一方で、保護者の私たちが子ども時代には存在しなかった習いごとのため、「よくわからない……」と一歩引いて見ているご家庭も多いかもしれません。インターネット上にはさまざまな情報が入り混じり、真偽を判断するのもむずかしい状況です。
コエテコ事業責任者の沼田直之氏は、その足で30社以上を取材し、第三者の視点から子ども向けプログラミング教室を見てきました。本記事ではそんな沼田氏に、コエテコに多く寄せられる疑問を投げかけ、くわしく解答してもらいます。
第4回は、「本当に子どもの心を掴んでくれる教室の見抜き方は?」「プログラミング教室は何歳から始めるのがおすすめ?」2点についてです。
*参照:ヒューマンアカデミー-お子様の習い事に関する意識調査(2021)
答えてくれるのは……「日本一、プログラミング教室を見てきた男」沼田直之さん
「これからの時代はインターネットだ!」という直感から15年前にプログラミングスクールへ入会、卒業。SES、派遣、事業会社、インターネット企業と業態を問わず活躍。エンジニアとして10年以上、開発の最前線(上流工程、開発、インフラ、マネジメント)で実務経験を重ねる。
現在ではプログラミングスクールの卒業生を採用担当者として多数面接。メディア担当者として30社以上のスクールにインタビュー取材も実施。取材記事「『日本一プログラミング教室を訪ねた男』に聞く、我が子にピッタリの教室選び」(リセマム)、「プログラミング力を『VUCA時代』生き抜く武器に」(東洋経済)など。
「日本一プログラミング教室を訪ねた男」に聞く、我が子にピッタリの教室選び | リセマム
プログラミング教育や教室に関する情報を発信する「コエテコ」の事業責任者であり、自身も3児の父である沼田直之氏に、ユーザーに寄り添ったページづくりのこだわりやプログラミング教室探しのポイントについて話を伺った。
この記事をresemom.jp で読む >プログラミング力を「VUCA時代」生き抜く武器に | 東洋経済education×ICT
AIやIoTなどの技術が急速に進展し、産業構造が激しく揺さぶられている昨今。小学校の授業にもプログラミングが盛り込まれ、教育現場も変わりつつある。VUCA時代に新価値を創造できる人材の育成が急がれている中、IT技術の土台となるプログラミングをなるべく早いうちから学ばせたいと考えている親は少なくない。プログラミング教室の検索サイトやプログラミング教育の情報発信を行っている「コエテコ ...
この記事をtoyokeizai.net で読む >質問1:「本当によい教室かどうか、どう見抜けばよいですか?」
1つ目は、広報活動が盛んなこと。ごく一般的な習いごとで「広報活動」と聞くとあやしいイメージが先行してしまうかもしれませんが、プログラミングに関しては違うと思っています。きちんとした教室は、資格取得や大会出場の実績があるので、それを自信をもって発信しています。ホームページの「お知らせ」欄で、そうした発信があるかを見てみましょう。
2つ目は、保護者へのフィードバックがしっかりあること。たとえば水泳教室なら、水に潜れるようになった、バタ足ができるようになった、クロールができた……といった成長が目に見えてわかりますが、プログラミングはとにかくわからない。加えて、大人自身もその成功体験のない方がほとんどなので、保護者の方は不安になりがちです。
よい教室は、定期的に授業後などに「今日はこんなことをしました」と報告してくれます。とくに、個別の「評価シート」などを使ってフィードバックを“仕組み化”している教室はおすすめです。体験教室時と入会後で担当の先生が変わることもありますが、仕組み化されていれば、どの先生にあたっても、一定の品質の対応を受けることができます。
3つ目は、お子さまのスキルをアウトプットする場があること。たとえば大会や資格です。ゴール地点があると、お子さま自身も成功体験ができますし、万が一失敗したとしても「何ができて、何をできていないのか」が明確になり、目標設定のめやすになります。保護者の方にとっても、お子さまの成長を実感できる貴重な場となるでしょう。
4つ目は、初級から一歩進んだコースが用意されていることです。たとえばScratchやロボットで1〜2年間学んだとして、子どもが「もっと学びたい」と言ったときにどこまでのコースが用意されているか。これは非常に大切です。
というのも、低年齢向けのコースのみがある教室はたくさんありますが、その場合、さらに上を目指したい場合に教室を変えなければなりません。子どもって、一度やめると再びやる気が起きにくいので、できればはじめから、小学校3〜4年生以降も不足なく学べる上級コースのある教室を選ぶとよいですね。そもそも上級コースを教えられる先生がいる、という時点で、レベルの高い教室と考えることもできます。
一番やめたほうがいいのは、保護者同士の「うちの子、ここ通ってるよ!」といった口コミで決めてしまうこと。プログラミング教室は、ここ数年で急激に増えたモデルで、ほかの習いごととは歴史も性質も異なります。フランチャイズのロボット教室なら20万円前後あれば開校できるため、残念ながらそこまで強い思い入れもなく、なんとなく運営されている教室が7割ほどの印象です。
コエテコで取材にお伺いしたなかでも素晴らしい教室がたくさんありましたが、なかでもぼくのおすすめは、
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これからKIDS
https://coeteco.jp/articles/11690 -
WESスクール
https://coeteco.jp/brand/wes-school -
キッズ・プログラミング教室KIDSPRO
https://coeteco.jp/articles/10549
上記のほかにも、“社員先生”が教えるような企業直営の教室もおすすめです。個人教室のオーナーがひとりで運営も授業もやる姿はもちろん応援したくなりますが、生徒の呼び込みに必死になるあまり、教育の質にまで手がまわらないケースも。企業の社員先生なら、安定した環境で授業に打ち込める=カリキュラムの質が高くなります。
↓サイバーエージェントのグループ会社・株式会社CA Tech Kidsが運営する「Tech Kids School」もその一例
https://coeteco.jp/articles/11345
本当によい教室に出会えれば、お子さまの人生はガラッと変わるでしょう。それゆえに、教室選びは上記のポイントをご参考に、冷静に行っていただきたいですね。
質問2:「プログラミング教育は、何歳から始めるのがおすすめですか?」
プログラミング教育(プログラミング学習)は、何歳から始めるのがおすすめですか?
この年例は、多くのご家庭で水泳やピアノ、ダンス、英語など、さまざまな習いごとをお子さまに体験させてあげる時期です。ただこれらも、小3ごろまでには1つか2つに絞るというご家庭が大半。中学受験にむけて、習いごとの数を減らし、塾に通い始めるのです。
そうした状態になったとき、果たしてその1〜2つの選択肢にプログラミングが入ってくるのか? というと、なかなかむずかしい。そのため、スキル的に有利だからというよりも、この年齢までに始めておかないと、物理的にもうやる機会がないからという意味合いが大きいです。
考え方によっては、テキストコーディングなどを本格的に学ぶには小3以降がよい、という見方もありますが、実際にデータで、小学校低学年のお子さまをもつご家庭からのニーズのほうが圧倒的に高い……ともわかっています。このぐらいの年齢の子は、新しい体験をしたときに忖度なしに「楽しい」「楽しくない」と言えるので、シンプルに楽しめるとも思いますしね。
また、これはエビデンスがないため断言はできないのですが、プログラミングやロボット制作を体験することは、算数の成績と相関すると言われています。年長〜小1でやっておけば、小学校の授業をスムーズに理解できたり、物ごとを数値で考える習慣がついたりと、結果的にお子さまの将来にとってもプラスになるでしょう。
まとめ:ママ友・パパ友の声で決めるべからず。開始年齢は年長〜小1がおすすめ
塾や習いごとを選ぶ際に、周囲の保護者に「あそこ、どう?」と聞いて参考にするのは昔からメジャーな方法です。ネットの情報より実際に通っている知人の声のほうが安心・信頼できる……という声もよく聞きますね。一方で、自身も3児の父である沼田氏いわく、プログラミング教室に関してはそれは当てはまらないそう。その背景には、まだ歴史が浅く、よい・悪いの判断基準が世に出まわっていないことや、ほかの習いごとと違って子どもの成長が目に見えにくいこと、気鋭のジャンルのため、知識や想いの浅い創業者も多くいることが挙げられるようです。
また、インターネット上では「プログラミングは小3以降に始めるのがおすすめ」という情報も目にしますが、これについても、「年長・小1を逃すともう機会がない」というリアルなご意見を聞くことができました。自身の息子さんも4年間プログラミング教室に通われている、という沼田氏だからこそ、保護者目線と第三者目線の両方から、貴重なアドバイスができるのかもしれませんね。
プログラミング教室の体験に行ったのですが、子どもは楽しんでいたものの、親としては効果があるのかイマイチ分かりません。本当によい教室かどうか、どう見抜けばよいですか?