ITパスポートは意味ない・無駄?言われる4つの理由と実務で役立つ場面
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ITパスポート試験を検討する際、「時間の無駄」「意味ない」などの声を聞くこともあるでしょう。
たしかに、ITパスポート試験には独占業務はありませんが、ITの基礎知識を身に付けられるうえに、上位資格を目指すときに役立ちます。
この記事では、ITパスポート試験が批判される具体的な理由4つと、実際に取得して得られるメリットを解説します。
IT初心者や転職希望者の方にも参考になる内容なので、ぜひ参考にしてくださいね。
ITパスポートが「無駄」「意味ない」と言われる4つの理由
IT知識の基本が身に付けられるITパスポートが、IT企業に勤務するエンジニアにとって「意味ない」「無駄」「役に立たない」と言われる4つの理由を紹介します。理由1:独占業務がないため転職・就職での直接的効果が限定的
ITパスポートを取得しても、税理士や社労士などの士業のように取得者にしか行えない業務(独占業務)は特にありません。転職市場や就職活動で即座に優位性を示すのが困難です。
また、資格取得による昇給や待遇改善が見込めない企業が多いため、無駄と言われる可能性があります。
ITパスポートは知識の証明にはなりますが、業務独占資格ではないため、資格手当などの直接的な金銭的メリットを期待できない場合が多いでしょう。
理由2:合格率48.6%で難易度が高くない資格

ITパスポート試験の合格率は令和7年度で48.6%と、難易度が高い資格ではありません。
また、国家試験の情報処理技術者の中でもITパスポート試験はリテラシーレベルの「レベル1」に位置づけられており、勉強すれば誰でも取得できる可能性があるため、資格保持だけで他人との差別化は難しい現状があります。
| 資格レベル | 資格名 | 合格率 |
| レベル1 | ITパスポート | 48.6%(令和7年度) |
| レベル2 | 基本情報技術者 | 公式統計を参照 |
| レベル3 | 応用情報技術者 | 24.5%(令和7年度秋期) |
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)『令和7年度「iパス(ITパスポート試験)」の年間応募者数等について』/統計情報(基本情報技術者試験)/令和7年度秋期情報処理技術者試験の合格発表について
レベル3の応用情報技術者が24.5%であることと比べると、合格率の高さは際立ちます。
この数字により、「簡単すぎる資格」のイメージが定着し、専門性の証明としては物足りないと評価されやすいです。
特に競争の激しいIT業界では、より高度な技術力や専門知識を求められるため、ITパスポートレベルの知識では不十分とみなされます。
理由3:プログラミング能力の証明にはならない
ITパスポート試験では基礎的な知識が問われますが、「実務では役に立たない」と言われます。特にエンジニアやプログラマーにはプログラミング能力が必要となるため、実際のコーディングスキルや開発経験を求められる現場では「意味がない」と評価されてしまいます。
ITパスポートで問われる内容は主に以下のような理論的な知識に偏っており、実践的なスキルの習得には直結しません。
- IT基礎理論や用語の理解
- 情報セキュリティの基本概念
- 経営戦略やプロジェクトマネジメントの基礎
- システム開発の概念的な流れ
現代のIT業界では、実際にコードを書ける能力や、具体的な開発フレームワークの知識、クラウドサービスの実運用経験などが重視されるため、理論中心のITパスポートでは実務能力の証明には不十分とされるのが現状です。
理由4:IT業界では持っていて当たり前の基礎レベル
上位資格の基本情報技術者や応用情報技術者とは異なり、ITパスポート試験の受験を通して身につけられる知識は特別視されません。IT業界で働く人にとっては、ITパスポートで問われる内容は業務を行う上での最低限の常識レベルとして扱われているためです。
ただし「持っていて当たり前」と言われるのはIT業界の中の話で、応募者の大半はIT業界の外にいます。
ネット上では「ゴミ」「無意味」といった強い言葉で語られることもありますが、それが誰の立場からの評価なのかは、次章の実数で確認できます。
ITパスポート試験ではテクノロジ系の分野だけではなく、ストラテジ系・マネジメント系といった会社の組織・チームづくりや経営戦略などのエンジニアの私が今まで全くなじみのない分野についても多く出題され、勉強せずに合格するような試験ではなかったのです。
出典:ITパスポートに落ちた!不合格は恥ずかしい?受からないのか徹底解説
数字で見ると「意味ない」は本当か
「意味ない」という評価は、たいていIT業界の中から見た感想です。実際に誰が受けている試験なのかを、IPAが公表している令和7年度の実数で確認します。
非IT系企業から年間18万人が応募しています
社会人の応募者を勤務先で分けると、内訳ははっきり偏っています。| IT系企業 | 40,715人 |
| 非IT系企業 | 179,995人 |
出典:IPA(情報処理推進機構)『令和7年度「iパス」の年間応募者数等について』
非IT系企業からの応募が、IT系企業の約4.4倍にのぼります。
言い換えると、「持っていて当たり前」という評価が成り立つのは、社会人応募者の18%ほどを占めるIT系企業の内側だけです。
残る8割はその評価軸の外にいて、そこでは同じ資格がまったく違う意味を持ちます。
意外に思われるかもしれませんが、非IT系のなかで最も応募が多いのは金融・保険業と不動産業で、70,445人が申し込んでいます。
個人情報と資産を扱い、規制対応が重い業界ほど、社員の共通知識としてITの基礎を揃えにいっているということだと思います。
この試験を「エンジニアの入門資格」と捉えている限り、この動きは見えてきません。
合格者は年間13万人、累計応募者は266万人です
令和7年度の合格者数は132,012人でした。制度が始まってからの累計応募者数は2,655,895人に達しています。
「意味がない」と言われながら、毎年13万人が合格し続けている試験だという点は、判断材料として押さえておいてよいと思います。
批判の声が大きいことと、実際に選ばれていないことは別の話です。
出典:IPA(情報処理推進機構)『令和7年度「iパス」の年間応募者数等について』
学生の受験はまだ2割にとどまります
「今どき誰でも持っている」という印象も、数字とは合いません。経済産業省の荒木由布子氏は、コエテコの取材で次のように話しています。
受験者のなかで学生はまだ20%ほどなので、周りはあまり持っていないといえるのではないでしょうか。引用元: 「(取材)経済産業省 荒木 由布子氏|「すべての社会人にITパスポートを」」
しかも、応募した大学生のうち最も多いのは情報系以外の文系で、理工系の情報系はその3分の1以下にとどまります。
情報を専門にしていない層が取りに来ている資格だと分かると、評価が真っ二つに割れる理由も見えてきます。
ITパスポートは実務で何の役に立つのか【職種別】
「役に立たない」と言われるのは、役に立つ場面が具体的に語られてこなかったからでもあります。どの職種が受けているのかを見ると、この資格が想定している出番がはっきりします。
| 業務 | 令和7年度の応募者数 |
| 営業・販売(非IT関連) | 45,781人 |
| 情報システム関連 | 30,405人 |
| 総務・人事 | 16,266人 |
| 営業・販売(IT関連) | 11,416人 |
| 調査・企画 | 8,227人 |
| 製造 | 7,120人 |
出典:IPA(情報処理推進機構)『令和7年度「iパス」の年間応募者数等について』
営業・販売:最も多く受けているのはこの職種です
表の一番上が情報システム部門ではないところが、この資格の性格を表しています。IT関連ではない営業・販売職が、情報システム関連を1万5千人以上引き離して最多です。
クラウドやセキュリティが絡む商材を扱うとき、相手側の窓口はたいていIT部門ではありません。
用語の意味を確認し直さずに話を進められるかどうかで、商談のテンポは変わります。
相手の言葉を翻訳せずに受け取れることが、この職種にとっての実利になりそうです。
総務・人事:社内システムとセキュリティの判断ができます
勤怠管理や採用管理のツールを選ぶ場面、従業員の情報を扱う規程を整える場面は、いずれもIT部門任せにしきれません。ITパスポートの出題範囲には情報セキュリティと法務が含まれているため、判断の土台がそろいます。
外部サービスに従業員データを預けてよいのかを、担当者自身が一次的に見立てやすくなります。
判断そのものを代われるわけではありませんが、丸投げと相談の間に立てるようになるのは大きい違いです。
調査・企画/製造:DX案件の要件を読み違えずに済みます
現場を持つ業界ほど、DXの投資判断を迫られています。要件定義の場でベンダーの説明をそのまま受け取ってしまうと、後から仕様の食い違いが表に出てくることがあります。
何ができて何ができないのかの当たりを付けられるだけでも、手戻りは減らせます。
発注側に用語が通じるかどうかは、見積もりの妥当性を自分で疑えるかどうかにも直結します。
IT部門・ベンダーとの窓口:共通言語になります
IT業界以外の企業でも、IT関連部署との連携や外部のIT企業との取引が日常的にある方は、ITパスポートの知識を活用できます。共通言語を持つと、コミュニケーションがスムーズになるためです。
以下のような立場の方に特に推奨されます。
- 情報システム部門との窓口担当者
- DX推進チームのメンバー
- 社内システムの利用責任者
- システム導入プロジェクトの担当者
- IT関連サービスの購買担当者
- IT企業との営業窓口
ITパスポートは履歴書に書いて意味ある?
ITパスポートは国家試験であり、履歴書の資格欄に記載して全く問題ありません。せっかく取得したのに「ITパスポートは意味ない」「履歴書に書くと無駄になる」と不安に感じる方もいますが、事実として立派なアピール材料になります。履歴書に書いて問題ありません。正式名称は「ITパスポート試験」
履歴書に記載する際は、正式名称である「ITパスポート試験」と記載するのが無難です。「iパス」という呼び方もありますが、これはIPAが2013年3月1日に制定した愛称であり、正式な略称ではありません。なお、履歴書の資格欄の書き方について、IPA・ハローワーク・厚生労働省のいずれにも公式の指定は存在しません。
そのため、「このように書くのが正しい」という絶対的な決まりはありませんが、公的な文書である履歴書には正式名称を用いることで、採用担当者に正確な情報を伝えることができます。
「書かない方がいい」と言われるのはどんな場合か
「ITパスポートは履歴書に書かない方がいい」と言われるのは、主に応募先がIT専門職であり、応用情報技術者試験などの上位資格の保有が前提となっている場合です。また、すでに多くの資格を保有しており、履歴書の紙面が限られている場合も省略されることがあります。
しかし、営業や事務などの非IT系の職種や、未経験からIT業界に挑戦する場合には、ITの基礎知識を備えていることの証明として十分に書く価値があります。なお、資格手当の有無については企業ごとの裁量であり、公的な統計は存在しません。
そのため、直接的な金銭的メリットを期待できない場合もありますが、客観的な知識の証明としては有効に機能します。
合格証書と合格証明書は別物です
履歴書に資格を記載した後、企業から証明書類の提出を求められることがあります。このとき、合格証書と合格証明書の違いを理解しておくことが大切です。
合格証書は、試験に合格すると経済産業大臣から交付されるものです。
合格発表後に郵送されますが、紛失しても再発行はできません。
合格証明書は、合格証書とは別に、申請すればIPAが交付してくれる書類です。
オンライン申請が可能で、交付手数料は1通700円かかります。
申請から発行までおおむね2〜3週間かかるため、企業から提出を求められた場合はスケジュールに余裕を持って手続きを行う必要があります。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「合格証明書の交付手続き」
ITパスポートを取得する実際のメリット
ITパスポートが「無駄」「意味ない」と言われる一方で、実際には多くのメリットがあります。
特にIT初心者や非IT業界の方にとっては、キャリア形成で重要な基盤となる資格です。
IT初心者の基礎固めになります
ITパスポートは、IT知識ゼロから学習を始める方にとって最適な入門資格です。試験範囲がストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野に体系化されており、IT業界で必要となる基礎知識を網羅的に学習できます。
情報セキュリティの基本概念、ネットワークの仕組み、データベースの基礎、プロジェクトマネジメントの考え方など、現代のビジネスシーンで必要不可欠な知識を習得可能です。
IT業界以外の職場でも活用できる汎用性の高い内容となります。
企業研究をして面接に臨んでも、IT業界ではよく使われる言葉やツールを聞かれて答えられず、知識さえあれば自信を持って面接を終えられたのにと思うこともありました。
出典:【ITパスポート合格体験記 】2週間で合格!プログラミングは捨てるべき?
上位資格への足がかりになります
ITパスポートは、情報処理技術者試験の中でレベル1に位置付けられており、基本情報技術者試験(レベル2)や応用情報技術者試験(レベル3)への足がかりとして重要な役割を果たします。| 資格レベル | 試験名 | 対象者 |
| レベル1 | ITパスポート試験 | ITを活用するすべての社会人・学生 |
| レベル2 | 基本情報技術者試験 | ITエンジニアの登竜門 |
| レベル3 | 応用情報技術者試験 | ワンランク上のITエンジニア |
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「試験区分一覧」
ITパスポートで学習した基礎知識は、上位資格の学習の前提知識として必要です。
特に、ストラテジ系とマネジメント系の知識は、上位資格でもそのまま活用できる内容が多く含まれています。
参考:「基本情報技術者試験の勉強法!独学で最短合格するコツを解説」
なお、上位資格である基本情報技術者試験にも「意味ない」「時代遅れ」という声があります。
その理由と実際のメリットは「基本情報技術者試験は意味ない?時代遅れと言われる理由と実際のメリット」で、IPAの公表資料と取材データから検証しています。
企業での評価・昇進で有利になる場合があります
多くの企業でITパスポートの取得が推奨されており、人事評価や昇進、転職活動で評価される場合が増えています。IT業界以外の企業でも、ITパスポートの取得は学生のITリテラシーを示す指標として評価されます。
金融業界、製造業、サービス業など幅広い業界で、IT知識を持つ人材のニーズが高まっているためです。管理職やリーダー職への昇進時に、ITパスポートの取得が要件や推奨条件として設定されている企業が増えています。
現代のビジネスではITリテラシーが不可欠なスキルとして認識されているためです。転職活動では、ITパスポートの取得は他の候補者との差別化要因となります。
IT業界以外からIT業界への転職や、IT関連部署への異動を希望する場合には、基礎知識があると証明できます。
しかし、ストラテジ系やマネジメント系の知識が不足しているエンジニアには、資格取得で社会人として有用な知識を身に付けられる側面もあります。
技術者であっても、経営的な視点やプロジェクト管理の基礎を理解すれば、キャリアアップを狙えるためです。
また、IT業界以外の企業では、ITパスポートレベルの知識であっても十分に評価される場合があります。
業界や職種によって価値が大きく異なるのも、評価が分かれる理由の一つです。
関連記事:ITパスポートの次に取るべき類似資格おすすめ5選!上位資格やG検定との違い
社会人に必要なデジタルリテラシーが身に付きます
ITパスポートの学習を通じて、現代社会で必要不可欠なデジタルリテラシーを体系的に身に付けられます。職場だけでなく日常生活でも活用できます。
サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクが高まっているため、社会人にとって適切な情報セキュリティの適切な知識は重要です。
ITパスポートでは、パスワード管理、フィッシング詐欺の対策、機密情報の取り扱いなど、実践的なセキュリティ知識を学習できます。
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むと、AI、IoT、クラウドコンピューティングなどの最新技術に関する基礎知識を身に付けられます。
業務効率化や新しいビジネスモデルの理解に役立ちます。IT用語や概念を正しく理解できれば、IT部門や外部のITベンダーとのコミュニケーションがスムーズになります。
プロジェクトの進行や問題解決の効率がよくなるでしょう。
向いている人・向いていない人
ここまでを踏まえて、取る価値があるのはどんな人かを整理します。| 向いている人 | 向いていない人 |
| IT知識がほとんどなく、体系立てて学び直したい人 | すでに基本情報技術者以上を保有している人 |
| 非IT系の職種でDXや社内システムに関わる人 | 開発の実務経験があり、コードで実力を示せる人 |
| 基本情報技術者など上位資格の足がかりが欲しい人 | 資格そのものより実務経験を優先すべき段階の人 |
向いていない側に当てはまる場合でも、受験そのものが無駄になるわけではありません。
取得の目的が「証明」なのか「学び直し」なのかで、判断は変わります。
そもそもIT業界に進むべきか迷っている段階であれば、業界そのものを先に見ておくほうが早いかもしれません。
参考:「IT業界はやめとけ?ITエンジニアに向いていない人の特徴も解説」
ITパスポートに効率よく合格するための進め方
受けると決めたら、あとは学習の型を決めるだけです。独学でも十分に合格を狙えますが、教材選びと過去問の使い方で必要な時間は大きく変わります。
過去問は6年分を目安に、年度別で傾向をつかんでから分野別で弱点を潰す順番が効率的です。
教材をどう選ぶか、通信講座を使うかどうかは、それぞれ詳しく解説した記事があるのでそちらを参照してください。
参考:「【ITパスポート独学完全ガイド】勉強方法と参考書おすすめを解説」
参考:「ITパスポート対策におすすめ勉強方法【最短合格のコツで攻略】」
参考:「ITパスポートは過去問だけで受かる?何年分解くべきか徹底解説」
参考:「ITパスポート通信講座おすすめランキング12選を徹底比較」
もし不合格になっても、再受験までの待機期間はありません。
参考:「ITパスポートに落ちた!不合格は恥ずかしい?受からないのか徹底解説」
ITパスポートが意味ないかどうかは、業界や職種に左右される
ITパスポートは独占業務がなく、合格率も令和7年度で48.6%と難易度が高くないため「無駄」と言われることがあります。
しかし、IT初心者にとっては基礎固めとして有効で、上位資格への足がかりや企業での評価向上につながる場合もあるでしょう。
ただし応募者の実態を見ると、非IT系企業からの応募がIT系の約4.4倍で、最も多い職種は非IT関連の営業・販売でした。
IT業界の中の基準で「意味ない」と言われていても、非IT系の職種で働く人にとっては評価が変わります。
履歴書に書くことにも問題はありません。
自分の現在のスキルレベルと目標を明確にした上で、取得の必要性を判断してみてくださいね。
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WRITERこの記事を書いた人
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