オンライン教材とは、オンライン上でスキルやノウハウを世界中の人々に伝えられる動画やPDFなどの資料、音声データなどの教材のこと。オンデマンド教材やeラーニング教材という言い方をすることがありますが、web上で学ぶ教材という意味では同じ意味です。
インターネットを介して講師が学習コンテンツを提供し、受講者がいつでも好きな時に場所にもとらわれずにスキルやノウハウを学べるオンデマンド型の学習が、今や当たり前の時代となりました。
オンライン学習は、企業の研修のような大規模で行うものだけでなく、社会人のリスキル・リカレント教育や学校教育、子供向けの英語教材、個人の趣味のノウハウ習得など多岐に渡り、さまざまな場面で利用されています。
本記事では、オンライン教材を利用してスキルや技術を伝えたいと考えている人や、知見や知識の販売に繋げたいと思っている人に向けて、オンライン教材の制作から販売までの方法・流れをお伝えします。
オンライン教材の作成前に決めておくこと
オンライン教材はPCやスマートフォンがあれば作成できますが、教材をどのように活用するのか、どのように提供するのかによって押さえるべきポイントがあり、作成方法も変わるので、事前準備をしてから作成しましょう。オンライン教材をどのように活用するのか
まずはオンライン教材の活用方法、目的を定めましょう。オンライン教材を制作する目的は様々であり、次のような例が挙げられます。- コンテンツとして販売したい
- 無料で公開してSNSのフォロワーを増やしたい
- 社内の研修に使いたい
- 塾や学校などの教育機関等で学習ツールとして使いたい
- 過去に自分の講座を受講した受講者が復習できるように動画を残したい…など
これらのことは動画の撮影時等で重要なポイントとなりますので、必ず明確化しておいてください。
オンライン教材として何が必要か考える
オンライン教材を作る目的が定まった後は、目的に合わせてどのようなコンテンツが必要か考えます。動画で学ぶことがメインにはなりますが、受講者のノウハウ・スキル習得に繋がるなら、動画の他にスライドやPDF、WordやExcelのシート、Googleドキュメントやスプレッドシートなどの資料をつけることも検討してみましょう。小テストやアンケートを実施するのもおすすめです。
オンデマンド型のオンライン教材は、受講者がいつでも好きな時に学べる一方で、学習効果は受講者の取り組み姿勢によるところがあり、学習の質や効果を均一化しづらい点が挙げられます。また配信者は受講者の質疑にリアルタイムで答えられないため、不向きなジャンルや分野があることを理解した上で利用しなければなりません。
そこで、オンデマンド型の動画だけではなくオンライン講座としてリアルタイムで行うライブ形式の講座もセットにすると、双方向のコミュニケーションを図れるため、その場で質問等への受け答えができ、受講者の満足度を高めやすくなります。
予め公開・販売用に講座を録画するのが難しいようなら、ライブ形式の講座を行って受講者の同意の上で録画し、名前や顔など個人情報に配慮して動画コンテンツとして公開・販売する方法もあります。
ライブ形式の講座の録画は、講座としてただ説明しながら録画するより楽しそうな雰囲気が伝わり、臨場感があるといったメリットがあります。
オンライン教材を提供・配信する方法を考える
目的やコンテンツに合わせてどのような形式でオンライン教材を提供するか決めましょう。オンライン教材の提供方法として挙げられる主なものとしては、
- YouTubeやTikTok、SNS等にアップロードして誰でも閲覧できるようにする
- YouTubeの非公開で公開し、メールアドレスを追加し閲覧できる人を制限する
- メルマガや公式LINEで配布する
- 有料の動画公開サイトを利用する
- 会員サイトを作成し、ログインできる人だけ閲覧できる仕組みを作る
- オンライン教材が提供できるプラットフォームを利用する
オンライン教材が動画教材のみであればYouTubeやTikTok、Instagram、facebookのようなSNSのみでも可能ですが、動画の他に資料がある場合は、それらをひとまとめにして提供できるようなプラットフォームを利用すると便利です。
有料で販売するなら、決済機能があるプラットフォームを利用すると、販売側の手間が省ける以外にも、受講者が簡単に決済できる、受講者とのトラブルが避けられるといったメリットがあります。
無料で社内研修や動画学習用に公開する場合でも、見る人を制限したいならコミュニティの作成や会員サイト・スクールが作成できるプラットフォームを利用すると良いでしょう。
ライブ形式の講座を開催するなら、講座の日程をあらかじめ決めておく、もしくは受講者との調整が必要になります。事前に日程を設定する場合は、受講者が参加しやすい曜日や時間帯を意識してください。
また受講者と相談しながら日程を決める場合は受講者とやり取りする必要があるため、どのようなツールを使えばやり取りしやすくなるか考えておきましょう。
オンライン教材作成に必要な環境・機材
オンライン教材作成に必要な環境
オンライン教材作成に必要な環境は、次の2点です。- インターネット環境
- 講座を行うための場所や設備
またオンライン教材の講座内容によっては、講座を行うための場所や設備が必要になる場合もあります。例えば、料理講座の配信を検討している場合は、料理ができるスタジオ等を手配するか、自宅で撮影する場合でもキッチンをきれいにするなど事前準備が必要です。
またヨガやストレッチ等の講座の配信を検討している場合は、身体を動かせるスペースと撮影用の機材を置くスペースが必要になります。背景の映り込みや雑音が入らないかどうかもチェックしておきましょう。
オンライン教材作成に必要な機材
オンライン教材作成に必要な機材は、以下のようなものが挙げられます。- インターネット接続できるデバイス(PCやスマートフォン、タブレット端末など)
- 動画編集ソフト
- 解像度の高い外付けカメラ
- マイク付きワイヤレスイヤホンやマイク
- 照明
- 三脚やタブレット端末・スマートフォンホルダー
動画編集ソフトは無料・有料どちらもあり、初心者でも使いやすいものから高度な編集ができるものまであるので、自分の動画編集スキルと作成したい動画に合わせて選びましょう。
最近のスマートフォンやPCのカメラは性能が良く綺麗な動画撮影が可能ですが、必要に応じて解像度の高い外付けカメラを使うことも検討してください。
講座の内容を分かりやすく伝えられるような編集や解像度が高く綺麗な映像は、受講者の満足度にも直結します。
さらにパソコンから離れて作業をする場合は、マイク付きのワイヤレスイヤホンがあると重宝するでしょう。PCやスマートフォンで撮影する場合でも、マイクを使うとクリアな音で撮影でき、ノイズをカットする効果があります。
明るさが足りないと暗い印象になってしまうため、照明を使うと良いでしょう。撮影時に画面がブレる可能性があるようなら、三脚やタブレット端末・スマートフォンホルダーでカメラを固定する必要があります。
オンライン教材の作成
1)構成を考える
スキルやノウハウを的確に伝えて受講者の満足度を高めるためには、オンライン教材の構成は非常に重要です。まずはオンライン教材を用いて学習に取り組むことで「何を得られるのか」を明確にし、受講者のゴールを考えます。受講後に得られる成果をイメージさせることで、教材を継続して利用してもらえたり、本来の利用効果を期待できるでしょう。
オンライン教材を通じて伝えたい目的をゴールに置き、受講者が順を追ってスキルや知識を得られるよう構成を考えてください。
また、受講者が受講する意味を理解した上で受講しなければ、最後まで視聴してもらえず、スキルや情報が伝わりきらない懸念もあるため、最初に学習メリットを伝えておくとモチベーションの維持に繋がります。
オンライン教材を通じて得られる効果を最大限に高めるために、受講者を飽きさせない構成を意識することが肝要です。具体的な方法として、
- 動画を撮影する際に体験や演習をする時間を設定する
- 長い動画は何本かに分ける
- 小テストをして合格したら次の動画を配信する
- 動画視聴後に内容がどのくらい理解できたかアンケートを実施する
ライブ形式の講座であれば、
- 自己紹介や質疑応答の時間を設ける
- チャット機能やリアクション機能を利用して受講者の積極的な参加を促す
- ホワイトボードや画面共有等で視覚的にわかりやすく伝える
2)動画を撮影する・講座を開催する
動画の撮影では、- 個人情報や不要なものの映り込みがないか
- 背景が適切か
- 雑音が入っていないか
- 伝えたい部分がしっかり映っているか
- 画面の明るさが適切か
出来上がりのイメージを考えて撮影すると後の編集作業が行いやすくなるので、自宅で撮影する場合でも生活感のある場所ではなく、綺麗に片付けた部屋や白い壁の前、雰囲気に合うインテリアを飾るなど工夫をしましょう。
ライブ形式の講座の場合でも、自分が映っている画面の背景は綺麗に片付けるかバーチャル背景を用いることをおすすめします。
ライブ形式の講座を録画して販売する場合は、本名や顔出しNGの場合があるので、
- 参加者名をニックネームに変更
- 顔出しNGの方が発言時に画面に映らないよう参加者の画面表示を減らして講師をピンで固定する
- 参加者にアバターを使用してもらう
3)撮影した動画を編集する
動画レッスンや動画講座は、撮影してそのままアップロードするよりも、- 不要な部分はカットする
- テロップ(字幕)をつけて視覚的にもわかりやすくなるよう工夫する
- ノイズをカットする
- 画角を調整する
- カットした部分を繋ぐ
- 効果音やBGMを入れる
- エフェクトをかける …など
こちらの記事も参考に見ておくことをおすすめします。
関連記事:動画レッスンの作成は難しい?準備と手順・ポイントを詳しくご紹介!
4)適切な媒体に講座をアップロードする
無料で動画のみを公開するなら、- YouTubeやTikTok、SNS等にアップロードする
- メルマガや公式LINEの登録特典等で配布する
- 不特定多数向けではなく見る人を限定する場合はYouTubeの非公開でメールアドレスを追加する
- 有料動画公開サイトにアップロードしてリンクを送る
オンライン講座プラットフォームの選択は、こちらの記事を参考にしてください。
関連記事:LMSは動画教材の販売に向いている?選ぶポイントとおすすめ10選 | 国内・海外LMSを徹底比較
無期限で動画コンテンツを配信するのは、受講者側からいつでも何度でも復習できるメリットがありますが、視聴期限を設けると動画の視聴を後回しにせず申し込み後すぐの一番モチベーションが高い時期に見てもらえるメリットがあります。
視聴期限を設けた動画の公開は、メルマガや公式LINEの配信ツールやオンライン講座プラットフォーム等のツールを使えば可能です。
有料で動画を販売するには、決済機能が必要です。銀行振込だけでは受講者の手間がかかりますし、カード決済等で事前振込にしておくことで受講費用の未払いトラブルの回避もできます。
ライブ形式で講座を開催する場合は、
- 講座の予定を管理する
- zoomなどのオンラインミーティングツールの参加URLを送る
動画の公開、決済機能、講座開催の管理をそれぞれ別々のツールを利用して運営することはできますが、オンライン講座プラットフォームを利用すると一元管理できるため、事務的作業を減らして講座運営の労力やストレスを軽減できるでしょう。
オンライン教材を販売するには
オンライン教材を販売する方法は、- オンラインミーティングツールやSNSを用いて自力で販売する方法
- 講座販売プラットフォームを活用する方法
動画配信サイト・オンラインミーティングツール+SNSを活用した自力販売
オンライン教材を販売するためには、- FacebookやLINE等のSNSで新規顧客を獲得
- 支払い方法を案内して決済
- YouTube等の配信サイトにアップした動画を視聴してもらう、もしくはZoomなどを利用し講座をライブ開催する
既存のプラットフォームを利用して販売する
オンライン講座プラットフォームとは、オンライン教材の販売に必要な各種機能を搭載した講座販売特化型のサービスを指します。SNSとの連携や決済機能、アンケートやクイズ機能、ホームページやランディングページの作成、メールの自動配信など多くの機能があります。講座のPR文章の作成もテンプレートやアドバイスがあるので簡単に作成できる機能のついたプラットフォームを利用すれば、効率的に教材を販売できるでしょう。連続講座として何本かの動画をパッケージにして販売したり、サブスクリプション型のサービスを作成したりするのも可能です。
ここでは、おすすめのオンライン講座プラットフォームとして、コエテコカレッジとTeachableを紹介します。
オンライン講座ビジネスに必要な機能が揃った多機能な【コエテコカレッジ】
コエテコカレッジは、オンライン教材配信にまつわる日程調整・連絡・決済機能など、必要な業務をトータル的にサポートするオンライン講座プラットフォームです。スマートフォン1つで講座を開講できるだけでなく、教材販売に必要な登録費用・月額費用が無料ではじめられるため、気軽に導入できる点も魅力の1つ。
有料・無料に関わらず講座の作成が可能で、販売手数料は国内のプラットフォームの中ではリーズナブルな設定となっており、無料講座の場合は手数料も無料です。
また、ライブ形式やオンデマンド形式といった様々な配信方法に対応しており、資料のアップロード、アンケートやクイズの挿入等の機能を使って複雑な構成の講座でもガイドに従って操作すれば簡単に作成できます。
他にも、
- 受講者毎の進捗の確認
- 受講者への個別メッセージや受講者全員への一斉連絡
- AIが販売までのスケジュールを立ててアシストするAI販売アシスト
- 動画をアップロードした際に、自動でAIが動画を文字起こし・要約する機能
- 日本語サポート
- 割引・クーポンの発行
- アンケート機能
- 特別ページの作成
海外で利用者数が多く日本でも普及し始めている【Teachable】
Teachableは、アメリカ発のオンライン講座プラットフォームです。Teachableという名前の通り、「受講者に教える」ことに特化したプラットフォームであり、動画配信だけでなくPDF・音声・テキスト等の様々なツールを活用できる点が魅力です。Teachableも、会員登録・販売・申し込み・決済等の機能が充実しており、効率的に収益に繋げることができるでしょう。しかし、現在は日本語のサポートに対応していないため、ある程度講座販売に慣れた人でないと講座の販売や運営にたどり着くまでに多大な労力を費やす可能性も考えられます。
オンライン教材の販売を促進するコツ
オンライン教材の売り上げをアップするコツとして、- 割引制度やクーポンを設定する
- 受講者のレビューを公開する
- 紹介制度を設ける
- お試しで無料・低価格の講座を作る
- 受講者同士の交流が図れるようコミュニティを作る
- 質問を受け付ける
オンライン教材の作り方 まとめ
本記事では、オンライン教材の作成の事前準備、必要環境・機材、販売までの流れや売り方のコツなどを紹介しました。記事内でお伝えした通り、オンライン教材を公開・配信する媒体は多岐に渡ります。オンライン教材を配信する際は、目的・受講者の属性・講座内容に適した媒体を選びましょう。
どのような方法で受講者に講座を提供するかで、受講のしやすさが変わってきます。大切なのは、一貫して受講者の立場で考えることです。また、講師側の労力を減らして講座運営を楽に行うことも重要なポイントです。
オンライン教材の配信・販売は一見すると難しそうにも思われますが、1つずつ工程を進めていくことで誰でもオンライン教材の配信・販売ができます。興味をお持ちの方は、ぜひオンライン教材の配信・販売にチャレンジしてみてください!
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