Z世代若い先生のメリットと距離感の新常識|親も知っておきたい「新しい教師像」とは

Z世代若い先生のメリットと距離感の新常識|親も知っておきたい「新しい教師像」とは

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お子さんの担任が、思ったより若い先生だったという経験はありませんか。塾の面談で向かい合った講師が、自分より、ひと回り以上若くて、少し戸惑ったことはないでしょうか。

『自分が考えていた「教師像」とは違う』『なんか違和感がある』そんなモヤモヤを感じたこともあるかもしれません。

実は今、教育現場では静かに、しかし確実に世代交代が進んでいます。

そして、私たちが知っていた「先生」とは、少々違うタイプの先生が、子どもたちの前に立っているのです。

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いま、先生が“若返っている”という現実

小学校で若い先生は増えている?

文部科学省が公表した「令和4年度学校教員統計調査」によれば、公立小学校では30歳未満の教員比率が前回調査時より上昇し、50歳以上の教員比率は34.0%と2.7ポイント低下しました。

公立中学校でも同様に、30歳未満の比率が17.2%となり1.1ポイント上昇、50歳以上は31.3%へと2.6ポイント低下しています。

公立小学校の先生の年齢データのグラフ
出典:令和4年度学校教員統計調査/文部科学省

数字だけを見れば「そうなんだ」で済むかもしれません。しかし、この変化は単なる世代交代ではありません。先生という職業の在り方そのものが、少しずつ変わり始めているのです。

背景には、教員の大量退職と新規採用の増加があります。団塊ジュニア世代が教壇に立っていた時代から、Z世代と呼ばれる若い世代へと移りつつあります。保護者世代が学生だった頃の「先生像」とは異なる先生が、増えています。

Z世代教師・講師の特徴「威厳より共感」の時代へ

若い先生はフレンドリー?

Z世代講師は「共感・伴走型」の指導スタイルを持っている方が多いようです。

若い先生は、フレンドリーです。生徒に対して「〜さん」「〜くん」と敬称をつけて呼び、時には自分の失敗談を笑いながら話し、SNSのトレンドに詳しく、生徒と同じ目線で言葉を交わします。

Z世代講師の多くは、デジタルネイティブとして育ちました。SNSを通じて多様な価値観に触れ、共感を重視するコミュニケーションを自然に身につけています。彼らにとって、一方的に教える関係よりも、対話を通じて共に学ぶ関係のほうが自然なのです。

こうした先生の特徴は、以下のように整理できます。

  • 対話を重視する姿勢
  • 上下関係ではなくフラットな距離感
  • 生徒の意見を尊重し、共感を示す
  • 失敗を恐れず、自分の弱さも見せる
 
これは、決して「甘い」わけではありません。むしろ、生徒一人ひとりの内面に寄り添い、個別性を大切にしようとする姿勢の表れです。威厳で押さえつけるのではなく、信頼関係を築くことで指導する。それが、多くのZ世代講師のスタイルなのです。

もちろん、年代だけでなく、ひとりひとりの先生に性格・人柄・指導への考え方があるので一概に断定はできません。しかし、全体的な印象として「あれ?最近の若い先生って、なんかちょっと違うなぁ」なんて思うこともあるのではないでしょうか。

保護者が抱える「若い先生への違和感」戸惑いの正体とは?

教師像も昭和から平成・令和を変わりつつあることを表した画像

親世代が経験してきた「学校・先生」との違い

今、小学生の親世代は、主に30代から40代です。この世代は、いわゆる「ゆとり世代」と「氷河期世代(ロスジェネ)」と呼ばれ、それぞれが経験してきた学校教育には違いがあります。

40代の保護者(氷河期世代)が経験した学校

2000年前後の小学校の教室の写真

40代の保護者の多くは、昭和教育の延長線上にある学校で育ちました。先生は厳格で、教師=偉い人という権威がありました。部活では上下関係や根性論が当たり前で、「男性教師の方が安心」という風潮もまだ多少なりとも残っていた時代です。

土曜日は午前中まで授業があり、体育の授業で女子はブルマーを着用していた人も多いでしょう。黒板とチョークが主流で、給食はアルミの食器。連絡事項は連絡帳に手書きでした。

30代の保護者(ゆとり世代)が経験した学校

30代の保護者は、教育の転換期を経験した世代です。「怒る」から「諭す」への移行が始まり、女性教師が増えて存在感を増していきました。

週5日制が段階的に導入されて土曜日が休みになり、「ガリ勉」「教育ママ」という言葉も薄れてきた時代です。

体操着はブルマーからハーフパンツ型に変わり、給食の食器も強化磁器食器へ。ホワイトボードや電子黒板も導入され始めました。部活では体育会的な指導がまだ普通にある一方で、少しずつ「寄り添う指導」へと変化していった時期でもあります。

なぜ若い先生に「戸惑い」を感じるのか

保護者が感じる戸惑いは、こうした過去の経験と、今の先生との間にあるギャップから生まれているのかもしれません。

時代が変わり、教育の形も変わった。でも、その変化は少しずつでした。しかも、やがて高校生、社会人となった過程で、親自身は「小学校・中学校という教育現場」から離れた場所にいて、変わっていく「学校と先生」を見てきていません。

「どうも、わたしの頃の先生とはなんか違うな〜、微妙にどうなのかな〜と感じる」漠然とした違和感があって当然といえば当然です。

具体的には、次のような違和感が挙げられます。

  • 「先生」という権威が薄れているように見える
  • フレンドリーすぎて、尊敬の念が育ちにくいのではという不安
  • 叱らない教育が、子どもを甘やかすのではという懸念
  • 保護者自身の「先生像」とのズレ

若い先生がダメだというのではなく、多くの保護者は「あれ?んん?」という気持ちが少しだけ心に残るのです。

若い先生・若手講師のメリットと気になる点とは

若い先生のメリットとデメリット

では、若い先生のフレンドリーな指導は、本当に問題なのでしょうか。答えは、イエスでもあり、ノーでもあります。

若い先生のメリット

まず、強みについて考えてみましょう。Z世代教師・講師のフラットな距離感は、子どもにとってメリットをもたらします。

  • 子どもが気軽に相談できる環境を作る
  • 自己肯定感を育む声かけができる
  • 多様性を尊重し、個性を認める視点を持つ
  • 変化に敏感で、子どもの小さなサインに気づきやすい
  • デジタルツールを使いこなし、学びの幅を広げる

威厳で支配するのではなく、信頼で繋がる。それは、子どもが自分の意見を持ち、主体的に学ぶ力を育むうえで効果的です。また、子どもの悩みを早期に察知できる可能性も高まります。

若い先生の気になる点

一方で、気になる点も確かにあります。

  • 距離が近すぎて、教師としての境界線が曖昧になる
  • 厳しさが不足し、規律が守られにくくなる場合がある
  • 保護者からの信頼を得にくいことがある
  • 経験不足により、指導の一貫性が欠ける可能性
  • フレンドリーさが、時に舐められる原因になる

特に、「先生と生徒の関係」という職業上の境界線が曖昧になると、指導がぶれたり、生徒が混乱したりする可能性があります。また、保護者世代との価値観のズレが、信頼関係の構築を難しくすることもあるでしょう。

若い先生のクラスは学級崩壊が多いって本当?

学級崩壊と先生の年代に相関性はないといえます。学級崩壊には複数の原因が関与し、先生の指導力のほか、授業の質、子どもとの信頼関係、学校のフォロー体制など、さまざまな要素が影響しています

とはいえ、先生としての経験値はある程度、影響するかもしれません。考えてもみてください。新卒の先生は、その年の3月までは大学生です。こくごや算数を教えるスキルはあっても、クラス運営とはまた別ものです。

しかし、最近は地域にもよりますが、たとえば1年生のクラスはふたり教師体制だったり、アシスタントの先生や指導員ボランティアがサポートしたりと、環境も整いつつあります。

保護者はこれからどう考えるべきか

若い先生との付き合い方のポイント4つ

これからの学校教育と保護者の向き合い方

子どもたちが生きる社会は、私たちが育った時代とは大きく変わっています。

今の小学校では、高学年になると「英語(外国語)の授業」があり、成績もつきます。プログラミングは必修化され、教科書以外にタブレットをランドセルに入れて持ち帰ることも珍しくありません。

小学校高学年の英語授業のノートの写真

親世代が経験していない教育環境に対して、「学校で何をやっているのかよくわからない」「先生もよくわからない」と感じることがあっても自然なことです。

こうした変化を受け入れつつ、保護者自身が自分なりの信頼の基準を持つことが大切です。昔の先生像にこだわりすぎず、柔軟に変化と向き合う姿勢が求められています。

小学校のプログラミング教育のくわしい解説はこちら↓
小学校で学ぶプログラミング教育とは?背景や目的を詳しく解説

世代の違いを「理解」として受け止める

若い先生のフレンドリーな接し方に違和感を覚えたら、それは「間違い」ではなく「世代の違い」だと捉えてみましょう。

保護者世代が経験した教育と、今の先生が学んできた教育は異なります。その違いを否定するのではなく、「今はこういう教育なんだ」と知ることが第一歩です。

対話を大切にする

気になることがあれば、遠慮せずに相談してみましょう。

ただし、「〜すべきでは?」という指摘ではなく、「こういう場面で、どう対応されていますか?」と質問する形がおすすめです。あるいは「家庭ではどのようにしたらよいでしょう」と相談するスタンスにしましょう。先生の考えを聞くことで、指導の意図が見えてくることも多いものです。

「見守る」距離感を意識する

先生を評価するのではなく、信頼して任せる姿勢も大切です。完璧な先生はいませんし、親だって完璧ではありません。お互いに試行錯誤しながら、子どもにとって最善を探していくパートナーだと考えましょう。

日頃から、些細なことでも「ありがとうございます」と伝える。連絡帳や面談で、子どもの成長を一緒に喜ぶ。そうした小さなコミュニケーションが、信頼関係の土台になります。

新しい指導スタイルをチャンスに

新しい指導スタイルは、子どもにとって学びのチャンスでもあります。

教育は常に変化しています。子どもを取り巻く環境はものすごいスピードで変化しているのですから、教育現場の変化はむしろ遅いという面さえあるのかもしれません。

新しい時代には新しい教育がきっとある

「あの頃はよかった」「昔の先生は愛情ある厳しさがあった」などという自分の親の繰り言に(はいはい、そうですか)なんて思った経験もあるのではないでしょうか。

しかし、いざ自分が親になってみると、無意識に自分の子ども時代と今の時代とを比べて、どうなんだろうと考えてしまいがちです。

親にとっても、小学校や中学校時代で先生との良い思い出も苦い思い出もあるでしょう。わが子たちは「今」その思い出を一生懸命に積み重ねているところです。子どもの大切な成長の時間を、ともに作り上げてくれるのが学校の先生であり、習い事や塾の先生です。

先生方のやり方や考え方を尊重しながら、伝えるべきことは伝え、わが家の方針は方針として大切にしてきましょう。学校と家庭という安心で安全であるべき場所で、子どもたちが健やかに成長していくのを見守れたらいいですね。


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