専門性ゼロから司法試験へ。弁護士が語る司法試験の勉強法と合格術
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今回お話を伺った方
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スタディング司法試験講座 講師
小村 仁俊氏1971年大阪府生まれ。 神戸大学理学部物理学科卒業後、一般企業で社会人経験を積みながら、司法試験の勉強を続ける。 司法制度改革の流れに可能性を感じて2007年から法政大学法科大学院(既修者コース)へ進学。 2010年に司法試験合格後、都内大手事務所にて多数の事件を手がける。 2014年に東村山法律事務所を設立。 2016年からスタディングで司法試験の受験指導を担当する。 「スタディング 司法試験・予備試験講座」では「基本講座」を担当。
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多くの大人が抱えるそんな悩みに、一つの道を示してくれるのが「資格取得」という選択です。
中でも司法試験は、最難関というイメージから、自分には縁遠いと感じていませんか?
今回お話を伺ったのは、法律未経験の社会人から司法試験に合格した弁護士の小村先生。
先生ご自身が「専門性がない」という悩みからスタートしたからこそ、その言葉には誰もが「自分ごと」として捉えられる温かさと説得力があります。
「完璧じゃなくていい」「本気の人と繋がる」――。小村先生が語る、挫折しないための学習戦略と心の持ちようは、資格挑戦へのハードルをぐっと下げ、新たな一歩を踏み出す勇気をくれるはずです。
「自分には専門性がない」――その悩みが出発点だった
現代は、どんな分野でも「専門性」が重要視される時代です。
しかし、資格取得前の私は、サラリーマンやフリーターなどを経験する中で、自分には何も「専門性」がないと感じていました。
「真面目」なことだけは自信がありましたが、真面目に勤めあげても出世や昇給が約束されない時代になり、専門性の客観的な指標としての「資格」に考えが至ったんです。挑戦するなら「資格の最高峰」といわれる司法試験でした。
多くの社会人が抱える「専門性がない」という悩みからスタートされたのですね。資格取得後はどのようなキャリアを歩んでこられましたか?
弁護士資格取得後の2年ほどは、大手法律事務所に勤務し、交通事故専門の部署で多数の案件を担当しました。
そこで一般民事事件の処理方法を多く経験できたことが、独立後の大きな土台になっています。
現在は、相続に起因する不動産問題や、親族間のトラブルといった一般民事事件を多く担当しています。
キャリアの自由度が格段に上がる。司法試験・予備試験合格の先にある未来
改めて、司法試験を取得する「最大のメリット」はどのような点にあるとお考えですか?
まず、仕事の時間や勤務地といったワーク・ライフ・バランスを自分で自由に決められます。
弁護士の需要は全国にあるため、開業したい地域を選ぶ余地が十分にあります。
また、どんな仕事を受けるか、どの分野に特化するかを自分で決められるのが最大のメリットです。
次に、仕事の進め方に唯一の正解がないため、自分の発想や新たな視点を反映させられる点です。
時には、時代の変化を捉えた新しい視点が、裁判所や判例を動かし、社会を変えるきっかけにもなり得ます。
そして最後に、多くの依頼者と会い、悩みを共に考えることで、人間として成長する機会が与えられることも大きな魅力です。
司法試験では、具体的にどのような能力が問われるのでしょうか?
法律の基礎知識を基に、未知の問題に応用して解決する能力が問われる試験だと思います。
多くの資格試験では知識そのものが問われますが、司法試験では毎年、誰も見たことのないような問題が出題されます。
これは、弁護士や裁判官という職務の性質上、常に未知の問題を解決する能力が求められるからでしょう。
「前例がないから判断できない」と逃げるのではなく、法律や判例の趣旨、社会情勢などに基づいて、誰もが納得できる解決策を模索し続けるのが、法律家の使命とも言えます。
先生の講座には、どのような方が多く集まっていますか?
私自身が、法律未経験の社会人からチャレンジした経歴のためか、社会人(主婦/主夫を含む)の受験生が多いように感じます。
世間一般の「司法試験=高学歴エリートが挑戦するもの」という枠に収まらない、「普通の人」が多く受講してくださっている印象です。そういった方々の力になりたいと強く思っています。
司法試験・予備試験対策の勉強法|合格の鍵は「完璧主義を捨てる」こと?
これまで多くの合格者を輩出されてきた中で、もし試験合格のために「たった一つだけ」最も重要なことを挙げるとしたら、それは何でしょうか?
「モチベーションの維持」が最も重要で、かつ困難なことだと思います。
司法試験は合格が難しく、どうしても受験が長期間に渡りがちです。
その間、人間の記憶は徐々に失われていきますから、それを上回るスピードで知識や思考力をインプットし続けなければなりません。そのためには、高いモチベーションを常に維持することが最大の対策といえます。
その高いモチベーションを維持する秘訣は何でしょうか?
一つだけ挙げるなら、「本気で何かにチャレンジしている人との交流を大事にする」ことです。
相手が優秀でなくても、分野が違っても構いません。本気な人は多くを語りませんが、少し話せばその熱量に必ず気づくはずです。そういった人との交流を大切にしてほしいと思います。
逆に、多くの受験生がやりがちだけれども「これは遠回りになってしまう」と感じる、非効率な学習法や注意点があれば教えてください。
注意点としては、「完璧主義」にとらわれることです。
司法試験は「出題範囲が非常に広く、しかも深い」「毎年、未知の問題が出題される」という特徴があります。
この広大で深い範囲のすべてを完璧に理解し、解答を用意しておくのは不可能です。にもかかわらず、多くの優秀な受験生がその罠に陥りがちです。
ある問題に1日程度取り組んだら、不完全燃焼でも一旦離れて次に進むのが近道です。他の単元の理解が進むと、自然と疑問が解消されることもよくあります。
学習途中の「中だるみ」や「スランプ」を乗り越えるための具体的な対処法はありますか?
先ほど述べた「本気の人との交流」が最善の方法ですが、他にも、実際に裁判傍聴に行ったり、興味のある判例の全文を読んでみたりするのもお勧めです。
「よくある事件」に見えても、実際の事件には必ずドラマが隠されています。
「当たり前」と思える判断が、実は非常に微妙な利害対立の上での苦渋の判断だったと分かり、判例の中のドラマに気づかされます。
そうした経験が蓄積されると、条文を読むときにも「この条文がなかったら、悪知恵の働く人がこんなことをしそうだ」といった想像力が働くようになり、結果的に受験にも活きてきます。
初心者でも合格は可能?スタディングの司法試験・予備試験対策講座
先生が担当されている講座の「最大の特長」はどんな点でしょうか?
従来の論文対策は「完璧な答案」を目指すあまり、予備校の参考答案は「試験現場では書けるはずのない理想論」になりがちでした。
そこで私の講座では、「完璧でなくても、確実に合格圏内に入る論文作成方法」を具体的に提示しました。
例えば「結論を先に書き、理由は時間を見ながら調整する」「難しい言い回しを避ける」といった方法です。
ご自身の合格体験に基づいた、再現性の高いノウハウが強みなんですね。
はい。この方法は、読み手(採点者)の視点を考え抜き、私自身が本試験で実践して合格できたものです。
この「普通の人でも確実に合格できる論文作成方法」は今も進化し続けています。
最近では、生成AIによる論文過去問の答案添削を導入しました。
従来の人の手による添削の課題を解消し、個々の思考に踏み込んだ指導を、全受講生がいつでも瞬時に受けられる環境を用意しています。
答練・AI添削講座も追加
弁護士の仕事のリアルな「やりがい」と「厳しさ」
先生ご自身が弁護士として働くなかでの「一番のやりがい」はどんなことですか?
一番のやりがいは、解決方法が一つではなく、自分なりの発想で道を切り拓くチャンスが常にあることです。
一度、相手方が提出した証拠写真に鏡が写り込んでいて、その中を拡大すると相手方の主張と矛盾する状況が写っているのを発見したことがあります。こういう発見は稀ですが、弁護士の仕事は発想次第だと感じた瞬間でした。
逆に、仕事の「厳しさ」を感じるのはどんな時ですか?
やりがいの裏返しで、解決策がうまく見つからないときは苦労します。
本来勝つべき依頼者が、証拠不足などで不利な立場に立たされた時は、依頼者と共に忸怩たる思いをします。
ですが、そんな時でも弁護士が共に悩み苦しむことが、依頼者の救いになっているなら、それも職責の一環なのかもしれません。
資格の知識以外に、どんな経験が仕事に活かせるとお考えですか?
基本的にはどんな知識でも弁護士の業務に活かせると考えています。ITや語学はもちろん、趣味の知識でさえ可能性を秘めています。
例えば、「ペット訴訟」という分野があるので、動物への愛情や知識も活かせます。
私の場合はバイクが趣味で、交通事故の案件でその知識が役立ちました。そんな将来を自由に考えられるのも、弁護士という仕事の魅力の一つではないでしょうか。
「過去は関係ない」法律ド素人から上位合格した私が伝えたいこと
最後に、司法試験に興味はあるものの、「自分には無理かもしれない」と一歩を踏み出せないでいる読者に向けて、メッセージをお願いいたします。
司法試験は日本最難関と言われ、ハードルを高く感じますよね。しかし、私自身も理系出身で法律は全くの素人でした。
上京したての頃は「不良債権」という言葉の意味も分からず、「所有」と「賃貸」の区別もつかずにアパートを借りた登記をしに行って笑われた思い出もあります。そんな私でも、紆余曲折ありながら上位合格できました。
そんなエピソードがあったとは!先生が上位合格されたという事実は、何よりの勇気になりますね。
ありがとうございます(笑)。ですから、みなさんが強いモチベーションとたゆまぬ努力を惜しみさえしなければ、必ず突破できると信じています。
過去は関係ありません。未来の自分を作るために、今、少しずつでいいので、自分を変えていきましょう。応援しています!
答練・AI添削講座も追加
WRITERこの記事を書いた人
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まず、先生が司法試験という難関資格を目指そうと思われた、最初の「きっかけ」についてお聞かせください。