プログラミング教育がわかる、プログラミング・ロボット教室がみつかる

「インベーダー」ともコラボ!ゲームの力で楽しく学ぶ「プロクラスキッズ」

任天堂をはじめとし、実は色々なゲーム会社・IT企業が本社を置いている京都には、創造性や熱中させる仕掛けなど、ゲームの持つ良い側面を教育に生かすプログラミング教室があります。

そのひとつが『プロクラス キッズ』。
ロボットから本格的なゲーム製作までをもカバーするカリキュラムは、子どもが燃える環境を作り上げています。
この夏には、TAITOの有名ゲーム『スペースインベーダー』ともコラボした講座を開講したプロクラス キッズ。
今回は非常にフランクでユニークな代表に、その想いをお伺いしました。

プロクラス代表・吉田 光広氏

大病が事業スタートのきっかけに。代表・吉田氏の驚きの人生


—本日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、「プロクラス キッズ」の歴史について教えていただけますか。

うちはもともと、2013年に『プロクラス』という社会人向けのIT教室からスタートしたんです。

その後、デジタルネイティブ(生まれたときからデジタル環境に触れる子ども達)の時代とはいえ、ただ触れているだけでは良くないのではないかと思い「ITを使いこなせる環境を提供することで優位に立てる力をつけてもらいたい」と、半年ほどの構想期間を経て『プロクラス キッズ』を開始しました。

実はこの事業を始める前、白血病になって入院していたんです。入院中はいろいろ考えていて「病気を克服したら残りの人生どうしようかな。自分は何がやりたいんだろう、何ができるんだろう」と悩みました。

そこで、自分の強みを改めて考えると、これまでに携わってきた「ゲームやwebアプリ制作会社経営」と「ソフトウェア開発」の延長線上でできることかな、と思ったんです。これらを武器にできることを考え「ITスクール」の事業として再起動したという流れですね。

実際にゲーム業界はエンジニアも人不足なんです。スクールを通して「未経験だけどゲームやwebを作る仕事に携わりたい」と思っている人を業界に入れてあげたいと考えていて、そのブリッジになればと事業を始めることにしたんです。

—えっ! ご病気がきっかけでスクール事業を始められたのですか。

はい。未来に繋げられる仕事って教育だよなーと思いまして。

エンジニアになるまでは何度も転職していたので、親が不安がっていました(笑)。元々はサービス業が好きで、時計会社で販売や営業をしたり、ホテルマンの仕事をしていたんですよ。

エンジニアとして働き始めたら、自分の市場価値が高まったようで、給料も3倍くらいになったので驚きました(笑)。現代はITスキルを持っていると付加価値が高まるんだなと実感しました。大人にも子どもにも、僕が持てた「IT」という武器を持ってもらいたいと思っています。

その後も何社か、ゲーム会社のアドバイザー的な立場で仕事をしました。株式会社グラスホッパー・マニファクチュア(『ロリポップチェーンソー』等が有名)でコンサルティングをしたり、株式会社フレイムハーツでも役員を務めました。

関わったタイトルは数え切れないくらいありますね。

吉田氏が関わった作品(一部)
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(プロダクトマネージメントとして参加)

©︎SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
開発責任者として参加

そのあと数年して起業し、Web開発やゲーム開発の会社を20年以上にわたって経営してきました。

Webサービスやサーバー運営をしたり、家庭用ゲーム機(プレイステーションやWii、Nintendo DSなど)のソフト開発などを行ったりしてきたのですが、すべてに共通して言えるのは「ソフトウェア作りはプログラム技術だけではなく、ユーザーとの対話(インタラクティブ)性を考えて設計やデザイン(グラフィックデザイン、操作のデザイン、遊びのデザイン……)をする必要がある」ということでした。

—そこで身につけた知識を、スクールで教えるイメージでしょうか。

そうです。一度にたくさんのことは教えられないので、要素ごとに体系的にまとめて教える授業づくりを行なっています。

プロクラスは基本的に『知識を0から1にしてあげる』ことが目的です。授業を通して「難しいと思っていたけどそれほどでもないな」とか「意外と自分でもできるな」と思ってもらいたいなと。マンツーマンレッスンもあり深く学んでいただくことも可能なのですが、スポット(単発講座)をきっかけづくりに使ってもらえればと考えています。

実際にプロクラスに来てくださっている方に聞くと「自分のお店のホームページを自分で作れるようになりたい」「こんな感じのスマホアプリってどうやって作るんだろう」という方が「自分で一度やってみよう!」という気持ちを持たれたときに来られるようです。

初心者向けの講座を受けたあと「より具体的な作り方を知りたい」「もっと自分の作りたいものに近づけたい」と思った方は、それぞれのニーズに合わせてマンツーマンの授業を受講されます。

ハイクラスエンジニアの課題はコミュニケーション


—『プロクラス キッズ』を開講されたのには、どういう理由があったのでしょうか。

よく指摘されることですが、技術者の課題はコミュニケーションだと思っています。
今までたくさんの技術者と関わり、育ててもきましたが、特に上級の技術者に目立つのが、人と協力的に仕事を進めること・チームで何かを作ることが不得手なケースです。相手のことを考えられて動くのが苦手な場合が多いのです。

持っている技術力も高く、作るのが楽しいので、他の人とコミュニケーションする必要を感じないのかもしれませんが……。

コミュニケーションを取らず、独断で進めるスタイルが許される場所もあるとは思うのですが、実際の開発現場ではトラブルの種になりやすいのが事実です。ソフトウェアを作る場合、コミュニケーション力は技術力と同じくらい大切になってくるんです。

チーム内のメンバーとの協力的な姿勢はもちろん、操作する人・遊んでくれるプレイヤーとの対話を行いながら開発していかなければいけません。

子どものうちから「プログラムを組む」というロジカルシンキング(論理的思考力)とともに「使う人とコミュニケーションをとる」認識を持ってもらい、練習をしておいたほうがいいんじゃないかな、と。


—最近は、『子どものなりたい職業『としてクリエイター系が上位にランクインしていますよね。

将来何になりたいか、と考えるのってとても重要ですよね。
「職業にしていくってどういうことなんだろう?」とか、「エンジニアって言ってもいろいろな種類があるんだなあ」とか。

僕はゲーム開発だけではなく、基幹システムと言われるような開発にも携わってきました。例えば新幹線のチケット発券システムの開発にも関わったことがありますが、そうしたシステムエンジニアと、ゲーム開発者では必要なスキルが全然違うんです。同じプログラマーと思われていますが、僕はシステムプログラマーからゲームプログラマーに転職したんですよ。

何になりたいかを考え、そのために何を学べばいいかを把握する。
その考え方に関しては、大人と子どもで差を設ける必要もないのかなあと考えています。

教室の床はふわふわとしたフローリングマット。授業で使用するものは「楽しく学べる」ように工夫されているとのこと。
ブラインドタッチ(キーボードを見ずにタイピング)を習得させるため、全生徒がタイピングをする時間がある。ローマ字の表を貼って、誰でもできるようにしているそう。

子どもにとって重要なのは「楽しいか、楽しくないか」


—開講コースや、生徒さんの学年について教えていただけますか。

学年は分散しています。比較的多いのが小学校2年生〜4年生の子供たちです。
幼稚園の年長から高校生までが通ってくれています。男女比については、男の子の方が少し多いですが、3分の1は女の子ですね。


開講しているのは、Unityマインクラフトレゴ®️WeDoScratchロボットコースです。
特に人気なのは、Unity(中高生向け)マインクラフトのコースです。

子どもってはっきりしていて、教材の効果が出るかどうかは「わくわくするかどうか」の一点なんですね。他にあるとしたら「友達と一緒にできるか」くらいかもしれません。
あとは、カリキュラム制作の観点から「教材によって広がりが持てるかどうか」を重視して選んでいます。

ですから、いい意味で教材に対するこだわりはありません。
というと語弊があるかもしれませんが、子どもがわくわくしてくれて、楽しく取り組めるカリキュラム作りが可能かどうか?が一番、という考え方です。今後も必要に応じて新しい教材を取り入れていくつもりです。




—小学生にはマインクラフトコースが人気とのことですが、どのようなカリキュラムで教えていらっしゃるのですか。

マインクラフトの世界は3D空間ですので、立体的に考えないといけないのが面白いところですね。
立体の空間認識が苦手な子ども達には、普段考えないX軸・Y軸・Z軸(三次元空間)の概念が教えられますので、とても刺激的だと思います。

授業ではロボット(タートル)に命令を与えて建築物を作るのですが、ブロックを積むとき、重力の概念がないためブロックを空中に置くことができます。実際のロボットを使った学習とは違うカリキュラムが作れ、学習の幅が広がって楽しく勉強できます。

マインクラフトの世界は本当に自由なので、建築物を作るのはもちろん、レッドストーンという論理演算式(AND、NOT、OR、XORなど)を使って電極の仕組みも学べるようになっています。

子ども達は本当に熱中してくれて、休憩の時間にもタートルにプログラムで命令を与えて、陣地を取るゲームをしたり、みんなで公園を作ったりしています。

ひとつの課題ができたらもう少し高度なことをしてもらい、「今度はこれできる?」とクイズをするような要領でどんどんクリアしてもらいます。やった→できたの連続を与え続けることで、モチベーションを保ちながら成長を感じてもらうのです。


Education Editionのエディタ*1には視覚的なもの(ブロック式のビジュアルエディタ)と、本格的なコードエディタの2種類があって、先に進んでいく子どもたちにはコードエディタで本格的なLuaプログラムを書いてもらいます。

※1)プログラミングコードを書くためのソフト(画像を参照)

子どもの感覚からしても、コードエディタで書けるほうがカッコいいんですよ(笑)。そういう子には本格的なものを与えた方が燃えるし、実際にバリバリとプログラムを組んでくれます。

視覚的でとっつきやすい「ブロックエディタ」

本格的な「コードエディタ」

—カッコいいから、燃えるから、というのも立派なモチベーションですよね。他にも、教え方の工夫はありますか?

とにかく褒めてあげることですね。できたことを一緒に喜んであげることが大切です。「やったね!」「すごい!」って。

あとは、子どもは「よーい、どん!」って競争するのが好きなんです。ブロックの積み方にしても、誰が一番効率的に積めるかな?と競わせることで遊びに変わるというのはあるかもしれないですね。

モチベーションに関していうと『フロー理論』というものがあります。知識と技術を軸にとったとき、『知識は多いのに問題がカンタン』な状態は退屈です。一方で『知識が少ないのに問題が難しすぎる』のもつまらない。



持っている知識と問題の難易度がちょうどいいバランスを保っていると、気持ちいいと感じるんです。
プロクラス キッズのカリキュラムはそれを意識していて「問題が楽しい、挑戦してみよう」と思えるように工夫しています。

実際、プロクラス キッズの授業は120分と長めなのですが、子ども達はかなり集中して取り組んでくれています。

「もうちょっとでできそうだ」
「これならできるな」

と思ってくれると、自ら進んでやってくれるんです。「頑張ればできる」と分かっていると、楽しいからなんですね。中には、やりたいことを家でびっしりメモしてきてくれる子もいます。

—マインクラフトが教材として使われることも多くなってきましたが、やはり教育効果は高いのでしょうか。

個人的な意見を言うと、マインクラフトの世界では、欲しい素材を手に入れるためには自分で作らないといけない構造になっています。

素材と素材を組み合わせないと新たな素材が手に入らない。
例えば土を掘りたい場合、手でも掘れるけど、スコップを作った方が効率がいい。だから、スコップを手に入れるためにはどうすればいいか考えるようになる。

ゲーム開始直後は原始的な行動しか取れないのですが、子どもにとってはストレスが溜まるんでしょうね。
「早くなんとかしよう」と考えて、論理的に便利に改善していく。その仕組みが全て揃っているんです。その辺りが教育にいいんですかね。

僕はこのゲームは、不便なマイクラの世界と便利な現実の世界とのギャップを埋めるゲームだと思います。

「ギャップを埋める」という意味では実はプログラムも同じなんです。

人間は見たり聞いたり触ったりして沢山の情報を一気に処理し、アウトプットできる能力を持っていますが、コンピュータはその真逆で、情報を一つ一つしか処理できないですし、一つ一つしか覚えておくこともできません。

コンピュータは人間とのギャップが大きい存在です。

ブロックを積み上げる手順にしても、プログラムを組むには必ず数字が関係します。たとえば、アイテムは1スロットにつき64個しか持てないので、ピラミッド型のものを作ろうとすると7段目で足りなくなるんです。

アイテムが足りなくなると、せっかくプログラムを書いても処理が止まってしまいます。
じゃあ、アイテムは何個用意すればいいんだろう? などと考えるには、計算が必須になってくるんです。

「常に先回りして、計算して考える」ので、授業後の子どもたちはスポーツをした後のようにとても爽やかに疲れています(笑)。

TAITOともコラボレーション。ゲームの力で楽しく学ぶ!


—「プロクラス キッズ」は、TAITOさん(「スペースインベーダー」等、有名ゲームの開発会社)とのコラボレーション講座も開講されていますね。いろいろなところで、ゲーム開発の経験が生かされているように感じました。

TAITOさんとのコラボレーションは、「インベーダーを子供達に教えませんか?」と持ち込んだ企画でした。ちょうど『スペースインベーダー』が40周年のタイミングでもありました。

親御さんの世代にも馴染みが深いキャラクターと、僕たちの教育経験が合わされば何かできるはず! という企画ですね。
今の子ども達にとっても、あるゲームの構造や作り方を優しく学べる教材としてとてもバランスがいいんです。

人間って、興味のあることしかできないと思うんですよ。
子どもってゲームが大好きだから、ゲームを軸に置くことによって、効果的に学んでもらえるんじゃないかと。

ゲーム開発って、プログラムの知識だけじゃなくて、本当に色々な技術が必要なんです。
繰り返しになりますが、お客さんが気持ちよく遊べるように、操作をデザインしたりとか。ゲーム自体の仕掛けを考えていると、想像力も鍛えられます。

『ゲーム』を軸に据えることによって、発想力の引き出しが増やせますし、そのあたりの能力が育てられたら、と思います。


スペースインベーダーを作る3時間の授業

—ありがとうございました。


プロクラスキッズ(小学生・中学生・高校生のためのプログラミング教室)
http://proclass.jp/kids/
プロクラスキッズは好きなゲームやロボットを題材にした楽しいアプローチで、論理的思考、規則性発見、データ整理と分析、集中力と思考力の醸成、問題解決力、議論によるコミュニケーション力の育成をしています。京都烏丸で教室を開校しています。
フランチャイズ加盟店募集中。詳しくはお問い合わせください。

TAITO×PROCLASS プロつく(小学生・中学生向けプログラミングスクール)
https://proclass.jp/kids/taito_kids/
プロつくは、株式会社タイトーとプロクラスがコラボした小学生・中学生向けのプログラミング教室です。東京で教室を開校しています。



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この記事を書いた人


夏野かおる

博士課程の大学院生をしています。研究者としての専門は理論言語学、ライターとしての専門は教育です。休みの日は知育菓子を作ったり、ちりめんじゃこから変な生物を探したりしています。(エビのゾエア幼生など)

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