(インタビュー)株式会社Progate代表取締役社長 加藤將倫|gate(入り口)からpath(道のり)へつなげたい

(インタビュー)株式会社Progate代表取締役社長 加藤將倫|gate(入り口)からpath(道のり)へつなげたい
初心者が気軽にプログラミング学習をスタートできる教材として定番になりつつあるProgate(プロゲート)

初心者向けレッスンは完全無料、応用レッスンも月額1,078円(税込)と低価格に抑えられ、ユーザー数は2020年5月現在で140万人にのぼります。

Progateの特徴は徹底的に”初心者向け”をつらぬいていること。

つまずきがちな環境構築を大胆にカットするなど、誰もが「プログラミングって楽しい!」と思えるような仕組みが好評を博しています。

今回は株式会社Progate 代表取締役社長 加藤 將倫(かとう・まさのり)氏にインタビューし、サービスにかける思いを語っていただきました。

株式会社Progate 代表取締役社長 加藤 將倫(かとう・まさのり)氏


口コミで広がるプログラミング学習の輪

取材はオンライン会議ツールで行った


—本日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、Progateの特徴をズバリ教えてください。

Progateは、プログラミングの世界への“gate(入り口)“となり、その先の創れる人を生み出すことを目指したサービスです。

プログラミング=難しい、自分にはできない、と思っている方はまだまだ多いので、初心者の方にも「楽しい!」と思っていただけるように日々努力しています。

Webサイトや教材にかわいらしいキャラクターが登場するのもその一環ですね。

サービスの世界観を代弁する存在として予想以上に愛されているようで、大変嬉しく思っています。

指南役である「ひつじ仙人」と、ユーザーの分身「忍者わんこ」。全体的に柔らかいイメージだ


—2014年に創業されて以来、Progateのユーザー数はかなり伸びているそうですね。なぜここまで人気を集めているのでしょうか。

ユーザー数は年々伸びているのですが、ここ2、3年の伸びはとくに大きいです。タイムリーな話ですと、”STAY HOME”期間の伸びは過去最高でした。

テレワークやオンライン授業などに注目が集まる中、最初の一歩としてProgateを選んでくださるのは非常に嬉しいですね。

世の中の流れに加え、Progateは既存ユーザー様からの紹介でスタートされる方が非常に多いのも特徴です。

プログラミングの独学は意欲が続きにくいと言われますが、Progateをリファラル(既存ユーザーからの紹介)でスタートされる方の継続率は比較的高い。

SNSでつながったり勉強会を開いたりと、ゆるやかなコミュニティを形成しながら学習されている方も多いようです。

Progateには進捗をSNSにシェアする機能があって、僕たちの予想以上に活用されています。お互いに「いいね!」ボタンで励ましあうなど、コミュニティ形成に一役買っているのかも知れません。

Progateの公式Twitterのフォロワー数は約2.8万人(2020年6月現在)。「サービス開始当初はユーザー様のつぶやきが嬉しくて、積極的に『いいね』を押していました。結果的にコミュニティ感の演出につながったのかもしれません」(加藤)

設計理念は「楽しい!」ファースト

—Progateはアプリで展開されているのも大きな特長ですよね。実践的なプログラミングはパソコンで行うことが多いと思うのですが、なぜWeb版だけでなくアプリ版も提供されているのでしょうか。

Progateは2014年に創業し、はじめ3年くらいはWebのみでサービスを提供していました。

でも、スマホネイティブの世代ってパソコンを持っていなかったりするんですよ。

学校に伺って生徒さん達の様子を見てみますと、全角/半角の区別がなかったり、@(アットマーク)の位置がわからなかったり。「メールアドレスを登録する」習慣もあまりないんですね。

こうしたトラブルは、プログラミングを本格的に学び始めるならいずれ乗り越えるべき壁でしょう。だけど、せっかく学びたいと考えている人を入り口でふるい落としてしまうのはもったいない。

そこで2018年にはアプリ版を提供し始めました。今まで以上に初心者の方、若い世代の方に触れていただきやすくなったと考えています。

レッスンごとにデザインを微調整するなど、ユーザーを取りこぼさない仕組みを日夜試行錯誤しながらProgateのレッスンは作られている


—あえて"気軽さ"を優先したのですね。他にはどんな特徴がありますか。

プログラミング初心者が初めにぶち当たるのは「環境構築」の壁です。

必要なソフトをインストールするなど取り組むための準備がまず難しい。コードを一行も書かないまま諦めてしまう方がそれなりに多く、もったいないなと感じていました。

そのためProgateでは「環境構築」のステップを思い切ってカットしました。Webブラウザやアプリを開けばすぐにコードを書き始められるので、早い段階で”自分の書いたコードが動く喜び”を実感できるんです。

—動画メディアが流行する中、あえてスライドをめくる形式なのもこだわりのポイントですか?

スライド形式を採ったのは動画よりも進むペースをコントロールしやすく、テキスト(書籍)よりもビジュアル面で分かりやすいためです。

といっても今の形に固執しているわけではなく、より分かりやすい伝え方があれば柔軟に変えていきたいとは考えています。デザイン面も含め、試行錯誤中ですね。

Progateでは分かりやすいスライドを自分のペースでめくりながら学習を進められる


スライドで得た知識は「演習」ですぐに実践。このサイクルでスキルの定着を促す

海外にも"gate"を開く

—今年初めにはインドネシアに現地法人を設立されたそうですね。海外のプログランミング教育事情はどのような状況でしょうか。

プログラミング教育のプロゲート、インドネシア進出 - 日本経済新聞

プログラミング教育のプロゲート(東京・渋谷)はインドネシア市場に進出する。3月にオンラインでプログラミングを学ぶサービスを始める予定だ。若年人口が多いインドネシアで、現地の人が母国語で安価に学べるサービスを提供する。海外展開を進めるため4億円の資金調達も実施し、第三者割当増資で3億円、銀行からの借り入れで1億円を得た。2月14日にジャカルタに現地法人を設立した。同社のサービスをインドネシア語に

この記事をwww.nikkei.com で読む >

現在、Progateでは"gate(入り口)"から"path(道のり)"へつなげることを目指し、コンテンツの充実化を図っています(詳しくは後述)。とはいえ、海外にはまだ”gate”が不足している国がたくさんあります。具体的にはインドやインドネシア、エストニア、イスラエルなどでしょうか。

中でもインドネシアは、現地のユニコーン企業などが出てきてテックシーンが盛り上がる一方、エンジニアの数は不足している。数年前の日本と似た状況なんです。

政府も民間もプログラミング教育を盛り上げていきたいんだけれども、現地の言葉で学べる教材がない。僕たちのProgateなら課題を解決できるのでは?と考え、現地法人を設立しました。今後もますます盛り上げていきたいですね。

作りたいものがなくてもいい。誰かと共創すれば◎

—Googleで検索されているワードを見てみますと、「プログラミング 作りたいものがない」といった悩みが見えてきます。目的指向>キャリア指向のような考え方があるのだと思います。「自分にはオリジナリティがない」と悩む方について、どう思われますか。

作りたいものがある。確かに、その思いを持てる方は非常に尊いです。
一方でキャリアのためにエンジニアを目指す方も同様に立派ではないでしょうか。

Progateの開発もそうです。初めの頃は僕自身がコードを書いていましたが、今では僕の何百倍も優秀なエンジニアが加わってくれ、サービスを共創しています。

いま自分に作りたいものがなくても、スキルさえあれば誰かと共に新たな価値を生み出せる。それって充分「創れる人」だと思うんですよね。

"入り口"から"道のり"へつなげたい

—ちょっとネガティブなご質問になりますが……。Progateの気軽さ、初心者向け教材としてのクオリティは大きく評価されている一方、「プロとして独り立ちするには物足りない」という意見があるのも事実です。このようなニーズについてどう思われますか。

まさに、Progateが現在取り組んでいる「"gate(入り口)"から"path(道のり)"へ」に関わるご質問ですね。

我々のミッションは「初心者から、創れる人を生み出す」ですが、個人的にはまだ半分しか実現できていないと感じていて。

これまでのProgateはとにかく”gate(入り口)”を広げる方向に注力してきました。少しでも多くの方にプログラミングの楽しさを知ってもらう、初心者が挫折しないよう最適化する、というねらいがあって、これはある程度目的を遂げられたのかなと考えています。

でも、実際に「創れる人」を育てる、つまり世の中に価値を生み出せるクリエイターやエンジニアを育てるのは容易なことではありません。Progateで身に付けられるスキルと、実際の現場で求められるスキルのギャップが大きいというのは、僕たちも重要な課題として認識しています。

というのも、プログラミングの世界って奥が深くて、知れば知るほど新たに学ぶことが増えるんです。Progateのメンバーもそうですが、能力があり、長年の経験もあるプロエンジニアですら貪欲に学び続けています。Progateのレッスンさえ受ければOKという世界ではありません。

それに、仕事として取り組むのであればトラブルにも自分で対処しなければいけません。たとえばProgateでは「環境構築」をスキップしていますが、仕事にするならば当然できる必要がありますし、詰まっても自分で調べて解決しなければいけません。


これまでのProgateは、誰もが気軽に取り組める「優しいProgate」を目指してきました。でも、初心者から中級者以上にステップアップするなら「優しさ」だけでは通用しないかもしれない。

まだまだ構想段階ではありますが、今後はある程度の「厳しさ」も見せながらユーザー様の自走を促していく「本気のProgate」をご提供できたらなと考えています。

これが「”gate(入口)”から”path(道のり)”へ」の中身です。この新しいゴールを遂げられたなら、世の中に生める価値はきっと非常に大きなものになると期待しています。

世の中は想定以上のスピードで変化している

—本日はありがとうございました。最後に、プログラミングの世界に興味を持っている読者の方に向けてメッセージをお願いいたします。

新型ウィルスが猛威を振るったここ2、3ヶ月は、オンライン学習やIT業界への注目度が急激に上がった時期だったなと感じます。

想定の何倍ものスピードで世の中が変わり、僕たちですら戸惑いました。ITに馴染みのない方はもっともっと大変に感じておられることでしょう。

それでも、これを機会にプログラミングの世界に興味を持ってくださったのであれば、ぜひトライしていただきたい。

今後も良質なコンテンツを備えたプラットフォームづくりに全力で取り組んでまいりますので、ぜひProgateをよろしくお願いいたします。

—ありがとうございました!

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「テレワーク」の筆頭といえばIT業界。 「プログラミングさえできれば」と考える方も多いのではないでしょうか? この記事では、プログラミング学習アプリ・Progate(プロゲート)をライターが実際に体験! 率直な感想を交え、メリット・デメリットなどをわかりやすくお伝えします。

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