「プログラミング・情報教育」小学生はどこまでできてる?うちの子は平均的?
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「他の子はプログラミングとか、どれくらいできているの?」
「何を学んでいるかわからないし、何ができるようになったのかもわからない」
「ウチの子はタイピングなんてやったことないけど、それって普通?」
算数や国語と違い、わが子がどのレベルにいるのか、専門的に学ばせたほうが安心なのか、授業内容についていけているのか、「小学生のプログラミング学習はよくわからない」という声はよく聞かれます。
そこで今回の教育トピックでは、令和4年12月に文部科学省から速報として出された「児童生徒の情報活用能力調査」の結果をもとに、パソコンの基本的な操作や文字入力、プログラミング、情報モラルといったスキルを実際にどれくらいマスターしているのかを探っていきます。
小学生・中学生のITスキルはどれくらい?「情報活用能力調査」とは
情報活用能力調査とは、子どもたちが情報活用能力をどの程度、身につけているかを測定することを目的とした調査情報活用能力とは、コンピュータの基本的な操作や、プログラミング的思考、情報モラルといったことです。
引用:児童生徒の情報活用能力の把握に関する調査研究 【情報活用能力調査(令和3年度実施) 】~速報結果~(文部科学省)
調査では、小学校5年生を対象(他に中学・高校生も含まれる)に、キーボードによる文字入力課題、問題調査、質問調査を実施(CBT:コンピュータを使用したテスト形式)しました。
- キーボードによる文字入力(文章入力課題3分)
- 調査問題(30分×2)
- 質問
結果は、レベル1からレベル9にまで分かれています。
レベル1は、ドラッグ&ドロップなど簡単なコンピュータの操作ができ、IDやパスワードの重要性を理解し、簡単なグラフや表から情報の読み取りができる、としています。
もっとも高いレベル9では、アプリケーション・システム・デジタルの特徴を理解し、他人の主張に関する根拠を見つけることができ、反復処理を含むプログラムの実行結果を想定しながら修正できる、さらに、不適切な情報を受信せずに、個人情報や著作権を保護しながら発信できる、となっています。
9段階のレベルは次の4つに大別され、分析しています。
① 基本的な操作
② 問題解決・探求における情報活用
③ プログラミング
④ 情報モラル・セキュリティ
これから、速報で公開された調査問題例を取り上げながら、詳しく解説します。
参考:児童生徒の情報活用能力の把握に関する調査研究 【情報活用能力調査(令和3年度実施) 】~速報結果~(文部科学省)
小学5年生の約4人に1人が理解しているプログラミングの分岐処理
小学生で最も多かった割合が、レベル4で、約26%でした。レベル4とは、次のようなことができると判断されています。
① 指示に従ってアプリケーションを選択し、操作できる
② 複数のページに書かれている情報を要約できる
③ 簡単な分岐処理のプログラミングができる
④ 自分の情報を守ったり、健康に留意しながら情報端末を使うことができる
Scratchを用いたプログラミング授業の実践と検証」の図版をお借りして説明しましょう。
引用:日本産業技術教育学会誌「小学校におけるScratchを用いたプログラミング授業の実践と検証」
分岐処理では、ある条件を満たすかどうかで処理の流れが変わります。わかりやすく言うと、
・もしスプライト(上の図では猫)がボールに触れたなら→音がなる
条件を満たせば命令ブロックが実行され、条件が満たされない(この場合だと、ボールに触れない)と、命令は実行されません。これが分岐の仕組みです。
というようなことを、理解できているかどうかが調査の問題で問われているわけです。Scratchやビジュアルプログラミングなどを体験しているとわかりやすいですし、感覚的にわかっているお子さまもいるようですが、一方で「さっぱりわからない!」と混乱する子も少なくないでしょう。
小学校でどのような授業を受けているかにもよります。いずれにしても、こうして見ると「25%の小学5年生は、ある程度の量がある情報を要約できたり、分岐処理のプログラミングをおおむね理解できるレベル」に達していることがわかります。
小学生の子を持つ親の反応は?
小学生のお子さんを持つママたちにこの話をしたところ、多くの方は
「え~、そんなのウチの子できるのかな?」
「学校で分岐なんたらとかいうプログラミングなんてやってたっけ?」
「タブレットは調べ物にしか使ってない感じだけどなぁ」
みたいな反応でした。一方で、調査結果の文章こそ少々難解に見えるものの、
「ちょっと考えたらわかりそう。理科の問題解いてる感じじゃない?」
「タブレットでアレコレやったり、家のパソコンもいじったりしてるから、フォルダとかもわかってると思う」
という感想もありました。
小学生の「情報能力」を計る問題と解答例
では、実際にどんな問題をどれくらい解いているのかを見ていきましょう
プログラミングのフローチャート問題
問題 |
明るさセンサーとは、周りの明るさを測る機械です。聡太さんは「明るさセンサー」を使って、周りが暗くなったらライトが光る」プログラムを作ることにしました。図のAとBの空欄に入る言葉として最も適したカードをドラッグし、このプログラムを完成させなさい。 |
問題は、プログラムのフローチャートを完成させることができるかを問うています。
さて、この調査はパソコンによって問題が提示され、パソコン上で答えを入力します。つまり、まずこの問題を解答するためには、正解と思ったカードをマウスによってドラッグして、空欄にあてはめることが必要なわけです。
なおかつ、明るさセンサーが周りの明るさを感知し、暗いときには「A:ライトが光る」そして明るいときには「B:ライトが消える」を選ばなくてはなりません。
ちなみに、正答率は小学生は41.3%です。
児童生徒ごとに異なる問題セットを出しているそうなので、全員の正答率ではありません。しかし、似たような問題が出ているわけですから、半数とは言わないまでも、4割の小学5年生が上記の問題における「答えがわかり、マウスの操作ができる」わけです。
フォルダ構成の問題
問題 |
旅行の時に撮影した集合写真を「デスクトップ」の「写真」フォルダ内の「旅行」のフォルダに入れましょう。解答欄を操作して、保存先のフォルダを開きなさい(指示どおりのフォルダを開き、進むを押す) |
ここでは、デスクトップの画面から写真フォルダをクリックして開き、その中にある旅行フォルダをクリックして開いて、「進む」を押すと正解になります。
この正答率は小学5年生で51.5%です。つまり約半数の子が、フォルダの使い方をある程度は理解していることになりますね。
キーボードによる文字入力
1分間で、ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベットの組み合わせによる文字をどれだけ入力できるかの調査結果です。平均は小学校では約16文字、5文字未満の子も15%以上います。
漢字とアルファベットも混じっているので、けっこう難易度は高いと思いますが、キーボード入力に慣れていない子どもが多いのかなという印象です。
うちの次男もキーボードよりスマホのフリップ入力のほうがよほど早いですからね~。ただ、高校生や大学生になってパソコンでレポートなどを作るようになると自然と慣れて、ある程度のスピードにはなるみたいです。
とはいえ、実際には小学校でタイピングを習うための授業時間は継続的に確保されていませんし、それ以前にパソコンを扱う時間も多くはありません。タイピングはいずれ自ら慣れて使えるようになるとは思いますが、小学生のうちからゲーム感覚でタイピングのトレーニングをしておくと後がラクになりそうですね。
そもそも「情報」ってなに?
ママたちと話している時に気づいたことがあります。
多くの保護者は、プログラミングを学ぶことは知っている、社会や理科の授業でもタブレットを使っているし、インターネットの使い方やSNSのルールなどを教わっていることも知ってはいます。
でも、小学校で行っている、こうした授業をひっくるめて「情報教育」としていることや、中学では技術科で「情報」を学ぶこと、高校では情報Ⅰが必履修科目(高校を卒業するのに必須の科目)であること、さらには大学共通テストでも「情報」が新設されることについては、知らない方が少なくありません。
上にお子さんがいる場合は、高校や大学も視野に入ってくるので「情報」に関する知識をある程度は持っているのですが、そうでない場合には「情報」という、くくりを知らない方もいらっしゃるでしょう。
先生によっては、あるいは学校によっては、「タブレットでこんな授業をしましたよ。これは情報教育のひとつで~~~」とお知らせしてくれるところもあります。とはいえ、保護者に丁寧に説明がある学校はそれほど多くありません。
というわけでちょっと復習しておきましょう。
小学校で推奨される「学んでおきたい情報・ITスキル」
小学校では、次のようなことを「総合学習や授業の中で慣れ親しみ、学んでくださいね」と推奨しています。
情報手段を適切に活用できるようにする
- 文章を編集したり図表を作成したりする
- 情報を収集し調べたり比較したりする
- 情報手段を使って交流する
- 調べたものをまとめたり発表したりする
基本的な操作
- キーボードによる文字入力
- 電子ファイルの保存や整理
- インターネットの閲覧やメールの送受信など基本的な操作
情報モラル
- ネットワーク上のルールやマナー
- 情報には誤ったものや危険なものがあることを知る
- 健康を害するような行動について考える
「情報」には、言葉通り「氾濫する“情報”をどう扱うか」「情報をどう活用するか」という領域と、その手段として、パソコンやインターネットといった使い方を学ぶ領域、さらに、社会生活で情報や情報発信が及ぼす影響など、いわゆる情報モラルといった領域も含まれます。これらを合わせて、すべてが「情報」なのです。
情報活用能力と言われると「なんのことやら、さっぱり」ですけれども、実はスマホでインターネットを見たりSNSを行ったり、タブレットで書いた絵のファイルを保存したり、ちょいちょい「家でやっていること」も情報の範囲なのです。
参考:「教育の情報化に関する手引」(案)第4章 情報教育/文部科学省
「情報」の学びについて親も勉強しておきましょう!
「他の家ではどうなんだろう?」「プログラミングを習わせているのかな?」
「習わなくても平気なのかな?」
こんなことがチラッと頭をよぎることはありませんか?
本格的に科目として学ぶのは中学・高校からにしても、土台となる基本を小学校のうちに身につけておく必要があるとすれば、よくわからないだけに不安にもなります。こうした調査結果はあくまで参考ですが、いずれにしても「情報」はお子さまが今後、かならず学ぶ科目のひとつです。
学校からのお便りや、先生からのお話で
- ICT教育
- GIGAスクール構想
- プログラミング
- 情報
コエテコには簡単でわかりやすい解説がたくさん載っています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
2020年から小学生でプログラミング教育が必修化されることになりました。プログラミング教育は本当に必要なのでしょうか?なぜ必修化されることになったのでしょうか?プログラミング教育の目的や、それによりどんな効果が期待されるのでしょうか?それを一つずつ解説していきたいと思います。
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