またeラーニングの需要の高まりを受け、自身の講座をオンライン上で販売するビジネスも急速に拡大しつつあります。
eラーニング学習を提供するには様々な方法がありますが、最近ではeラーニング学習やeラーニングの講座を運営するにあたり、多くの現場でLMS(ラーニングマネジメントシステム)が導入されています。
しかしLMSには様々なサービスが展開されており、どの立場からeラーニングを提供するのかによっても利用すべきサービスやツールは異なります。
そこで今回は、eラーニングを始めるにあたり知っておきたいLMSを選ぶポイントや「学校・企業向け」と「スクール・講師向け」のそれぞれの利用目的別に必要な機能、目的にマッチしたシステムをご紹介します。
LMS(ラーニングマネジメントシステム)とは
LMS(ラーニングマネジメントシステム)とは、インターネットを通じてeラーニングを実施するにあたり必要になる受講者・成績の管理や教材の配信を行う“学習管理システム”のことを指します。LMSには講師・教員に向けた講座管理機能と、学習者が学習を行う受講機能の2つが備わっています。
インターネットが普及する前はDVDやCDなどを活用したeラーニングが主流でした。しかし講師・教員側が受講者データや学習進捗を管理できない、一度DVDやCDを配布してしまうと情報のアップデートが難しいという課題がありました。
その点LMSは、講座運営に必要な受講者管理・講座作成・メール配信機能などが一元集約されており、LMS1つだけでeラーニング学習をスピーディーに管理・運営できるようになりました。
また学習者側もインターネットとパソコン・スマートフォンなどの端末があれば、いつでもどこでも最新の情報に更新されたeラーニングに取り組むことができ学びを深められるようになりました。
LMSを選ぶポイント
LMSは国内サービスはもちろん、世界中でも多くのサービスが展開されています。LMSを選ぶにあたり、意識したいポイントは次の6つ。
- 料金
- 教材作成は可能か
- 対応デバイスは何か
- 目的・用途に合った機能があるか?カスタマイズが必要な場合、対応可能か
- セキュリティは十分か
- サポートは充実しているか
本項目では、各ポイントについて1つずつ解説いたします。
料金
LMSの料金はシステムごとに大きくことなります。料金を比較する際は、まず次の3つの費用を確認しましょう。
- 登録費用(初期費用)
- 各プランの月額費用
- 取引手数料
LMSによって管理にかかる月額費用や、講座販売を行う時は売上に応じて取引手数料が発生することもあります。
月額費用プランがいくつか用意されている場合、機能制限やアカウント数に応じて料金が異なります。
利用目的に対して適切な費用対効果が見込めるのか、多角的に比較・検討しましょう。
教材作成は可能か
LMSを選ぶ際は、オリジナル教材をいかに簡単に作成できるのか、スムーズに展開できるのかを比較することも大切です。既存の動画教材やPDF資料をアップロードできるのか、アンケートやテストなどを作成・回答・データ化管理できるのかなどもチェックしておきたいポイントです。
また機能性が長けていたとしても動作が遅い・展開までの作業が煩雑な場合、使い勝手が悪いと感じるケースもあります。導入前に口コミや無料体験期間などを通じて操作性を確認しておくと良いでしょう。
デバイスはマルチ対応か
近年はパソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットを使って講座を受講する学習者も増えています。ニーズの高まりを鑑み、スマートフォンやタブレット対応は必須と言えるでしょう。目的・用途に合った機能の有無
LMSにはオンライン講座開設にあたり、必要な機能はほぼ全て備わっています。しかし「どこまで細かくカスタマイズできるのか」「どこまで受講者の情報を取り込めるのか」など、同じ機能でも粒度が異なるケースもあります。LMSを選ぶ際は導入後に機能不足に困ることがないよう、目的・用途にあった機能があるかどうか、どこまで柔軟に操作できるのかを確認しておくことが肝要です。
セキュリティは十分か
LMSは受講者の個人情報などセキュアな情報を扱うツールです。セキュリティ個人情報保護についての規約が設定されているのか、情報セキュリティマネジメントシステムを取得しているのかなどセキュリティ対策について十分な措置・対応を行っているのかもシステムを比較する上で重要なポイントです。
サポートはあるか?
ストレスのないスムーズなオンライン講座運営・eラーニング提供を叶えるためには、サポート体制の充実にも注目しましょう。トラブル解決に向けてすぐに回答が得られるのかを確認することはもちろん、海外サービスの場合は日本語でのサポートにも対応しているのか確認しておくと安心です。
学校・企業向けeラーニングシステムに必要な機能
LMSはeラーニングを実施するための学習管理システムですが、利用目的に応じて必要になる機能は異なります。本項目では、学校・企業が生徒・従業員のeラーニングを管理する目的のもと導入する場合、必要になる機能をご紹介します。
- オリジナルeラーニング教材・テストの作成・配信機能
- 学習者の学習履歴の蓄積(成績管理)機能
- テスト(課題)・アンケート提出機能
- テスト(課題)へのフィールドバック機能
- 学習者へのメール配信機能
- オンライン掲示板(オンライン連絡帳・おしらせ)機能 など
全ての機能を備えている必要はありませんが、導入の際はeラーニングを実施する目的に応じて必要な機能が備わっているか確認しておきましょう。
学校・企業向けeラーニングシステム
学校・企業向けの主なeラーニングシステムは、下記の通りです。Google Classroom
Google Classroomは、Google社が提供している教育機関に向けて制作した学習管理システムです。「Google Apps for Education」の1つに含まれ、Googleアカウントを持っていれば、誰でも運用を始められます。
Google Classroomを用いると、講師・教員側は課題の作成・配付から回収後の採点・フィードバックまで対応が可能です。また生徒に対しメッセージを送付することも可能です。
生徒・学習者側は、課題の提出・成績の確認・掲示板の閲覧などができます。
課題の提出や成績を一元管理できるだけではなく、講義に使用する資料などもGoogle Classroomを通じて配布・管理・回収ができるため、教員・生徒双方ともに資料や課題の管理が簡易になるメリットがあります。
またMeetと併用することで手軽にオンライン授業も行うこともできます。
これまでの学習フローを維持したまま、教員・講師の業務効率化や学習の高度化を図れるシステムです。
Microsoft Teams
Microsoft Teamsはマイクロソフト社が提供するMicrosoft 365アプリケーションに含まれるシステムの1つです。チャットや通話機能をメインに、ビデオ会議機能・ファイル共有機能を有しています。
教育現場やオフィスではSlackやLINE WORKSなどのコミュニケーションツールとして用いるケースが多いようです。
Microsoftアカウントがあれば無料で利用でき、他のOfficeアプリとの連動も可能です。
ビデオ会議は、最大1,000人が同時接続できます。また10,000人が参加できるオンライン講座やイベントを開催することも可能です。
そのため、学校の授業や企業のセミナーなどでも活用されることもあります。
スクール・講師向けeラーニングシステムに必要な機能
続けて企業がオンラインスクールを開講する場合や、講師やクリエイターがオンライン講座を販売することを目的に、LMSの導入を検討する際に、必要になる機能をご紹介します。- オリジナル講座作成機能
- 受講者管理機能
- 決済機能
- 販売ページ(ランディングページ)作成機能
- 宣伝集客機能
- メール配信機能
- 割引・サブスク販売などのオプション機能
- アンケート機能 など
講座の販売を目的にする場合、オリジナル講座を作成する機能は必須です。
また販売ページ(ランディングページ)作成機能・宣伝集客機能・割引・サブスク販売などのオプション機能など、オンライン講座を販売する上で導線を作れる機能・売上に繋がる機能が備わっていることもシステムを選ぶ上で注目したいポイントです。
eラーニングシステムを用いる目的から、運営に必要な機能が備わっているか細かくチェックしましょう。
スクール・講師向けeラーニングシステム
最後にスクール・講師向けeラーニングシステムをご紹介します。コエテコカレッジ
コエテコカレッジは、GMOメディア株式会社が運営する国内eラーニングシステムです。
オンライン講座運営に必要な機能が備わっているだけではなく、スマートフォンファーストの設計となっており、スマートフォン1つで講座を開設・運用できます。
また作成する講座は、目的に合わせて『有料/無料』『単発/連続』『オープン/限定』を選択できます。柔軟性が高く、講座開設・運用までのプロセスも簡単なため、初めてeラーニングシステムを利用する人でもスムーズに始められるでしょう。
コエテコカレッジの料金プランは、『シングルフリー』『ベーシック』『プロ』の3種類。
プランに応じて下記機能の作成可能数や利用可能機能、決済手数料が変動します。
- ライブ講座
- 動画講座
- 無料講座
- クーポン
- 特別ページ作成
- アンケート作成
- 管理者数
Teachable
Teachableは、世界2万人の講師が利用するアメリカ発のeラーニングシステムです。
世界で展開されているeラーニングシステムの中では老舗の部類に入るため、信頼度や登録者数も他のシステムと比較して群を抜いています。
対応言語は英語のみとなりますが、日本でも知名度が高いため、インターネットなどで検索すればhow-to記事も多く見つかります。
感覚で設定できるシンプルな仕様になっているだけではなく、チュートリアル動画も用意されているため、独学でも調べ込めば適切な運用を始められるでしょう。
Teachableには『Free』『Basic』『Pro』『Business』の4つのプランが用意されており、プランごとに使える機能・制限・取引手数料が異なります。オンライン講座の内容・利用目的・規模に応じて選択しましょう。
KAJABI
KAJABIもアメリカ発のオンライン講座を運営するためのプラットフォームです。
Teachableと並び海外サービスの中では、知名度の高いサービスの1つです。
オンライン講座を開設・販売するために必要な機能やツールが備わっているため、導入直後からすぐにオンライン講座販売に向けて動き出すことができます。
KAJABIのプランは『Basic』『Growth』『Pro』の3種類です。
無料プランはないものの、全てのプラン月額費のみで利用ができます。
販売手数料がかからないため、講座の売り上げは全て利益になります。
また28日間無料で使える期間が用意されているため、理想とする運営が実現しそうにない場合は全額返金してもらうこともできます。
月額利用料が他の国内・海外サービスと比較しても割高ではありますが、あったら嬉しい機能が多く備わっており販売手数料も無料です。
さらに手厚いカスタマーサポートが運営をサポートしてくれるため、目的にマッチするのであれば導入を検討して頂きたいサービスです。
LMSを選ぶポイント 目的別必要機能&システム紹介 まとめ
今回はeラーニングを始めるにあたり、『学校・企業向け』と『スクール・講師向け』の2つの立場から必要な機能や有用性の高いシステムをご紹介しました。一口にeラーニングを開始・運用するシステムと言っても立場や目的によってパフォーマンスを発揮するシステムは異なります。
目的に沿ったeラーニングを開始できるよう、必要とされる機能や料金から適切なサービスを選びましょう!