写真や動画を共有して、コメントや「いいね」でコミュニケーションしたり。
Facebook、LINE、インスタグラムなどのSNS(Social Networking Service = 社交的な交流サービス)は、今やなくてはならない存在です。
そんなSNSはどのようにして生まれたのでしょうか?
どのような楽しみ方・使い方があるのでしょうか。
また、知っておきたいリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。
SNSの活用法やリスクについて分かりやすくまとめました。
SNSはどうやって生まれたの?
友だちの友だちの友だち……とつながっていくと、6人目までに世界中のほぼ全員が含まれる。社会学の分野で「六次の隔たり 」と呼ばれる考え方です。
ネットワーク社会のなかでSNSが生まれてきた背景には、このようなつながりをワールドワイド(世界規模)に広げていく目標があると言われています。
コンピュータ・ネットワークのなかで、このようなコミュニティをつくり出そうという試みは日本でも行われてきました。
1980年代にはニフティサーブやPC VANなどの電話回線を使った「パソコン通信」サービスとしてスタートしていましたが、本格化したのはインターネットが世の中に広く普及してからでした。
2000年代になると、SixDegrees.com、Friendster、MySpace、LinkedIn、BeboなどのSNSが誕生しました。
しかし、日本国内では言語のギャップのために広く普及した例は少なかったようです。
この状況が変わったのは、2004年に完全招待制のSNSとしてmixiが誕生し、大成功をとげてからです。
2010年代になると、Faceboook、インスタグラムなどのSNSが日本語でも利用できるようになり、急速に普及。また、日本語のコミュニケーションを基本としたLINEも大きな広がりを見せています。
ちなみに、TwitterをSNSの一つに数える人もいますが、Twitter社自身は「社会的な要素を備えたコミュニケーションネットワーク」(通信網)と名乗っており、SNSとは一線を画しています。
SNSとは?その利用目的は?
「コミュニティ型の会員制のサービス」として知られるSNSは、総務省の定義によると「 登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービス」
となっており、その目的は
「友人同士や、同じ趣味を持つ人同士が集まったり、近隣地域の住民が集まったりと、ある程度閉ざされた世界にすることで、密接な利用者間のコミュニケーションを可能にしています」
とされています。
大きな特徴は、ほとんどのSNSサービスは基本無料であること。
では、サービスの提供者側はどうやって利益を上げているの?と疑問に思いますよね。
サービス提供者が利益を得るしくみには、以下のようなものがあります。
・広告収入
・課金売上げ(ゲームなどの付加サービス)
・提携売上げ
このうち、とくに分かりやすいのは広告収入でしょうか。
街中でも、人の集まるところに広告が出されていますよね。SNSはそのインターネット版のようなものだと考えればいいでしょう。
無料でユーザーを集め、集まってきたユーザーに対して広告を出すことで収入を得ているわけです。
SNSで何ができる?具体的なメリット
「友だち」とつながれる
SNSの基本は、友だちとのネットワークをつくるところからはじまります。学校や会社、ご近所さんなど、直接知っている人とつながるのが基本の使い方です。最近のSNSにはアドレス帳やWeb履歴などから、友だちを検索する機能もあります。一人一人探さなくてよいので、手間がかからないですね。
そうはいっても、中には特定の人に見られたくない情報もあります。
このような要望を踏まえ、多くのSNSでは、公開する記事は「SNS全体に公開」「友だちのみに公開」「特定のグループのみに公開」と自由に設定できるようになっています。
記事を公開して、毎日のできごとを友だちに知らせる
SNSを日記として使っている人も多くいます。日々の出来事を書いて気軽に公開できるのが、SNSの大きな魅力といえるでしょう。
コメントや「いいね」でコミュニケーションする
「友だち」の記事に関しては、コメントを付けてコミュニケーションを深めていくことができます。「いいね」ボタンを押し、より気軽に応援の気持ちを表すこともできます。
写真の共有もかんたんにできる!
旅行に行った場所や、飲み会・お食事会のようすを写真に撮って簡単に公開できるのもSNSの特徴です。最近では、写真の共有機能に特化したSNS「Instagram(インスタグラム。インスタと略される)」の人気も高まり、インスタグラム向けのおしゃれな場所、アイテム、食べ物などは「インスタ映えする〇〇」と呼ばれます。
ニュースをシェアして意見を述べる
自分で書いた記事だけではなく、ニュースサイトで見た記事や、他のWebサイトの情報などをシェア(共有)したり、自分の意見を付け加えたりして公開できます。政治・スポーツ・芸能・ファッションなど、自分の意見を表明することに向いています。
グループによる交流サービスも
多くのSNSではユーザーグループを作成できる機能があります。「○○大学○年卒業生の会」「○○県人会」「(野球やサッカーチームの)ファンクラブ」「日本酒同好会」など、趣味や地域のつながりを通してコミュニケーションを取れるのが魅力です。
ゲームやスポーツ中継を楽しめるSNSもある
会員同士のコミュニケーションだけではなく、SNSをプラットフォームとして付加価値を生むサービスもあります。「会員だけが遊べるゲーム」「ミュージシャンのライブやスポーツ中継のSNS独占放送」「SNSとリンクする音楽配信サービス」など、SNSを超えたサービスで会員を拡大する試みも行われています。
SNSのデメリットとは?SNS中毒、プライバシー、デマ……
マイペースで楽しんでいる限り、SNSに大きな問題はないでしょう。一方、気をつけておきたいのがSNS中毒の問題。
友だちの記事には「いいね」をつけなくてはいけない。
コメントをもらったら、すぐに返信しなくてはいけない。
そんな気持ちが強迫観念となり、一晩中「通知」が鳴りつづけ、それに対応しているうちに眠る時間もなくなってしまう。
そのような問題に悩まされている人も少なくはないようです。
あくまでもSNSは、友だちとの交流を楽しむためのツールです。
健康を害したり、心理的負担が出たりしたときには思い切って「お休みします」と宣言するのも、一つの選択になるでしょう。
このほか、SNSによるプライバシーの侵害、ハラスメント、災害時のデマ拡散などの弊害を問題視する意見もあります。
個人情報の流出などにより異常に危険が迫る
SNSを通じて公開された情報は、さまざまな人が閲覧できます。氏名・電話番号・年齢・住所・学校名などの個人情報が公開されている場合、情報を見た人があなたに興味を抱き、電話をかけたり後をつけまわしたりするかもしれません。実際に、ネットストーカーによる被害が、近年増加していると言われています。危険から身を守るためには、個人に関する情報をインターネット上で公開しないことが大切です。「個人情報は載せていない」人でも、写真を公開している場合は、要注意。写真の背景や着ている洋服などから、個人情報を探す人もいるのです。中には、写真に写っている友だちのSNSアカウントから情報を得ようとする人もいます。写真に添えられている文からも、個人を特定可能です。
写真や文、つながっている友だちなどからもさまざまなことがわかってしまうので、個人に関する情報の公開は、慎重に判断すべきでしょう。
いじめ・晒しなど人間関係系のトラブルに巻き込まれる
「友だちとつながれる」ということは、「友だちとつながらなければいけない」ということです。SNSの性質上、人との関りを遮断できないため、トラブルに巻き込まれるリスクは誰にでもあります。いじめ・晒しが行われること自体が問題ですが、本人が知らないところで複数の人間によって行われることが多く、表面化しにくいのも問題です。実際のいじめ・晒しよりも周りの大人や先生が気づきにくく、発見されない場合もあります。概要が掴めなければ、対策を練ることもできません。しかもSNSでのいじめは、実際のいじめよりも気軽に行ってしまう人が多く、短期間でエスカレートしやすいという特徴があるので、余計にやっかいです。
誰でも被害者・加害者の立場になりうることで、エスカレートすると名誉毀損などの法的な問題に発展する可能性があります。巻き込まれるリスクが高い子どもを持つ親の場合は、事前に対策をしておくといいでしょう。具体的には、普段から子どもが相談しやすいような関係性を築いておくことや、スマホのデータ通信料や利用状況を定期的にチェックする方法。ささいな変化に気付ける可能性が高まります。
フェイクニュースによって不徳的多数の人へ誤った情報が広がる
SNSで公開されている情報が、すべて正しいとは限りません。ネットニュースの中には、事実無根のフェイクニュースもあります。ネットリテラシーが高い人が見た場合は、情報の正確性を調べてから拡散するため、フェイクニュースが広まることはありません。しかしネットリテラシーが低い人が見た場合は、簡単に正しい情報だと信じて拡散してしまうのです。誤った情報が広がることにより、間違っているのにさも正しい知識のように大勢の人に知られる恐れがあります。フェイクニュースが広まった背景には、「閲覧数が多いほど広告収益が増える」ことや、「クラウドソーシングサイトを通じて安価に人を雇える」ことなどがあるようです。フェイクニュースは収益重視なので、誤情報を見た人が被る不利益などについては一切考えられていません。
参考:フェイクニュースの見分け方
SNSの情報発信者が経験(けいけん)したトラブル
総務省がSNSに関するアンケートを行った結果によると、「SNS上で何らかのトラブルにあった」と答えた人は、23.2%。トラブルで1番多かったのが、「自分の発言が自分の意図とは異なる意味で他人に受け取られてしまった(誤解)」で13.6%でした。2番目に多かった「ネット上で他人と言い争いになったことがある(けんか)」は7.2%、3番目の「自分は軽い冗談のつもりで書き込んだが、他人を傷つけてしまった」が6.2%という結果でした。どのトラブルも、相手の顔が見えないSNSだからこそ起こったトラブルと言えます。SNSでは、実際に会って話すよりも「ずれ」や「思い違い」が生じやすいため、注意してやり取りする必要があるでしょう。
参考:総務省「ソーシャルメディア利用のメリットとデメリット」
SNSのデメリットからわかるSNSの利用が向いていない人の特徴
好んでSNSをやってるいるからといって、向いているとは限りません。向いていない人の特徴と理由を以下にまとめました。理由はあくまでも、可能性の話です。特徴に当てはまる人すべてがそうなるという意味ではありませんので、参考程度にしてください。代表的なインスタグラムとX(旧:Twitter)については下記記事で解説しています。
参考:X(旧:Twitter)の検索コマンド
参考:インスタ小学生
SNSに向いていない人の特徴 |
理由 |
今の生活に満足していない | 他の人の自慢投稿を見て八つ当たりする |
プライドが高い | 他人より優位に立とうとしてトラブルになる |
劣等感がある | 他の人の投稿を見て劣等感が強まる |
寂しがり屋 | SNS依存やSNS疲れ |
自分と他人を比較したがる | 自分と他人を比較してネガティブな気持ちになる |
承認欲求が強い | 過激な投稿になりがち |
SNSは、気軽に不特定多数とつながれる場です。関わる人や関わり方の自由度が高い分、適度な距離を保たないと、トラブルのもとになります。向いていない人の特徴に当てはまる人は、起こりうるトラブルを把握し、SNSに依存しすぎないようにすることが大切です。
SNSはデメリットを事前に把握した上で注意しながら使用する
誰でも気軽に始められてさまざまな人とつながれるSNS。しかし、「個人情報の流出」「人間関係のトラブル」「誤った情報を不特定多数に拡散してしまう」などのリスクもあります。SNSを安全に利用するためには、デメリットをあらかじめ把握してから始めるといいでしょう。デメリットについて知っておくことで、ネットリテラシーが身につき、トラブルを未然に防ぎやすくなります。発信した情報はアカウントを消しても永久に残るので、気を付けながら使用することが大切です。
SNSのメリット・デメリットまとめ
ここでは、SNSの歴史や楽しみ方・使い方、気をつけたいデメリットをわかりやすく解説しました。なかなか会うことができない「友だち」と気軽に会話を楽しめるSNSは、現代人になくてはならない社交ツールです。
その一方で「機械が苦手」などの理由で手を出せず、疎外感を覚える人もいるかもしれません。
けれども、使い方を知ってしまえば安心です。自分に合ったSNSとの付き合い方を見つけていきましょう。
無理をしないで、あなたのペースで付き合っていけるのも、SNSのいいところだと言えるでしょう。