VUCAとは？現代を生き抜くための3つのスキルをわかりやすく解説

VUCAとは予測不可能な現代を表現した言葉

VUCAとは「想定外の出来事が次々と発生し、将来が予測できない状態」という概念で、4つの単語の頭文字をとった造語です。

• Volatility：変動性
• Uncertainty：不確実性
• Complexity：複雑性
• Ambiguity：曖昧性

元々は軍事用語として戦略の複雑性を示す言葉として使われていましたが、2010年に入るとアメリカでビジネス用語として使われ始めます。VUCAとは、株の暴落や感染症の流行、震災などあらゆる事柄によって突然状況が変わる時代を的確に表現している言葉だといえるでしょう。

VUCAの度合いが高まるとどうなる？

VUCAとは先行き不透明な状態を指しますが、たとえば気候変動や災害はまさに予測不可能な事態といえるでしょう。原油高による石油関連企業の経営圧迫や感染症流行による物流業界のダメージも世界的な事例の一つです。

他にも画期的なサービスや消費者の価値観の変化によって資産価値が急激に低下したり事業から手を引かざるをえない事態に陥ったりすることもあるかもしれません。誰もが予測できない状況を逆手にとり、新たな仕組みを生み出そうとする経営戦略が注目される時代でもあります。

VUCA時代は日本人の労働環境に影響する

かつて日本のビジネスシーンで主流とされた終身雇用制度や年功序列は崩れ去り、流動的な人材雇用が企業の成長に繋がるという認識が広まっています。副業やキャリアアップのための転職、フリーランスへ独立といった選択肢も珍しくありません。

さらに厚生労働省は、近年著しい技術革新が日本の労働環境に大きな影響を及ぼすと報告しています。

AIやロボットにより中間的な仕事が代替され得るということは、逆に言えば企業の経営や企画にかかわるような仕事を人間がやる必要が高まるということである。

2000年にかけてのIT革命で日本の産業が急激に変化した結果、今後はAIやロボットが日本人の労働の約半数を代替すると予測されています。AIとの共存社会においては人間にしか生み出せない感性や経験、発想力といった資質も必要な能力の一つでしょう。

VUCA時代に求められる3つのスキル

人生100年時代と終身雇用制度の崩壊を同時に迎える日本において、ビジネス業界で生き抜くためには自分の市場価値を高める取り組みが重要です。 ここではVUCA時代に求められるスキルを3つ解説します。

情報収集力

テクノロジーや経済の劇的変化が特徴的な現代では、情報収集力の高い人材が求められます。たとえばビジネスシーンでデジタル機器を使いこなしたり外部のスキルを学ぼうとしたりする姿勢があれば時代の流れに柔軟に対応できるでしょう。さらに新たな事業や時代の流れを捉える機敏性も重要です。VUCAとは急激に経済の危機に陥る可能性がある状態でもあるため、情報を収集することで先回りして対策しておくこともできます。

自分らしいキャリアを叶えるためには、転職やキャリアアップにまつわる情報も集めておかなくてはなりません。専門性を意識するだけでなく、他職種における汎用性が高いポータブルスキルも身に着けておきましょう。

自分で考えて行動する力

人間の感性や発想力はAIに代替されることのない大切な資質です。2015年に実施された野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究では日本の半数の労働がAIに代替されると推計されていますが、AIの苦手分野である過去にない事例への対応力や意思決定力、クリエイティブなセンスを強みにすることでVUCA時代のピンチをチャンスに変えられるかもしれません。

人間にしか蓄積できない経験をもとに新たな事例を創り出したり人間同士のコミュニケーションを活かして解決方法を探したりするスキルはVUCAの流れに打ち勝つカギとなります。

参考：株式会社野村総合研究所「日本の労働人口の 49％が人工知能やロボット等で代替可能に」

状況を客観的に捉える力

VUCA時代においては物事を客観的に状況を捉える視点が大切です。客観的な視点をもつ人材は中立的な立場で意見交換ができるため、会議では重要なキーパーソンとなります。さらに多様な価値観があれば慣例に紛れている課題を発見することにも繋がります。

状況を客観的に捉える力はリーダーに適した特性でもあります。近年のビジネスにおいては過去の成功例をたどるだけでなく、ありのままの状況を観察して大胆かつ迅速な状況判断ができるリーダーが必要です。

VOCA時代は、「変化」を受け入れない人にどう対処すべき？

いくらVOCA時代になり、変化を受け入れることが重要とはいえ、今所属している企業組織の中では融通が利かない人など、変化を受け入れられない人もいることでしょう。

変化を受け入れるのが苦手な人に対しては、「なぜ受け入れてくれないのですか」と言って打ち負かそうとするのではなく、「なぜ変化が必要なのか」についてきちんと説明していくことが大切です。もちろん、説明すれば相手が変化を受け入れてくれるとは限りませんが、根気よく説明を繰り返し、粘り強くコミュニケーションを取ることで相手の気持ちにも変化が訪れる可能性がグッとアップします。

どうしても難しい場合は「１カ月だけでいいので、新しいやり方を試してみるのはいかがでしょうか？」など、期間を区切った提案をしてみると通りやすくなります。

VOCA時代に注目されるOODAループとは

VOCA時代には「OODA（ウーダ）ループ」が有効だといわれています。企業内での人材育成や研修にも取り入れられているフレームワークで、今後企業や個人が身に着けるべき思考方法です。

OODAループとは

OODAとは4つの英単語の頭文字をとった言葉で、環境を観察して行動するまでの流れを表しています。

• Observe：観察
• Orient：状況理解、方向づけ
• Decide：判断
• Act：行動

OODAループは状況をありのままに観察して自分なりの価値観で方向づけ、次のアクションを判断するというものです。一見誰もが既に取り組んでいる活動のようにも感じられますが、OODAループの重要なポイントは具体的な行動を迅速に行う点です。

OODAループを提唱した航空戦術家のジョン・ボイド氏は、戦局の見通しが立たない状況でも迅速な判断を下すことで形成を逆転したという功績を残しました。つまり何事も先送りにせず短時間で意思決定をすることで競合に勝利することができるメリットがあるのです。不確実なVUCA時代にこそOODAループを素早く回していく取り組みが注目されています。

OODAループの具体例

たとえば、OODAループの具体例として以下のような取り組みが挙げられます。

• 観察：製品が売れない
• 状況理解、方向づけ：製品の強みが伝わっていない可能性がある
• 判断：キャッチコピーを修正して製品のイメージを変えてみよう
• 行動：新たなキャッチコピーで製品を宣伝する

上記のような取り組みで製品の売り上げが変化します。OODAループにおいてはループの流れによって生まれた結果を再び観察し、状況理解、判断、行動と同じルーティーンを繰り返します。VUCA時代で重要な視点はOODAループを競合よりも素早く繰り返す意識です。
参考：Webマーケティングに向いている人は？

VUCA時代、あらゆる環境変化を自己成長に繋げよう

VUCAとは将来が予測できない環境のことで、経営や災害、テクノロジーや人々の価値観の変化などによってあらゆる常識が覆る状態に冷静に対応しなくてはなりません。まさに現代の社会情勢はVUCA時代といわれ、日本においてはAIの急速な進化や少子高齢化の影響で時代の流れが大きく変動しています。

VUCA時代を生き抜くためには個人や企業に求められるスキルを身に着ける必要があり、とくに「情報収集力」「自分で考えて行動する力」「状況を客観的に捉える力」は重要なスキルといえます。また、OODAループというフレームワークに基づいて素早く意思決定のループを回すことで競合に負けない事業活動を展開していくことも大切です。