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エンジニアの市場価値は何で決まる?AI時代に価値が上がる人をCOACHTECH運営者に聞いた

AI時代、エンジニアの仕事は減るのか?COACHTECH運営者が語るエンジニアの生存戦略
生成AIの進化にともない、「エンジニアの仕事はなくなるのではないか」「自分の市場価値は下がっていくのではないか」という声を耳にする機会が増えてきました。

コード生成AIは急速な進化を遂げており、簡単なアプリケーションであれば短時間で完成させられるようになっています。

しかしその一方で、現場では依然としてエンジニア不足が続いており、多くの企業が人材確保に苦戦しているのもまた事実です。

結論からいえば、AIによってエンジニアの市場価値が一律に下がることはありません。

では、これからのエンジニアの市場価値は、何によって決まるのでしょうか。

この記事では市場価値の決まり方を整理したうえで、COACHTECH運営者への取材から、AI時代に価値が上がる人の条件を明らかにします。

結論:AI時代、エンジニアの市場価値は「コードを書く速さ」では決まらない

結論:AI時代、エンジニアの市場価値は「コードを書く速さ」では決まらない
はじめに、この記事の結論をまとめます。

  • 市場価値は「需要」「希少性」「再現性」の3つで決まる。AIが変えたのはこのうち「希少性」の中身だけ
  • 希少性の源泉は「コードを速く書けること」から「何を作るべきかを決められること」へ移った
  • コエテコが取材してきた採用担当者が挙げた評価点に、実装の速さは一つも含まれていない
  • 下がっているのはエンジニアという職業の価値ではなく、「仕様どおりに手を動かすだけ」の働き方の価値


つまり、AIに仕事を奪われるかどうかは職種ではなく、担当している工程で決まります。

以降では、市場価値の決まり方を分解したうえで、実際にエンジニアを採用している企業と育成しているスクールが「何を見ているのか」を、コエテコの取材記録から確かめていきます。

エンジニアの市場価値とは?3つの要素で決まる

エンジニアの市場価値とは?3つの要素で決まる
エンジニアの市場価値は、単なる保有スキルの数ではなく「需要」「希少性」「再現性」の3つの要素の掛け合わせで決まります。

漠然とした市場価値という言葉を分解することで、自分に何が足りないのかを客観的に把握できるようになるでしょう。

市場価値=「需要」×「希少性」×「再現性」

市場価値を構成する3つの要素について、それぞれ詳しく解説します。

需要は、その仕事を求める企業が世の中にどれだけ存在するかを示す指標です。

社会全体で求められている技術やポジションであればあるほど、需要は高くなります。

希少性は、あなたの代わりになる人材が市場に何人いるかを表します。

誰にでもできる仕事ではなく、限られた人にしかできないスキルを持つことで希少性は高まるといえるでしょう。

再現性は、所属する会社やプロジェクトが変わっても、安定して成果を出せる能力のことです。

特定の環境でしか通用しないスキルではなく、どこへ行っても実力を発揮できることが求められます。

実は、同じプログラミングスキルを持っていても、所属する会社や担当する工程によって発揮できる価値は大きく変わります。

たとえば、要件がすべて決まっている現場で指示通りにコードを書く場合と、顧客の課題をヒアリングして一緒に要件から考える現場とでは、後者の方が高く評価されやすい傾向にあるのです。

要素 意味 AIの普及で起きた変化 自分に当てはめる問い
需要 その仕事を求める企業が社会にどれだけあるか 開発ニーズ自体は堅調だが、求めるスキルセットが変化している 自分の持つスキルは、現在多くの企業が求めているものか?
希少性 同じことができる人材(代わり)が何人いるか 「コードを書く速さ」から「何を作るか決める力」へ価値が移行した 自分にしかできない業務や、独自の強みを持っているか?
再現性 どの現場や環境でも安定して成果を出せるか AIツールを適切に使いこなし、どんな環境でも生産性を保てるか 会社やプロジェクトが変わっても、同じように活躍できるか?

年収は市場価値の結果であって、市場価値そのものではない

現在の年収や役職は、市場価値が反映された結果にすぎません。

年収が低いからといって、必ずしもエンジニアとしての市場価値が低いわけではないからです。

企業の給与は、社内の給与テーブルや業界の利益構造によって上限が決められています。

そのため、本来は市場価値の高い人材であっても、所属する企業の構造上、適正な評価や給与を受け取れていないケースは多々あります。

市場価値を高めるためには、現在の年収額だけで自分の価値を判断しないことが重要です。

今の環境に依存せず、自分のスキルや経験が他社でも通用するのかという視点を持つことで、本当の意味での市場価値が見えてくるのではないでしょうか。

AIの普及で「希少性」の中身が入れ替わった

AI時代を迎え、エンジニアに求められる希少性の源泉は大きく変化しました。

単なるコーディング能力だけでは、他者との差別化が難しくなっているからです。

AIが普及する前は、複数のプログラミング言語が書けることや、実装スピードの速さが希少性とされていました。

しかし現在では、コードの自動生成ツールなどが発展し、単なる実装作業の多くはAIによって代替されつつあります。

その結果、希少性の軸は「どう作るか」から「何を作るべきかを決める力」へと移動しました。

ビジネスの課題を深く理解し、それを解決するための適切なシステム要件に落とし込むスキルの価値が高まっています。

注意点として、希少性の中身が移動したというだけで、エンジニアという職業の需要そのものが減ったわけではありません。

「AIの普及でエンジニアはオワコンになる」と不安視する声もありますが、システムを企画・設計し、AIを道具として使いこなす人材の需要はむしろ拡大しています。

AI時代のエンジニアとして生き残るには、新しい技術を味方につけ、上流工程のスキルを磨いていくことが不可欠です。

【コエテコ取材】採用する側は、エンジニアの何を見ているのか

【コエテコ取材】採用する側は、エンジニアの何を見ているのか
市場価値の話は抽象論になりがちです。

そこで、コエテコがこれまでに取材してきた「実際にエンジニアを採用している企業」3社と、「エンジニアを育成しているスクール」2校の発言を、一つの表にまとめました。

いずれも取材記事から、発言そのものを引いています。

取材対象 立場 評価したポイント 同時に語られたこと
金子恵一氏
(株式会社永産システム開発 CTO)「取材記事」
採用する側 自分の頭で考えて解決できるか/アイディアのオリジナリティ/お客様のシステムを責任を持って作り上げられるか 「高学歴=優秀」とも「スクールで真面目に学んだ=優秀」とも判断しない。すぐ使える実践力もそれほど求めていない
別府氏
(GMOメディア 開発責任者)「取材記事」
採用する側 ポテンシャルと熱量の高さ。育成を前提に採用する「活きのいい若手」 理想的なスキルと経験を持つ人材は報酬が高額すぎて採用に至らないことがある。採用に関わった18年間で年々困難になっている
荻野氏
(株式会社iCARE CTO)「取材記事」
採用する側 個人開発アプリがユーザーを獲得していたこと。フィードバックサイクルを回していたこと。周知のためのマーケティングをしていたこと 「スクール卒業生は取らない」という会社の方針を、この1点で覆した
岩崎敬信氏
(COACHTECH 事業責任者)「取材記事」
育成する側 技術力に加えて「探究心」「課題解決力」「協調性」。これらが合わさった自走力 目安としているのは最低1,000時間の学習(1日3時間で1年弱)。毎月卒業する受講生のうちフリーランスに転身するのは約3割
菊本氏
(RUNTEQ 代表)「取材記事」
育成する側 AIエージェントを前提とした設計力と、その土台になる基礎理解 自社の開発チームでは前年末頃からClaude Codeを本格導入し、現在は社内で標準的に活用している

5人の発言を並べると、はっきりした共通点が3つ見えてきます。

1. 採用側3人の評価点に、実装の速さは一つも入っていない

「コードを速く書ける」「多くの言語が書ける」という評価は、採用側の3人から一度も出てきません。

代わりに挙がったのは、自分の頭で考えたか、オリジナリティがあるか、責任を持って作り切れるか、という点でした。

永産システム開発の金子氏は、応募者から受け取ったコードを数時間かけて確認していると話しています。

見られているのは「作ったかどうか」ではなく、「どう考えて作ったか」です。

2. 評価されたのは「誰かに使われた実績」だった

iCAREの荻野氏が「スクール卒業生は取らない」という方針を覆したのは、応募者の個人開発アプリがすでにユーザーを獲得し、フィードバックを受けて改善が回っていたからでした。

ポートフォリオがあることではなく、それが誰かに使われて反応が返ってきていることが、決め手になっています。

作品を作って終わりにするか、外に出して反応をもらうかで、評価はここまで変わります。

3. 育成側が語るのは、評価される前段の「土台」

一方、育成する側の2人が語っているのは、評価軸ではなく土台の話です。

COACHTECHの岩崎氏は最低1,000時間という学習量を目安に挙げ、RUNTEQの菊本氏はAIを使ううえでの基礎理解の重要性を語っています。

つまりエンジニアの市場価値は、「土台」×「差分」の掛け算で決まります。

1,000時間の学習という土台がなければ現場で通用せず、土台があっても考えた跡と使われた実績という差分がなければ、採用側の評価軸には届きません。

どちらか一方では足りない、というのが5人の発言から読み取れる答えです。

【取材】AI時代、エンジニアの仕事と評価はどう変わるのか

ここからは、フリーランスエンジニアの育成に定評のあるプログラミングスクール「COACHTECH」を運営する、株式会社estraの岩崎敬信氏への取材をお届けします。

まずは、AIによって現場の仕事がどう入れ替わりつつあるのかを伺いました。

Q1. AIによって、実際に減りつつある仕事とは?

AI時代、「コードを書く人」の仕事は本当に減るのか

AIによるコード生成の精度は年々向上しており、実際の開発現場では、人が行っていた作業の一部がAIに置き換わり始めているという声もあります。まずは、AIによって減少しつつある仕事について教えてください。

A.    定型化された実装作業は、AIに奪われていく可能性が高い

単純なCRUD開発やテンプレートベースの実装、決まったパターンの修正作業、あるいは仕様が明確に決まっている画面の量産といった業務は、効率化が一気に進む可能性があります。

厳密に言えば、「コードを打つだけ」の仕事は、今後求められなくなっていくでしょう。

ただし誤解してほしくないのは、コードが書けるということは、その裏側にある仕組みや設計意図を理解しているということでもある、という点です。

「理解している」という土台があるからこそ、AIが出力したコードが正しいのか、意図とズレていないかを判断できますし、AIにより的確な指示を出し、精度の高いアウトプットへとつなげていくこともできます。

この役割自体は、AIがどれだけ進化してもなくなることはありません。

「AIによってエンジニアの仕事が奪われる」という側面ばかりが強調されがちですが、むしろ私は、長年続いてきたIT人材不足が解消されるメリットがより大きいのではないかと見ています。

定型作業がAIに置き換わることで、エンジニア一人ひとりがより多くの案件、より幅広い領域に関われるようになるからです。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者  岩崎 敬信氏

世の中には、まだまだ「ほしいもの」があふれています。ロボットやIoTをはじめ、テクノロジーの活躍領域は今後さらに広がっていくでしょう。

つまり、エンジニアの仕事そのものが縮小するのではなく、AIを使いこなせるエンジニアが、より多くの領域で求められていく時代になっていくと考えています。

Q2. 逆に、AI時代に増えている仕事とは?

AI時代、「コードを書く人」の仕事は本当に減るのか

定型的な作業がAIに置き換わっていく一方で、「AIでは代替しにくい仕事」の重要性が増しているとも言われています。

実際の開発現場では、どのような役割の価値が上がっているのでしょうか?

A.    顧客の要望を形にする「上流から実装までの一貫開発」

需要が高まっているのは、お客さまと直接会話をしながら要件を整理し、実装までを一気通貫で担う仕事です。何を作るべきかを見極め、それをそのまま形にしていく――この上流から下流までをつなぐ仕事は、AIでは対応できません。

エンジニアは単に「言われたものを作る」だけではなく、「本当に必要なものは何か」を一緒に考えるところへと、役割そのものが広がってきているのです。

また、システム全体の深い構造理解を前提とした、現場密着型の開発・運用についても需要が高まっています。

AIのアウトプットを現場に合った形へ調整するには、技術的な知識や実務経験が欠かせません。

前回お話ししたFDE(Forward Deployed Engineer)のように、現場に入り込み、お客さまと一緒に課題を整理しながら解決策を形にしていく役割は、その代表例だと考えています。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

もちろん、こうした力は短期間で身につくものではありません。システムを腹落ちするレベルまで理解するには、相応の経験の積み重ねが必要です。

だからこそ、そこまでたどり着いた人が担える役割の需要は、AIが進化すればするほど広がっていくと考えています。

Q3. なぜ「コードが書けるだけ」では差別化しにくくなるのでしょうか?

AI時代、「コードを書く人」の仕事は本当に減るのか

第1回から第8回までを通じて、「技術力だけでは足りない」というお話が何度も出てきました。

AI時代において、コードを書くスキルだけでは差別化しづらくなるのはなぜなのでしょうか。

A・ 「コードが書ける」ことは前提条件

AIの登場によって、一定レベルのコードは誰でも生成できるようになりました。これは「仕様通りにコードを書く」という行為そのものの希少価値が下がり、技術的なハードルが均質化されたことを意味します。

これからの時代は「どのように書くか(実装)」ではなく、「なぜその設計にするのか」「どの技術を組み合わせ、どうやってビジネスの課題を解決するのか」という、意思決定と選択のプロセスにこそ本質的な価値が移ってきています。

そしてこの判断を的確に行うための前提となるのが、現場や相手の状況を正しく読み取る力です。

精度の高い判断を行うには、目の前の要件だけでなく、その背景にある事情や制約まで理解できなければなりません。

AI時代には、これまでの連載でも触れてきたFDE的な考え方、すなわち、現場に深く入り込み、本当に必要なものを見極めて形にしていく姿勢の有無が、他者との差別化においては重要なポイントとなるでしょう。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

コードを書く力は、もちろん前提として必要です。しかしそれはあくまでスタートラインに過ぎません。

何を、なぜ、どう作るのかを判断し、現場の課題を解決できるところまで踏み込んで初めて、AI時代でも市場価値が下がらないエンジニアになれると考えています。

市場価値が上がるエンジニアと下がるエンジニアの違い

市場価値が上がるエンジニアと下がるエンジニアの違い
AI時代のエンジニアの市場価値は、単にコードを書けるかではなく、AIやツールを活用して自ら価値を生み出せるかで大きく二極化しています。

同じ経験年数であっても、日々の業務への向き合い方によって評価は大きく分かれます。

たとえば経験年数が同じ3年でも、言われた機能を実装してきただけの人と、なぜその機能が必要かを考えて提案してきた人とでは、転職市場での評価はまったく異なります。

まずは、ご自身が現在どちらの働き方に近いかを確認してみてください。

観点 市場価値が上がるエンジニア 市場価値が下がりやすいエンジニア
業務への姿勢 曖昧な要望を要件に翻訳できる 決まった仕様どおりに実装するだけ
AIツールの活用 AIの出力の正しさを判断できる AIの出力をそのまま採用してしまう
視野と適応力 担当領域の外まで理解している 社内固有のやり方にしか適応できない
経験の質 成果物を人に使ってもらった経験がある 使う技術が常に指示待ちである
スキルの更新 日常的に学び続ける習慣がある 新しい技術への学習が止まっている
価値の源泉 課題解決そのものに貢献する 与えられた作業をこなすことに終始する

市場価値が上がるエンジニアの特徴

市場価値の高い人材は、単なる実装者ではなく「課題解決のプロ」として振る舞います。顧客や企画側の曖昧な要望を汲み取り、具体的なシステム要件へと翻訳できるスキルを持っているからです。

AI時代におけるエンジニアの役割は、コードを早く正確に書くことから、最適な解決策を導き出すことへと変化しています。

そのため、AIが生成したコードの正しさを的確に判断し、システム全体にどう組み込むかを設計できる力が求められます。

また、自分の担当領域だけでなく、前後の工程やビジネス側の背景まで理解していることも重要な特徴です。

開発した成果物を実際にユーザーに使ってもらい、フィードバックを得て改善を繰り返した経験がある人は、より実践的な課題解決能力を身につけているといえるでしょう。

こうしたエンジニアは、技術の進化に合わせて学び続ける習慣があるため、どのような環境でも市場価値を高められます。

市場価値が下がりやすいエンジニアの特徴

一方で、市場価値が下がりやすい働き方にはいくつかの共通点があります。

最も典型的なのは、用意された仕様書のとおりにコードを書くだけで満足してしまうケースです。

このような働き方では、使う技術も常に指示待ちとなり、自分から最適なツールを提案できません。

AIの出力結果も検証せずにそのまま採用してしまい、思わぬバグやセキュリティリスクを引き起こす原因にもなります。

特定の社内システムや固有のルールにしか適応できず、汎用的なスキルの学習が止まっていると、社外での評価は上がりにくくなってしまいます。

しかし、これは本人の能力が劣っているからではありません。たとえば、保守運用のみを担当する部署や、新しい技術の導入に消極的な現場にいると、どうしても視野が狭くなりがちです。

「言われた通りに作る」ことが求められる環境に長く身を置き、それが習慣化してしまった結果に過ぎないのです。

「オワコン」と言われるのは職業ではなく働き方

近年、「AIの進化でエンジニアはオワコンになる」という声を聞くことがあります。

しかし、オワコン化しつつあるのはエンジニアという職業そのものではなく、「仕様どおりに手を動かすだけの働き方」です。

AIは指示されたコードを素早く生成できますが、「何を作るべきか」「どうすればユーザーの課題を解決できるか」をゼロから考えることはできません。

そのため、AIを単なるツールとして使いこなし、人間ならではの創造性やコミュニケーション能力を発揮できるエンジニアの需要は、むしろ高まっています。

もし現在、自分が市場価値の下がりやすい環境にいると感じたとしても、焦る必要はありません。今の業務から工程を一段上流に広げ、要件定義や設計の視点を持つことで、評価を大きく挽回できます。

では、具体的にどのように行動すれば市場価値の高いエンジニアへと変われるのでしょうか。

次のセクションでは、今日から始められる具体的なアクションについて解説します。

エンジニアが市場価値を高める5つの方法

エンジニアが市場価値を高める5つの方法
エンジニアが市場価値を高めるには、技術力を磨くだけでなく、ビジネスへの貢献度やAIを活用する力を伸ばす必要があります。

ここでは、明日からすぐに着手できる具体的な5つのアクションをご紹介します。

担当する工程を一段上流に広げる

担当する業務の幅を上流工程へと広げることで、ビジネスの意図を汲み取れるエンジニアになれます。

開発の現場は、要件定義や設計を行う上流工程と、実際にコードを書く下流工程に大きく分かれています。

言われた通りに実装するだけの作業は、AI時代において代替されやすい領域です。

そのため「エンジニアはオワコン」と不安視されることもあります。

しかし、顧客との折衝やシステムの基本設計に一部でも関われば、機械には代われない価値を提供できるでしょう。

今日からできる最小の一歩は、渡された仕様書の背景や意図を質問することです。

社内で手を挙げて設計のレビューに参加させてもらうなど、今の業務の延長線上で小さく行動を始めてみてください。

AIを「使う側」の作法を身につける

AIツールの適切な使い方を習得することは、これからのエンジニアにとって必須のスキルです。

AIの進化が著しい現代において、開発業務でAIを使わないこと自体が大きなリスクになりつつあります。

ポイントは、AIに任せる範囲と自分で判断する範囲の明確な線引きです。

定型的なコードの生成やテストケースの洗い出しはAIに任せましょう。

一方で、セキュリティ要件の判断や複雑なアーキテクチャの選定は、人間が責任を持って行う必要があります。

今日からできる最小の一歩は、日々の開発でAIへの指示の出し方を工夫することです。

出力されたコードをそのまま鵜呑みにせず、脆弱性やパフォーマンスの観点から検証する癖をつけてみてください。

自分が作ったものを外に出して使ってもらう

開発したプロダクトや技術の知見を外部に公開することで、実践的な開発力が身につきます。

社内の閉じた環境だけでなく、外の世界からの評価に触れることが成長を加速させるからです。

個人開発のアプリ、OSS(オープンソースソフトウェア)への貢献、技術記事の執筆などが有効な手段です。

ここで重要なのは、完成度の高さではありません。誰かに実際に使ってもらい、その反応を受けて修正や改善を繰り返した経験こそが現場で活きます。

今日からできる最小の一歩は、直近で学んだ技術を短いブログ記事にして公開することです。

あるいは、簡単な便利ツールを作って同僚や友人に使ってもらい、率直なフィードバックをもらうのも良いでしょう。

特定の業務ドメインに詳しくなる

特定の業界における深い業務知識は、技術力と掛け合わせることで強力な武器になります。

プログラミングのスキルだけでなく、顧客のビジネスや現場の課題を深く理解しているエンジニアは非常に希少です。

たとえば、医療、金融、物流、教育といった分野では、独自の商習慣や複雑な法律が存在します。

こうした特定の業務ドメインに精通していれば、顧客の真の課題に気づきやすくなります。

結果として、替えのきかない市場価値の高い人材として評価されるはずです。

今日からできる最小の一歩は、現在関わっているプロジェクトの業界用語を徹底的に調べることです。

顧客がどのように利益を生み出しているのか、ビジネスモデルの構造を理解することから始めてみてください。

学び続ける仕組みを持つ

技術の進化に追従するためには、個人の意志に頼らない学習の仕組みづくりが不可欠です。

モチベーションには波があるため、気合いだけで日々の勉強を続けるのは困難ですよね。

市場価値を高めるエンジニアは、自然と学びが続く環境を持っています。

社外のエンジニアと交流できるコミュニティに所属したり、定期的に勉強会に参加したりすることで、外部からの刺激を受け続けられます。

今日からできる最小の一歩は、興味のある技術コミュニティに登録してみることです。

月に1回はオンラインの勉強会に申し込むなど、強制的にインプットとアウトプットを行う場を予定に入れてしまいましょう。

これら5つの方法を、すべて同時に始める必要はありません。

まずは自分の現状を振り返り、いま一番弱いと感じる領域や、少しの努力で改善できそうなところから1つだけ選んで、明日からの行動を変えてみてください。

【取材】AI時代に求められるエンジニアと、フリーランスの市場価値

続いて、これからエンジニアを目指す人が何を身につけるべきか、そしてフリーランスとしての市場価値がどう変わるのかを伺いました。

Q4. AI時代、未経験エンジニアが最初に身につけるべき力とは?

AI時代、「コードを書く人」の仕事は本当に減るのか

AIによって開発のハードルが下がった今、「まず何を身につけるべきなのか」が分かりにくくなっている方も多いと思います。

未経験からエンジニアを目指す人に対して、最初に意識してほしい力はありますか?

A.    未経験者が最初に鍛えるべきは「コミュニケーション力」──相談する力、言語化する力

未経験からエンジニアを目指す方にまず身につけてほしいのは、本質的な「コミュニケーション力」です。

実際の開発現場において、あらゆる課題を一人だけで完結できるエンジニアは存在しません。分からないことを整理し、必要な情報を集め、適切なタイミングで周囲に相談できる力は、AI時代になっても変わらず必要です。

また、相談する上では、相手と適切に意思疎通できる力を備えていることが前提となります。エンジニアには、相手の意図を正しく汲み取れる力、自身の思考を相手に伝わる言葉に変換する力も必要です。

注意したいのは、エンジニアの「相手」は人だけではなく、AIも含まれるという点です。

AIから意図通りの高度なアウトプットを引き出すためには、自身の頭の中にある曖昧なイメージを論理的に整理し、的確な指示として言語化することが必須となります。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

相手が人であってもAIであっても、「考えを整理し、的確に伝え、相談する」という力の重要性は変わりません。

だからこそ未経験の方には、技術の習得と同じくらいの熱量で、本質的なコミュニケーション力を伸ばしていってほしいと考えています。

Q5. AI時代でも、フリーランス需要はなくならないのでしょうか?

AI時代、「コードを書く人」の仕事は本当に減るのか

AIの発展によって、フリーランスエンジニアの仕事が減っていくのではないかと不安を感じる方も少なくありません。

一方で、企業側の開発ニーズそのものは、むしろ増えているようにも見えます。今後のフリーランス市場は、どのようになっていくとお考えですか?

A.    企業にとってフリーランスの価値は上がる

AI時代が本格化するからこそ、企業にとってフリーランスという外部パートナーの存在意義は一段と高まっていくと考えられます。

技術革新のスピードが激しい現代において、従業員を雇用し続けることは固定費リスクやコストとなりかねません。

AIの普及によって開発効率が高まっているからこそ、「必要な時に、必要な人材を確保したい」というニーズは、今後さらに広がっていくはずです。

ここで重要なのは、正社員とフリーランスのどちらが優れているかという二者択一の議論ではなく、それぞれ「企業にとっての役割が異なる」という視点です。

じっくり育成しながら長期的に組織を担ってほしいのであれば正社員、開発力は必要だが即戦力がほしいという場面であればフリーランス、というように、使い分けが進んでいきます。

正社員とフリーランスを経営や現場の目的に応じて組み合わせることで、企業は開発スピードやコストを最適化しやすくなるのです。

そしてこれによりエンジニア側も、働き方の選択肢が多様化します。

正社員として働きながら、副業としてフリーランス的に開発案件へ関わる、などの働き方が自然と増えていくのではないでしょうか。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

AIの普及はフリーランスの仕事を奪うものではなく、むしろ「働き方の選択肢をより豊かに広げてくれるもの」と捉えることができます。

エンジニアの働き方は変化していくものの、フリーランスそのものへの需要が低下するとは思えません。

実務経験があって信頼を寄せられるエンジニアで居続ける限り、市場の需要が揺らぐことはないと考えています。

Q6. COACHTECHは、AI時代にどんなエンジニアを育てようとしているのでしょうか?

AI時代、「コードを書く人」の仕事は本当に減るのか

ここまで、AI時代における学習の仕方や実務経験の積み方、仕事の変化について伺ってきました。

連載最終回となる今回は、COACHTECHが目指す人材育成の方向性についてお聞かせください。

A.    「TKK」と「日本流FDE」を体現し、現場の課題を解決できるエンジニア

COACHTECHが目指しているのは、単にコードを書ける人ではなく、現場の課題を解決できるエンジニアの育成です。

その基盤として重視しているのが、自ら学び続ける「探究心」、困難な壁を乗り越える「解決力」、そして周囲と手を取り合う「協調性」という3つの要素、「TKK」という考え方です。

AIがどれほど進化し、高度なコードを生成できるようになったとしても、この「TKK」を備えた人材の価値が揺らぐことはありません。

探究心を持って学び続け、現場の課題に向き合いながら解決へと導き、そして人と協力し合える――そうした力を備えたエンジニアを一人でも多く育てていくこと。これこそが、COACHTECHの果たすべき役割だと考えています。

そしてもう一つの軸としているのが、現場の最前線に立って顧客に伴走する「FDE」の思想を持ったエンジニアの育成です。

ただし、私たちが育てたいのは、海外のビジネスモデルをそのまま日本に当てはめただけのFDEではありません。目指すのは、日本のビジネス環境や文化に根ざした「日本流のFDE」の育成です。

顧客の現場に深く入り込み、相手の悩みや言葉に丁寧に向き合いながら、本当に求められている本質的なニーズを泥臭く見極めて形にしていく。

そうした日本人ならではのきめ細やかさや、おもてなしの心、真摯な姿勢を最大限に活かした、「真に必要とされるFDE」を、私たちは社会に送り出したいと考えています。
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏
株式会社estra 取締役 教育事業部責任者 岩崎 敬信氏

とはいえFDEに欠かせないコミュニケーション力は、一朝一夕に身につくものではありません。

だからこそ、これまで営業職や接客業など、人と接する仕事でコミュニケーションを重ねてこられた方々にとっては、今が大きなチャンスだと言えます。

培ってきた対人スキルに技術力が加われば、AI時代にも価値の落ちない唯一無二のエンジニアになれるでしょう。

自分の市場価値を確かめる3つの方法

自分の市場価値を確かめる3つの方法
エンジニアとしての自分の市場価値を正確に把握するには、外部の客観的な物差しを当てることが重要です。

AI時代にエンジニアがオワコンにならないためには、常に市場価値を高める努力が欠かせません。

しかし、現在の立ち位置がわからなければ、正しい対策を立てることは不可能です。

ここでは、今すぐ転職する予定がなくても試せる、低リスクな3つの確認方法を紹介します。

なお、Web上の市場価値診断ツールの数値は参考値に過ぎないため、鵜呑みにしないよう注意してください。

転職サイトの求人票で必要要件を読む

求人票の「必須要件」と「歓迎要件」をチェックすることで、現在の市場がどのスキルに値段をつけているかがわかります。

転職サイトを眺める行動は、市場価値の高い人材の条件を知るための第一歩です。

具体的には、自分が希望する年収帯やポジションの求人を探し、募集要項の欄をじっくり読んでみましょう。

必須要件を満たしていれば最低限の市場価値があり、歓迎要件を満たしていればさらに高く評価される証拠になります。

ここで重要なのは、実際に求人へ応募する必要は全くないということです。

定期的に求人票を見る習慣をつければ、今後自分が市場価値を高めるために習得すべきスキルが明確になるでしょう。

転職エージェントやスカウトで第三者の評価を得る

転職エージェントとの面談やスカウトサービスを利用すると、プロの視点から客観的な評価を得られます。
エンジニア向けスカウト型転職サービスおすすめ10選

自分では当たり前だと思っている業務経験が、他社から見れば非常に価値のあるスキルだというケースは少なくありません。

エージェントと対話することで、自分では気づきにくい強みを言語化してもらえるというメリットがあります。

スカウトの受信数や提示される年収額は、現在のあなたの市場価値を直接的に反映しています。

これらも、すぐに転職を決意していなくても利用可能なサービスです。

「良い条件があれば考える」というスタンスで登録しておくだけでも、自分の実力を測る有効な手段となるはずです。

社外の人に自分の仕事を説明してみる

社外の人に自分の業務内容を説明することで、社内固有の前提に頼らずに価値を語れるかが試せます。

友人や異業種の知人に対して、自分が普段どのような課題をどう解決しているのかを話してみてください。

もし説明に詰まったり、相手にうまく伝わらなかったりする場合、それは「今の会社でしか通用しない知識」に依存している証拠かもしれません。

専門用語を使わずに自分の成果を論理的に説明できる人は、どの企業に行っても活躍できるポテンシャルを持っています。

社外でも通じる普遍的なスキルと、社内限定のスキルを切り分けることで、真の市場価値が見えてきます。

よくある質問

よくある質問

Q. AIによってエンジニアの仕事はなくなりますか?

AI時代を迎えても、エンジニアという職業そのものがなくなる可能性は低いです。

しかし、仕事の中身は大きく入れ替わっていくでしょう。

たとえば、決まった仕様どおりにコードを書くだけの作業は、AIの台頭によって減少すると予想されます。

一方で「そもそもシステムで何を解決するのか」や「どのような機能を作るべきか」を定義する上流工程の重要性は増しています。

AIをツールとして使いこなしながら、ビジネスの課題解決に注力できる人材こそが求められます。

「エンジニアはオワコン」といった声もありますが、本質的な価値を提供できる人の需要はむしろ高まっていくはずです。

Q. エンジニアは本当に人手不足なのですか?増えすぎという声もあります

「エンジニアは増えすぎている」という声と「深刻な人手不足」という声は、どちらも事実です。

これは、スキル層によって需要と供給のバランスが異なっているためです。

近年、プログラミング学習の普及により、未経験者や初級レベルのエンジニアは増加傾向にあります。

しかし、企業が本当に求めている「自走して開発を任せられる人材」は常に不足しています。

単にコードが書けるだけの人材は飽和しつつありますが、課題解決能力を持つ市場価値の高い人材は奪い合いの状態です。

この需給のねじれを理解し、企業から求められるスキルを身につけることが重要になります。

Q. 未経験からでもエンジニアの市場価値は上げられますか?

未経験からでもエンジニアの市場価値を高めることは十分に可能です。

ただし、そのためには最初の土台づくりとして、相応の学習量を確保する必要があります。

学習の分かれ目となるのは、いかに「実務に近い経験」を積めるかです。

基礎的な構文を覚えるだけでなく、以下のような経験を意識してみてください。

  • 要件を自分で定義してオリジナルアプリを作る
  • エラーを自力で調査し解決する
  • チーム開発の手法を学ぶ
単なる知識のインプットにとどまらず、実際の開発現場で求められる思考プロセスを身につけることが大切です。

実務に近い環境で手を動かす経験が、市場価値を高める第一歩となります。

Q. 市場価値を高めるのに資格は必要ですか?

資格を取得しただけで、エンジニアの市場価値が急激に上がることは少ないのが実情です。

IT業界では、資格の有無よりも「実務で何ができるか」という実績が重視される傾向にあるからです。

しかし、資格がまったく無意味というわけではありません。

未経験者にとっては、体系的な知識を身につけるための学習の順序づけとして役立ちます。

特定の業界知識やクラウドインフラなどの専門知識を証明する材料としても機能するでしょう。

市場価値を高めるためには、資格取得をゴールにするのではなく、学んだ知識をどう実務に活かすかという視点を持つことが大切です。

Q. 市場価値の高いエンジニアの職種は何ですか?

「この職種に就けば市場価値が高い」と一概に決まるものではありません。

エンジニアの市場価値は、職種名ではなく「その職種の中でどの工程を担当しているか」で大きく変わります。

Webエンジニアでもインフラエンジニアでも、言われた作業をこなすだけのポジションでは価値は上がりにくいです。

一方で、顧客の要件をヒアリングしたり、システム全体の設計を担ったりする上流工程を任せられる人は、どの職種でも高く評価されます。

職種ごとの詳しい事情は「Webエンジニアは増えすぎ?理由や将来性・需要も徹底解説」や「プログラマーは将来性がない?活躍できる人材になるためのポイントも解説」でも解説しています。

特定の職種を優劣で比べるのではなく、自分の選んだ分野でいかに裁量を持ち、ビジネスの課題解決に貢献できるかを考えることが重要です。

Q. 40代・50代からでも市場価値は上げられますか?

40代・50代からでも、エンジニアとしての市場価値を上げることは十分に可能です。

年齢を重ねてからの市場価値は、プログラミングの単体スキルだけでなく、これまでの経験をどう掛け合わせるかで決まります。

たとえば、長年培ってきた特定の業界知識や、プロジェクトの進行管理、チームをまとめるマネジメント経験などは、開発現場で大きな武器になります。

年齢を理由に諦める必要はありません。

最新の技術をキャッチアップする姿勢を持ちつつ、自身の強みである経験や対人スキルを技術力と組み合わせることで、市場価値を高めていけるでしょう。

まとめ

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ここまで見てきたように、AIの進化によってエンジニアの市場価値が一律に下がることはありません。

下がるのは「決められた仕様どおりに手を動かすだけ」の働き方の価値です。

減っていくのは「コードを打つだけ」の仕事であり、要件を整理し本質的な課題を見極める力、現場に深く入り込んで顧客と向き合う力、そして人にもAIにも通じる「言語化力」を備えた人材の価値はより一層高まっていくのです。

とはいえ、これからエンジニアを目指す人にとって、技術力・実務経験・コミュニケーション力を一から身につけるのは簡単ではありません。

そこでCOACHTECHでは、この壁を越えるための仕組みを用意しています。

カリキュラム後半の模擬案件開発では、専属コーチとの週次ミーティングを通じて、要件定義から納品までの一連の流れを実践形式で経験。座学だけでは身につきにくい「現場感覚」を、実務さながらの環境で養うことが可能です。

実践的なカリキュラムに基づく「自走力」と、実際の現場で培う「実践経験・コミュニケーション力」を獲得できれば、AI時代にも価値の下がらないエンジニアとして活躍できます。

COACHTECHは、すべての受講生が理想のキャリアに向けた第一歩を踏み出せるよう、一人ひとりの歩みに合わせて伴走します。

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