新型コロナウイルスと共に過ぎていく日々もあっという間に1年を越えました。子どもの生活も、じっと身を潜めるように自宅にいた頃とはまた少し違った状態になっています。今回の教育トピックは「子どもの遊び・子どもの遊び場」がテーマです。主に小学生を中心として、子どもの外出を許可しているのか?公園はOKなのか?親子で楽しんでる遊びは?たくさんのご家庭をヒアリングし、さまざまな回答を頂きました。
コロナ禍における子どもの遊び場・遊び方について、参考になることもあるかと思います。ぜひご覧ください。
小中学生の7割がコロナ禍で「外遊びが減った」
まず、実際に新型コロナウイルスが流行し、どれだけ子どもの生活が変わったかを調査結果で見てみましょう。引用:「新型コロナウイルスによって変化した子どもの生活実態」に関する調査/近視予防フォーラム
コロナが流行る1年前と比べて、小中学生の9割、つまりほとんどがですが「自宅で過ごす時間が増え」、自宅で過ごすしかない中でスマホを見る、動画を観る、ゲームをする時間が大幅に増えています。
そして約7割の子ども達が外遊びの時間が減ったと回答しています。
さて、実際に皆さんの家庭ではどうでしょう。小学生のお子さんがいる家庭にコロナ禍における「子どもの遊び場・遊び方」について聞いてみました。
コロナ禍の「子どもの遊び場・わが家ルール」を教えて
制限はしていません。誘われたら公園にも行っているし、友だちの家にも行かせています。ただ、うちから家に遊びにきてねと誘うことはないですね。共働きで親が不在ですから、基本的に自宅に友だちを呼ぶのは禁止にしていました。今はリモートで在宅はしていますが、このルールは変えていません(Kさん/子ども・小4)
外遊びならひとまずOKとしています。友達の家に行くこと、わが家に呼ぶことは感染リスクを考え今のところはまだ許していません(Uさん/子ども・小3)
毎回、子どもから出かける先、誰と一緒か、人数は、大人はといったことを確認してから総合的に判断しています。小学生の下の子は、だいたい公園なのでOK。上の子は中2ですがディズニーランドへ行く計画で盛り上がってましたが、それはダメという家、人数制限しているし、それくらいいいのでは?という家もありで、最後まで悩みましたが、やはり緊急事態宣言も出ているのでウチも断るように言いました。
でもその後、ディズニー行く組のグループLINEができあがり、そこに入れなかった子はなんとなく「つまはじき」な感じがあるようで、子どもの落ち込みが激しく、ウチはそこまで厳しく制限はせずにきたのだから、行かせてやってもよかったのかな、とか、私もモンモンとしてしまいました。難しい……(Tさん/子ども・小4と中2)
「コロナと子どもの遊び方」家庭による考えの違いが難しい
わが家では家にひとりなら呼んでもいい、ただし手洗いし、マスクしたまま、寒くても換気しながら、ゲームを2時間くらいで解散、としています。でも、これはウチの考え方だから、子どもが誘ったら相手のお宅に電話して、なにげなく様子を伺いつつ、相手が微妙に困っているようなら、サッと「もっと落ち着いたら、また誘いますね!」と明るく切り上げてます。相手の家の考えがわからない状態だと探るようなことをしなくてはならず、気を遣うので大変です(Mさん/子ども・小2)
バスケの日は娘もとても楽しみにしていました。ただ体育館ということ、接触が多いスポーツなのでしばらくウチはお休み(チームも自由参加となっていたので)に。最初は「Mちゃんは行っているのに」と文句を言われたのですが、今度は「Bちゃんも親にダメって言われたって。コロナにかかったらどうするんだって。だからMちゃんとも学校であまり話さない方がいいって言われたよ、話さないほうがいい?」と子どもが言ってきたんです。
うちの考えはこうだと説明した上で、それぞれのオウチで考え方も違うことまで子どもに理解させるのは難しく、なんで、どうして?の応酬に最後は「とにかくコロナが流行っているうちはいろいろ我慢!みんな我慢!」なんて叫んでしまいました……(Rさん/子ども・小5)
子どもは平気よ、と家に遊びに来させてと誘ってくれるけど子どもはかかっても平気かもしれないが、私たちにうつったら困る、近くに頼れる身内もいないし、誰が子ども(下に2歳の子がいます)たちの面倒を見るのか?可能性がある状況では、やっぱり無理。察してそれ以上誘ってこないウチならいいのですが、平気で何度も連絡してきたり、気にしすぎじゃない?などと言われると正直イラっとする(Fさん/子ども・2歳と小3)
2度目の緊急事態宣言では休校はしていないが、違う学年で濃厚接触者が出たと学校から連絡がきました。すると子どもが仲良くしているママからLINEがきて、感染が怖いからしばらく休ませるとのこと。それは各家庭の考えだからいいのですが、学校に2週間休校すべきだと言うつもりだ、あなたも一緒に、と言われて困りました。
学校は消毒した、保健所の指導どおりにしていると言っているので、うちは通学させてます。ましてや学校に休校の要請をするなんて。遠回しに断ったら、同じ考えのママたちと「あそこの家はちゃんと感染対策とかしてないから」みたいに言われて唖然(Eさん/子ども・小6)
子どもの遊び場も他人の目・他人の立場を考えなくてはならない
広いベランダでテントはったり、ピクニック気分でお弁当を食べたりしていたけど思っている以上に子どもの声は響くようです。数日して管理会社から苦情が入っているのでお控え下さいと丁寧に注意されました。心が狭い人がいるんだな!と妹に愚痴っていたら、「子どもの声って親にとっては普通でも、ひとり暮らしとかで聞こえてくるとホントうるさいなぁって思うことあるよ」とボソリと言われてハッとしました(Aさん/子ども・4歳と小1、小5)
家の前は私道でほとんど車が通らないので、ベランダから時々見守りながら、子どもは友達ふたりとバドミントンをしていた。翌日、前の家の方から「声がうるさいし、こういう時期に子ども同士で外で遊ばせるのはどうか」と言われた。公園でも他のママが知らない人に注意されたと聞いて怖くなり、子どもをのびのび遊ばせられるのは学校の校庭開放(人数制限のため月に2回しか回ってこない)しかない状態。児童館は開館しているがかなり「密」な状況、行くとこないです……(Wさん/子ども・小3)子どもと関わりのない生活をしている人も大勢います。中には「キツいこと言うな」と思うこともあるでしょうが、社会生活の中では「子どもだからしかたない」では通りづらいことがままあります。
このような状況では、言い争いをしても互いに良いことがありません。極端なクレームをつけられたら、きちんと反論すべきですが、誰もがコロナ禍にうんざりしている中では、ある程度はしかたないと受け止めることも必要なのかもしれません。
子どもの遊び「室内」「遊び場」小学生が楽しめる工夫
緊急事態宣言が出ている地域ですので、平日は下校後は基本的に家で過ごしています。土日のどちらかは天気が良ければ、家族でサイクリング。娘は下校後に「今度はここに行きたい」と地図でルートを作って楽しんでます(Kさん/子ども・小3)
80代後半の義母と同居しているため、とにかく子どもにも学校以外は家にいるように言っています。家にあるボードゲームは飽きてしまったところに、夫が将棋を購入。息子と最初はくずし将棋やはさみ将棋で盛り上がっていましたが、最近は普通に将棋を教えています。将棋は面白いみたいで本を買ってあげたら、ひとりでもやってます。少しだけですがゲームやる時間が減りました(Nさん/子ども・小4)他にも、コロナ禍において「どんな遊び」をしているか紹介しましょう。
手芸、子どもと一緒に簡単なきんちゃく袋を作りアップリケも手作りしました。次は編み物に挑戦予定。
一家全員でジグソーパズルに挑戦中です!
小6の息子とプラモデルやってます。子どもが寝た後もやっていたら翌日にパパ!ひとりでやらないでよ!と言われた。つい昔を思い出して楽しくて夢中になってしまいました。
カラオケ好きだけど今は無理なので家族でドライブしながら曲をかけて歌ってます!けっこう気分転換になります
あやとりやビー玉、おはじき。兄妹でゲーム考えたり工作したり意外と長く遊んでる。アナログ感覚が今の子には新鮮なのかも
自分が子ども時代にドハマリしたルービックキューブ、2つ買って親子で競争してます!
週末の早朝に親子でジョギング、戻ったら息子とふたりで朝食を作りママを起こす。料理も遊び感覚でウチの子は喜びますね。共働きだけど平日あまり手伝えないので、ママを休ませてあげようという思いもあるんだけど、ママ気づいてるかなぁ。
親もコロナ禍の影響を受け、日々大変です。それでも、毎日ではなくても、時々は親子の時間を作り、遊びの空間を手作りしてみませんか。Nさんみたいに、子どもと遊びながらママを休ませてあげる一石二鳥もありですよね!
サイクリングも出ていましたが、親子で散策やジョギング、ぐるりとドライブするだけでも「新しい遊び場」ができます。今回ご紹介したような遊びを試してみてはいかがでしょうか。
子どもの成長・発達と遊びの重要性
子どもたちが大きく成長していくためには、学びと共に遊びもとても大切です。遊びは子ども達の発達や成長に次のような影響があります。1:運動発達を助ける幼児期から小学校時代は特に友だちと遊ぶなかで、さまざまな経験をし、社会性を身に付けていきます。遊びは子どもの成長に欠かせないものなんですね。
2:感覚・知覚器官の感受性を高める
3:知的能力の発達を助ける
4:社会性の発達を助ける
5:こころを癒やすはたらき
出典:子どもの発育発達に及ぼす公園の利用に関する研究/一般社団法人日本公園施設業協会
子どもの遊びに必要な「空間・時間・仲間」
子どもの遊び場について調べているうちに、面白い言葉を見つけました。「サンマの喪失」です。皆さんはご存知でしたか?子どもの遊びに必要な「空間・時間・仲間」、3つの間が減少していることを〝サンマ=三間の喪失〟あるいは〝三間がない〟と呼ぶみたいなんですよ。定かではありませんが1980年前後にはすでに使われていたようです。わたしはまったく知りませんでした。
でも、この言葉が持つ意味はとても深くありませんか。子どもにとって「遊ぶ(遊べる)場所=空間」「遊ぶ(遊べる)時間」「一緒に遊ぶ(遊べる)仲間」すべてとても大切なものばかりです。それらがコロナの影響だけではなく、さまざまな要因で減っていることにもう少し関心を持ったほうがよいようにも感じます。
参考:小学生の日常生活に関する調査/学研教育総合研究所
コレクティブ・ウェルビーイングは「ある目的のもとに、ありたい姿を持つ多様な個人がつながりあった持続可能なチームの状態」と定義しています。ビジネス上の提言ですが、学校というワンチームにも通じるものがありそうです。
ここに「三間+余白」が必要だと書いてあるのです。持続的な企業のチームを作るには、「仲間」「時間」「空間」の設計と、それぞれに「余白」を作ることが大切としています。
なるほど、と思いました。
子ども時代に三間を通した経験が減っていったら、子ども達が社会を支える年齢になったときに、どうなるのでしょう。
遊びの時間、遊びの場、遊ぶ仲間がどんどん減っていくことで、子ども達は将来に向けて何か大切なものを、手のひらから砂がこぼれおちていくように、少しずつ失っているような、かすかな不安を覚えます。
友だちと同じ場所で一緒に遊ぶ時間を通じて得る経験は大きいはずです。これからの時代に三間と余白が必要だとするならば、よけいに、子ども時代の「サンマを喪失」させてはいけないと思うのです。
参考:ニューノーマル時代に向けて、コレクティブ・ウェルビーイングを考えよう/Rakuten公式サイト
「よく学びよく遊べ!」
よく学び よく遊べ。皆さんも一度は聞いたことがありますよね。この言葉は、学びと遊びが一緒に並んでいるところに大きな意味があります。学びだけでも、遊びだけでもいけない、よく学んでよく遊ぶことが子どもの成長には欠かせません。
ワクチンなどにより、いずれはコロナ禍も落ち着くでしょう。しかし、コロナ禍を経験したことで、私たちはこれからの生活や働き方を見直すきっかけとなりました。子どもの遊び場、子どもが遊ぶ時間、子どもが遊べる場所、サンマを私たち親はもちろん、社会全体が増やそうと知恵をしぼっていきたいですね。
最初の緊急事態宣言の時とは違う雰囲気があり、どこまでOKでどこからはダメなのか、大人でも判断に悩みますね。