そんな中、高校・大学受験では、「情報」の知識がますます重要視されるように。では、いったい、中学時代にはどれくらいの「情報」を学ぶべきなのでしょうか?
この記事では、高校・大学受験に役立つ「情報」の基礎知識や、中高生向けのアプリやスクールについてご紹介します。
そもそも「情報」って何を学ぶ、どんな科目なの?
「情報」の授業では、コンピュータやインターネットの仕組み、プログラミング、データの扱い方などを学びます。
単にパソコン操作だけでなく、情報収集・分析、問題解決、そして創造的な活動を通して、これからの社会で活躍するために必要な思考力や表現力を養います。
たとえば、プログラミングでゲームを作ったり、データを分析してグラフを作ったり、プレゼンテーションで自分の考えを発表したりします。
なぜ「情報」の学習が重要なのか?
「情報」の学習が重要な理由は、大きく分けて以下の3つにまとめられます。
1. 社会の変化に対応するため
- 社会のあらゆる場面でITが活用されるようになり、情報リテラシーが必須。
- 膨大な情報の中から必要な情報を的確に探し出し、活用する力が求められる。
2. 大学受験対策として
- 共通テストへ情報Ⅰが導入されることにより、プログラミングやデータ分析に関する問題が出題される可能性が高い。
- 学校推薦型・総合選抜型入試が増加し、情報で学ぶ知識やスキルが活かされる。
3. 将来のキャリア形成のために
- ビジネス、研究、クリエイティブなど、どんな分野でもITスキルは役立つ。
- 情報を分析し、課題解決に繋げる能力は、仕事をする上でも不可欠。
- いずれ(すでに!?)就職においても最低限のITスキルは必須となる
まとめると、「情報」の学習は、単に受験勉強のためだけでなく、将来、どんな仕事をするにしても役立つ、一生もののスキルを身につけることにつながるのです。
大学受験5割が「推薦・総合型選抜」入試!情報の重要性について
引用:大学入学者選抜の自体の把握及び分析等に関する調査研究/文部科学省最近の大学受験では、一般入試の割合が減少し、学校推薦型(指定校推薦など)と総合型選抜(旧AO入試)の割合が増加しています。
文部科学省の調査によると、一般選抜が約49%で、総合型選抜と学校推薦型選抜は合わせて51%にのぼります。つまり、わが子が大学受験をする時には、2人に1人は、推薦か総合型選抜での入試形式で受験することが考えられます。
「情報」の学習が、大学受験の学校推薦型や総合選抜型入試において重要視されているのは、現代社会がますますデジタル化し、ITスキルが不可欠になっているからです。
しかし、総合選抜型では必ずしも、評定平均が必要とはされていません。評定平均が高いにこしたことはありませんが、大学や学部によっては、それ以上に本人の意志や大学が求める人材であるかどうかを重視します。
そこで、情報での学びが重要になってきます。
情報で得られる知識とスキルが総合選抜型入試で強みを発揮する!
問題解決能力の高さ
情報収集力、分析力、そして得られた情報をもとに課題解決に繋げる能力が求められます。これは、プログラミングやデータ分析といった「情報」の学習を通じて養われる力です。論理的思考力
情報を整理し、論理的に考える力は、小論文や面接で高い評価を得ることができます。プログラミング学習は、特に論理的思考力の育成に効果的です。コミュニケーション能力
プレゼンテーションやグループワークを通して、自分の考えを相手にわかりやすく伝えたり、意見交換をしたりする能力も重要視されます。総合選抜型入試や学校推薦型入試では、ディスカッションやグループ面接なども多く行われています。主体性と探究心
自ら進んで新しい知識や技術を学び、課題に取り組む姿勢は、大学で学ぶ上で不可欠です。なんとなくはわかったけど…、学校推薦型や総合選抜型入試でこれらの力が求められるの?
情報スキルは、これからの社会で活躍するために不可欠な力であり、大学で学ぶ上で大きなアドバンテージとなるため、評価される可能性が高いといえます。
要するに大学受験まで見据えた時、しっかり情報を学んでおくと入試でも役立つよ、ってことですね。
小学校から中学校の情報教育
「コンピュータの基本的な操作」や「情報モラル」「情報手段を適切に活用できるようにするための学習活動」を通して身に付けた知識・技能といった小学校段階の基礎の上に,中学校段階では,発達の段階に応じた「情報モラルを身に付け」るとともに,「情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動」を行う。中学校の情報教育は,高等学校の情報教育へと引き継がれていくことになる。(全文より一部抜粋)ざっくりまとめると、小学校では、パソコンの使い方に慣れ親しみ、中学ではそこから発展して「活用できる能力」を伸ばすとなっています。中学では、より具体的な知識とスキルを学びます。
出典:「教育の情報化に関する手引」/文部科学省
2024年現在、中学校の「情報」は独立した科目ではなく、技術・家庭科の「技術分野」の一部として学習されています。具体的には、技術・家庭科の「情報の技術」という単元で扱われています。
中学生が学ぶ情報の内容とは
技術・家庭科の技術分野における「情報」の具体的な内容は以下のようになっています
項目 | 学習内容 |
プログラミングの基礎 | プログラミングの基本的概念を学ぶ 簡単なプログラムの作成を通じて論理的思考を養う |
情報通信ネットワークの仕組み | インターネットの基本的な仕組みを理解する 情報セキュリティの重要性を学ぶ |
情報モラルと情報セキュリティ | 著作権や個人情報保護についてまなぶ 情報社会での適切な行動について考える |
データの活用 | データの収集・分析・可視化の基礎を学ぶ 統計的な考え方の基礎を身につける |
情報技術の活用 | 問題解決のために情報技術を活用する方法を学ぶ 身近な生活での情報技術の応用例を理解する |
計測・制御のプログラミング | センサーなどを用いた簡単な制御プログラムを作成する |
えっ?こんなに学ぶの?
中学の間に「ここまでは必ず学んでおきたい」情報・プログラミングの知識とスキル
中学校の技術・家庭科の授業時間は限られており、中学1年と2年で週2時間、3年で週1時間程度となっています。そのうち「技術」分野はその半分の時間しかないため、十分な時間が確保できていない可能性があります。
とにかく中学の間に「ここまでは学んでおきたい」情報・プログラミングに関する知識とスキルをまとめてみました。
①基本的なコンピュータ操作
- キーボード入力(タッチタイピング)
- ファイル管理の基本(保存、コピー、移動、削除)
- 基本的なソフトウェアの操作(ワープロ、表計算、プレゼンテーションツール)
出典:令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果/こども家庭庁
パソコンを立ち上げて入力するとかWordを使うとか、普通にできそうと思ったかもしれません。しかし、今の中学生はスマホで何でもこなせるため、実はキーボード入力ができないとか、基本的なパソコンのスキルを知らない子もいます。
上記調査を見ると、ネットを見る子はほぼ100%ですが、中高生ではスマホ率が高いことがわかります。パソコンは学校などで少し使ったことがあるだけ、という10代は少なくありません。
②インターネットの基本
- ウェブブラウザの使用方法
- 検索エンジンの効果的な利用法
- 情報の信頼性の判断
③情報モラルと情報セキュリティの基礎
- 個人情報保護の重要性
- SNSの適切な利用
- パスワード管理の基本
④プログラミングの基礎
- アルゴリズムの基本概念
- 簡単なプログラミング言語(例:Scratch)での経験
⑤デジタル情報の特性を理解する
- デジタルデータの特徴(複製のしやすさ、編集のしやすさなど)
できれば中学時代に学んでおきたい知識とスキル
①データ分析の基礎- 基本的な統計概念(平均、中央値、最頻値など)
- グラフ作成と読み取り
- LANとWANの違い
- IPアドレスの基本的な理解
- 効果的なプレゼンテーション作成
- インフォグラフィックスの基本
→情報Ⅰの「情報デザイン」にも出てくる。情報を整理し、わかりやすい画像や表などにすること。
- クラウドストレージの使用方法
- オンライン共同作業ツールの基本
- AIの基本的な概念理解
- 身近なAI活用例の認識
- デジタルデバイドの概念
- 情報技術が社会に与える影響の考察
ずら〜っと書かれているけど、親としては『なにコレ、よくわからん』みたいなの、ありませんか?
なにしろ親世代は「情報」も「プログラミング」も科目として習ったことがないのですから、しかたありません。親も一緒に学ぶつもりで、中学の技術教科書をちょっとのぞいて、どんなことをやるのか知っておくといいと思います!
中学で「情報」をきちんと学んでおくことがなぜ重要なのか?
基礎の基礎を学ぶ中学校の情報教育は、高校の必修科目「情報I」の土台となります。この基礎がしっかりしていないと、高校での学習に支障をきたす可能性があります。
大学入試への影響については前述していますが、2025年度から大学入学共通テストに「情報I」が加わります。中学校での情報教育は、この試験に向けた長期的な準備の始まりなんですよ!
小学校、中学校、高校と連続した情報教育を受けることで、段階的・体系的に知識やスキルを積み上げることができます。中学校での学びは、この連続性の中で、特に「情報の基礎的な知識とスキル」を得る、重要な位置を占めています。
つまり、中学生の時期に適切な情報教育を受けることは、とても大切なのです!
学校の授業で学びきれないなら、自分で学ぶしかない!
残念ながら中学校での情報の学びが十分でないとしたら、大学受験だけでなく、将来も見据えて、情報を学べる環境を作ってあげたいですね。小学校でロボットやプログラミングのワークショップに参加した子も、中学入学前にやめてしまうことが多いようです。
しかし、本当に必要なのは、中学から高校にかけて情報を系統立ててしっかりと学ぶことです。
最後に、中学生が学べるプログラミングスクールやオンライン講座、また独学でも学べるアプリをご紹介します。
部活や高校受験で多忙かもしれませんが、中学生のうちにスキマ時間で学べるオンラインスクールや、夏休みなどを利用してITキャンプに参加する、あるいは関心のあるお子さまならアプリを活用して学ぶことも可能です。
ぜひ、参考にしてくださいね。
中学生向け「情報」が学べるプログラミングスクール・オンライン講座・アプリ
名前 | 種類 | 学べる情報の内容 | 特徴 |
Life is Tech! | スクール オンライン |
アプリ開発 Web制作 情報デザインなど |
中高生特化型のスクール 長期休暇を利用した集中講座も開催 |
HALLO | スクール | プログラミング思考 情報セキュリティ AIなど |
個別指導制で、実践的なプロジェクト学習 情報Ⅰで学ぶ内容を先取り学習 |
ロボット科学教育 Crefus(クレファス) |
スクール オンライン |
プログラミング基礎 Web開発 |
ロボット×プログラミング×理数系教育 情報Ⅰに結びつく思考力を伸ばす |
テックキッズスクール | スクール | プログラミング基礎 アルゴリズム 情報モラル |
「情報Ⅰ」のプログラミングに関する 範囲への対応を目指した資格試験 「プログラミング能力検定」の検定会場 |
CodeCampYOUTH | オンライン | Python ゲーム・アプリ開発 AI・データ分析 |
中高生に特化 現役エンジニア講師による 月3回のオンライングループ学習 |
N Code Labo | スクール | 情報理論 ネットワーク データ構造 |
大学受験を見据えた情報科目対策 個別指導形式 |
Code of Genius | オンライン | プログラミング ICT技術 創造性 |
中高生に特化 情報Ⅰ共通テスト対策講座あり |
Z会プログラミング 中学技術活用力講座 |
オンライン講座 | プログラミング Web制作 データ解析 |
Z会プログラミングシリーズ 入試を見据えた「情報」の内容を基礎から学べる 基盤とキーボードが一体になったコンピュータ 「Raspberry Piラズベリー パイ 400」を使用 |
個別指導スクールIE 情報Ⅰコース |
アプリ | 論理演算子・変数・関数など プログラミングスキル 情報科目を網羅 |
スクールIE×Preferred Networks社による 情報科目に特化した教材を使用 演習問題やドリルが充実 |
Progate | アプリ | プログラミング | スマホで気軽にプログラミング体験 社会人向けだが中学生でも十分に使用できる 中学校など教育機関向けのコースあり |
CodeCombat | アプリ | プログラミング基礎 アルゴリズム思考 |
ゲーム形式で学べる 英語×プログラミングで学生にぴったり 情報Ⅰで学ぶプログラミング言語の習得 |
どういうこと?情報をきちんと学んでおかないと、推薦とか総合選抜の枠がもらえないの!?