この記事では、株式投資とFX投資の違いを解説するとともに、それぞれに向いている人の特徴についてご紹介します。
それぞれの違いをしっかりと理解し、自分がどちらに向いているかを見極めたうえで、資産運用をはじめましょう。
株式投資やFXなどの資産運用の重要性
先行きを見通すのが難しい現代社会にあって、生涯にわたって豊かに生き続けるためにはお金が必要です。しかし、マイナス金利が続く日本の現状では、金融機関に大切なお金を長い期間預けても、ほぼ増えることはありません。そこで重要になってくるのが、資産運用です。資産運用とは、自分の預貯金や株式、債券、投資信託などの金融商品を利用することで、保有している資産を効率的に増やしていく方法のことを言います。
政府は2023年12月に「資産運用立国実現プラン」を打ち出し、さらなる家計金融資産を投資に回すことにより、企業の成長、銀行や証券、金融市場の成長を促す方針を明らかにしています。
参考:資産運用立国について|金融庁
資産運用と聞くと難しく感じるかもしれませんが、誰でも少額から、簡単に始められる資産運用として注目されているのが、株式投資とFX投資です。
次項から、資産運用の手段として注目される株式投資とFX投資について詳しく見ていきましょう。
参考:株式投資副業
株式投資とは?
株式投資とは、企業が発行する株式を購入する(=出資する)ことにより、利益や優待制度を受けられる投資方法です。企業は投資家に出資された資金をもとに事業を行い、企業価値が向上し株価が値上がりした場合には、出資してくれた人(=株主)に利益を還元します。
株式投資によって得られる利益としては、以下のようなものが挙げられます。
- 保有資産を売却することで得られる売買差益(キャピタルゲイン)
- 企業が株主に対して事業利益の一部を分配する配当金
- 企業の自社製品やサービスを提供する株主優待
一般的に株式投資は、金融機関にお金を預ける貯蓄や預金とは異なり、継続して運用することで高い収益性が見込めます。一方で、株式の価格が急激に変動して大きく損をするリスク、企業が破綻するリスクなどがあるため、始める際には注意が必要です。
すぐに必要となる資金は貯蓄や預金に、少し余裕がある分を株式投資として資産運用にといった形で、「使う」資金と「増やす」資金を分けて管理するとよいでしょう。
参考:株式投資勉強
参考:株シミレーション
FX投資とは?
株式投資の比較としてよく挙げられるのが、FX投資です。FXとはForeign Exchangeを略した言葉であり、日本語では外国為替証拠金取引と言います。いわゆる外貨預金と同じように外貨に対して投資を行い、一般的には「ドル/円」といった通貨ペア(異なる2つの通貨の組み合わせ)の金利の差によって利益を得るという仕組みです。
このように得られる利益のことをスワップポイント(金利差調整分)と言います。
スワップポイントは、高金利通貨と低金利通貨を組み合わせることによって大きくなります。高金利通貨には、メキシコペソや南アフリカランド、トルコリラなどがあり、低金利通貨には日本円やスイスフランなどがあります。
FXの最大の特徴は、レバレッジを掛けられるところにあります。レバレッジは日本語にすると「てこの原理」の意味であり、つまり手元の少額の資金を証拠金として投資することにより、てこのように大きく、最大25倍もの取引が可能になるということです。
たとえば手元の資金が10万円であれば、最大で250万円までの取引ができます。
株式投資とFX投資の違い|どっちが稼げる?
株式投資とFX投資の違いを以下の表にまとめました。株式投資 | FX投資 | |
投資対象 | 企業 | 外国の法定通貨(世界各国の中央銀行が発行している通貨) |
取引可能時間 | 平日9:00~11:30、12:30~15:00まで ※土日祝日と年末年始(12/31~1/3)は取引なし |
24時間 |
インカムゲイン | 配当金 | スワップポイント |
レバレッジ | 1倍 | 最大25倍 |
値幅制限 | あり | なし |
価格の変動要因 | 投資先企業の業績、IRなど | 取引通貨の国の金融政策や経済状況(ファンダメンタルズ) |
違い①|投資対象
株式投資とFX投資は、投資する対象が異なります。株式投資は証券取引所に上場している企業に対して投資を行いますが、FX投資は外国の法定通貨に対して投資を行うというものです。なお、株式投資で利用できる銘柄、FX投資で利用できる通貨や通貨ペアの数は、取り扱い会社によって異なります。投資を行う際には、あらかじめ確認しておくことが大切です。
違い②|取引可能時間
株式投資ができる証券取引所は、取引できる時間があらかじめ定められています。日本最大の証券取引所である東京証券取引所の場合、午前の取引時間(前場)は9:00から11:30まで、お昼の休憩をはさんで午後の取引時間(後場)は12:30から15:00です。取引が行われるのは月曜日から金曜日のみで、土日祝日と年末年始は休みとなります。
一方のFX投資の場合、株式投資のように時間が定められておらず、24時間いつでも取引が可能です。土日や祝日、年末年始でも利用できるので、時間に縛られることなく投資を行えるというメリットがあります。
違い③|インカムゲイン
インカムゲインとは、資産を保有することによって得られる収入のことです。株式投資の場合、企業によって年に1~2回ほどの配当金がインカムゲインとして受け取れます。一方、FX投資のインカムゲインは、通貨ペアの金利差によって得られるスワップポイントです。スワップポイントは通貨の組み合わせによって毎日発生し、それぞれの国の情勢や景気、政策などによって日々変化します。
違い④|レバレッジ
レバレッジの倍率にも違いがあります。株式投資(現物株)の場合、レバレッジは1倍以上かけられないため、元本の資金の範囲内で取引を行います。一方FX投資の場合は、レバレッジで掛けられる倍率が最大25倍となっており、資金効率良く取引を行うことができます。ただし、レバレッジは利益が大きいぶん損失が出た際の額も大きくなるため、利用する際には注意が必要です。
違い⑤|値幅制限
値幅制限とは、一日の売買における値動きの幅を価格水準に応じて一定に制限することです。株式投資には値幅制限がありますが、これは株価の極端な暴落や高騰を避け、投資家を保護することを目的としています。一方FX投資には値幅制限がありませんが、多くの場合は1日で1%前後の値動きにとどまります。FXの投資対象である通貨は国の経済状況を示すものであり、大きく変動しそうになると各国の中央銀行や政府が介入を行うため、それほど大きな値動きにならないのです。
違い⑥|価格の変動要因
株式投資とFX投資は投資対象が異なることから、価格の変動する要因もそれぞれ異なります。株式投資の場合、投資先企業の決算報告などの業績や事業内容、業務提携、合併などが株価の変動に大きく影響します。海外に拠点を持っている企業であれば、各国の情勢や為替動向などから影響をうけることもあります。
一方のFX投資は、取引通貨を扱う国の経済状況(ファンダメンタルズ)や政治情勢、金融政策や要人の発言によって値段が変動します。戦争やテロが発生している国の通貨は売られやすくなり、結果的に政治情勢の安定した国の通貨が強い形になります。
株式投資とFX投資、向いている人の特徴
最後に、株式投資とFX投資にそれぞれ向いている人の特徴について見ておきましょう。株式投資に向いている人
株式投資に向いている人の特徴としては、以下のようなことが挙げられます。- 資金に余裕があり、長期的に資産を増やしたい人
- 配当金や株主優待を受けたいと考える人
- 企業や業界の動向に詳しい、分析するのが好きな人
株式投資には複利効果があり、手元の資金によって得られた利益をそのまま投資に回すことで、さらに利益が生み出されていきます。このため株式を中長期的に保有し、少しずつでも着実に資産を増やしていきたいという人には株式投資がおすすめです。不安な方は株シミュレーションを行ってみるといいでしょう。
参考:株式投資勉強
参考:ネット証券おすすめ
FX投資に向いている人
FX投資に向いている人の特徴としては、以下のようなことが挙げられます。- 手元の資金が少なく、短期的に資産を増やしたい人
- 日中は忙しくて時間を作れない人
- 海外の情報に詳しい人
FX投資は24時間365日いつでも取引が可能で、かつレバレッジを掛けられることから、日中は忙しくて時間を作れない、あるいは手元資金が少ないという人におすすめです。外貨を扱うため、海外情勢に関する知識があれば有利に働くでしょう。