応用情報技術者試験の勉強法!難易度も徹底解説
近年のAI技術の目覚ましい発展などを背景に、IT業界は大きな注目を集めています。
2020年度からのプログラミング教育必修化もあり、今後IT業界への若手人材の流入はさらに加速すると考えられます。
そんな競争の激化が予想されるIT業界で、エンジニアとして着実なキャリアアップを目指す方におすすめしたいのが応用情報技術者試験です。
この記事では、応用情報技術者試験の概要やメリット、合格に向けた具体的な勉強法を、IT未経験者の方にも分かりやすく解説します。
スキルを身につけてキャリアアップを目指したい方はぜひ最後まで読んでくださいね。
応用情報技術者試験とは?基本情報技術者との違いも解説

応用情報技術者試験とは、IPA(情報処理推進機構)が主催する国家資格「情報処理技術者試験」の一つです。
この試験は、高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能を国が公式に証明するものです。
ITスキル標準(ITSS)の指標に基づいてレベル分けされており、応用情報技術者試験はレベル3に位置づけられています。
IT初学者向けの「ITパスポート(レベル1)」や、ITエンジニアの登竜門とされる「基本情報技術者(レベル2)」よりも一段階上のレベルであり、ITエンジニアとしてワンランク上を目指すための重要なステップとなります。
そのため、IT業界での実務経験がない場合は、まず「ITパスポート」や「基本情報技術者」の取得から目指すのが一般的です。
参考:ITパスポート対策におすすめ勉強方法【最短合格のコツで攻略】
参考:基本情報技術者試験の勉強方法!最短合格するための対策は?
応用情報技術者試験に合格する3つのメリット

「IT業界は実務経験が重視されるから、資格はあまり意味がないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、応用情報技術者試験の合格は、実務経験だけでは得られない大きなメリットをもたらします。
メリット1. 就職・転職で技術力を客観的に証明できる
応用情報技術者試験はIT業界で知名度が高い国家資格です。合格すれば、自身のITスキルを客観的に証明できるため、就職や転職活動において強力なアピール材料となります。
特に、実務経験と合わせてこの資格を保有していれば、技術力の高さを効果的に示し、他の候補者との差別化を図れるでしょう。
メリット2. 昇進・昇給や資格手当など社内評価の向上につながる
エンジニアの評価は、営業職のように数字で明確に表しにくい側面があります。そのため、応用情報技術者という分かりやすい形で実力を証明すると、社内での評価向上や昇給・昇格につながる可能性があります。
企業によっては、資格取得者に対して報奨金や資格手当を支給する制度を設けている場合も少なくありません。
令和元年秋期応用情報技術者試験合格しました!!! めっちゃ嬉しい。資格報酬も貰えるし頑張って良かった。ぽんぽこ@haikararock(https://twitter.com/haikararock/status/1208782642298028032?s=20)
メリット3. 上位資格や他分野の国家試験で一部免除が受けられる
応用情報技術者試験に合格すると、より高度な情報処理技術者試験(レベル4)の一部が免除される特典があります。対象となるのは、「ITストラテジスト試験」や「プロジェクトマネージャ試験」など、専門分野のスペシャリストであることを証明する高度試験です。
午前Ⅰ試験が免除されるため、より専門的な午後試験の対策に集中できます。
さらに、中小企業診断士や弁理士などの他分野の国家資格でも一部科目が免除されるため、将来的なキャリアの選択肢を広げる上でも大きなメリットとなります。
応用情報技術者試験の概要【難易度・合格率・日程】

次に、応用情報技術者試験の具体的な内容を見ていきましょう。
受験を検討する上で重要な、難易度や合格率、試験日程を解説します。
合格率と難易度
応用情報技術者試験は、ある程度の実務経験を積んだITエンジニアを主な対象としています。IPAの統計情報によると、近年の合格率は20%前後で推移しており、5人に1人程度しか合格できない計算になります。
受験者の多くが経験豊富なエンジニアであることを考えると、決して簡単な試験ではないことが分かります。
合格には、ITに関する幅広い知識だけでなく、それを応用する思考力が求められるため、計画的な勉強法が不可欠です。
受験資格
応用情報技術者試験の対象者像は「高度 IT人材となるために必要な応力的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」とされていますが、受験にあたって特定の資格や実務経験は必要ありません。年齢、学歴、国籍を問わず、誰でも受験が可能です。
試験内容
試験は「午前試験」と「午後試験」の二部構成で、それぞれ150分の試験時間が設けられています。午前試験:知識を問う多肢選択式問題
午前試験は、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野から、幅広いIT知識を問う四肢択一式の問題が80問出題されます。| テクノロジ系 | 基礎理論、コンピュータシステム、技術要素、開発技術など | 
| マネジメント系 | プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査など | 
| ストラテジ系 | システム戦略、経営戦略、企業と法務など | 
出題範囲が広いため、特定の分野に偏らないように、満遍なく学習しましょう。
午後試験:応用力と記述力が試される選択式問題
午後試験は、提示された長文の問題を読み解き、解答を記述式で答える形式です。情報セキュリティの分野は必須問題となり、残りの10分野から4つを選択して解答します。
合格基準は、午前試験・午後試験ともに100点満点中60点以上です。
どちらか一方でも基準点に達しない場合は不合格となるため、両方の試験に対してバランスの取れた対策が求められます。
試験日程と申し込み
試験は年に2回、春期(4月)と秋期(10月)に全国の主要都市で実施されます。申し込み期間は、春期試験が1月頃、秋期試験が7月頃に開始されますが、約1ヵ月で締め切られるため、受験を決めたら早めに手続きを済ませましょう。
詳細な日程や会場は、IPAの公式サイトで確認してください。
情報処理推進機構(IPA)の「応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験(PBT方式)」に関する情報です。
https://www.ipa.go.jp/shiken/mousikomi/moushikomi.html >
【重要】合格に必要な勉強時間とスケジュール

応用情報技術者試験の合格に必要な勉強時間は、個人のIT知識や実務経験によって大きく異なります。
一般的に、IT実務経験者であれば約200時間、基本情報技術者試験に合格したレベルの方であれば200〜300時間、IT未経験者の場合は500時間以上の学習が推奨されています。
たとえば、1日2時間の勉強を確保できる場合、経験者なら約3ヵ月、未経験者なら半年以上の準備期間が必要です。
自分のレベルに合わせて無理のない学習計画を立てましょう。
【科目別】応用情報技術者試験の効率的な勉強法

限られた時間の中で合格を目指すには、戦略的な勉強法が欠かせません。
ここでは、午前試験と午後試験、それぞれの対策ポイントを解説します。
午前試験の勉強法:インプットと過去問演習の繰り返し
午前試験は出題範囲が広いため、まずは参考書をひと通り読み、全体像の把握から始めましょう。完璧に理解しようとせず、まずは最後まで読み通すことが大切です。
その後、過去問演習を繰り返し行い、知識の定着を図ります。
間違えた問題は、なぜ間違えたのかを参考書でしっかり確認し、理解を深めるサイクルを構築してください。
午後試験の勉強法:得意分野の選択と記述対策
午後試験は、長文を読んで解答を導き出す応用力が問われます。まずは過去問に目を通し、自分の得意分野や実務経験に関連する分野をいくつか見つけ、解答する選択問題を事前に決めておくのがおすすめです。
対策は、選択した分野の過去問演習が中心となります。
解答のプロセスを理解し、キーワードを盛り込みながら簡潔にまとめる記述力を養いましょう。
独学での記述対策が難しいと感じる場合は、添削サービスのある通信講座などを活用するのも有効な手段です。
応用情報技術者試験の勉強法

勉強法には大きく分けて、独学と通信・通学講座の利用の2つがあります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選びましょう。
独学のメリット・デメリット
独学の最大のメリットは、費用を抑えられ、自分のペースで学習を進められる点です。一方で、モチベーションの維持が難しく、疑問点をすぐに解決できないデメリットもあります。
自己管理能力が高く、計画的に学習を進められる方に向いている方法です。
通信・通学講座のメリット・デメリット
講座を利用するメリットは、効率的に学べるカリキュラムや質の高い教材が用意されている点です。不明点も講師に質問できるため、挫折しにくい環境が整っています。
デメリットは独学に比べて費用がかかることですが、学習の効率や合格の確実性を考えれば、十分に価値のある投資と言えるかもしれません。
独学での学習継続に自信がない方や、短期間で合格を目指したい方は、講座の利用を検討してみることをおすすめします。
まずは無料の資料請求やカウンセリングで、どのようなサポートが受けられるか確認してみてはいかがでしょうか。
独学で合格を目指す!おすすめ参考書&学習サイト

独学で勉強法を進める上で、教材選びは非常に重要です。
分かりやすい参考書と、繰り返し演習できる過去問集を揃えましょう。
定番のおすすめ参考書
多くの受験者に支持されているのが、キタミ式イラストIT塾シリーズです。イラストが豊富で、難解な技術用語もイメージで理解しやすく作られています。
インプットと並行して、過去問集にも取り組みましょう。
直近の試験問題が複数収録されているものを選び、繰り返し解くことで出題傾向をつかめます。
無料で使える学習サイトの活用
Web上には、応用情報技術者試験の過去問を無料で学習できるサイトもあります。特に、応用情報技術者試験ドットコムは、多くの受験者が利用する定番サイトです。
スマートフォンからもアクセスできるため、通勤時間などの隙間時間を活用した勉強法に最適です。
効率よく合格を目指せる!おすすめ通信・通学講座

より確実に、そして効率的に合格を目指したい方には、通信講座や通学講座の利用がおすすめです。
資格の大原、TAC、iTEC、LECなどの資格予備校が、応用情報技術者試験対策の講座を開講しています。
Webで学べるコースやeラーニング形式の模擬試験など、多彩なコースが用意されており、費用も数万円から10万円を超えるものまでさまざまです。
自分のライフスタイルや予算に合わせて、最適な講座を選びましょう。
また、これらの講座の中には、受講料の最大20%が国から補助される教育訓練給付金制度の対象となっているものもあります。
お得に学習できるチャンスなので、対象となるかどうかも含めてぜひチェックしてみてください。
参考:教育訓練給付金対象プログラミングスクールおすすめ17選!条件も解説
まとめ

応用情報技術者試験は、応用力のあるITエンジニアであることを証明する価値ある国家資格です。
他のエンジニアと差をつけ、ワンランク上のキャリアを目指したい人には最適な挑戦と言えるでしょう。
本記事で紹介した勉強法を参考に、自分に合った計画を立てて着実に学習を進めれば合格を目指せます。
応用情報技術者の学習を通じて得られる知識は、今後のエンジニアとしてのキャリアで役立つはずです。
高度IT人材への第一歩として、ぜひ挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。
独学に不安がある方は、まずは通信講座の無料相談などを活用し、プロの視点からアドバイスをもらうのもおすすめです。
WRITERこの記事を書いた人
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