そこでこの記事では、起業に関する悩み事を相談できる無料の窓口6選について、その特徴と併せてご紹介していきます。せっかくの相談する機会を実りあるものにするためには、事前の準備も重要です。起業相談前に準備しておきたいこともまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
無料で起業相談できる窓口の種類とその特徴
早速、無料で起業相談ができる窓口全7選について、それぞれの特徴と共に解説していきます。起業には多かれ少なかれお金が必要不可欠ですので、準備段階ではできる限り出費を抑えておきたいところ。費用をかけずともしっかり悩みを解決してくれる環境が整っていますので、一人で抱え込まずぜひ積極的に活用していきましょう。- 税務署
- 日本政策金融公庫
- 商工会・商工会議所
- 中小企業基盤整備機構
- よろず支援拠点
- ワンストップ相談窓口Plus One
- 経営者同士のオンラインコミュニティ【どうだい?】
税務署
税務署は、その名の通り税に関する正確かつ専門的な情報を提供してもらえる相談窓口です。特に、新しいビジネスを始めた際の確定申告や記帳に関する基本的な知識を得るのに適しています。開業届の提出先が税務署となっていることもあり、起業・開業に必要な各種手続きについて不安な場合も、税務署が力になってくれるでしょう。お住まいの地域に設置された税務署に直接足を運ぶことはもちろん、チャットボットや電話相談センターを使えば自宅からでも気軽に相談が可能です。なお確定申告シーズンの2月~3月は窓口が混みあうことが予想されるため、可能な限りその時期は外して相談するといいですね。
参考:国税庁公式サイト|税についての相談窓口
日本政策金融公庫
「日本政策金融公庫」は国が出資する政策金融機関で、起業に必要な資金調達のサポートや、新規事業・スタートアップの支援を行う窓口です。万が一返済できなくなったときのリスクが抑えられる「無担保・無保証」の融資制度があるなど、起業家にとって有利な条件で貸し付けを行なってもらえます。資金面のサポートはもちろん、起業(創業)を手厚くサポートする窓口を複数用意しているのも魅力。
- 専門家(中小企業診断士など)に直接質問できる店舗窓口「ビジネスサポートプラザ」(東京・名古屋・大阪)
- 創業計画書の立て方や融資について相談できる店舗窓口「創業サポートデスク」(全国152箇所)
- 困りごとをざっくばらんに話せる電話窓口「創業ホットライン」
創業者向けのメールマガジンやコラムなども用意されているので、悩んだら日本政策金融公庫公式サイト「公庫の創業支援メニュー」に目を通してみるといいでしょう。
商工会・商工会議所
地域の産業振興を目的とする非営利団体「商工会・商工会議所」でも、起業手続きや資金面に関する相談に乗ってもらうことができます。市町村単位で設置されているため地元の経済情報に強く、地域密着型のビジネスを考えている方には特に適した窓口と言えるでしょう。セミナーや研修会などが開かれていることも多いので、ネットワーキング(人脈形成)の場としても活用できます。「〇〇市␣商工会議所」「△△町(村)␣商工会」等で検索すれば、お住まいの地域の商工会・商工会議所が見つかるはず。
中小企業基盤整備機構
中小企業基盤整備機構(中小機構)は、経営に関する幅広い支援を提供してくれる国家機関です。起業初期はもちろん成長期~成熟期に至るまで、長期にわたってサポートしてくれます。AIを活用した対話型自動応答サービス「起業ライダーマモル」へ相談したり、スタートアップ挑戦支援事業として展開されるWeb相談サポート(Zoom)を利用したりすることで、起業に関する諸々の不安をどんどん解消できるはず。そのほかにも、起業に関するオンラインワークショップやセミナーも主催しており、起業家仲間や相談相手を見つけるのにももってこいの相談窓口となっています。もし近くに中小機構の窓口がない場合には、後述する「よろず支援拠点」をはじめとする各地の提携機関へ足を運んでみるといいですね。
参考:中小企業基盤整備機構(中小機構)公式サイト
よろず支援拠点
よろず支援拠点は、中小企業や小規模事業者の悩みに寄り添うために、国が全国に設置した経営相談所です。「中小企業の経営者を『一人にしない』相談所」をモットーとしており、相談者の満足度は常に8割超。一人ひとりのビジネスモデルや経営課題に合わせて、専門スタッフが 親身になってアドバイスを提供してくれます。相談は、全国各地の支援拠点へ電話・メール・FAX等で予約することにより実施可能です。相談事への解決策を提示するだけでなく、その後のフォローアップまで対応してもらえるので「一人じゃない」という安心感を得ながら事業に取り組んでいけるでしょう。
参考:よろず支援拠点公式サイト
ワンストップ相談窓口Plus One
政府系16機関が起業家・スタートアップ支援を目的に創設したプラットフォーム「Plus(Platform for unified support for startups)」の一環として設置されているのが、この「ワンストップ相談窓口Plus One」です。公式サイト「StarT!Ps from NEDO」の相談窓口から問い合わせることで、Plus参加機関が提供する各種支援制度の中からあなたに合う制度をピンポイントで紹介してもらうことができます。「起業について誰に相談したらいいのか分からない」という人はもちろん、いろいろな支援制度がありすぎて「どれが自分に合っているの?」と決めあぐねている人は、ぜひPlus Oneを活用してみましょう。文字通り「ワンストップ」で、悩み解消の糸口を見つけることができるはずです。
経営者同士のオンラインコミュニティ【どうだい?】
「経営者同士のオンラインコミュニティ【どうだい?】」は、経営の相談や情報共有ができる、経営者の「⽣の声」が集まったコミュニティです。悩みを匿名やニックネームで投稿することが可能で、その投稿には同じ境遇の経営者からコメントをもらうことができます。フリーワードで全国の社長を検索することもでき、つながりたい社長と直接話せるダイレクトメッセージ機能や、厳選された支援サービスなど、会社経営についての悩みを解決するために活用できる機能が用意されています。メールアドレスの登録をすれば無料で参加できるので、一度見てみるといいでしょう。
起業相談する前に準備しておきたいこと3選
起業に向けて相談をする際には、適切な準備が成功の鍵となります。せっかく優秀な相談窓口があっても、行き当たりばったりでは十分に恩恵を受けることができません。ここでは、各種窓口へ起業相談に行くことを決めた場合に、あらかじめ準備しておきたいポイントを3つご紹介します。- 起業する目的・目標を明確にする
- 事業計画(ビジネスプラン)を練る
- 資金計画を立てる
起業する目的・目標を明確にする
起業の動機や期待する成果は個々で異なりますが、いずれにしても成功を収めるためには「自身が何を目指して起業するのか」といった具体的なビジョンを持つことが非常に重要です。事業を始める前に目的・目標を明らかにし、それを達成するためには何が足りないのかをまとめておくことで、窓口での相談をより有意義なものにできるでしょう。事業計画(ビジネスプラン)を練る
事業を進めるうえでの拠り所としてはもちろん、対外的な信頼を得るための文書としても「事業計画書(ビジネスプラン)」はぜひ作成しておきたいところ。経営理念・市場分析・競合調査、商品・サービスの差別化ポイント、マーケティング戦略、収益モデル等々…盛り込みたい内容はさまざまですが、この計画が明確であればあるほど、迷い・淀みなく事業を推進していきやすくなります。とはいえ、起業したての人が一から完璧な事業計画を考案することは決して簡単ではありません。起業相談の各窓口の中には、事業計画立案からサポートしてくれるところも少なくないので、上手く思いつかない場合には専門家と一緒に検討してみるのもいいでしょう。
資金計画を立てる
事業の運営には十分な資金が必要不可欠。「いざ起業したものの、資金不足で立ちいかなくなってしまった…」なんてことが起こらないよう、適切な資金計画も欠かせません。起業初期に必要な初期投資額の見積・運転資金の計画・将来の資金調達戦略等、事業を維持・拡大していくための財務戦略を練ってみて、不安に感じる点がないか確認してみましょう。先述した事業計画と同様、資金計画についても各種起業相談窓口で相談が可能です。自分ではなかなか見つけられないような資金提供・融資の制度を紹介してもらえることもあるので、活用しない手はありません。
起業家の先輩やその他専門家に相談してもOK
身近に起業経験のある先輩がいるのであれば、そちらに直接相談してアドバイスをもらうのもおすすめです。「経験談」というのは何よりもためになる知識なので、これからの事業展開に活きるヒントがきっと得られるはず。また資金面に余裕があるのであれば、各分野の専門家を頼ってみてもいいでしょう。具体的には、以下のような士業が挙げられます。
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税理士
起業手続きや経理について -
弁護士
契約書類などの法務全般について -
行政書士、司法書士
会社設立の手続き・許認可などについて -
社会保険労務士
雇用手続きや社会保険などについて
これらの専門家は、起業全般に関する相談を受け付けている無料窓口よりも、さらにピンポイントかつ専門的な回答が期待できます。ただし数万〜十数万程度の費用が発生するため、特に起業初期は無理のない範囲で利用を検討するといいですね。
まとめ
当記事では「起業に関する悩み事があるのだけど、誰に相談したらいいかわからない…」と頭を抱えている人に向けて、無料で利用できる起業相談窓口6選をはじめ、相談をより充実したものにするための事前準備などについて、詳細に解説してきました。新たな雇用やイノベーションの創出が期待できるとして、国も起業家支援に積極的な昨今。気軽に起業相談をできる無料窓口は意外と多く存在しているということがお分かりいただけたでしょうか。もちろん、無料とは言いつつもサポート内容は申し分なく、中には相談後のフォローアップまで対応してくれるところも。
地方に住んでいるなどして直接窓口に赴くことが難しい場合でも、今はZoomなどのWebサービスを活用したオンライン窓口も充実しています。せっかく湧き上がった「起業したい!」という思いを無駄にしないためにも、困りごとがあったらぜひ気軽に各種窓口へ相談してみてくださいね。