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FDE(Forward Deployed Engineer)とは?AI時代に求められる役割とポートフォリオの評価軸を取材

FDE(Forward Deployed Engineer)とは?AI時代に求められる役割とポートフォリオの評価軸を取材
生成AIの登場により、Webアプリやサービスの開発は以前よりも短期間で行えるようになりました。コードを書いたり、エラーを解決したりする時間も短縮され、「誰でも一定レベルのものを作れる時代」になりつつあります。

そうしたなかで、AI時代の新しいエンジニア像として注目を集めているのがFDE(Forward Deployed Engineer)です。

顧客の現場に深く入り込み、「何を作るべきか」を見極めるところから実装までを一貫して担う役割で、「コードが書けること」よりも「相手が本当に必要としているものを形にできること」に価値を置く働き方です。

この変化は、これまでエンジニアにとって必須とされてきた「ポートフォリオ」の評価軸にも表れています。

生成AIを使えば見栄えの良い成果物を短時間で作れる今、採用の現場では「作れたかどうか」ではなく、その先が問われはじめているのです。

連載第8回目となる今回は、「FDEとはどのような役割なのか」「なぜポートフォリオだけでは足りないといわれるのか」「AI時代に評価されるポートフォリオとはどのようなものか」について、受講生の転職・案件獲得を数多く支援してきたCOACHTECH運営者にうかがいました。

AI時代の採用現場で本当に見られているポイントを整理し、未経験からエンジニアを目指す方が今、何を意識して学習やポートフォリオに向き合うべきかを明らかにしていきましょう。

そもそもFDE(Forward Deployed Engineer)とは?

そもそもFDE(Forward Deployed Engineer)とは?

インタビューに入る前に、本記事のキーワードとなる「FDE」について整理しておきましょう。

顧客の現場に入り込み、課題の発見から実装までを一貫して担うエンジニア

FDE(Forward Deployed Engineer)とは、顧客の業務や組織、既存システムを深く理解したうえで「何を作るべきか」を見極め、その解決策をシステムとして実装するところまでを一貫して担うエンジニアのことです。

直訳すると「前線に配置されたエンジニア」。オフィスで仕様書が届くのを待つのではなく、顧客の現場に入り込み、課題そのものを一緒に定義していくところに最大の特徴があります。

この考え方は、2010年前後に米国のデータ分析企業Palantir(パランティア)が「Forward Deployed Software Engineer」として体系化したものが起点とされています。

近年は生成AIの導入支援という文脈で、OpenAIやAnthropicをはじめとするAI企業が同様の役割を置いたことから、日本でも急速に注目度が高まりました。

FDEの特徴を、以下の表に整理します。
正式名称・読み方 Forward Deployed Engineer(フォワード・デプロイド・エンジニア)
主な役割 顧客の現場に入り込み、課題の明確化から実装・定着までを一貫して担う
担当する工程 要件定義などの上流工程から実装まで(従来の客先常駐は実装・テストなど下流工程が中心)
仕事の起点 決められた仕様ではなく、顧客が抱える業務課題そのもの
求められる力 技術力に加えて、業務理解力・対話力・課題を言語化する力
注目される背景 生成AIによって実装のハードルが下がり、「何を作るべきか」を見極める力の価値が相対的に高まったため

日本のエンジニアにとって紛らわしいのが、いわゆる客先常駐(SES)との違いです。

どちらも「顧客先で働く」という点は共通していますが、客先常駐が実装・テストといった下流工程を担うことが多いのに対し、FDEは課題の明確化や要件定義といった上流工程にこそ強みを持ちます。

つまりFDEとは、「言われたものを作る人」ではなく、「何を作るべきかを顧客と一緒に決め、そのまま作り切る人」だと言えます。

AIは「どう作るか」を肩代わりできますが、「何を作るべきか」を顧客と決めることまではできません。だからこそ、FDEという役割に注目が集まっています。

ではこのFDE的な視点は、未経験からエンジニアを目指す人にとって、どのような意味を持つのでしょうか。ここからはCOACHTECH運営者への取材内容をお届けします。

Q1. なぜ今、FDEのような役割が求められているのでしょうか?

Q1. なぜ今、FDEのような役割が求められているのでしょうか?

第2回、第4回では、エンジニアの実務経験の重要性について伺いました。

一方で未経験者の中には、「質の高いポートフォリオを作れるなら十分なのでは」と感じる人もいるかもしれません。

「作れる」ことと「実務で通用する」ことの間には、具体的にどのような線引きがあるのでしょうか?

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2026/02/22

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A.    実務では「仕事として成立させられるか」が問われる

ポートフォリオと実務経験の大きな違いは、「仕事として開発を進められるかどうか」にあります。

ポートフォリオは自分のペースで、自分が作りたいものを自由に開発できます。

一方、実務では納期品質基準が明確に定められている上、チームメンバーとの連携や仕様変更への対応などが必要です。システムを作れることは当然として、限られた条件の中でクライアントが求めるものを作るスキルが求められます。

また、実務で欠かせないのは技術力だけではありません。相手の課題を正しく理解し、それをシステムとして形にする力も求められます。

近年注目されているFDE(Forward Deployed Engineer)は、まさにこの「相手の課題を理解し、形にする」ことを役割の中心に据えたエンジニアです。

顧客や現場に深く入り込み、課題を理解しながらシステムを開発していく――ポートフォリオは「自分が作りたいもの」を作れば成立しますが、実務では「相手が必要としているもの」を、現場の文脈を踏まえて形にする視点が重要になるのです。

ポートフォリオで示せるのは「作る力」まで。FDEに求められる「何を作るべきかを見極める力」は、相手のいる開発を経験して初めて磨かれていきます。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

AIの進化によって、システムを作ること自体のハードルは以前より下がりました。一方で、現場の状況を理解し、相手の要望をくみ取りながら開発を進める力は、AIだけでは補いにくい部分です。

エンジニアの採用においては、ポートフォリオで測れる技術力だけでなく「現場を読み解き、要求されたものを形にして仕事として成立させる力があるか」を重視する傾向が強まっていると感じています。

Q2. AI時代、ポートフォリオの価値は本当に下がっているのでしょうか?

Q2. AI時代、ポートフォリオの価値は本当に下がっているのでしょうか?

FDEのように「現場で課題を解決できる人材」が求められる一方、未経験者にとって最初の関門となるのは、やはりポートフォリオです。

生成AIが短期間で質の高いコードを出力できる今「誰でも作れる時代になったのだから、ポートフォリオの価値は下がったのではないか」と考える人も少なくありません。

実際の採用現場では、AI時代のポートフォリオはどのように評価されているのでしょうか?

A.    背景にある思考や設計が評価のポイントになる

AIが登場したからといって、ポートフォリオの価値がなくなったわけではありません。

ただし、以前と比べると、「作った」という事実そのものの希少性は下がっています。

現在、採用担当者の多くは、成果物だけを見るのではなく、なぜそれを作ったのか、どのように作り上げたのか、どのような工夫を加えたのかといった背景まで含めて評価する傾向が顕著です。

システムを完成させられたかどうかという点よりも、設計の背景や、そのシステムを作った理由といった「作れたこと以外」の部分で差が付きやすくなっています。

加えて最近では、AIをどのように制御しながら開発を進めたかという、いわゆるハーネスエンジニアリングの観点も評価のポイントになりつつあります。

ポートフォリオの価値が変化した理由は、そのポートフォリオが、AIの自動生成で作られたものである可能性もあるためです。

見た目や完成度だけでは、本当に本人が考えて作ったものかどうかを判断すること自体が難しくなっている——それが今のポートフォリオ評価の前提にあります。

ポートフォリオでより高い評価を受けるには、AIにどのような指示を出して完成させたのか、どのような意図を持って設計したのか、どのようにAI出力を検証・調整しながら形にしたのかまで示すことが重要です。

株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏

AI時代になっても、ポートフォリオがエンジニアのスキルを示す重要な資料であることに変わりはありません。

ただし、これからのポートフォリオには、成果物そのものだけではなく、設計の考え方やAIをどのように活用して完成まで導いたのかといったプロセスまで意識することが求められます。

Q3. なぜ「見栄えが良いだけ」のポートフォリオでは評価されにくいのでしょうか?

Q3. なぜ「見栄えが良いだけ」のポートフォリオでは評価されにくいのでしょうか?

生成AIを活用すれば、デザインやコードの品質を一定レベルまで引き上げられるようになりました。

その結果、見た目の完成度が高いポートフォリオは以前よりも増えています。それでも、評価に差が生まれるのはなぜなのでしょうか?

A. 見た目の良さは、もはや差別化の要素にはならない

AIツールの発展により、洗練されたデザインや整理されたソースコードを出力することは、今や誰にでも容易にできるようになりました。

企業やクライアントが見ているのは、成果物の綺麗さそのものではなく、その背景にある姿勢や思考です。

例えば、同じToDoアプリを制作した場合でも、「なぜその課題を選んだのか」「どのような工夫によって使いやすさを改善したのか」「なぜその技術を採用したのか」といった点まで説明できる人と、完成したアプリだけを提示する人とでは、与える印象は大きく異なります。

前者からはその人自身の思考の跡が見えますが、後者からは「作れた」という事実以上のものは伝わってこないためです。

ポートフォリオのビジュアルや表面的な完成度を高めても、差別化の要素にはなりにくくなっています。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

AIによって成果物の見栄えが揃ってきたからこそ、課題解決のアプローチや開発における工夫と改善・技術選定のロジックが記載されているかどうかがポートフォリオの評価に大きく影響します。

これからの時代、制作物がきれいに並んだだけのポートフォリオでは、高い評価を受けるのは難しくなっていくのではないでしょうか。

Q4. FDE的な視点は、ポートフォリオにも表れるのでしょうか?

Q4. FDE的な視点は、ポートフォリオにも表れるのでしょうか?

逆に、AI時代だからこそ評価されやすいポートフォリオというものもあるかと思います。

FDEに通じる「課題を見極め、解決に向けて考え抜く姿勢」は、ポートフォリオでも示せるのでしょうか。未経験者がポートフォリオを差別化する上で、意識すべき具体的なポイントを教えてください。

A.    試行錯誤の過程が伝わるポートフォリオ

AI時代に評価されやすいのは、完成度の高さだけではなく、試行錯誤の過程まで伝わるポートフォリオです。

AIで一定水準の成果物を作れる今、完成したアプリやサービスだけでは、製作者の実力や思考過程を十分に判断することが難しくなっています。

だからこそ、ポートフォリオでは、なぜその機能を作ったのか、その開発過程でどんな課題にぶつかり、それをどう改善していったのかという流れを伝えることが非常に重要です。

どう対処したかという試行錯誤の経緯を示すことは、そのまま実務における「問題解決力」や、自力で調べて進める「自走力」の証明になります。

成果物の見た目が横並びになる時代だからこそ、「人の視点」の有無が評価の差を生むのです。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

特に未経験者がポートフォリオを作成する場合は、開発中に考えたことや試したこと、課題をどのように乗り越えたのかを重視し、記録しておくことが大切です。

設計を見直した場合はその理由を、AIの提案を採用・修正した場合は判断の根拠などを細かく残しておくと、成果物だけでは伝えにくい実践力論理的思考力をアピールできます。

Q5. AI時代、未経験エンジニアは何をアピールすべきなのでしょうか?

Q5. AI時代、未経験エンジニアは何をアピールすべきなのでしょうか?

ポートフォリオによる差別化が難しくなっている今、未経験エンジニアはどのようなアピールを意識すればいいのでしょうか。

FDEのように現場で課題解決を担う人材が求められるなか、採用担当者の視点からアピールすべきポイントを教えてください。

A.    技術力だけでなく、学習を続ける姿勢や課題解決力もアピールする

AI時代の未経験エンジニアは、技術力だけでなく、学習継続力や課題解決力、コミュニケーション力なども積極的にアピールすることが大切です。

これまで述べてきたとおり、生成AIの登場により技術力だけで他者と差別化することは以前より難しくなっています。ポートフォリオでは、「どれだけコードが書けるか」だけではなく、「どのような姿勢で学び続けられるか」「課題に直面したときにどのように考え、解決してきたか」といった点をきちんと伝えましょう。

例えば、学習中に難しい課題へ取り組んだ経験や、エラーの原因を調べながら解決した過程、継続的に学習を続けるために工夫したことなどは、その人の成長意欲課題解決力を伝える材料になります。

また、チーム開発やコミュニティ活動、レビューを通じて他者とコミュニケーションを取りながら学んだ経験も、実務に対応できるという印象を与える上で有益です。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

学習履歴や試行錯誤してきたエピソードには、その人の今後の「伸びしろ」や「実際の現場での動き方」が現れます。

実績の少なさを技術だけで補おうとするのではなく、開発や学習の過程で培った人間的な強みを自分の言葉でしっかりと伝えること。それこそが、AI時代においては、採用担当者の心に響くアピールにつながるのです

Q6. FDEのように動けるエンジニアは、どうすれば育つのでしょうか?

Q6. FDEのように動けるエンジニアは、どうすれば育つのでしょうか?

ポートフォリオは、未経験エンジニアがスキルを証明するための大切な材料です。

一方で、これまでのインタビューでは、「実案件経験」の重要性についても繰り返し語られてきました。

相手のいる開発を担うという意味で、実案件経験はFDE的な力を養う場とも言えそうです。COACHTECHでは、なぜ実案件での経験を重視しているのでしょうか?

A.    学んだ知識を、現場で通用するスキルへとつなげるため

どれだけ多くの時間を学習やポートフォリオ制作に費やしても、それだけでは「勉強してきたこと」の証明に過ぎません。

実際にその技術が仕事として通用するかどうかは、本物の開発現場を経験してみるまで判断が難しいのが実情です。

だからこそCOACHTECHは、学んで終わりではなく、学んだことを実際の案件で発揮できる環境の提供にこだわっています。

責任を持って開発を進める経験を積むことで、未経験者でも学んだ知識を実践的なスキルへと高めることができるのです。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

実案件には必ずクライアントなどの「相手」が存在し、それに伴う責任が発生します。

自分の都合では進められない状況の中で、要件を整理し、相手と認識をすり合わせ、納得してもらえる形に仕上げていく。

この一連の経験を通して初めて、知識が「使えるスキル」へと変わっていきます。そして、こうした経験が自信となり、次のキャリアへとつながっていくのだと感じています。

まとめ|AI時代に価値が下がらないのは、FDE的に動けるエンジニア

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AIによって「作れること」が当たり前になった今、エンジニアの価値は「何を作るべきかを見極め、相手の課題を解決できるか」へと移りつつあります。

顧客の現場に入り込み、課題の発見から実装までを担うFDE(Forward Deployed Engineer)が注目されているのは、まさにこの変化の表れだと言えるでしょう。

そしてこの流れは、未経験者の評価軸にもそのまま重なります。ポートフォリオで問われているのも「作れたかどうか」ではなく、その背景にある思考や、実務として通用する経験だからです。

作品の見栄えだけにこだわるのではなく、「なぜ作ったのか」「どう考え、どう課題を解決したのか」を伝えられるよう意識する。それが、FDE的な視点を持っていることの証明になります。

とはいえ、「相手の課題を理解して形にする力」は、一人で学習しているだけでは身につきにくいものです。

そこでCOACHTECHでは、ポートフォリオ制作のサポートに加え、模擬案件開発や実案件に挑戦できる環境を提供しています。

スクール在籍中に実案件を経験することで、ポートフォリオに記載できる具体的な開発実績や、実務の制約のなかで考え抜く実践力を獲得することが可能です。

AI時代に求められているのは、単にコードを書き写すだけでは身につかない、実務に直結する能力や人間力なのです。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

作れることが当たり前になった時代だからこそ、採用担当者が求めるのは、その背景にある思考や実践経験まで伝わるポートフォリオです。

COACHTECHが目指すのは、受講生が「学習した人」ではなく「現場で通用する人」として巣立っていけること。

受講中に実案件へ挑戦できる環境があるからこそ、未経験から挑戦する人も実績を持った有利な状態で卒業を迎えられます。

ポートフォリオ制作のサポートはもちろん、AI時代でも価値が下がらない「思考が伝わるポートフォリオ」の作り方まで、COACHTECHは丁寧に伴走します。

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