らかにされました。

情報科目は2003年に一度再編されましたが、現行の『社会と情報』の履修率は全体の8割、『情報の科学』にいたっては2割といわれ、いまだに全ての高校生が学んでいるとは言えない状況です。

(参考)Society5.0に向けた人材育成の推進 

『情報』を教える教員の増員が不可欠!


このような情報科目への軽視に一石を投じるのが、今回の発表です。

もし大学入試に加わることになれば、学校はもちろんのこと、塾や民間の教室でも『情報』に関する動きは加速することでしょう。

小学校でのプログラミング教育導入に向けて、現在多くのプログラミング教室が動き始めていますが、大学受験となればその動きはさらにヒートアップするでしょう。

また、共通テスト科目として採用するには、まず『情報』を専門に教える先生の数を増やさなくてはならないことは明らかです。

2015年の調査では、「情報」科目担当の教員の約3割は『免許外教科担任』であり、また、他の教科との兼任は約5割を占めると報告されています。

『情報』科目だけを専門に教える教員は、全国でばらつきが見られるものの、全体では約2割しかいないことが明らかになりました。さらに、情報専門の教員の採用枠が少ないことも問題になっています。

今後は『情報』を教える立場の人材の育成、そして採用についても国全体の問題として見直されることでしょう。

大学入学共通テストへの『情報』科目の追加導入は検討が始まったばかりですが、いくつかの大学ではすでに入試科目として採用されています。

たとえば慶応大学や明治大学、さらに国立大学も含めて、情報学部を中心に『情報』は入試科目として採用されており、今後、このような大学はさらに増えることでしょう。

(参考)情報教育に関連する資料 



プログラミングは現代の『読み・書き・そろばん』

国の教育方針には、その国の政策がわかりやすく映し出されます。大学入学共通テストの科目に『情報』を加えるということは、これから日本という国がこの分野に力を入れるぞ、という意思の表れです。

未来投資会議で安部首相が述べた、「プログラミングは現代の『読み・書き・そろばん』になる」という言葉は、まさにこれからの教育を表しています。

AI時代を迎え、変革期にある教育や入試制度に、これからも注目していきたいと思います。

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この記事を書いた人


工樂真澄

国立研究機関での研究生活を経て、現在は小中高生の理科に関するお仕事と、サイエンスライターとして活躍中。『最新の科学を誰にでもわかりやすく!』をモットーに、日々研鑽しております。博士(理学)。

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