(対談)プログラミング教育 HALLOとプリファードネットワークスが語る、これからのコンピューターサイエンス教育
人気の秘訣は、Scratchのようなブロックプログラミングで学び始めたあと、スムーズにテキストプログラミングへ移行できる教材「Playgram」です。最近ではハイレベルなプログラミングが学べる「アドバンス」モードがさらに充実し、2022年度に新設された高校必須科目「情報Ⅰ」にも対応しているのだとか。
この記事では、プログラミング教育 HALLOの魅力に改めて迫りつつ、プログラミング教材「Playgram」の特長やこれからのコンピューターサイエンスについて、HALLOの事業本部長の鳥海最さん、HALLOで使われている教材Playgramを開発した株式会社Preferred Networks(以下、PFN)の西澤勇輝さん、同じく丸山史郎さんにお話をうかがいました。

左:Preferred Networks丸山さん、中央:Preferred Networks西澤さん、右:HALLO鳥海さん
プログラミング教育 HALLOとは?

プログラミング教育 HALLOは、個別指導塾「スクールIE」などの総合教育サービス事業を展開する、株式会社やる気スイッチグループが運営する子ども向けプログラミング教室です。株式会社Preferred Networksが開発した教材「Playgram」を使い、楽しみながらプログラミングを学べることで注目を集めています。
教材には、ゲーム感覚でプログラミングを学べる「ミッションモード」、自由にプログラミングを楽しみながらワールドを作れる「クリエイトモード」、AIやデータサイエンス、アルゴリズム、セキュリティなどハイレベルな内容が学べる「アドバンスモード」があり、入り口から本格的な技術までをシームレスに学ぶことが可能。
ハイレベルな内容だけでなく、パソコンに触れたことのない幼稚園児からでも楽しく通うことができます。さらには、月間100万人が利用しているタイピング練習アプリ「Playgram Typing」もあります。
今回、コエテコでは、昨年(2020年)11月に開校したプログラミング教育 HALLO powered by Playgram x やる気スイッチ™️三鷹校を取材!現場ではなんと、小3にして英語を流暢に読み上げながら、Pythonのコーディングにチャレンジするお子さんを目の当たりに。授業のようすを、写真を交えて詳しくお伝えします!
2024/11/06 10:16
(取材)中学生からのプログラミング学習にもぴったり、高度なレッスン内容をレポート
2024/11/06 10:16
「プログラミング教育HALLO」は年長〜中学生まで通えるプログラミングスクールです。ゲーム感覚で楽しく学び実用レベルのコーディングまで身につけられる教材「Playgram」を使用。今回は「プログラミング教育HALLO(ハロー)」に通うお子さまと保護者の方にお話を伺いました。
2024/11/06 10:16
変わりゆくIT環境に、プログラミング教室の需要も広がる
――Playgramが教材として使用されているHALLOが開始されて3年経過しましたが、保護者さまからのニーズや子どもたちのレベルなど、どのような変化がありましたか?HALLO鳥海:
子どもにプログラミング教育を受けさせたいと思う保護者さまの層が、ここ3年間でずいぶん広がったと感じます。
HALLOの開設当初は、ご両親がエンジニアであったり、IT教育を重要視されていたりする保護者さまがお問い合わせの中心でした。しかし今では「子どもに考える力を身につけさせたい」「将来の受験や就職に向けて学ばせておきたい」など、ITスキル・知識に限らず広い範囲をご期待いただく保護者さまが増え、プログラミング教室の需要が本当に広がってきていると感じます。

PFN西澤:
2019年に文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想で学校にパソコンが配置されて以来、プログラミング教育がより身近になった影響もあるかもしれませんね。
今や、「小学生のなりたい職業ランキング」でも、エンジニアは常連です。その人気たるや、ユーチューバーを抜く勢いなので、いちエンジニアとして嬉しい限りです。
――最近ではAIも話題になっていますが、保護者さまからそういったお問い合わせもあるのでしょうか?
HALLO鳥海:
はい。特にChatGPTが発表されてから、AIの認知度はグッと高まりました。正直私はITなどに疎いのですが…」と仰る保護者さまからも、「HALLOではAIも学べるのでしょうか?」とおたずねいただくことが増えました。テクノロジーの発展により、いよいよ世の中が変わるんだという意識が世間的にも広がってきたのかもしれません。
誰もがAIを使いこなす未来、データサイエンスの理解が情報リテラシーの基礎になる
――今の子どもたちが20歳ぐらいになったとき、AIやテクノロジーはどうなっていると思いますか?PFN丸山:
私の個人的な見解では、誰もがAIを使うような環境になっていると思います。AIのサポートありきで仕事をしていく状況になると思うので、AIを使いこなす能力を育てることが、今後教育現場でも必要になるのではないかと思います。

HALLO鳥海:
PFNさんは、今のAIブームが到来するずっと前からAI関連事業に取り組んでいらっしゃいましたよね。
PFN西澤:
はい。弊社は以前から大学向けの教材を作ったり、Chainerというオープンソースのディープラーニング向けフレームワークをリリースしたりと、人工知能の社会実装を進めてきました。
例示プログラミングのような現在のChatGPTにも通じる技術にも取り組んでいましたので、将来の社会はどうなるか、とよく話をしていましたね。
国内屈指のAIスタートアップ企業、Preferred Networks(PFN)が今回発表したのは小学生から始めるプログラミング教材「Playgram™」。なぜ今、PFNがプログラミング教育を手がけるのか?代表取締役 最高経営責任者である西川徹氏と、開発担当の西澤勇輝氏にお話を伺いました。
2024/11/06 11:42
HALLO鳥海:
AIを使いこなせる人は、具体的にどういうタイプの人だと思いますか?
PFN西澤:
新しい技術が開発されたとき、「まずはやってみよう」と思える人ですね。いち早く試してみようと思える人はやはり成長が早いはずです。
そのためには、子どものころからテクノロジーに触れておき、心理的な抵抗感をなくしておくのが大切です。大人になってからプログラミングに挑戦するとなると、「難しそう」と感じてしまう人も少なくないでしょうから。
HALLO鳥海:
おっしゃる通りですね。だからこそHALLOは、多くのお子さまが早いうちからテクノロジーに触れる機会を提供できる場でありたいと考えています。
PFN西澤:
付け加えるならば、「AIなら何でもできる」と盲信してしまうのもよくありません。AIは完璧な存在ではなく、あくまでもツールですから。
子どものころからコンピューターサイエンスの素養を身につけて、AIがどういう技術でできているのかを知っていれば、何ができて、何ができないか理解できるでしょう。コンピューターサイエンスの知識は、AIを理解する上でも重要です。

プログラミングからコンピューターサイエンスまで楽しく学べる「Playgram」
HALLO鳥海:コンピュータサイエンスの素養が大切、というお話をいただきましたが、HALLOで使用する教材「Playgram」では、そのあたりのスキルもしっかりと身につくのでしょうか?
PFN西澤:
もちろんです。Playgramの一番の魅力は、Scratchのようなブロックプログラミングから、Pythonによる本格的なコーディングへとスムーズに移行できることです。
たとえばプログラミングが初めてというお子さまであれば、学校などでも親しんでいるScratchと同じように、ブロックをつなげていくだけで簡単にプログラミングができる体験を楽しんでいただけます。
ただ、ここで終わってしまうのはすごくもったいないことです。というのは、せっかくプログラミングを学んでいただくわけですから、「教材の中」でのレベルアップに留まらず、「教材の外」、つまり世界に羽ばたいて欲しいんですね。
そのためにはPythonをはじめとしたコーディングスキルが欠かせません。スムーズにPythonに移行でき、教材の「外」へとお子さまを誘う「Playgram」は、プログラミング的な思考が身につくだけではなく、コンピューターサイエンスのおもしろさをちゃんと実感できる教材といえます。
PFN丸山:
そのなかでも特筆すべきは「アドバンス」モードです。「アドバンス」では、数学やアルゴリズム、IoTの技術の背景など、プログラミングに隣接する知識を幅広く身につけられるように設計されています。
それでいてテーマはかなり身近で、たとえばテストの平均点を出すとか、買い物のおつりを求めるなど、実際の生活に役立つような内容にしています。

PFN丸山:
具体的にご紹介すると、IoTの基礎を理解するために、スマートホームがどうやって成り立っているのか、仕組みの一部を学べるカリキュラムなどがあります。まずはスマートスピーカー用のロボットをプログラミングし、掃除用ロボットや料理用ロボットなど、それぞれのロボットを連動させることで、「スマートスピーカーを通じて家電を動かす」生活風景を体験してもらうんです。
PFN西澤:
珍しいものでは、セキュリティの仕組みがわかるカリキュラムもあります。皆さんもよく、「パスワードはいろいろな種類の文字を組み合わせて、複雑なものを作りましょう」と言われると思うのですが、それはなぜなのかを学習できるんです。
具体的には、パスワードとなる文字列を頭から順番に試していく「ブルートフォース攻撃」を体験してもらうことで、「簡単なパスワードだと、こんなにも早く突き止められちゃうんだ」という気づきを促し、セキュリティ意識が高まる構成となっています。
IT教育は、エンジニアと協働する全ての人に必要
HALLO鳥海:こうしてお話を伺っていると、「アドバンス」モードの幅広さは他に類を見ないレベルですよね。なぜ、これほどまでのコンテンツを用意されたのでしょうか?
PFN丸山:
プログラミングの知識だけだと、作りたいものが作れないからです。
家を建てるときのことを考えてみましょう。家を建てるためには設計図、つまり設計の知識が必要になりますが、それだけでは家は建ちません。逆に、家を建てる技術だけ持っていても、設計ができなければ人が住める家にはならないでしょう。
プログラミングの場合、設計にあたる部分がコンピュータサイエンスの素養であり、家を建てる技術にあたる部分が具体的なプログラミングスキルになります。つまり、プログラミングのスキルだけを持っていても、しっかりと動くシステムを開発することはできないのです。
こうした背景から「アドバンス」は、プログラミングのスキルに加え、コンピュータサイエンスの基礎が身につくような内容にしました。なかなか高度な内容ですので、やりこんでいただければ、かなりの素養が身につくことと思います。

HALLO鳥海:
なるほど。そのうえでおたずねしたいのですが、たとえば2022年から高校で必履修化した「情報Ⅰ」への対応はいかがでしょうか?
PFN丸山:
Playgramは、高校から学ぶ「情報Ⅰ」にも対応しています。ネットワークやアルゴリズムのデータ構造、ビット演算や論理演算など、コンピューターの基礎知識も視覚的に学べるので、教科書だけで学ぶよりもかなり知識が定着しやすいはずです。
「情報Ⅰ」の範囲はかなり広く、座学だけだと頭に入りにくい内容も多く含まれています。HALLOでPlaygramに取り組んでいただければ、学校の授業もスムーズに吸収できるのではないでしょうか。
PFN西澤:
さらに言えば、アドバンスの内容は、アメリカを中心に採用されているコンピューターサイエンス教育のガイドライン「K-12」を参考にしたカリキュラムになっています。その意味では、日本国内だけでなく海外も視野に入れたコンテンツといえます。
国際基準のコンピューターサイエンスの素養が身につきますので、興味のあるコンテンツを入り口として、ぜひ深く学んでいただきたいですね。

HALLO鳥海:
子どもたちのなかにはエンジニアとは全く違う職業になりたい子どももいるかと思います。エンジニア職ではない人がデータサイエンスを学ぶ意義は、どのようなところにあると思いますか?
PFN西澤:
これだけデジタル化した世の中ですから、今後世の中で新しいサービスが生まれる際に、ITとまったく関わらないサービスになることは考えづらいものです。
だとすれば、たとえエンジニアでなくとも、コンピューターがなぜ動いているのか、AIには何ができるのかについての基礎知識を身につけておくことは、ITツールをうまく使いこなす上で非常に重要です。私たちはエンジニアになる人だけではなく、エンジニアと協働する全ての人々に、HALLOの教育を届けたいと思っています。
誰でもきっと夢中になる、プログラミング教育 HALLO
――最後に、プログラミング教育を検討されている方に向け、背中を押す一言をお願いします。HALLO鳥海:
Playgramを教材として取り入れているプログラミング教育 HALLOでは、テキストコーディングやコンピューターサイエンスなど、高度な内容を学ぶことができます。しかしその一方で、初めてタブレットを触るお子さまでも、ゼロから始められるスクールですので、ぜひ安心してお越しいただきたいと思います。

PFN丸山:
教室を見学するといつも、子どもたちが夢中でプログラミングに取り組んでいる姿を見ることができます。はじめこそ「興味を持つか分からない」とおっしゃっていた親子が、いざ体験してみるとのめり込んでいる姿もたくさん目にしました。どうかお子さまの可能性を狭めずに、安心して体験にいらしてください。
PFN西澤:
Playgramは、かなり本格的なコンテンツでありながら、どんなお子さまにも楽しんでいただけるようにこだわって作った教材です。リリース当初は少し難しいかな、と心配していましたが、子どもたちは本当に飲み込みが早く、楽しみながら課題をクリアしてくれています。どんなお子さまでもハマる可能性はありますので、「うちの子には合わないかも」と決めつけず、ぜひ一度体験に来てくださいね。

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