3歳~3歳半の子どもはどれくらい言葉を話す?
国立成育医療研究センターが作成した「乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」では、この3歳児健診における言語発達について、下記の4つを診察項目としています。1. 子どもに名前と年齢を尋ねて答えさせる
2. 今日は誰と一緒に来たのかを尋ねて答えさせる
3. 家庭での様子(遊びや食事で好きなものなど)あるいは保育所での様子を尋ねて答えさせる
4. 6つの絵(ねこ、りんごなど身近なもの)を見せて、その名前を答えさせる
自分の名前と年齢が答えられ、2語文が話せれば問題ありません。そのほか、質問に対して答えることができ、絵の呼称の正答数が4つ以上であることが目安となっています。
また、保育専門求人サイトの「保育パートナーズ」に掲載された保育士の経験を持つ佐藤愛美さんの記事「言葉の発達段階の目安」によれば、子どもの言葉の発達は2歳~2歳6か月ごろに「3語文」、2歳6か月~3歳ごろに「模倣」、3歳~4歳ごろに「複文」へとステップアップしていくとのこと。
大人とのコミュニケーションも取りやすくなり、「これ、なあに?」など、たくさん質問してくるようになるので、ていねいに答えてあげましょう。
3語文が話せる子どもも増える
3語文とは、「主語+目的語+述語」など3語以上の組み合わせで作られた文のこと。たけつな小児科クリニック院長の竹綱庸仁先生が監修する「kosodate LIFE」の記事によれば、3歳になると、「パパ、おうちに、帰ってきたよ」など接続語はないものの、ある程度の文の形態が保たれている状態で3語文を話せる子どもが多くなるといいます。一方で、言語聴覚士の寺田奈々先生は「たまひよ」の記事の中では、3語文を話し始めても、2語文に戻ったり、2語文と3語文が混ざったりするなど、行きつ戻りつを繰り返しながら子どもの言葉は発達していくともいわれています。
3歳~3歳半の子どもに親がすぐできる「言葉の教え方」
子どもの言葉の発達は個人差が大きいため、目安より発達が遅くてもそれほど心配する必要はありませんが、言葉の発達には親の係わり方がとても重要です。親の行動次第で子どもの語彙力は大きく伸びる可能性があります。子どもにもっとたくさんの言葉を話してほしいと思ったときには、これから紹介する「言葉の教え方」が役に立つかもしれません。「意味のある語りかけ」を増やす
2歳の子どもは、遊びや生活を通じて、会話の中で自然と言葉を身につけていきます。ポイントは、向き合って話すこと。2013年に公開されたシカゴ大学の研究では、2歳6カ月時の「子どもに向けて発せられた言葉」が、3歳6カ月時の子どもの語彙数に影響しているという結果が示されました。しかし、「子どもの周囲で話された言葉の数」に有意性は見られず、子どもに向かって語りかけることの重要性が強調されています。
日常生活の中で自然に言葉に触れさせる
言葉の発達には、語彙を増やすことが大切です。前出の寺田奈々先生によれば、3歳ごろの語彙の目安となるのは1000語。下記のようなポイントを踏まえて、日常生活の中で自然と言葉に触れさせることがおすすめとされています。
・2語文話せる子には、3語文で返事をする
・「長い」「短い」といった形容詞や、「見る」「聞く」といった動詞を会話に取り入れる
・パンを見ながら「パンだよ」と話しかけるなど、物と言葉を結びつける
・新しい言葉は、自然な発音で教える
街中にある看板を指さして「〇〇と書いてあるね」と話しかけたり、テレビを見ながら出てくる言葉や字幕を利用するのも良いかもしれません。
ただし、新しい言葉を無理に教えたり、一度にたくさんの話しかけをし過ぎてしまうと、かえって逆効果になってしまうこともあるようです。親子で楽しく会話をしながら、少しずつ語彙数を増やしていきましょう。
言葉を使った遊びをする
子どもの言葉は、遊びの中で獲得され、豊かになっていくといわれています。東京大学名誉教授の秋田喜代美先生は著書「保育内容 言葉」の中で、「幼稚園における遊びとは、子どもが能動性を発揮でき、主体的に取り組むことのできる活動であり、その遊びが運動機能や知的機能、言葉の獲得を発達させる」と書いています。うるま市立天願幼稚園の国吉貴子先生の研究「幼児期に言葉の感覚を豊かにするための援助のあり方」では、幼児の言葉の感覚を豊かにするためには、生活の中で言葉の楽しさや美しさ、おもしろさに気づかせ、伝え合う喜びを味わわせることが重要とされています。
そこでおすすめなのが、しりとりや早口言葉、反対言葉、なぞなぞ遊びといった「言葉遊び」。子どもが言葉に興味・関心を持ち、言葉の意味を理解したり、語彙の増加が期待できます。
「トマト」のように、上から読んでも下から読んでも同じ音になる「回文」を探してみるのも楽しいでしょう。いろいろな言葉遊びで楽しみながら、言葉の発達を促しましょう。
参考:幼児教育おすすめ
3歳~3歳半の子どもの「言葉が出てくるのが遅い」時の対処法
言葉の発達は子ども一人ひとりで大きな差があるため、言葉の発達が遅くても、必ずしも何か原因があるわけではありません。しかし、周りの子どもや発達の目安と比べて遅れていると、不安になります。ここでは、言葉の発達のサポートに力を入れたいときに試せる方法をまとめました。
体を動かす遊びで脳を刺激する
言葉遊びは子どもの言葉の発達に有効ですが、子どもが1~2歳のうちはじっと座っていられませんし、3~4歳になっても集中が続かない子どももいます。りょうキッズクリニック院長の梁尚弘先生監修の「マイナビ子育て」の記事では、楽しく遊びながら言葉を促す方法を紹介しています。それは、追いかけっこ、お馬さんごっこ、いないいないばあ、手遊び歌など、親子で楽しく笑い合いながらできる体を使った楽しい遊びです。これを1日5回程度繰り返すと良いとか。体を動かすと、脳と体の結びつきが強くなり、言葉の発達も促されるといわれています。
なお、順天堂大学特任教授の須藤路子先生らの研究でも、双方向のコミュニケーションと幼児の主体性を重視するコーディネーション運動は、言語能力の発達と粗大運動の上達に顕著に影響を及ぼすと示されており、幼児期の運動が言語能力の発達に良い影響を与えるといえる結果が示されています。
環境を変えてみる
子どもの言葉の発達が遅い場合、環境が原因である可能性もあります。「kosodate LIFE(子育てライフ)」に掲載された、たけつな小児科クリニック院長の竹綱庸仁先生監修の記事によれば、1歳前後から保育園などの集団生活を送っている子どもは、就園していない子どもよりも言葉や運動の発達が早い傾向にあります。
家族や先生からの指示は理解していて、言葉としての反応ができないだけであれば、環境の変化で言葉が出てくることが多いようです。子どもを、同じ年齢の集団に入れて、周りの子どものやっていることを真似できる環境を作ると、言葉の発達を伸ばすきっかけになるそうです。3歳から通える習い事教室などを検討するのも方法の一つでしょう。
気になったらかかりつけ医に相談
言語聴覚士の寺田奈々先生は「マイナビ子育て」の記事の中で、言葉の発達が遅い、3歳でお喋りしないというときに、チェックしたい項目として下記の5つを挙げています。1. 耳のきこえ
2. ことばの理解
3. 周囲の人への関心
4. 身の回りの物やおもちゃへの関心
5. 声が出ているか
聴力は言葉の発達にとても重要です。また、日常生活から「ことばの理解」「周囲の人への関心」を確認したり、遊び方などから「身の回りのもの・おもちゃへの関心」も見てみましょう。言葉はまだでも、意思や感情を込めた「声が出ているか」もチェックしておきたいポイントです。
これらのチェック項目を踏まえて、子どもの言葉の発達が気になるようであれば、3歳児健診で詳しく相談できる窓口を紹介してもらったり、小児神経専門医や地元の保健センターに相談して、専門家に診てもらいましょう。
3歳~3歳半の子どもにおすすめの習い事
3歳~3歳半は、心も体も大きく成長し、興味関心も広がっていく時期。言葉の発達を考えたときに、新しい場所で、新しい刺激を与えてくれる「習い事」は、魅力的な選択肢です。楽しく参加でき、言葉の発達にも役立つおすすめの習い事教室を紹介します。参考:3歳習い事
幼児ポピー
幼児ポピーは、株式会社新学社が運営する2~6歳の子どもを対象とした学習サービス。成長過程に合った遊びを通して「もじ・かず・ことば」を楽しく学べます。教材の形式はテキストやカード、ドリル、絵本、デジタルなど、さまざまなバリエーションを用意しています。月額1,425円(税込)というリーズナブルさも話題で、「継続しやすい」「学費の満足度が高い」と保護者の間でも人気のサービスです。
小学校入学に向けて準備を整えておきたいご家庭や、子どもの考える力や生きる力を育みたいご家庭にもおすすめです。
こどもちゃれんじ
こどもちゃれんじは、『幼児の学習法利用者数NO,1』を誇る幼児教材です。
年齢や発達に合わせて、「なぜ?」「どうなる?」と試行錯誤する経験を得られる教材が魅力。考えることを楽しむ姿勢を育みます。
幼児教材は保護者の手助けが必要なケースが多いですが、こどもちゃれんじはエデュトイ・映像・絵本が同じテーマで教材同士が連動しています。
そのため外出先で映像を見たり、寝る前に絵本を読み聞かせるなど、スキマ時間に教材に触れているだけでもいつの間にか身に付く設計になっています。
特に3歳児向けの教材は、「わかった!」と思える学びの楽しさが続くカリキュラムが中心です。
学習を通じて「できた!」の達成感を積み重ねられるため、「3歳の今ならではのやる気」が育まれていくことでしょう。
biima sports
biima(ビーマ)は、早稲田大学の教授陣と共同開発したプログラムにより「基礎運動能力」「非認知能力」「自己肯定力」を科学的に高める21世紀型の総合キッズスポーツスクール。3~9歳までの、まだ専門的にスポーツを始める前の子どもたちを対象に、1年を通じて特定のスポーツ競技に特化しないプログラムを組んでいます。サッカー、野球、バスケット、体操、ダンスなど、複数のスポーツを組み合わせて、最新のスポーツ科学に基づいたプログラムで運動能力を総合的に高めることができるのが特徴。
複数の課題を2、3人のチームで話し合いながら解決する「プロジェクトラーニング型」のレッスン内容もあり、運動能力だけでなく、コミュニケーション力ややり抜く力、チャレンジ力などを養うこともできます。親子で楽しく練習できるよう、専用のYouTubeチャンネルに動画を公開するなど、レッスン以外のサポートが充実しているのも魅力です。
キッズアカデミー
「知能指数=IQ」の向上に注力し、最優秀層といわれるIQ 140の実現を目指す「キッズアカデミー」。3歳~7歳の子どもを対象とし、知能を構成する24の知能因子をバランスよく刺激するプログラムで、自ら考える力ややる気を身につけていきます。
2~3歳はDクラス、3~4歳はTクラスといったように、年齢1歳ごとに5つのコースが用意されており、1レッスン50分で1つの教材にじっくり取り組むのが、キッズアカデミーのスタイル。歌や簡単なことから、子どもの能力ややる気に合わせて少しずつ難易度を上げていきます。
使用する教材は、レッスン終了後に持ち帰り、自宅で引き続き楽しむことも可能。子育て知識のアップデートを目的としたお母さん向けの講義、「マザーリング」も月1回開講しており、保護者が心強いサポートを得られるのも魅力です。
ラボ・パーティ
50年以上の歴史を持つ「ラボ・パーティ」は、いわゆる英会話教室ではなく、世界の物語を英語でじっくり味わう活動を通して、英語で自己表現できるようになることに主眼を置いたスクール。「豊かな母語・生きた英語」に加え、「コミュニケーション力」や「社会力」を育むことを目指しています。「はらぺこあおむし」「かいじゅうたちのいるところ」など、名作絵本の英語版が教材として使われており、付属のCDにはプロのナレーターや俳優陣による英語・日本語両方での朗読、豪華なBGM入り。何度聞いても飽きず、愉快で味わい深い物語の世界にひたることができ、小さな子どもは言葉の面白い響きを聞いているうちに、自然に英語を口ずさむようになります。
絵本で英語に触れた後は、子どもたちで寸劇づくり。絵本の世界を「劇」にして発表することを「テーマ活動」と呼び、定期的に発表会も行なわれています。英語で表現する力に加え、子ども同士でいろいろなアイデアを出し合いながら一つの作品を作り上げるクリエイティブな力、チームワークも育まれるのも特徴です。
3歳の言葉まとめ
言葉がどんどん発達する3歳。3歳児健診もあり、我が子の言葉の発達が遅いと不安になることもありますが、個人差があるため過度に心配する必要はないでしょう。言葉の発達を積極的にサポートしたいと思ったときは、コミュニケーションを取りながら、楽しく言葉に触れていく機会を増やすことをおすすめします。同年齢の子どもと遊んだり、習い事教室に通うのも選択肢のひとつ。
とくに3歳は、知能面でも運動面でも大きな成長を見せ、スポンジのようにさまざまなことを吸収する時期です。