「何をするの?」「本当に必要なの?」とモヤモヤしている方がいるかもしれません。
このコラムでは「学習指導要領」の中身を見ていきながら、「なんで必修化したの?」「本当に可能なの?」について詳しく解説します。
「どうして必修化するの?」
「受験や就職に影響はあるの?」
気になるトピックも、これさえ読めばすべてOK!
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小・中・高校でプログラミング教育が必修化します。「そもそもプログラミングって何?」「なぜ必修化?」「受験や就職への影響は?」など、気になるギモンにくわしく回答!どこよりもやさしくご説明します。
この記事をcoeteco.jp で読む >プログラミング教育必修化って?
「プログラミング教育」と聞いてピンとくる人はなかなかいないでしょう。保護者世代が子どもだった頃にはなかった授業ですし、イメージが湧かないのも仕方ありません。「全員、IT企業に就職するってこと?」
そんな風に思うかもしれませんね。
プログラミング教育が必修化するのは、「プログラミング的思考をやしなうため」。ちょっとわかりにくい言葉ですが、つまりは「順序立てて考え、試行錯誤し、ものごとを解決する力」と捉えればいいでしょう。
プログラミング教育必修化 = パソコンを使うスキルを身に付ける だけが目的ではないのです。
小学校でのプログラミング教育必修化を前に、必修化のねらいである「プログラミング的思考の育成」という言葉が浸透してきました。どんな内容?なぜ必要?家庭では?そんな疑問ポイントをわかりやすくまとめました。
この記事をcoeteco.jp で読む >そもそも「学習指導要領」って?
プログラミング教育の必修化は「学習指導要領」改訂の一部として実施されます。「学習指導要領」とは、全国どこで教育を受けても授業にバラつきが出ないよう文部科学省が示しているカリキュラム編成基準のこと。
年間の標準授業時数が定められているほか、各教科の目標や大まかな教育内容が定められています。
「この県では習うけど、隣の県では習わない……」ということが起こらないように、全国の学校はこれに従って授業を組み立てるのです。
学習指導要領に定められた1年間の授業時数(授業は45分)
1年生 | 2年生 | 3年生 | 4年生 | 5年生 | 6年生 | |
---|---|---|---|---|---|---|
国語 |
306 | 315 | 245 | 245 | 175 | 175 |
算数 | 136 | 175 | 175 | 175 | 175 | 175 |
理科 | - | - | 90 | 105 | 105 | 105 |
社会 | - | - | 70 | 90 | 100 | 105 |
「学習指導要領」の改訂は約10年ごとに行われており、前回の改訂は平成20~21年。そこから約10年が経過したため、今回の改訂が行われます。
ただし、改訂後すぐに授業内容が変わるわけではなく、約1年間は「周知・徹底」の期間、さらに数年間*1の「移行期間(子どもが学ぶ内容が抜け落ちないようにするためのクッション期間)」を経て実施となります。
*1) 幼・小・中・高によって年度にズレがある。小学校では、2017年度が「周知・徹底」期間、2018年~2019年度が「移行期間」、2020年度から「全面実施」となる。
今回の「学習指導要領」は?
では、今回の「学習指導要領」改定のポイントはどこでしょうか。ICT環境(パソコン、タブレットなど)の整備
小学校の新学習指導要領は2017年の3月に公示されました。そこには「情報活用能力の育成を図るため、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること」と示されています。
ちょっと難しい表現ですが、「パソコンやタブレットを学校で用意し、勉強にも取り入れていきましょう」という意味だと理解すればいいでしょう。
授業の具体的な内容は決まっていない
プログラミング教育についての具体的な学年・授業内容に関しては、明確に「この内容」と決められているわけではありません。文科省の「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」には「プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面(5年・算数)」が示されています。
ただし、算数や理科に限らず
「多様な教科・学年・単元等で取り入れ」
「各学校の創意工夫により、様々な場面で積極的に取り組む」
ことが望まれており、
それぞれの学校である程度、自由に実施することになっています。
「これをする」と決まっていないので、ITに詳しくない先生・保護者にとっては「何をすればいいの?」と不安になっているのが現状かもしれません。
そもそも、どうして必修化?
「コンピュータを使いこなす力」「論理的思考力」を育てるため!
そもそも、なぜ小学校でプログラミング教育が必修化したのでしょうか。必修化が検討されたのは、学習指導要領改訂に向けた中央教育審議会の議論でした。
生活がどんどんデジタル化し、AIなどの新たな技術が生まれる中で、10年先の未来すら予測することが難しくなってきています。
そんな時代の子ども達に望ましい教育とは?と考えると
「コンピュータを受け身ではなく、積極的に活用する力」や「プログラミング的思考(論理的思考力)」が求められる
という結論になったのです。
実際に小学校の新学習指導要領では、以下の2つの学習活動が定められています。
ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
イ 児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
これも難しい表現ですが、
「ア」はタイピングなどコンピュータの基本的な活用スキル
「イ」はコンピュータを動かすための考え方(=論理的思考力)を身につけること
と捉えればよいでしょう。
コンピュータがますます社会に浸透する中で、コンピュータを使いこなすための力を育もうというわけです。
一人一台端末を整備
必修化によって小学校ではどのような変化が起きたのでしょうか。必修化と合わせてよく耳にするのが「一人に一台の端末を配備」ではないでしょうか。
コンピュータの活用といっても、そもそも子どもが触れるコンピュータがなければどうしようもないですよね。
学校内でのICT(情報通信技術)環境の整備はどうなっているのでしょう。
平成30(2018)年6月の「第3期教育振興基本計画」では、次のような環境が指標として定められていました。
(2018年6月の指標)
- 学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度整備
- 普通教室における無線 LAN の 100%整備
- 超高速インターネットの 100%整備
その後、令和3年(2021)年8月の調査では、以下のような数値となりました。
(2021年8月の実態)
- 義務教育段階* における学習者用端末1台当たりの児童生徒数 1.0人