この記事では、これから資産運用を始めようと考えている人に向けて、株式投資の仕組みと始め方について詳しく解説します。
何となく難しそうな印象のある株式投資ですが、実は意外と身近な存在でもあります。正しい基礎知識を身に付け、自らの意志で着実に運用していくことが大切です。
株式投資とは?
株式とは、企業が事業を行うために必要な資金を集める手段として発行するものです。企業が行う事業のなかには、商品やサービスを研究・開発したり、製造するための工場や設備を作ったり、あるいは従業員を雇用するなど、私たちの生活に関わりのあることが多く含まれています。
企業は、このようなさまざまな用途に使われる資金を提供してくれる出資者(=株主)を募り、出資額に応じて株式を発行します。このような仕組みで成り立っている企業が株式会社です。
株式会社の株主は、株主総会における議決権、剰余金配当請求権(株式会社の得た利益から持ち株に応じた分配金を請求できる権利)、残余財産分配請求権(株式会社が解散した際に残った財産を持ち株に応じた分配金として請求できる権利)といった権利を持ちます。
事業の拡大によって企業の利益が向上した場合には、配当金や株主優待といった形で株主へ還元が行われます。
株式投資は、中長期的に継続して行うことによって、発生する利益の金額が大きくなる複利効果が期待できます。もちろん価格変動や金利変動、為替変動などさまざまなリスクがあるものですが、資産をただ蓄えるだけの「貯蓄」とは異なり、将来のために少しずつでも増やしていける資産運用の手段として、株式投資が注目されているのです。
参考:株式投資と投資信託の違い
株式投資を始める準備!株式の買い方
企業が事業を行うための資金と引き換えに発行するのが株式ですが、実際に「株を買いたい」と思ったとき、企業と直接やり取りを行うわけではありません。一般的に株式は、証券取引所において取引が行われます。証券取引所は、一定のルールのもとで株式を市場に集中させることにより、公正な市場価格の形成を図り、株式の流通性を高める役割を担っています。
日本においては、4種類の証券取引所があります。
- 東京証券取引所(東証)
- 名古屋証券取引所(名証)
- 札幌証券取引所(札証)
- 福岡証券取引所(福証)
そして金融商品取引法の規定により、証券取引所で株式の売買ができるのは、取引参加者資格を持つ金融商品取引業者(証券会社や投資信託会社など)と定められています。
つまり一般の人が株式を買いたい場合、証券会社や投資信託会社などを窓口として取引を行うことになります。
株式の上場
日本には200万社以上の株式会社が存在しますが、そのすべての株式が証券取引所で取引されているわけではありません。証券取引所で取引を行うためには、厳しい審査にクリアして上場を行う必要があります。株式を証券取引所に上場した企業のことを、上場企業と呼びます。
上場企業になることで、企業の知名度や信頼性が高まります。また資金調達が容易になったり、従業員のモチベーションアップにもつながることから、多くの企業が上場企業を目指しているのです。
株式投資のメリットとデメリット
株式投資の仕組みと買い方について理解できたところで、実際に株式投資を行うメリットとデメリットについて見ていきましょう。メリット|株価の値上がりで利益が得られる
株式投資の最大のメリットは、株価の値上がりによって利益が得られることでしょう。株式投資は、保有している株式が値上がりしているタイミングで売却することにより、差額を利益として得ることができます。このような利益をキャピタルゲイン(売買差益)と呼びます。
たとえば株価50万円で購入した株式が、55万円になったタイミングで売却した場合には、差額の5万円がキャピタルゲインとなります。
反対に、株価の値下がりによって損失が出た場合には、キャピタルロスと言います。
実際の取引においては売買手数料や税金がかかるため、それらを差し引いた金額が手元に残る利益となります。
メリット|株主優待や配当金などを受けられる
株式投資のメリットとして、株主優待や配当金などを受けられるといったことも挙げられます。株主優待は、企業によって株主に自社製品や特別優待券などを提供する優待制度です。すべての企業が行っているわけではありませんが、実施している企業は多数あり、優待を目当てに株式投資をしているという人も少なくありません。
配当金は、企業の事業活動によって得られた利益を株主に分配する仕組みで、インカムゲインとも呼ばれます。利益が出ている企業が必ず分配を行うとは限りませんが、投資家の株式銘柄選びの際に引き合いに出されることも多く、配当に注力しているという企業もあります。
参考:株式投資副業
デメリット|さまざまなリスクがある
キャピタルゲインや株主優待、インカムゲインなど、魅力の多い株式投資ですが、価格や価値の変動する株式を扱っているため、さまざまなリスクがあることも頭に入れておかなければなりません。一般的に、株式投資でデメリットとなるリスクには、以下のような種類があります。
- 価格変動リスク:経済情勢や企業の業績、政治情勢によって大幅に値下がりする可能性がある
- 信用リスク:企業が破綻した場合、株式の価値がなくなる可能性がある
- 流動性リスク:取引が成立せず、売買できなくなる可能性がある
- 為替変動リスク:外国株式の円換算額で損益が生じる可能性がある
株式投資の始め方
最後に、初心者が株式投資を始める際の手順について簡単に見ていきましょう。株式投資を始める際には、基礎知識とメリット・デメリットをしっかり理解しておくこと、シミュレーションなどをしていくことが大切です。参考:株式投資勉強
参考:株式投資シミュレーション
STEP1|証券会社の口座を開設する
初めのステップとして、株式の取引を行う証券会社を選定し、その会社の口座を開設しましょう。口座開設はインターネットで行われるのが一般的です。本人確認書類として、マイナンバーと身分証明書などが必要になります。
証券会社によって、取り扱っている銘柄や金融商品、手数料、取引システムなどが異なります。各サービスを比較し、会社の透明性や信頼性も含めて検討することが大切です。
申込を行うと、会社ごとに審査が行われ、審査に通過すると取引システムへのログイン情報が送付されます。
参考:ネット証券おすすめ
STEP2|証券口座に入金する
口座開設が完了したら、次のステップとして証券口座に入金を行いましょう。入金はインターネットバンキングが便利です。取引システムの提携金融機関から入金を行えば、即時反映されたり、手数料が無料になるところもあります。インターネットバンキングを利用しない場合には、指定口座へ振り込みを行います。証券会社が振り込みを確認するための時間が必要になるため、実際の利用開始は数日後になることもあります。
STEP3|購入する株式を選ぶ
口座開設と入金が完了したら、実際に購入する株式を発行している企業を選びます。すでに買いたいと思う企業がある場合は良いですが、もし「どれがいいか分からない」と悩んでしまった場合には、以下のような基準で考えてみるとよいでしょう。
- よく利用する商品やサービス、ブランドを提供している企業
- 魅力を感じる株主優待を行っている企業
- 配当金を多く分配している企業
- 勢いがあってこれから成長が期待できる、応援したいと思う企業
STEP4|株を購入する
購入する株式を決めたら、取引システムを使用して実際に株を購入しましょう。購入する際には、株数と注文方法、金額などを入力していきます。株式の注文方法には成行注文と指値注文があり、以下のような違いがあります。
- 成行注文(なりゆきちゅうもん):購入する株式の値段を指定せずに注文すること
- 指値注文(さしねちゅうもん):購入する株式の値段を指定して注文すること
取引システムの注文が約定すれば、取引は完了です。