「でも、ITってなんのこと?」
「今さら聞けない……」
こんな風に感じている人もいますよね。
この記事では、意外と知らない「IT」についてわかりやすく解説します。
IT=コンピュータとネットワークを使って進歩をもたらすこと。
IT(Information Technology、情報技術)という用語が使われるようになったのは2000年頃からです。一般に、ITはコンピュータとネットワークを利用した技術の総称と考えられています。
アメリカ情報工学協会の定義によると、
コンピュータをベースとした情報システム、特にアプリケーションソフトウェアやコンピュータのハードウェアなどの研究、デザイン、開発、インプリメンテーション、サポートあるいはマネジメントとのこと。いよいよ、わけがわからなくなりますね。
分かりやすく言うと、ITとは「世の中のさまざまな場面において、伝統的なやり方(レガシーといいます)が存在している。それをコンピュータとネットワークで変えていく行為」のこと。
たとえば、企業の経理において手書きで帳簿を付けていたのを、パソコン端末から入力 → 集計し、各職場で見る。
学校で、黒板の代わりに電子ボードを使い、先生が板書した内容がそのまま生徒のタブレット端末に送られる。
伝統的(レガシー)なやり方が、コンピュータとネットワークによって大きく変わっていますよね。これがITというわけです。
ITとICTの違いは?実は同じような意味?
近年、ITとともにICT(Information and Communication Technology=情報通信科学)という言葉も使われるようになりました。文部科学省の資料にも「学校現場のICT化」といった形で登場する言葉です。ここで、「ITとICTはどう違うの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。
実質のところ「IT」と「ICT」はほとんど同じです。「IT」と書かれている文章をそのまま「ICT」に置き換えても、大きな問題は起きません。
日本の官公庁でも省庁によって「IT」派(経済産業省など)と「ICT」派(総務省など)と好みが分かれているようです。
あえて違いを指摘すると、「ICT」はSNSの発達と同じ時期に広がってきた言葉です。「コミュニケーション」という言葉が入っているため「個人からの情報発信」を強調するニュアンスがあると言えます。
また、国際的には「ICT」が広く普及しているので、グローバルな視点から「ICT」を使った方がいいと考える人もいます。
「ITソリューション」って?「IT」用語あれこれ
ITの意味がわかったところで、よく耳にする用語をまとめます。ITの力で経営を改善する「ITコンサルタント」
経営コンサルタントという業種はもともと、企業の現状を分析して、事業や組織に関する解決策(ソリューション)を提供する仕事をしていました。ITが当たり前の社会となり、経営コンサルタントの提供する解決策(ソリューション)もITなしでは考えられなくなりました。
たとえば「人件費が経営を圧迫しているので、自動で給与を計算してくれるシステム(=IT)を導入し、事務のアルバイトを減らしましょう」といった提案が主流となったわけですね。
このために、多くの経営コンサルタント企業は社内にシステム部門(IT部門)を持ち、業務提案+システムエンジニアリング(ITの運用)が一体となったサービスを提供するようになりました。
ITに関する商品・サービスを作り、販売する「ITベンダー」
新しい技術が生まれても、世の中に普及しなくては生活が変わっていきません。IT技術を世の中のニーズに合わせて商品化し、販売していく役割が必要になります。この役割を担っているのがITベンダー。
ハードウェア(パソコン端末、携帯端末)やソフトウェア(アプリケーションプログラム)を販売する企業、さらには、それらを組み合わせて提供していく企業が含まれます。
また、オーダーメイドで企業の情報システム開発を行う企業は、とくにシステムインテグレーターと呼ばれます。
企業の信頼を守る「ITガバナンス」
銀行のATMが停止する、携帯電話サービスが使えなくなる……ときどきニュースで聞くトラブルですね。ITに関するサービスを提供している会社で障害や不祥事が起こった場合、会社全体の信用に関わり、株価が大幅ダウンすることもあります。
そこで近年の会社では、会社の統治(ガバナンス)のなかでもIT部門の管理・運営に大きな力を注ぐようになりました。これをITガバナンスと呼びます。
みんなが問われる「ITリテラシー」
リテラシーとは、直訳すると理解力・読解力、学習の基本技能です。つまりITリテラシーとは、ITに関する理解力や基本技能だと言えるでしょう。現在は、学校でも仕事でもコンピュータおよびネットワークを使いこなすことは必須の技能となっています。
パソコンやアプリの使い方だけでなく、不適切な利用をしないためのモラルもITリテラシーに含まれるのがポイントです。
とくにSNSへの不適切投稿は会社全体の信頼や利益を損ない、大きなダメージを与えることから、採用時にITリテラシーを重視する企業も増えてきています。
プログラミングが教養になる時代に向けて
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環境と共存するITをめざす「グリーンIT」
気候変動、資源枯渇など環境問題が世界的な課題となるなか、何億という数のパソコン端末やスマートフォンにも環境性能が問われる時代になりました。省電力化、ゼロエミッション(完全なる再利用による廃棄物ゼロ)などIT機器の導入から廃棄まで含めた環境への負荷を減らす努力(グリーンIT)が求められるようになっています。
「IT企業」とは?
IT企業は、情報技術を用いた製品やサービスを提供している会社のことです。ここ数十年で、IT企業は急成長を遂げています。最も有名なIT企業といえば「GAFA」でしょう。これは、アメリカの大手IT企業であるGoogle、Apple、Facebook、Appleの頭文字をとった言葉です。ここにMicrosoftを入れて「GAFAM」と呼ばれることもあります。
また、中国でも多くのIT企業が台頭してきています。中国の大手IT企業は「BTA」と呼ばれます。これは、主に検索サイトを提供しているバイドゥ、主に通販サービスを提供しているアリババ、主にゲーム事業などを手掛けるテンセントの3社の頭文字を取ったものです。そのほか、中国で有名なIT企業といえば、シャオミやファーウェイなどもあります。
日本でも1990年代から2000年代に巻き起こったITバブルによって、ソフトバンク、楽天、サイバーエージェントなどの会社が勃興しました。
ITはますます重要に
2020年に小学校でのプログラミングが必修化されました。また、2021年には中学校でのプログラミング教育が拡充され、2022年には高校でのプログラミング教育が必修化されています。プログラミング能力は、ITスキルの中核を成すものです。そういった力を育む計画が学校教育の中に取り込まれています。それだけ、ITスキルは重要視されているということです。
今の子供たちは、生まれた頃からPCやスマートフォンなどの情報機器が身の回りにあるのが当たり前の世代です。誰に教わらずとも、自然に使い方をマスターしてしまっています。そこにプログラミング能力が加わることで、これまで以上に高いITスキルを持った人々が登場することも期待できるでしょう。
そもそも、現代社会の中でもPCを使って仕事をしていないという人の方が少数派でしょう。スマートフォンを使わなければ、日常生活に支障をきたすこともしばしば。そういった意味では、誰しもがある程度のITスキルを持っていると言えるのです。
システムエンジニアやプログラマーといったIT企業に務める人にしかITスキルが必要なわけではありません。職業としてプログラミングを行っていない人でも、情報機器の活用やプログラミングの勉強などによって、現在の業務を飛躍的に効率化することができるでしょう。ITという言葉に恐怖心を抱いている人も、まずは少し勉強してみることをおすすめします。
ITの進化は止まらない!使いこなせる人になろう
1990年代のインターネットの普及にはじまった世の中のドラマチックな変化は「IT革命」と呼ばれました。しかし、現在ではITが当たり前となり、「革命」と呼ばれることすらなくなってしまいました。これから先も、ITが不要になることはないでしょう。「機械は苦手」という言葉で避けていては、世の中から取り残されるばかりです。
最近はパソコンも使いやすくなり、機械が苦手でもとっつきやすいものが増えています。
かしこく情報を集めて、IT時代にしっかり対応していきましょう!