そのスクールとは、キッズ・プログラミング教室 KIDSPRO(キッズプロ)。
現在は日暮里校のみと小規模なスクール展開ですが、中には埼玉や千葉から1時間以上かけて通う生徒さんもいるそう。
大会実績もそうそうたるもので、
・第6回デジタルえほんアワード……グランプリ受賞、入選
・PCNこどもプログラミングコンテスト2018…… PCN特別賞、佳作
・第1回北区こどもプログラミングコンテスト……審査員賞
などなど、輝かしい結果を残されています。
子ども達が自由に伸びる環境の秘訣は、一体どこにあるのでしょうか?
おおらかでアットホームな授業風景を取材しました。

とにかく生徒さん達が生き生きとしているKIDSPRO。女の子の生徒も比較的多いそう

KIDSPROのオリジナルテキスト。カリキュラムはScratchが中心

教室は繊維街のすぐ隣にある。なんだかほっとする雰囲気だ
第一印象は……「子ども達が楽しそう!」
教室に入ってはじめに感じたのが「子ども達が生き生きしている!」こと。決まった席はなく、パソコンやタブレット、レゴ®︎WeDo 2.0のパーツが置かれた机を自由に移動しながら興味がおもむくままに制作に取り組んでいます。

もくもくと取り組む子もいれば、パソコンとロボットを行き来する子も。学び方は子どもしだいだ
カリキュラムの中心はScratchを使ったオリジナルテキストですが、先生の方から進むスピードを指示することはないそう。
「大人があれこれ指示すると、生徒の好奇心をつぶしてしまう」という考えで、授業では「一歩引く」を意識されているそうです。

KIDSPROオリジナルテキスト。楽しい雰囲気のデザインだ

「このテクニックを応用すると、こんなゲームもできる」が細やかに解説されている

こちらのお子さんはレゴ®︎BOOSTの組み立てにチャレンジ

レゴ®︎BOOST、WeDo 2.0はタブレットに表示される説明書を見ながら組み立てていく

子ども達が詰まったら、すかさず岡田さんがサポート。「一歩引く」ことで子どもが自分で考える力を養う
いろいろな教材を追加料金なしで学べる
子どもの興味を中心に据えているため、それぞれが取り組む課題はバラバラです。教室内にはレゴ®︎WeDo 2.0やmicro:bit(マイクロビット)など多種多様な教材があり、どれを使ってもいいそう。
パソコンを使う場合も、ScratchだけでなくVISCUIT(ビスケット)で学んでもOK。どの教材を使っても追加料金はかかりません。

レゴ®︎BOOST。ギターに変形することもできる

ちっちゃいけれど本格派なmicro:bit(マイクロビット)

教室にはなんとPepperくんも!
Scratchをベースにした「Robo Blocks」でプログラミングできるそう
保護者の方曰く、お子さんの「やりたい!」を大切にする姿勢がKIDSPROの魅力なのだとか。
授業のない日でも1時間300円で自習室が利用できる上、イベントやコンテスト前の数週間は無料で開放されているそうです。
もちろん、自習の場合でもすべての教材が使い放題。とてもおおらかで居心地のよい教室です。

教室には遊び心をくすぐるアイテムがいっぱい

机の間にはモンキーロボットが!
レゴ®︎WeDo 2.0で作られているので、同じものを子どもが作れる

天井に穴が!?
いえいえ、ステッカーなんです。
自然にコミュニケーションが生まれる授業
こちらの生徒さんはレゴ®︎WeDo 2.0の制作に取り組んでおられる模様。センサーを使い、目の前で物体を見つけるとパクッ!とくわえるロボットを完成させました。
お子さんの手をパクッ。「飼い犬に手をかまれる」?

ライターの作ったお花もパクッ!
お花をくわえるロボット、粋ですね〜
一方、こちらの生徒さんはVISCUIT(ビスケット)がお気に入りだそう。「1回の授業で3つくらい作品をつくる」場合もあるとか。
取材するライターに、工夫した点や操作方法を丁寧に紹介してくださいました。プレゼン練習!と意気込まなくとも、自分の作品はすすんで話したくなるものですよね。


こちらのお子さんは迎えに来られたお母様、おばあ様にレゴ®︎BOOSTの使い方を伝授。「こんなの作ったの!?」とご家族もびっくりです。


子ども達はそれぞれ取り組んでいる内容が違います。だからこそ、自分の選んだ教材については強いやる気と思い入れを抱くのでしょう。
子ども同士で「それ何?」と話すシーンもあり、コミュニケーション能力を伸ばしたい!と考える方にはぴったりのスクールだと感じました。

面白いものを作っていると、他の子達がどんどん集まる
生徒作品を動画でチェック!
KIDSPROの生徒作品はYouTubeで公開されています。(KIDSPRO公式チャンネル)
その中から作品動画をいくつかピックアップしました。写真だけでは伝わらない力作をぜひご覧ください。
Scratch作品
今回、取材した授業ではレゴに取り組むお子さんが多かったのですが、KIDSPROのカリキュラムはScratchが中心。生徒さん達の力作はこちらです。
戦車 VS 戦車 バトルゲーム!
アイテム集めゲーム
おとぴょんのごはん
VISCUIT作品
こちらはVISCUITの作品。VUISCUITの使い方も解説されており、雰囲気がつかみやすい動画です。レゴ®︎WeDo 2.0 オリジナル作品
こちらの作品はインストラクション(説明書)通りに作ったものではなく、生徒さんオリジナルのアレンジが加えられたものだそう。プロペラまで回るヘリコプターが作れるなんて、本格的ですね。Kids Maker Festivalイベントレポート動画
レノボジャパン×NPO法人みんなのコード主催「Kids Maker Festival」参加のレポート動画。子ども達が作品を見せ合うイベントで、コンテスト等で優劣を決めるのではなく、プログラミングが好きな友達を増やすのが目的だそうです。競い合うのも楽しいですが、こうした仲間づくりのイベントも魅力的ですね。
臨場感のある編集で、子ども達の楽しそうな様子が伝わってきます。
代表取締役/講師 岡田さんインタビュー
最後に、運営元であるキッズ・プログラミング株式会社 代表取締役であり、KIDSPRO講師も務められる岡田さんにお話を伺いました。
キッズ・プログラミング株式会社 代表取締役/講師 岡田 哲郎さん
—今日はとても楽しい授業でしたね。さっそくですが、岡田さんがKIDSPROを開校された経緯を教えてください。
私は大学院でプログラミングやニューラルネットワークを学び、社会人になってからは携帯電話のネットワーク(インフラ)構築に関する仕事をしておりました。
そんな私がプログラミング教室をオープンしたのは、自分の子どもにプログラミングを習わせたいと思ったのがきっかけです。
当時はプログラミング教室がほとんどなく、それなら自分でやってみようかなと。いろいろと準備をし、2年前にKIDSPROを開校しました。

—なるほど。子どもに教えるコツは何でしょうか?
「一歩引く」もそうですし、子どもが間違った操作をしていても横から止めないようにしています。
途中でやめさせるのではなく、結果が出てから「どうして間違ったんだろう?」と一緒に考えるんです。

—KIDSPROの授業はかなり自由でしたね。中にはしつけ重視のスクールもありますが、自由なスタイルにされている理由を教えてください。
子どもが習い事に通うのは、将来幸せになるためですよね。
「勉強なんだから、ちょっとくらいつらい思いをしなきゃ」という意見もありますが、幸せになるための勉強でつらい思いをするのはなんだかおかしいと思うんです。
楽しみながら学んだほうが学習意欲が高まるし、吸収も速いんですよ。

—確かに、子どもの笑顔が心に残るスクールだと感じました。
では最後に、プログラミング教室を探している読者へのメッセージをお願いいたします。
KIDSPROのカリキュラムは「子ども達が興味を持てる」を第一にしています。
教室ではプロの臨床心理士による子育て相談、怒りの感情をコントロールする方法を学ぶ「アンガーマネジメント」講座も開催しています。
プログラミングの技術だけでなく、子育てをトータルにサポートできる教室でありたいと考えておりますので、ぜひ一度、足をお運びください。
—ありがとうございました。

教室が遠い方は……本でチャレンジ!
岡田さんは『スクラッチ3.0でゲームを作ろう! 小学1年生からのプログラミング教室』という書籍も発表されています。先生と対話しつつ9種類のゲームを完成させていく本で、まったくの初心者からプログラミングに取り組めます。


会話形式で楽しく学べるのが魅力
教室が遠い方や、まずは家で触ってみようかな?という方はぜひこの本でScratchに触れてみてくださいね。